おんじょどいの小屋

鹿児島弁辞典「も」}

「も」

:もう・更に 「受験児(じゅけんご)い も一息(ひといっ)じゃっち 尻(し)ゆ叩(た)てっ [有馬湧声]」 「塵籠(ちいかご)を も一度(いっど)探(さ)げっ 諦(あきら)めっ [樋口一風]」

:舞う 「座布団が やんやん舞(も)ちょい 荒(あ)れた相撲(すも)」「太鼓(てこ)三味線(しゃん)に 桜が舞(も)でた 郷中(ごじゅ)花見(はなん) [上薗佳笑]」

もい:漏る 「洗面盥(びんだれ)ん 茸(なば)をこせだや 漏(も)いでけっ [隈元三植]」

もい:盛り・盛る 「刺身(さしん)盛(も)い 半値い成れば 奪合(ばこ)っ取(と)っ [満吉満秀]」 「残(のこ)い物(もん) 皿(さ)れ見事(みご)つ盛(も)い 婆(ば)ん昼飯(ちゅはん) [満留ぐみ]」

もい:お守・子守 「外(そ)ても出(で)じ テレビん守(も)いの 梅雨(ながし)時期(どっ) [井手上政暎]」 「鍵(かっ)の守(も)よ 花鉢(はなば)ちさせっ 共稼(ともかせ)っ [善福夢幻]」

もいあがい・もいあがっ・もいやがい・もいやがっ:盛り上がる 「臭(く)せどのち 馬鹿(ば)けした焼酎 (しょつ)で 盛(も)い上(あ)がっ [岩崎美知代]」「バスん旅(たっ) 朝かあ飲(の)んじゃ 盛(も)い上(や)がっ [中村雲海]」

もいあぐい・もいあぐっ・もいやぐい・もいやぐっ:盛り上げる 「葬祭場(そうさいじょ) 沈んだ音で 盛(も)い上(あ)げっ [諸木小春]」「安(や)し会費 茹(いで)落花生(だっきしょ)を 盛(も)い上(や)げっ [上田 格]」

もいぎっ・もぎっ:百舌(もず) 「百舌(もいぎっ)の 声も寂(とぜん)ね 過疎ん里 [川辺睡蓮]」

もいつくい:盛り付ける

もいっど:再度・いま一度 「塵籠(ちいかご)を も一度(いっど)探(さ)げっ 諦(あきら)めっ [樋口一風]」 「爺(じ)の太(ふと)か 声をも一度(いっど) 聞(き)こごたっ [樋渡草団子]」

もいっとっ:もう少し・もうしばらく

もいっぺ:もう一杯 「ヒス女房(かか)も 夢じゃも一杯(いっぺ) 飲めち酌(ち)っ [枦山一球]」

もいでくい:漏れ出す・漏れ始める 「洗面盥(びんだれ)ん 茸(なば)をこせだや 漏(も)いでけっ [隈元三植]」

もいのこ:子守 「子守(もいのこ)あ 泣(な)っ止(や)まん子の 尻(し)ゆ抓(つま)ん [下本地郷二]」

もえ:寄り合い・講 「艶話(つやばな)し 笑(わ)れが止(と)まらん 女模合(おなごもえ) [西ノ園ひらり]」 「女寄合(おなごもえ) 実(み)の無(な)か話(はな)し 座(ざ)が弾(はず)ん [山下矢絣]」

もえあがい・もえあがっ:燃え上がる

もえつっ:火が付く

もえとっ:燃え尽きる

もえん:燃えない 「シャネル5を 嗅(かず)でん燃(も)えん 高齢(と)しけなっ [小森寿星]」

もが:馬鍬 「石の蔵(く)れ 馬鍬(もが)は隅(す)み眠(ね)っ 爺(じ)ん家宝(たから) [畑山真竹]」

もがい:不平・駄々・ねだる 「良(よ)か姑女(しゅとじょ) 孫ん我儘(もが)ゆば 我慢(きば)らせっ [宮田隆翔]」

もがい・もがっ・もがる:駄々をこねる・理屈を言う 「飲酒(ぬ)じょらんち 巡査(じゅん)せ強請(もが)った 縺(もつ)れ舌(じた) [福田鹿角]」「ならん議(ぎ)を 強請(もが)い通(とお)すい 頑固(いっこっ)爺(じ) [吉村伝波]」

もぎ・もぎっ:百舌(もず) 「あばてんね 百舌(もぎっ)がおらっ 女(おなご)模合(もえ) [堂園三洋]」 「目白(はなし)捕(と)い くずれ百舌(もぎっ)が 追散(うち)らけっ [倉元天鶴]」

もくい・もくっ:儲ける 「恋文(こいぶん)の 代書で儲(も)くい 気の若(わ)け爺(じ) [佐土原 隆]」 「今度どま 言(ちゅ)奴(と)で儲(も)けちょっ パチンコ屋 [有馬純秋]」

もぐい・もぐっ:潜る 「寒(さん)か朝 目覚時計(めざま)す止(と)めて また潜(もぐ)っ [有川南北]」 「休肝日 唾(つば)を飲(の)ん飲ん 寝床(と)け潜(もぐ)っ [多田一行]」

もぐいくん:潜り込む 「潜(もぐ)い込(く)で 亭主(て)しょ叫(おら)ばすっ 冷え性(しょ)女房(かか) [萬福平次]」

もけ:儲け 「儲(も)け話(ばな)し 乗(の)ろそな亭主(とと)ん 袖を引(ひ)っ [市来流星]」「安(や)し食堂(しょっど) 儲(も)けあ次(つっ)じゃち 客(きゃ)か絶(た)えじ [永徳天真]」

もけあがい・もけあがっ:大儲けする 「儲(も)け上(あ)がっ 猫ん茶碗も 柿右衛門 [上畠蟷螂]」 「酔(よく)れ客(ぎゃ)く 相手(えて)い愛嬌(あいきょ)で 儲(も)け上(あ)がっ [江平光坊]」

もけそこの:儲け損なう

もけだまし:勘定高いこと 「儲(も)け魂(だまし) 屁理屈(へりく)つ付(つ)けちゃ 何(ない)の日ち [有川南北]」

もじい・もずっ:弄(もてあそ)ぶ・弄(いじ)る 「孫ん守(も)い 乳房(ちち)を弄(も)じかせ 寝(ね)せ付(つ)けっ [鮫島牧峰]」「物(もの)は言様(ゆよ)乳癌探(みし)け 言(ちゅ)ちゃ弄(もず)っ [津留見一徹]」

もじいくやす:弄り壊す

もす:~ます(謙譲の意を表す)

もぜ:可愛い 「可愛(も)ぜ女房(おかた) 愛情(じょ)とな裏腹(うらは)れ 狂句(く)で苛(こ)ねっ [永田酒楽]」 「爺(じ)の膝で あのねあのねち 可愛(も)ぜ相談(そだん) [鈴木芳子]」

もそ:~ましょう(謙譲の意を表す) 「寒(さ)み晩な 奉(まつ)いもそかち 友達(どし)が寄(よ)っ [椛山十四郎]」 「食(く)ちゃごろっ 何(ない)が痩(や)せもそ 女房(おかた)さあ」

もそ・もそだけ:孟宗竹 「初孫(はっまご)い 孟宗竹(もそ)も折(お)るいめ 鯉(こ)ゆつねっ [西園不動]」 「太(ふ)て孟宗竹(もそ)を 弓形(ゆんな)い曲げた なごい雪(ゆっ) [津留見一徹]」

もぞか:可愛い 「障子(しょし)の穿(ほ)げ 猫い転嫁(かっ)せた 可愛(もぞ)か指(ゆっ) [永田酒楽]」

もぞがっ:可愛がる

もたすい・もたすっ:持たせる 「女房(か)け華(はな)を 持(も)たせっわが家 円満(ま)る暮(く)れっ [栫 路人]」「良(よ)か日和(ひよ)い 傘を持(も)たすい 桜島 [惚福節子]」

もたん:持たない・持ってない 「癌ち聞(き)た 一言(ひとこ)ち心配(せわ)な 持(も)たん金(ぜん) [米元年輪]」 「惚れた娘(こ)ん 心を開(あ)くい 鍵(か)ぐ持(も)たじ [富山竜士]」

もちっと:もう少し 「も少(ちっ)とが 届(とじ)かじ歯痒(はが)い 小(こ)じっくい [永徳天真]」

もっ:漏る 「子い投資(つこ)っ 親んボロ家(え)あ 雨が漏(も)っ [岩崎美知代]」「修理(こそ)くれば そっかい余計(じんじ) 雨が漏(も)っ [林 夢太郎]」 」

もっ:持つ 「携帯(ケータ)ゆば 持(も)っ亭主(とと)い下知(げ)つ し易(や)すなっ [白澤黒猫]」 「孫ん方(ほ)が 金(ぜん)ぬ持(も)っちょい 正月(しょがっ)明け [有川南北]」

もっ:舞う 「煙(け)び奴(わろ)が 居(お)らんにゃ集会(よい)も 笑(わ)れが舞(も)っ [小森寿星]」 「クラス会 叱(が)らえた話(はな)し 笑(わ)れが舞(も)っ [樋之口墨矢]」

もっ:盛る 「畑(はい)仕事(しごっ) 茶請(ちゃう)けん苦瓜(ごい)ば 手皿(てざ)れ盛(も)っ [福原福多]」 「迷(まぐ)れ客(きゃ)き 寄せ集めした 刺身(さし)む盛(も)っ [津留見酎児]」

もっ:餅 「餅(もっ)が海老(え)ぶ 離(はな)さじ慌(せし)こ 吸物椀(すもんわん) [ひろ子]」 「手も餅(もっ)も 一緒(ひと)ち搗(つ)かれた 鈍(ぬ)り手まぜ [郷田悠々]」

もつい・もつっ:もてる 「金持(ぜんも)っが 一人(ひとい)で持(も)つい ネオン街 [堂園三洋]」 「観光客(かんこきゃ)き 持(も)つい知林(ちりん)の 砂(ずな)ん道(みっ) [堂園三洋]」

もつい・もつっ:持ちこたえる・維持できる 「郷中(ごじゅ)ん衆(し)の 義理(ぎい)買(け)で持(も)つい 田舎店 [安藤孟宗竹]」

もっかぎい:持てるだけ 「里帰(さともど)い 食(く)放題(ほで)食(く)た上(う)へ 持(も)っ限(かぎ)い [上山天洲]」

もっかくい・もっかくっ:持ち掛ける

もっくん:持ち込む 「バスツアー 持(も)っ込(く)だ焼酎(しょちゅ)を 直(いっ)き注(ち)っ [稲留明天]」 「世話焼(せわや)っが めげじ持(も)っ込(く)だ 見合(みえ)写真 [吉岡道場]」

もっくん:妊娠する もっくだ:妊娠した 「大当(うあた)いじゃ 新婚旅行(りょこ)で 妊娠(もっく)だ態(ふ) [永井牛山]」「知(し)たんこめ 孕(も)っくだ女房(かか)い 勘ぬしっ [金井一馬]」

もっけ:持って来い 「婚活(こんかつ)も マニフェストをば 持(も)っ来(け)言(ちゅ)っ [多田一行]」

もっさ:艾(もぐさ) 「笑(わ)るでたや 艾(もっさ)は腹で 踊(おど)ゆしっ [仮屋一発]」

もっさるっ:持ち歩く 「昔(むか)しゃ美人(シャン) 証拠写真ぬ 持(も)っ歩(さ)れっ [柳村遊月]」

もっじっ:持って行く 「有(あ)い物(もん)ぬ ごそっ持(も)っ行(じ)た 里帰(さともど)い [永徳天真]」 「楽園ぬ 鵜呑(ぐの)み持(も)っ行(じ)た 大津波(おおつなん) [弓場正巳]」

もっしょい:強く・無性に 「治(なお)ったや 無性(もっしょ)い叱(が)った 医者(い)しぇ感謝 [大重爆笑]」

もっしょん:たいへん・強く・はなはだしく 「開(あ)かん戸を もっしょん蹴れば 爪を剥(へ)っ [林夢太郎]」

もったいなか・もったいね:勿体ない

もっだし・もっだす:持ち出す 「術(ずっ)ね長男(すよ) 蝶々(ちゅちゅ)い持(も)っ出(だ)し 籾叺(もんくびっ) [中囿和風]」「切(き)い札ん 浮気ん前科 持(も)っ出(だ)せっ [岩崎美知代]」

もっちゃぐい・もっちゃぐっ:持ち上げる 「理想(りそ)は父(とと) 子の作文が 持上(もっちゃ)げっ [吉岡道場]」 「追(う)かくれば 可愛(む)ぜ蟹(がね)鋏(はさ)む 持(も)っ上(ちゃ)げっ [永徳天真]」

もっちゃげおとし:褒めた後でけなすこと 「褒(ほ)められっ 持(も)っ上(ちゃ)げ落(お)とす また食(く)ろっ [野村三味]」

もっつっ:餅つき 「餅搗(もっつ)くば 子供(こど)み見(み)すっち 田舎(さ)て帰(もど)っ [江口紫朗]」

もっでい・もっでっ:持ち出す 「両方(まんぼ)かい 昔(むか)す持(も)っ出(で)た 夫婦(みと)喧嘩 [松元清流]」

もっとかす:持ちきれず倒れる 「七五三 持(も)っ倒(と)かそそな 帯(お)ぶ背負(かる)っ [佐土原 隆]」 「小短躯(こじっくい) 持(も)っ倒(と)かそそな 造林鎌(かま)を振(ふ)っ [中馬美丈夫]」

もっにき:持ち難い 「母(はほ)と妻(かか) どっちん肩も 持(も)っ難(にく)し [樋口一風]」

もっはだ:餅肌 「餅肌(もっはだ)も 家(やど)ん女房(かか)んた 粟ん餅(もっ) [郷田悠々]」 「露天風呂 美人(シャン)の餅肌(もっは)で 紅(べん)が差(せ)っ [堂園三洋]」

もっもどっ:持ち帰る 「遠慮(しんしゃっ)ち 思(おも)たて茶菓子(ちゃが)しゃ 持(も)っ帰(もど)っ [平中小紅]」 「あったれち 塵(ご)み出(で)た古着(つづ)ゆ 持(も)っ帰(もど)っ [花園ちづ]」

もつるい:縺れる 「若(わ)けつもい 足(あ)しゃ縺(もつ)れっ 踊(おど)い稽古(けこ) [前田 蛍]」

もてあめっ:持て余すの連用形 「職(しょっ)が無(の)し 健(さか)し体(ごて)をば持(も)て余(あ)めっ [吉岡道場]」 「毎晩(めばん)言(ちゅ)う 女盛(おなござか)ゆば 持(も)て余あめっ [入来院彦六]」

もてん:もてない 「禿々(はげはげ)ち 持(も)てん奴(わろ)共(ど)が きし吐(か)えっ [塚田黒柱]」 「持(も)てん奴(と)が バレンタインぬ やれ嫌(き)ろっ [有川南北]」

もどい:帰り 「遠(と)え耳(みん)と 語(かた)っ帰(もど)いな け嗄(か)れ声 [工藤天然]」「送(おく)っじっ 帰(もど)いが恐(お)じち 送(おく)らせっ [鞆田紅花]」

もどい:帰る 「爺(じ)と婆(ば)べな 用事(ゆ)じゃ無(ね)ち帰(もど)い 保険勧誘(とい) [永徳天真]」 「スタミナを つけっ気忙(きぜわ)し 帰(もど)い鶴 [村田子羊]」

もどい:戻り 「野良(はい)戻(もど)い 縁側(えんが)へ転(ころ)っ 鼻が鳴(な)っ [吉丸セツ子]」 「就活(しゅうかっ)の 戻(もど)ややっぱい 赤提灯(あかちょちん) [弓場正巳]」

もどい:戻る 「雪雨(ゆっさめ)い 震(ふる)えっ戻(もど)い 素駄(すだ)鉄砲(てっぽ) [久永時盛]」 「素手で訪(き)っ 山芋を掘(ほ)っ 戻(もど)い輩(わろ) [上田 格]」

もどいちっ・もどいつっ:帰り着く 「千鳥足(ちどいあし) だだゆり靴(くっ)で 帰(もど)い着(ち)っ [堂園三洋]」

もどいは:帰る時期・帰る機会 「帰(もど)いはを 失(うし)のた下戸も 引張(そび)かれっ [有川南北]」

もどいみっ:帰り道 「帰(もど)い道(みっ) 蛙子(げこ)と遊(あ)すじょい ランドセル [田中五郎太]」 「帰(もど)い道(み)ち 何杯(なんべ)飲んだか 指(い)ぶ積(つ)もっ [中村雲海]」

もどさん:戻さない 「戻(もど)させじ 貸(か)せちまた来(く)い 無礼(じも)ね奴(わろ)[有村土栗]」

もどっ:帰る 「来(き)て嬉(うれ)し 帰(もど)ったやなお 嬉(うれ)し孫(まご) [那加野黎子]」「帰(もど)っなち 孫が隠(か)けちょい 婆(ばば)ん靴(くっ) [藤高春風]」

もどっ:戻る 「運(ふ)の良(え)奴(わろ) 三途ん川を 見て戻(もど)っ [内村太郎]」「どけ行(い)たか 手紙(てが)ま絵府(えぼ)どが 付(ち)て戻(もど)っ [小原庄太郎]」

もどっこん:戻らない 「可愛(む)ぜ子いな 旅をち出(で)たや 戻(もど)っ来(こ)じ [津留見一徹]」 「食逃(くに)げじゃち 追掛(うか)けた客(きゃっ)も 戻(もど)っ来(こ)じ [泊 白水]」

もどひ:戻す 「小遣銭(つけぜん)の 残(のこ)や毎晩(めえばん) 女房(か)け戻(も)でっ [石塚律子]」 「倦怠期 焼け木杭(ぼっくい)と 縒(よ)ゆ戻(も)でっ [桜井吹雪]」

もどらん:戻らない 「ご機嫌(っげん)が 元い戻(もど)らん 横(よん)ご杵(ぎね) [上田 格]」

ものいい:出費

ものおしゅん・ものおしん:物惜しみ

ものごっ:物事・おしゃべり 「大臣にゃ 余計(よけ)な物事(ものご)つ 言(ゆ)なち叱(が)っ [入来義徳]」

ものごっ:文句 「文句(ものごっ)の 多(う)け奴(と)い限(かぎ)っ 見学者(けんがっしゃ) [林 夢太郎]」 「天皇を 舐(な)めた物言(ものご)ち 湯気(ほけ)が立(た)っ [中村雲海]」

ものめい:参詣 「年(と)しゅ食(く)たや 仕事(しご)ちゃ物詣(ものめ)い 切(き)い替(か)えっ [畑山真竹]」

ものゆ:物の言い方 「金(ぜん)切(ぎ)れか 女房(かか)ん物言(ものゆ)い 棘があっ [諸木小春]」 「面倒(めんで)かで 女房(かか)ん物言(ものゆ)い 咳(せっ)で返事(へし) [大重爆笑]」

ものわかい:物分り・飲み込み

ものわる:不用意に 「女所帯(おなごじょて) 不用意(ものわ)る訪(こと)っ 叫(おら)ばれっ [六田紫好]」

ものわれ:物笑い

もへ:最早・早くも 「結婚当初(といえは)ね した約束(やっじょ)どま 最早(もへ)時効(じこう) [菅野茶畑]」 「一年坊(いっねんぼ) もへ好(す)っな児(こ)ん 名を語(かた)っ [山田竜生]」

もま:梟(ふくろう) 「晩にモマ 鳴(お)れっ寂(とぜん)ね 通夜帰(もど)い [倉元天鶴]」

もみっ:紅葉 「不自由(せんぽ)じゃが 紅葉(もみっ)マークい 暇を出(で)っ [津留見一徹]」 「紅葉(もみっ)の手 一徹爺(いっこっじ)をば 簡単(や)す落(お)てっ [多田一行]」

もむい・もむっ:揉める 「あればくさ 揉(も)むい原因(もと)ちゅて 貯(た)めん主義 [内村仏心]」 「共稼(ともかせ)っ 女房(かか)ん色気い 気が揉(も)めっ [吉岡道場]」

もめでくい:揉め出す・揉め始める 「縁談(もればなし) 焼酎(しょちゅ)が入(い)ったや 揉(も)めでけっ [樋口一風]」「告(ま)ねごろん 一口(ひとく)ち世帯(しょて)が 揉(も)めでけっ [福園東風]」

ももじい・ももじっ:弄る(いじる) 「生(なま)じゃろか 嗅(かず)ん弄(もも)じっ 造(つく)い花 [河野楽天]」 「初孫(はっまご)を ももじい爺婆(じば)べ 心配(せわ)な両親(おや) [樋渡草団子]」

ももじいたくい・ももじいたくっ・ももんたくい・ももんたくっ:kしゃくしゃに揉む・弄ぶ

ももんたくっ:もみくちゃにする 「ももんたくっ うっせた」(もみくちゃにして捨てた)

もやし・もやしか・もやすか:容易である・たやすい 「他人(ひと)ん事(こ)た プラス思考(しこう)ち 容易(もや)す言(ゆ)っ [石塚律子]」「義理(ぎい)チョコで 容易(もや)す騙(だま)けた 今ん亭主(とと) [蔵ノ下夢石]」

もゆい:燃える 「燃(も)ゆいよな 日傘(ひが)せビキニん 眩(めは)り娘(おご) [菖蒲谷天道]」「孫が恋(こ)ゆ しそな年頃(としご)れ 爺(じ)が燃(も)えっ [津留見一徹]」

もよ:模様 「雨模様(あめもよ)い 昼飯(ちゅはん)な後(あと)ち 大豆(でっ)叩(たた)っ [石野蟹篭]」

もるい・もるっ:漏れる 「漏(も)るい声 寡男(やもめおとこ)にゃ 夜(よ)が長(なご)し [楽気生]」 「恥(げん)ねこっ 亭主(て)す叱(が)い声が 道(み)ち漏(も)れっ [永徳天真]」

もれ:貰い 「名(な)も知(し)たじ 連(つ)れぶし並(な)るだ サイン貰(も)れ [松下小天狗]」 「年金日 貰(も)れは少(すっ)ねが 暦(こよ)み丸 [樋之口墨矢]」

もれかかい・もれかかっ:女親に結婚のお願いをする

もれそだん:仲人が女親に結婚の承諾をお願いすること 「あん親じゃ とても出来(でく)いめ 貰(も)れ 相談(そだん) [田辺遊狂]」「岩田帯(いわたお)び ずうず決まった 貰(も)れ相談(そだん) [久永時盛]」

もれださん:貰えない 「多(う)け遺産 看病(かびょ)した嫁は 貰(も)れださじ [山内成泰]」 「嫁(い)っださん 娘(こ)も多(う)けて 貰(も)れださん青年(にせ) [岩崎美知代]」

もれて:貰い手

もればなし:縁談 「娶(も)れ話(ばな)し 納戸ん奥(おっ)で 息(い)く殺(こ)れっ [小宮路〆鯖]」 「娶(も)れ話(ばな)す 周囲(ぐるい)の口(くっ)が 破談(がんくえ)っ [仮屋一発]」

もれび:類焼・貰い火

もれぶろ・もれゆ:貰い風呂 「貰(も)れ風呂で 下着も洗(あ)るっ 歯痒(はが)い婆(ばば) [野瀬小さん]」 「貰(も)れ風呂ん 温(ぬ)り湯ん皮肉(ひに)き 嚏(くしゃ)むしっ」

もれむん・もれもん:貰い物

もろ:貰う・娶る 「腰(こ)し惚(ほ)れっ 娶(も)ろたが一向(いっこ) 沙汰が無(の)し [安藤孟宗竹]」 「親(お)へ貰(も)ろた ヒヒン言(ちゅ)おそな 馬面(うんまづら) [津留見一徹]」

もろて:貰い手・貰ってくれる人 「胡瓜(きゅう)や旬(しゅん) 生(な)れば生ったで 貰手(もろ)て心配(せわ) [坂口橘風]」

もん:揉む 「利口(じく)な孫 小遣(こつ)けち言(ゆ)わじ 肩を揉(も)ん [永徳天真]」「足音い 便所(まなか)じゃやあれ 紙(かん)ぬ揉(も)ん [寺師若法師]」

もん:者 「残(のこ)い者(もん) 同士(どし)で結婚(といよ)た 同級生(どうきゅせい) [諸木小春]」 「弱(よ)え者(もん)が また増税の 犠牲(ぎせ)いなっ [福山吉連]」

もん:物 「旅(たっ)土産 餞別(せんべ)ち合(お)よな 物(もん)が無(の)し [上鍋平句郎]」「おっぱいは 俺(おい)が物(もん)じゃち 児(こ)が睨(ねぎ)っ [前田あやめ]」

もん:籾 「肩を貸せ 言(つ)で飛(つ)っ行(じ)たや 籾俵(もん)担(かた)げ [楠八重渓流]」 「出来(でけ)あどか 籾袋(ふくろ)ん籾(もん)ぬ 掬(すく)っみっ [楠八重渓流]」

もんくびっ・もんくぶっ:籾の入った叺(かます) 「術(ずっ)ね長男(すよ) 蝶々(ちゅちゅ)い持(も)っ出(だ)し 籾叺(もんくびっ) [中囿和風]」

もんたくい・もんたくっ:揉みくちゃにする 「零点(れいてん)の テストはがらっ 揉(も)んたくっ [津曲とっこ]」 「合(お)わん入歯(は)い 食物(くもん)な歯茎(どて)で 揉(も)んたくっ [外薗湯乃香]」

もんつっ:紋付 「相撲(すも)ん使者 黒紋付(くろもんつ)っで 畏(かしこ)まっ [川村 明]」「どう見(み)てん 茶髪(ちゃぱ)ち紋付(もんつ)か どんならん [埀野剣付鶏]」

もんよ:揉み合う