鹿児島弁辞典「み」}
「み」
み:体重
みあぐい・みあぐっ:見上げる
みあわすい・みあわすっ・みおわすい・みおわすっ:見合わせる 「職(しょっ)が無(ね)で 今年(こと)しゃ卒業
(そっぎょ)を 見合(みあ)わせっ [弓場正巳]」「音がせん 臭(にえ)い顔(つら)をば 見合(みお)わせっ [井之上一洋]」
みい:見る 「こん寒(さん)け 見(み)い方(ほ)も堪(のさ)ん ミニん娘(おご) [江口紫朗]」「美人(シャン)ぬ
見(み)い 点数(てんす)が厳(きび)し 女房(おかた)ん目 [諸木小春]」
みい:看る 「親を看(み)い 兄(あにょ)い嫁女(よめじょ)ん 嫁(き)てが無(の)し [栫 路人]」
「親愛情(おやぼんの) 看(み)い嫁よっか 来(こ)ん我(わ)が娘(こ) [中囿和風]」
みい:診る
みいほがす:凝視する・見入る
みいまゆっ・みいまわす:見回す
みいみ・みいみい:見ながら 「最後尾(げっ)のくせ 後(うしと)を見(み)い見(み) 走(はし)い孫 [若葉]」
「参観日 母(かか)を見(み)い見(み)い 手を挙(あ)げっ [樋之口墨矢]」
みいもせん:見向きもしない
みいやし・みいやすし:見易い 「太鼓腹(てこばら)も 出世思(と)もえば 見(み)い易(やす)し [下之角つつし]」
みうしの:見失う
みうっ:身内 「辛(つ)れ総理 実行(や)ろも身内(みうっ)が 足(あ)す引張(そび)っ [有川南北]」「のど自慢 身内
(みうっ)の恥ち 婆(ば)が出(だ)さじ [伊地知 孝]」
みえ:見合い 「見合(みえ)ん座(ざ)じゃ 上戸(じょご)が茶菓子(ちゃがし)も
食(く)てみせっ [前田セツ]」「蹴(け)い肚(はら)か 見合(みえ)ん最中(さなか)ん 大(ふ)て欠伸(あくっ) [石野蟹篭]」
みえっくい・みえっくっ:見えてくる 「良(ゆ)う見(み)たや 痘痕(あばた)あ痘痕(あば)て 見(み)えっきっ
[塚田黒柱]」「酔(よ)くろたか 妻(かか)が紀香い 見(み)えっきっ [小瀬一峻]」
みえん:見えない 「人集(ひとだか)や 何(ない)じゃい見(み)えん 小短躯(こじっくい) [永徳天真]」
「どしこ黒(く)れ 着物(いしょ)を着(き)ってん 細(ほ)そ見(み)えじ [宮江照院]」
みお:見合う 「狭(せ)め道(みっ)で 若葉(わかば)マークが見合(みお)た儘(ない)[山下ゆい]」
みおくい・みおくっ:見送る 「今(いま)発車(で)った バスを見送(みおく)い 朝寝奴(あさねごろ)
[森山厚香]」「前掛(まえあ)てん 主人(とと)が見送(みおく)い パート女房(かか) [平瀬芙蓉]」
みおとい・みおとっ:見劣る
みおろさるい・みおろさるっ:見下ろされる 「後輩に 見下(みお)ろされちょい 短躯(こじっくい)
[おんじょどい]」
みかぎい・みかぎっ:あなどる・みくだす 「夏山(なっやま)ち 侮(みかぎ)っ発生(でお)た 遭難死(そうなんし)
[日隈英坊]」「弓(ゆん)も矢も 無(ね)がち見縊(みかぎ)い 横道(おど)な国(くん) [畑山真竹]」
みかくい・みかくっ:目をつける・狙う 「実家(さと)帰(もど)や 母(はほ)ん臍繰(へそく)ゆ みかけちょっ
[佐伯山神]」
みかたっ:三食 「血圧(けつあっ)が 高(た)けち三食(みかたっ) 野菜(やせ)ん料理(じゅい) [深道好之]」
みがっ:磨く 「浮気とな 知(し)たじ女房(おかた)は 靴磨(くっみが)っ [筧 三平]」「初デート
血が噴(ふ)っ出(で)いめ 歯を磨(み)げっ [津留見一徹]」
みかづっ:三日月
みがり・みがりか:身軽い 「やっと脱(に)だ 大根股引(でこんばっち)い 身軽(みが)るなっ [上瀬明星]」
みきい・みきっ:見切る・見捨てる 「見切(みき)い品(ひん) じゃろそな義理(ぎい)の 歳暮(せぼ)が来(き)っ
[村田子羊]」「定年ぬ 待(ま)っつけた如(ご)っ 亭主(て)す見切(みき)っ [江平光坊]」
みきらん:見るに堪えない
みくだひ:見下す 「宿六(やどろっ)ち 見下(みく)でっおいが 実(じ)ちゃホの字 [野間口鈴女]」
みくびい・みくびっ:みくびる・侮る・さげすむ
みぐるし・みぐるしか:見苦しい 「見苦(みぐる)しで 壁を塗れ言(ちゅ)が 余計(いら)ん心配(せわ) [市来流星]」
「見苦(みぐる)しか 与野党(よやと)悪口(あっご)で 喧嘩腰 [西迫順風]」
みごえ:難儀な・辛い 「出立祝(でたっゆえ) 難儀(みご)え仕事(しごっ)も 励(はま)れ言(ちゅ)っ [那加野黎子]」
「国語(こっご)2(に)ん 頭(びんた)い身強(みご)え ラブレター [中間紫麓]」
みごえ:堅苦しい 「三代(さんで)家族(げね) 身強(みご)えが笑(わ)れで 切(き)い抜(ぬ)けっ [入来創雲]」
「打(う)っ解(と)けっ みたどん此(こ)ん奴(た) 見難(みご)え奴(わろ) [中村雲海]」
みごて:見事な・綺麗な 「見事(みご)て禿(はげ) 帽子(ぼし)で決まった
顔(つら)ん境(さけ) [山下矢絣]」「女房(かか)よっか 綺麗(みご)て人(と)が多(う)け ニューハーフ [塚田黒柱]」
みこんちげ:見込み違い 「見込(みこ)ん違(ち)げ 悠々自適(ゆうゆじてっ)が 職(しょっ)探(みし)け
[安田踊い子]」
みさぐい・みさぐっ:見下す・軽蔑する
みさけんなか・みさけんね:分別がない・見境がない
みさだむい・みさだむっ:見定める
みさっ:岬 「南端ぬ 生(い)かせ客(きゃ)く呼べ 佐多岬(さたみさっ) [堂園三洋]」
みしい:顔見知り
みしいえ・みしいゆえ:歓迎会 「歓迎会(みしいゆえ) 新参(しんめ)ん娘(おご)い 青年(にせ)が寄(よ)っ
[津曲とっこ]」「歓送迎(みしいゆえ) 新任の方(ほ)い 全部(ずるっ)集(よ)っ [弓場正己]」
みしくい・みしくっ:見つける 「手探(てさぐ)いで 蛇口(じゃぐ)つ見(み)しくい 洗髪(びんたあれ) [内村仏心]」
みしけ:短い 「永(なが)か春(はい) 短(みし)けメールで 縁(えん)ぬ切(き)っ
[上薗佳笑]」「良(よ)か容姿(よ)すば してんどもこも 短(みし)け脚(あし) [堂園三洋]」
みしけ:探し 「見込(みこ)ん違(ち)げ 悠々自適(ゆうゆじてっ)が 職(しょっ)探(みし)け [安田踊い子]」
「婿(むこ)探(みし)け 炊事(まかね)が好(す)っか 探(さぐ)い娘(おご) [津留見一徹]」
みしけだひ:探し出す 「笑(わ)れ声(ごえ)で 遊(あ)すじょい女房(かか)を
見(み)しけ出(で)っ [枦山一球]」「MRI(エムアルアイ)が 新(に)け病(びょ)を 見(み)しけでっ [三條風雲児]」
みしこ:短く 「温暖化 霜柱(しもばした)ずい 短(みし)こなっ [竹之内零余子]」
みしたん:見知らない・知らない人 「花見(はなん)茣蓙 見知(みし)たん虎が 盃(ちょ)く催促(せじ)っ [有馬凡骨]」
「酔醒(えざ)めたや 見知(みし)たん奴(わろ)が 隣(とな)い寝(ね)っ [有川南北]」
みしたんぬすっ・みしたんのすっ:人見知りする 「見知(みし)たんぬ してん可愛(む)ぜがち 孫を抱(で)っ
[畑山真竹]」「帽子(ぼ)すば取(と)っ 見知(みし)たんぬした 禿頭(はげびんた) [西ノ園ひらり]」
みすい・みすっ:見せる 「上げ底で 特大(とくだ)い見(み)すい ペチャん知恵 [堂園三洋]」
「長病臥(ながやん)の 女房(か)けも鏡(かがん)で 月(つ)く見(み)せっ [有馬二天]」
みすち:見せようと 「晴れ着娘(おご) 亡父(ちゃん)にも見(み)すち 叩(たた)っ鉦(ぢん) [花園ちづ]」
「細(ほ)そ見(み)すち 肥満(だんべ)あカメれ 斜(そん)ぎ立(た)っ [金井一馬]」
みせっめ:見せてごらん
みせむん・みせもん:見せ物
みそおっけ・みそしゅい:味噌汁 「野菜(やせ)ん具で 御箸(てもと)が立った 味噌汁(みそおっけ) [池田芳宏]」
「味噌汁(みそしゅい)の 湯気(ほけ)も愛情(ぼんの)い 見(み)ゆい寒(かん) [津留見一徹]」
みぞこ:溝 「洗(あ)れ物(もん)な 全部(ずるっ)溝(みぞこ)ん エコな婆(ばば) [津留見一徹]」
みそこし:味噌麹 「味噌麹(みそこし)の 匂(かざ)が物凄(わっざ)え 狭(せ)び我(わ)が家(え) [深道好之]」
みそこの・みそこぬ:見損なう
みそだい:あまり遠出をしない主婦 「現金(げんなま)を 括(きび)っ味噌樽(みそだ)や 旅(た)び出張(でば)っ
[今隅くま五郎]」「味噌樽(みそだい)が すったい疲(だ)れた 日帰(ひげ)い旅(たっ) [新地十意]」
みそちっ・みそつっ:味噌作り 「味噌搗(ち)っの 婆(ば)さんの下知(げっ)で 苛(こな)されっ [市来流星]」
「味噌搗(つっ)の 結戻(いもど)し杵(きね)を 持(も)っ走(はし)っ [三條風雲児]」
みださん:見る暇がない 「屋台(やて)ん番 じゃれば見(み)ださん 文化祭 [吉村伝波]」
みたっ:満ち足りる
みだひ:目をむく・目を見張る 「解剖室(かいぼしっ) 医者ん卵が 目を見出(みで)っ [吉崎しづか]」
「腰(こ)しゃ曲(ま)がっ ちょっどん議(ぎ)しゃ婆(ば) 目を見出(みで)っ [樋渡草団子]」
みたらん:満ち足りない 「安(や)し会費 腹も満(み)たらにゃ 酔(え)もならじ [山田竜生]」
「定員に 満(み)たらん合格(ごか)き 凄(わ)ぜ自慢(おぎら) [北村虎王]」
みちい・みちっ:満ちる
みちょんど:見ています 「遣(や)い手振(ぶ)ゆ 見(み)ちょんど曽於ん 新(に)け市長 [諸木小春]」
みっ:見る 「見栄を張(は)っ そっち便所(まなか)で 財布(ふぞ)を見(み)っ [伊地知 孝]」
「孫が見(み)っ 鬘(かつら)かち聞(き)た 古(ふ)り写真 [上山天洲]」
みっ:看る 「末子(しったれ)が 親を看(み)っ気で 農業(さ)くば継(ち)っ [樋口一風]」
「多(う)け小言(ぐぜ)も 耳(みん)にな栓で 姑(かか)を看(み)っ [西 幸子]」
みっ:診る 「健(さか)し爺(じ)ば ころっ往生(い)こそな 医者が診(み)っ [福原福多]」
「癌検査 娘(おご)ん胸をば 無料(ただ)で診(み)っ [弓場正巳]」
みっ:剥(む)く 「剥(み)っかたで 半分(なから)食(く)とった 熟柿(じゅくりっょ) [有馬二天]」
「温和(な)ち亭主(おやっ) 車(くいま)い乗れば 牙(きば)を剥(み)っ [有川南北]」
みっ:向く 「飲(の)ん平(べ)客(きゃ)き 団子(だご)どん出(で)たや 横を向(み)っ [山路野菊]」参観日
子は親を向(み)っ V(ヴイ)サイン [筍]
みっ:道 「師匠(ししょ)と弟子 父親(ちゃん)んち呼ばせん プロん道(みっ) [片平桜子]」
「俺(おい)が道(みっ)一本あれば差支(つけ)あ無(の)し [中村雲海]」
みっ:水 「水(みっ)のよな 焼酎(しょつ)いぼっぼっ 腰(こ)しょ上(あ)げっ [吉岡道場]」
「飯(め)す炊(た)こち 水(みっ)加減かあ 聞(き)っ亭主(とのじょ) [押領司翠里]」
みっ:右 「右(みっ)言(ちゅ)えば 右(み)ぐ向(む)っまこて 楽(だっ)な亭主(てし) [三條風雲児]」
「右(みっ)言(ちゅ)たて 左(ひだ)いはっちた 曲(ま)がい角 [鳥丸幸春]」
みっ:方法 「身銭(みぜん)どん 切(き)い方法(み)ちゃ知(し)たん 大企業 [津留見一徹]」
「カーナビん 使(つ)こ方法(み)つ知(し)たじ け迷(まぐ)れっ [伊地知 孝]」
みっ:蜜 「霜目白(しもばなし) 小枝(こえ)で揺(ゆ)られっ 蜜(みっ)ば吸(す)っ [狩俣康俊]」
みっあすっ・みっあそっ:水遊び
みっあびい・みっあびっ・みっじゃびい:水泳 「金槌か(なづっ)が 西瓜(すか)い抱(だ)っ付(ち)っ
水泳(みっじゃびい) [永谷 勝]」
みっあんね:道案内
みっいさけ:水争い 「水(みっ)争(いさ)け 畦じゃ蛙(びっ)ずい 睨(にら)ん合(よ)っ [田中末木]」
みっぎい・みっぎれ:絶交 「絶交(みっぎい)の 手紙(てが)みゃ切手を 逆(さか)せ貼(は)っ [仏心]」
「損得(しんそん)ぬ 言出(ゆで)たや友達(どし)と 絶交(みっぎれ)っ [上池酔人]」
みっくさか・みっくせ:水のような・水臭い 「招待(しょい)じゃれば 水臭(みっく)せ焼酎(しょつ)も
我慢(きば)っ飲(の)ん [吉岡道場]」「潮時(しおど)くば 水臭(みっく)せ焼酎(しょちゅ)が 教(いっ)かせっ [塚田黒柱]」
みっくん:水汲み
みっしゃくい:水鉄砲 「水鉄砲(みっしゃくい) 悪戯坊(てんご)で娘(おご)を 叫(おら)ばせっ [有馬慶成]」
「水鉄砲(みっしゃく)ゆ 爺(じ)の禿(は)げ向(む)けた 悪戯坊主(けすいばっ) [三條風雲児]」
みっじゃび・みっじゃびい:水浴・行水 「早(は)よ飲(の)もち
風呂は烏(からし)の 水浴(みっじゃ)びい [堂園三洋]」
みつっ:三ヶ月 「三月腹(みつっばら) 式場(しきじょ)ん予約(よや)く やれ催促(せず)っ [石塚律子]」
みっつご:三歳児 「三歳児(みっつご)い 煽(おだ)てられちょい
可愛(むぜ)爺様(じさま) [西ノ園ひらり]」「八十(はちじゅ)婆(ばば) 三歳児(みっつご)相手(えて)い 口争(くっいさ)け [中間紫麓]」
みって:右手
みってっぽ・みっでっぽ:水鉄砲 「孫は風呂(ふ)れ ゆっつるさんち 水鉄砲(みってっぽ) [大久保胡坐]」
みっばっ:蜜蜂 「紫雲英(ふぞばな)を 追(う)っ蜜蜂(みつばっ)と 北ん国(くん) [郷田悠々]」
みつもい:見積もり
みて:観衆・見物人・観客 「相撲(すも)あ駄目(ぼっ) 派手な塩撒(しおま)き 観客(みて)が沸(うぇ)っ
[楠八重渓流]」「曽我どんの 傘焼(かさや)き観衆(みて)も 鬨(と)く挙(あ)げっ [棈松睦酔]」
みと:夫婦 「夫婦(みと)喧嘩(げんか) 女房(か)け勝たすれば 焼酎(しょちゅ)が出っ
[小平田一清]」「顎(あご)で下知(げ)つ 鼻で返事(へ)ずすい 老夫婦(おんじょみと) [小瀬一峻]」
みとい・みとっ:見終わる
みといさけ:夫婦喧嘩 「夫婦(みと)諍(いさ)け 原因(もと)は郷句で 女房(かか)を詠(よ)ん [北村虎王]」
「夫婦(みと)諍(いさ)け 毎晩(めばん)ごめんち 叫(おら)っ亭主(とと) [有川南北]」
みどこい:骨のない肉の部分 「身(み)どこいの 味噌を蟹(がね)好(す)か くじっ食(く)っ [安藤孟宗竹]」
「DNA(ディーエヌエ) 実所(みどこ)や全部(ずるっ) 兄(あにょ)が取(と)っ [中囿和風]」
みとむい・みとむっ:認める
みとるい:見惚れる 「柳腰(やなっご)しゅ 見惚(みと)るい亭主(とと)を 妻(かか)は叱(が)っ [桜井吹雪]」
「見惚(みと)れちょい 機械体操(たいそ)ん 美事(みご)て技 [上瀬明星]」
みとんなか・みとんね:みっともない・見苦しい 「みとんねち 思(おも)てん言(い)えん 嫁ん所作(しょさ)
[西 幸子」「服(ふ)く買(こ)たや 見苦(みとん)ね靴(くっ)が 気(き)いしなっ [上山天洲]」
みなくっ:田の水の取り入れ口 「腹癒(はらい)せい 水口(みなく)つがらっ 踏(ふ)ん落(お)てっ [藤高春風]」
みなれ:見習い・見習う 「ガガ震(ぶ)るっ 仕事(しご)ちなならん 見習(みな)れ鳶(とっ) [郷田悠々]」
「苦労(くろ)をせち 獅子を見習(みな)ろて 子を離(は)ねっ [萬福平次]」
みなん:南
みにき・みにっか:醜い
みのがひ・みのがすい・みのがすっ:見逃す 「美人(シャン)じゃれば 不調法(ぶちょほ)なとこや 見逃(みの)がせっ
[上原野風呂]」
みのきれ:身内・身寄り 「身内(みのきれ)あ 無(ね)が有難(あいが)たか 友達(ど)し恵(のさ)っ [西 幸子]」
「身寄(みのきれ)い 被(かぶ)い覚悟(かっご)ん 印(はん)ぬ押(え)っ [書川水平]」
みはい:見張り・見張る 「豊作田(ほさっだ)い 見張(みは)いの案山子(おど)しゃ 胸を張(は)っ [諸木小春]」
「有(あ)い過(す)ぎっ 見張(みは)いかて心配(せわ) 箪笥金(たんすぜん) [石塚律子]」
みはらすい・みはらすっ:見張らせる 「女(おなご)世帯(じょて) 下駄を玄関(ふんご)み 見張(みは)らせっ
[藤高春風]」「台風(うかぜ)予報(よほ) 利口(じく)な衛星(えいせ)い 見張(みは)らせっ [上籠若菜]」
みひけ:短い 「短(みひ)け寿命(じゅみょ) 飲(の)んなち言(ゆ)てん 猪口(ちょ)く握(にぎ)っ [大西学老]」
みぶれ:身震い 「師走(しわす)風(か)ぜ 当(あ)てたや財布(ふぞ)が 身震(みぶ)れしっ [津留見一徹]」
「雪(ゆっ)の中(な)け 滝(たっ)の荒行(あらぎょ)い 身震(みぶ)れしっ [津曲とっこ]」
みほがし・みほがす:穴が開くほど見つめる 「血まなこで 料理(じゅい)を見(み)ほがし 鰥夫(やまめ)爺(じい)
[吉丸セツ子]」
みまっご:見間違う・見誤る 「煤(すす)け女房(ば)を 正月(しょがっ)着物(べんじょ)で 見間違(みまっ)ごっ
[満夫]」
みまわすい・みまわすっ:見回す 「拾(ふ)るた財布(ふぞ) 慌(せし)こっ周囲(まわ)ゆ 見回(みまわ)せっ
[倉元天鶴]」「ひっ転(ころ)っ 周囲(ぐる)ゆ見回(みま)えっ 直(いっ)き立(た)っ [樋口一風]」
みめ:お見舞い 「見舞(み)め行(い)たや 別れじゃっつろ 握手(あくしゅ)しっ
[小天狗]」「産(さん)の見舞(みめ) パパ似(に)ち言(ゆ)えば 支障(さわ)や無(の)し
[江口紫朗]」
みもい:田の番人 「田の巡視(みもい) 爺(じ)いな朝露(あさち)が 薬(くす)いなっ [畑山真竹]」
みもっ:身持ち・素行
みもん:見もの
みやし:見易い・容易である 「年(と)しゅとれば 易(みや)し漢字も 思(お)め出(だ)せじ [桜井吹雪]」
みゃっ:脈 「美人(びじん)女医(じょ)い 脈(みゃっ)が速(はや)かち 揶揄(ちょく)られっ [有馬純秋]」
みやならん:見られない 「我(わ)が村も 鯉幟(のぼ)や一本 見(み)やならじ [弓場正巳]」
みやぶい・みやぶっ:見破る 「惚(とぼ)けてん 全部(ずるっ)見破(みやぶ)っ 妻(かか)ん勘 [樋口一風]」
みやぶるい・みやぶるっ:見破れる
みやまいい・みやめい:お宮参り 「木履(かっぷい)の リボンが踊(おど)い 宮参(みやまい)い [山下矢絣]」
「七五三 腹(は)れにゃも一人(ひとい) 宮参(みやまい)い [小松鈍骨]」
みやらし:容易である・易しい 「栄転も 女房(かか)ん言(ゆ)うごた 容易(みやら)す無(ね) [吉丸セツ子]」
みゆい・みゆっ:見える 「どこん子も 秀才(しゅうさ)い見(み)ゆい 入学日(にゅうがっび) [井手上政暎]」
「其処(そ)け見(み)ゆい バスい追付えちかん 歯痒(はが)い足(ごて) [上山天洲]」
みょうえんじめい・みょえんじめい:妙円寺詣り 「妙円寺(みょえんじ)詣(め)い 横井(よけ)ん甘藷飴(げせん)で
息(い)く入(い)れっ [肱岡月汀]」
みよし:船首 「波(なん)ぬ蹴(け)っ 大漁(たいりょ)ん船首(みよ)し 虹が出(で)っ [津曲とっこ]」
みょし:苗字 「田舎支所 所長(しょちょ)から全部(ずるっ) 同(ふと)っ苗字(みょし) [中囿和風]」
みょで:名代
みらるい・みらるっ:見られる
みらん:見ない みらじ:見ないで 「新聞ぬ 一日(ひして)見(み)らんな
世が変(か)わっ [畑山真竹]」「火んかけた 鍋どま見(み)らじ 電話かけ [満石うらら]」
みらん:看ない 「厳(いみ)し姑(しゅ)て 将来(さ)か看(み)らんどち 鬼(おん)の嫁 [西 幸子]」
「名義(なめん)換(が)え 看(み)らん横(よん)ごが ねず食(く)ろっ [岩崎美知代]」
みろち:見ようと 「海開(うんびら)き ビキニを見(み)ろち 爺(じ)も出張(でば)っ [日高山伏]」
「昼飯(つはん)後(あと) 極楽(ごくら)く見(み)ろち 爺(じ)の昼寝(ひいね) [松元清流]」
みろごたい・みろごちゃい・みろごちゃっ:見たい 「切(き)い開(ひ)れっ 見て見(み)ろごちゃい 病(やんめ)ん巣
[岩崎美知代]」「婆(ば)ん下着(した)ぐ 盗(と)った奴(わろ)をば 見(み)ろごちゃっ [前村幸治]」
みろごっもなか・みろごっもね:見たくない 「空なんだ 見(み)ろごっもなか ふられ青年(にせ) [平中小紅]」
「政治どま 見(み)ろごっも無(ね)ち 切(き)いテレビ [堂園三洋]」
みろざまがなか・みろざまがね:見苦しい・見るに耐えない 「見(み)ろざまね 家(え)かあ出(で)っ来た
派手な化粧(けしょ) [江平光坊]」
みろよしもなか・みろよしもね:見苦しい・見るに耐えない 「見(み)ろ容姿(よし)も 無(な)かずんだれを
流行(はやい)言(ちゅ)っ [植村聴診器]」
みわくい:見分ける
みわするい・みわするっ:見忘れる
みん:見ない 「選挙前 めつら見(み)ん奴(と)が 訪(こと)っ来(き)っ [入来院彦六]」 」
みん:耳 「遠(と)え耳(みん)に おれおれ詐欺が 匙(さ)ず投(な)げっ
[佐土原 隆]」「良(よ)か説教(せっきょ) 耳遠(みんど)え婆様(ばさ)め 子守唄(こもいうた) [佐伯山神]」
みんくじい:耳掃除 「膝枕 綿棒(めんぼ)で優(やさ)し 耳抉(みんくじ)い [西迫順風]」「耳掃除(みんくじい)
交互(かたいご)て膝(ひ)ぜ 老夫婦(おんじょみと) [前村泰山]」
みんこすい:私語・ひそひそ話 「長(な)げ喋(しゃべ)い 茶どん飲(の)んがち みんこすい [尾崎若狭]」
みんちゃば:耳朶 「小遣(こつ)け願(ね)げ 孫あ耳朶(みんちゃ)べ 好(す)っちキス [鈴木一泉]」「耳朶
(みんちゃば)が ちぎるそな大(ふ)て イヤリング [那加野黎子]」
みんない:耳鳴り
みんのす:耳の穴 「耳(みん)の穴(す)が 女房(かか)ん毒舌(どくぜ)ち 悲鳴(ね)を上(あ)げっ [福冨野人]」
「耳(みん)の穴(す)で 騒(せか)らし蝉(せっ)が 冬(ふい)も鳴(ね)っ [前田あやめ]」