おんじょどいの小屋

鹿児島弁辞典「め」}

「め」

:間(ま・あいだ) 「病気(ねお)ったち 聞(き)かん間(め)急(はた)っ 友達(どし)が逝(い)っ [東 松子]」 「あっ言(ちゅ)う間(め) 西瓜(すか)が皮(か)うぇない 子分限者(こぶげんしゃ) [津留見一徹]」

:~まい・打消しの推量の意を表す 「叱(が)らるめち 午前様(ごぜんさ)ん亭主(て)しゃ 客(きゃ)く連(つ)れっ [前田あやめ]」「人(ひと)ん事(こ)ちゃ 言(ゆ)め嫁(い)かん娘(こ)が 我家(や)でも居(お)っ [岩崎美知代]」

:~みろ 「まねけんな おやこうこどん しっめ」(たまには親孝行でもしてみろ)

:舞 「女房(かか)は咳(せっ) 亭主(とと)は台所(おすえ)で きいきい舞(め) [田中末木]」

めあがい・めあがっ:舞い上がる

めあさ・めいあさ・めえあさ:毎朝 「野良猫(まぐれねこ) 顔(つら)見(み)け毎朝(めあさ) 訪(こと)っ来(き)っ [六田紫好]」「黒酢なあ効(き)こち 毎朝(めいあさ) 秤(ちき)い乗(の)っ [西 幸子]」

めい:参り・参る 「合格(うか)ったや 孫と笑顔で 神社参(め)い [北村虎王]」「荒(あ)れ墓い 詣(め)いてもおらん 祖父(じ)の命日(たっび) [有川南北]」

めいくん・めいこん:めり込む

めいとし・めえとし:毎年 「外犬(そといん)な 毎年(めいとし)夏(な)ちな 蚊の餌食(はんめ) [澤津乙名]」

めいばん・めえばん:毎晩 「小遣銭(つけぜん)の 残(のこ)や毎晩(めえばん) 女房(か)け戻(も)でっ [石塚律子]」「美味(う)め焼酎(しょちゅ)で 毎晩(めえばん)しちょい 内臓(わた)洗浄(せんじょ) [中村雲海]」

めいもっ:名目

めいやぐい・めいやぐっ:来る、行くの謙譲語

めいやっ・めいわっ:迷惑

めうつい:目移り 「目移(めうつ)いが 徒(あだ)いなったか まだ独身(ひとい) [福冨野人]」

めえつっ:毎月 「毎月(めえつっ)が 不自由(せんぽ)続(つづ)っの 貧暮(ひんぐら)し [石原ミエ子]」 「毎月(めえつっ)の 赤字あかじ付(つ)っ合(きょ)て 三十年(さんじゅねん) [石塚律子]」

めえど:毎度

めえとし:毎年

めえにっ:毎日

めえばん:毎晩 「痛(いた)か膝(ひ)ぜ 孫は毎晩(めえばん) 尻(し)ゆ据(す)えっ [鈴木一泉]」 「小遣銭(つけぜん)の 残(のこ)や毎晩(めえばん) 女房(か)け戻(も)でっ [石塚律子]」

めかかい・めかかっ:見かける

めくい・めくっ:捲る

めぐいぼ:連枷・殻竿 「めぐい棒(ぼ)あ 蕎麦(そま)取(と)い日和(びよ)い 軽(か)る回(まわ)っ [小森寿星]」 「巡(めぐ)い棒(ぼ)が 豆殻(かっさ)を天に 巻(ま)っ上(きゃ)げっ」

めぐいよ:巡り合う

めくっ:夢中になる

めくん:迷い込む

めくん:舞い込む 「知覧街道(けど) 新茶ん匂(かざ)が 鼻(は)ね舞込(めく)っ [棈松睦酔]」

めげ:眉毛 「風呂上(あ)がい 公卿(くげ)さあ言(ちゅ)よな 女房(かか)が眉毛(めげ) [瀬戸口抱洋]」 「眉毛(めげ)は毛虫(ほじょ) そいかあ上(うえ)は 滑(すべ)い台 [平瀬芙蓉]」

めご:茶碗などを入れる笊 「婆(ば)が台所(おすえ) 目籠(めご)ん茶碗な 庭(に)うぇ乾(こ)れっ [岩崎美知代]」

めざむい・めざむっ:目覚める 「波(なん)の音(お)て 目覚(めざ)めっ旅(たっ)の 夜(よ)が長(な)ごし [吉崎しづか]」「突(つ)っ張(ぱ)いが やっと目覚(めざ)めっ 行(い)っ夜学(やがっ)」

めし:お世辞・お愛想・ご機嫌 「頑固爺(がんこじ)が 世辞(め)す言(ゆ)わならじ 目で褒めっ [吉守]」「好(す)っなんど 腰が抜(ぬ)くそな 亭主(とと)ん世辞(めし) [有川八味]」

めじい:目尻 「厚化粧(あっげしょ)で 目尻(めじい)の皺を 埋め立(た)てっ [塚田黒柱]」「ちっとぐれ 下がった目尻(めじ)や 可愛(む)ぞ見(み)えっ [植村聴診器]」

めしげ:杓文字(しゃもじ) 「テニス好(ず)っ 台所(おすえ)で杓文字(めしげ) 振(ふ)い回(ま)えっ [仮屋一発]」 「喧嘩(いさ)こかち 女房(かか)が杓文字(めしげ)を 振(ふ)い上(あ)げっ [大西学老]」

めしつっ:飯粒

めしゅとい・めしゅとっ・めすとい・めすとっ:機嫌をとる・お世辞を言う 「まねけんな お前(ま)や綺麗 (みご)てち 機嫌(めす)もとっ [樋口一風]」「叱(く)るた部下(ぶ)け 今じゃ世辞(め)すとっ 再就職にどづとめ [有馬慶成]」

めずらし:珍しい 「珍(めずら)しち 喜(よろ)くだ諭吉(ゆき)ちゃ 日帰(ひげ)い客(きゃっ) [永田酒楽]」 「亭主(とと)ん料理(じゅい) 珍(めずら)し味(あっ)で 食手(くて)が無(の)し [有川南北]」

めだっ:目立つ 「良(よ)か所(とこ)や 沢山(ずばっ)あっとに 目立(めだ)っ欠点(あら) [永徳天真]」 「表替え 女房(かか)ん煤(すす)けが 尚(なお)目立(めだ)っ [弓場正巳]」

めだっ:芽が出る 「婆(ば)を笑(わ)るっ 芽吹(めだ)っ面憎(つらに)き 松葉草(まっばぐさ) [岩崎美知代]」

めだれ:前垂れ・前掛け 「大晦日(としのばん) 汚れ前掛(めだれ)で 梵鐘(かね)を聞(き)っ [有川八味]」

めだれ:腰巻 「田舎相撲(ずも) 女房(かか)ん腰巻(めだれ)が 化粧廻(けしょまわ)し [桜山仙人]」

めちっ:まとわりつく・くっつく 「纏付(めち)っ蚊が 破れ網戸(あんど)を 教(ゆっか)せっ [津留見一徹]」 「可哀相(ぐら)しこっ 遺族(いぞ)きカメラが やれ纏付(めち)っ [蔵ノ下夢石]」

めちっ・めつっ:毎月 「こん給料(はれ)で 毎月(めつっ)足(た)らすい 女房(か)け感謝 [上薗佳笑]」

めっ:参る 「三社参(め)い 今年(こと)しゃテレビで 五社も参(め)っ [佐伯山神]」

めっ:撒く 「窓(と)を開(あ)けっ 松茸飯(まったけめし)の 匂(かざ)を撒(め)っ 植村聴診器]」 「撒(め)た思(と)もた 酔漢(とら)が二次会(にじか)い 先回(さっまわ)い [永田酒楽]」

めつっ:目付き 「術(じゅっ)ね妻(かか) イケメン青年(にせ)い 妙(す)だ目付(めつ)っ [楠八重渓流]」 「美男子(よかにせ)い 夢を見(み)い様(よ)な 娘(こ)ん目付(めつ)っ [江口紫朗]」

めっつ:雌 「片足(けんけん)で 牝鶏(めっつ)ん周囲(ぐる)ゆ 回(も)ちょい雄鶏(とい) [入来創雲]」

めって:滅多に 「めって訪(こ)ん おじがやっ来た 選挙前 [野村三味]」「滅多(めっ)てせん 昼寝 (ひんね)ん最中(さな)け 歯痒(はが)い客(きゃっ) [棈松睦酔]」

めつら:とんと 「選挙前 めつら見(み)ん奴(と)が 訪(こと)っ来(き)っ [入来院彦六]」「境(さけ)争(いさ)け 目(め)つらも見(み)せん 仲(な)けしなっ [鈴木芳子]」

めつん:摘心

めで:名代

めでたか・めでて:目出度い 「過疎ん里(さ)て 真(まこ)ち目出度(めでた)か 大(ふと)か腹 [伊地知 孝]」

めとし:毎年 「合格(うか)らんて 情(じょ)の無(ね)桜あ 毎年(めとし)咲(せ)っ [入来院彦六]」 「遊(あ)すじょれば 毎年(めとし)小遣(こつけ)も 減(へ)らされっ [枦山一球]」

めにっ:毎日 「単身赴任(たんしん)ぬ 毎日(めにっ)電話で 縛(しば)い妻(かか) [堂園三洋]」「若(わ)け妻(かか)い 毎日(めにっ)覚悟(かっご)ん 床(とこ)い入(い)っ [狩俣康俊]」

めにっ:命日 「鉦(じん)の度(かし) 命日(めにっ)の団子(だご)を 幼児(ちび)が盗(と)っ [入来創雲]」

めのこ:目算・概算 「女房(かか)ん料理(じゅい) 目計算(めのこさんにょ)で どんぴしゃっ [田中栄泉]」

めのこ:姪

めのしょがっ:目の保養 「中央駅(ちゅうおえ)く 久振(なごぶ)い歩(さ)れた 目の正月(しょがっ) [上籠若菜]」 「目の正月(しょが)ち 冷(ひ)やかしで今日(きゅ)も 木市(きい)つ見(み)っ [入来義徳]」

めのもっ:榎の木の枝に小さく刻んだ餅を刺したもの 「繭(め)の餅(もっ)も 踊(おど)い加(かた)った 寄(よ)い正月(しょがっ) [津留見一徹]」「五穀豊穣(ごこっほじょ) 願(ね)ごた繭(め)の餅(も)つ 花ん如(ご)っ [米元年輪]」

めはい・めはいか・めはり:まぶしい・眩しい 「仏壇(ぶっだん)の 遺影が眩(めは)り 朝帰(あさもど)い [桜井吹雪]」「爺婆(じばば)いな まこて眩(めは)いか キスシーン [湯乃香]」

めばい:目張り 「目張(めば)い障子(しょし) 花も咲(せ)ちょれば 星もあっ [林 夢太郎]」

めばん:毎晩 「退職(やめ)たどん 毎晩(めばん)社訓が 寝言(ねご)ち出(で)っ [米元年輪]」 「癌な無(ね)か 毎晩(めばん)亭主(とと)かい 診(み)てもろっ [福山吉連]」

めめじょ・めめぞ・めめんじろ:ミミズ・蚯蚓 「美人(シャン)に賀状(がじょ) 震えた字どま 蚯蚓(めめんじろ) [平松鉄夫]」「浮気亭主(て)し 妻(かか)が額(ふ)て掻(け)た 凄(わ)ぜ蚯蚓(めめぞ) [多田一行]」

めもどっ:舞い戻る

めやし:たやすい・容易である 「高齢(とし)家族(げね)を 容易(めや)す狙(ね)ろちょい 不況(ふきょ)ん娑婆」

めやん・めやんめ:目の病気

めわっ:迷惑 「長生(ながい)っも 迷惑(めわっ)じゃろそな 世ん流れ [西 幸子]」「呼(よ)ばれてん 財布(ふぞ)が 迷惑(めわっ)の 披露宴 [西 幸子]」

めをおとす:死ぬ・永眠する 「子も居(お)って 嫁ん名を言(ゆ)っ 目を落(お)てっ [渡辺ハルエ]」 「楽(たの)し娑婆 じゃったち爺様(じさま) 目を落(お)てっ [上薗佳笑]」

めをみでっ:目を剥く 「半端相撲(ずも) 賭博(ばくっち)なれば 目を見出(みで)っ [湊 鈍古蛙]」 「校則(こうそっ)が 短(みし)けスカーて 目を見出(みで)っ [津留見一徹]」

めん:妖怪・お化け 「塗(ぬ)いたくっ 色気どこいか 妖怪(めん)になっ [弓場正巳]」「ざっぺらっ 手術(しゅじゅ)つしたたろ 妖怪(めん)になっ [蔵ノ下夢石]」

めんで・めんどか:面倒な・面倒くさい 「整髪(せいはっ)が 面倒(めんで)ち禿ん 前で言(ゆ)っ[小森寿星]」 「面倒(めんで)かで 女房(かか)ん物言(ものゆ)い 咳(せっ)で返事(へし) [大重爆笑]」

めんど:面倒 「高齢者(といなもん) 面倒(めんど)をかくい パック旅行(りょこ) [日置傳明琴]」

めんどん:お化け 「不精髪(やんかぶ)っ めんどん顔(づら)が 都会(ま)ち流行(はや)っ [ぼい]」

めんぶっ・めんぼっ・めんもっ:面目 「悪口(あっご)婆(ばば) 面目(めんぼっ)無(ね)ごっ 言散(ゆち)らけっ [種子田 寛]」「欠点(あら)は無(ね)が 面目(めんぶ)か無(ね)ごっ 亭主(て)しゃ禿(は)げっ [仮屋一発]」