おんじょどいの小屋

鹿児島弁辞典「な」}

「な」

:~ね(文末について、念を押す) 「一合(いっご)どま 焼酎(そちゅ)も良(よ)かなち 医者(い)しぇ頼(たの)ん [樋口一風]」

:~ねば・~なければ 「パチンコい 三日行(い)かんな 手が震(ふる)っ [塚田黒柱]」「がんたれが 居(お) らんな切(せっ)ね 晩も有(あ)っ [上薗佳笑]」

:~は(前にくる語末がnで終わるときに限る) 「先生に 君(はん)な誰(だい)けち クラス会 [田代彦熊]」 「飲(の)ん方(かた)あ 昼(ひい)も良(え)晩な なお美味(うも)し [池上黒ぢょか]」

:~には 「神無月(かんなづっ) わが家(え)なずしち 山ん神(かん) [福原福多]」「跡継(あとつ)ぎな 故意(わざ)き他人の 飯(め)す食(か)せっ [岩崎美知代]」

:~ですか?(疑問の意を表す) 「職(しょ)か何(ない)な 真先(さ)き聞(たん)ねちょい 娶(も)れ話(ばなし) [国生千鳥]」

なあ:~なら 「馬(うんま)なあ 去勢(きょせ)ゆさるそな 道楽(どら)くしっ [入来院彦六]」 「叱(が)ったなあ 産んだが悪(わ)りち 吠(ほ)えでけっ [上籠若菜]」

ない:鳴る 「鳴(な)い電話 合格(ごかっ)じゃいごっ 拝(おが)ん取(と)っ [植村聴診器]」「目覚ましが 夜中(よな)け鳴(な)いでた 結婚(といえ)当初(はな) [吉岡道場]」

ない:成り・成る 「一字(いちじ)違(ち)げ 億万長者(おくまんちょう)じぇ 成(な)い外(は)じっ [堂園三洋]」 「俺(お)い利益(りえ)き 成(な)い人じゃいか 歳暮(せぼ)仕分け [中村雲海]」

ない:儘・侭・まま 「選挙びら 落選(ちゃ)れたも知(し)たじ 笑(わ)るた儘(ない) [山田竜生]」「狭(せ)め道(みっ)で 若葉(わかば)マークが 見合(みお)た儘(ない) [山下山ゆい]」

ない:身なり・身形・服装 「案山子(おどし)よか 破れた服装(ない)で 街(ま)ち外出(でば)っ [上瀬明星]」 「俺(おい)が身形(な)い 合(お)わせっ寿司屋 並(な)む握(にぎ)っ [井原東亀]」

ない:何 「何(な)よ言(い)うか 品(ひん)な無(な)かどん 金(ぜん)なあっ [小瀬一峻]」「五十(ごんじゅ)女房(かか) そいがないなち 反抗(むこ)っきっ [上籠若菜]」

ないあがい:成り上がり 「儲(も)け上(あ)がっ 金縁(きんぶ)ち替えた 成(な)い上(あ)がい [おんじょどい]」 「成(な)い上(あ)がゆ 陰じゃ渾名(しこな)で 腐(くさ)らけっ [楠八重渓流]」

ないが:よもや・まさか! 「大食(うぐ)れ女房(か)け ないが効(き)こかい 痩薬(やせぐすい) [郷田悠々]」 「こら待てち 叫(お)れっ盗人(ぬすと)が ないが待(ま)と [瀬戸口湯気]」

ないかい:あれこれ 「何彼(ないかい)ち 火種は尽(つ)きん 北朝鮮(きたちょせん) [棈松睦酔]」 「何彼(ないかい)ち 女房(かか)がメールで 直(いっ)き下知(げっ) [満吉満秀]」

ないがお:どういたしまして(お礼に対する挨拶語)

ないがな・ないがない:とにかく・要するに 「ないがな あたいが わるかったとぉ」(とにかく私が悪かっ たんです)

ないがなし:とにかく・何はともあれ 「無理(むい)思(と)もが ないがなし言(ゆ)た アイラブユ [田之上 毬]」 「ないがなし 医者ん顔(つら)見(み)け バスい乗(の)っ [有川八味]」

ないがね:発育不良の果実 「美味(うん)め言(ちゅ)っ 出来損(ないがね)瓜(う)ゆば 客(きゃ)き食(か)せっ [今隅くま五郎]」

ないごっ:何事 「何事(ないごっ)ち 女房(かか)ん一喝(いっか)ち 止(や)ん 管巻(じじら) [桜井吹雪]」「何事(ないごっ)も 貴女(おはん)が言通(ゆと)い 世を渡(わた)っ [久永アキラ]」

ないごて:何故・なぜ? 「髭面(ひげづら)ん 亭主(て)しゃないごてか 禿頭(はげびんた) [枦山一球]」 「何事(ないご)てか 二階(に)け来た用事(ゆ)ずば け忘(わす)れっ [野間口鈴女]」

ないさあ:何様

ないさがい・ないさがっ:成り下がる 「プロ野球 メジャん二軍に ない下(さ)がっ [小瀬一峻]」 「退職(やめ)たなあ 買物籠(けもんかご)持ち 成(な)い下(さ)がっ [入来院彦六]」

ないしけ:何しに

ないじゃい:何も 「人集(ひとだか)や 何(ない)じゃい見(み)えん 小短躯(こじっくい) [永徳天真]」

ないじゃいか・ないじゃか:何だか 「暦(こよ)み書(け)た 丸は何(ない)じゃか 思(お)め出(だ)さじ [尾崎若狭]」

ないじゃかいじゃ:なにやかや・あれこれ 「里帰(さともど)い 何(ない)じゃかいじゃち 素抜(すに)っ来(き)っ [弓場正巳]」
ないじゃれ:何であろうと 「肩書(かたがっ)が 何(ない)じゃれ同等(ぐゎい)の クラス会 [上山天洲]」

ないじゃれば:何の理由で・どういうことで 「ないじゃれば こん暑(ぬ)き最中(さな)け 披露宴 [石塚律子]」

ないでん:何でも ないでんかいでん:何でもかでも 「威張(いば)らせっ おけば何(ない)でん すい殿方(とのじょ) [栫 路人]」「働(はた)れたで 何(ない)でん美味(うん)め 山昼飯(やまちゅはん) [佐伯山神]」

ないどこいじゃなか・ないどこいじゃね:とても忙しい・何も手につかない 「蜂(は)ちすれば 何(ない) どこいじゃね 農繁期 [三條風雲児]」

ないな:何ですか(目上に対して念を押したり、問い返す語) 「五十(ごんじゅ)女房(かか) そいがないなち 反抗(むこ)っきっ [上籠若菜]」「家系図が ないな家(え)の内(う)ちゃ 火の車(くいま) [那加野黎子]」

ないなっと:何なりと 「何(ない)なっと 一言(ひとこ)ちゃ褒めて 借相談(かいそだん) [石野蟹篭]」

ないにでん:何にでも 「何(ない)にでん 蠅(へ)のごったかい 族議員(ぞっぎいん) [原田菊男]」

ないのかいの:何だかんだ

ないひとつ・ないひとっ:何一つ 「何(ない)一(ひと)つ 良(よ)か事(こ)た無(の)して 年の暮れ [狩俣康俊]」

ないふい:なりふり・容姿

ないめ:なるまい 「借(か)い相談(そだん) 帰(もど)らなないめ 素茶(すじゃ)一杯(いっぺ) [吉岡道場]」 「期限切れ 毒(ど)きなないめち 婆(ば)は食(たも)っ [佐伯山神]」

ないも:何にも 「何(ない)もせじ 炬燵(こたっ)の番も 腹(はら)あ減(へ)っ [満石うらら]」「歯を磨(み)げっ デートい行(い)たて 何(ない)も無(の)し [石原ミエ子]」

ないもかいも・ないもかも・ないもけん:なにもかにも・一切合切 「何(ない)もかも 一人(ひとい)でやった 卒業式(そっぎょしっ) [有馬純秋]」「何(ない)もけん 乏(とぼ)しが頑張(きば)っ 震災地 [江口紫朗]」

ないもね:何もない 「何(ない)も無(ね)が 宝言(ちゅ)う子い 笑(わ)れが舞(も)っ [池田ナミ]」 「何(ない)も無(ね)が 都会(まっ)のストレす 取(と)い田舎 [上薗佳笑]」

ないやがい:成り上がり 「成(な)い上(や)がい 昔(むか)す語(かた)れば 小(ちん)こなっ [米元年輪]」 「獅子(しし)んごっ 金歯をべらっ 成(な)い上(や)がい [上山天洲]」

ないやかいや・ないやらかいやら:何でも

ないよ:なんだよ(目下に対して念を押したり、問い返す語) 「短気奴(わろ) 何(ない)よ言(ちゅ)た時(と)か 手が走(はし)っ [上山天洲]」

ないよっか・ないよっも:何よりか・何よりも 「褒(ほ)むっとが 何(ない)よっか効(き)っ 良(よ)か薬(くすい) [弓場正巳]」「何(ない)よっも 良(よ)か土産じゃち 孫を抱(で)っ [奥 あき]」

なえ:地震 「地震(なえ)が来(き)っ 瘡蓋(つ)を取ったよな 急傾斜 [日置傳明琴]」「桜島(しま)ん脈(みゃ)く 診(み)ろちゅて地震(なえ)で 計(はか)っみっ [小倉牛哲]」

なえ:中風

なおい・なおっ・なおる:移る・転居する なおす:移す 「陽(ひ)が回 (まわ)っ 昼寝(ひんね)は木陰(かげ)を 追(う)っ移(なお)っ」「産(う)ん月(ず)きな 医者ん居(お)い街(ま)ち 籍(せ)く移(な)えっ [小倉牛哲]」

なおい・なおっ:直る 「茶柱(ちゃばした)で 気分が直(なお)い 楽(だっ)な亭主(てし) [桑元行水]」「」

なおす・なおすっ:しまう・片付ける 「衣替え タンスん肥(こえ)も 又納(な)えっ [飯福小手毬]」 「隠居世帯(じょて) いしれん品物(もん)も 大事(で)じ始末(なえ)っ [森山厚香]」

なか:無い 「何(な)よ言(い)うか 品(ひん)な無(な)かどん 金(ぜん)なあっ [小瀬一峻]」「肩書(かたがっ)が 無(な)かや呑気ち 負け惜(お)しん [石塚律子]」

ながい:~しながら 「注射下手 ごめん言(ちゅ)ながい 刺(さ)したくっ [新地十意]」「臭(く)せ臭(く)せち 言(ゆ)ながいもまた 嗅(かず)んみっ [市来流星]」

ながいっ:長生き 「長生(ながいっ)も 金(ぜん)が頼(たよ)いの 無情(つれ)ね娑婆 [稲留明天]」 「長生(ながいっ)の 耳(みん)じゃち言(ゆ)たが 先(さ)き逝(い)たっ [栫 路人]」

なかいね:荷を二人で担ぐこと 「中担(なかい)ねで 大猪(うじ)しゃ逆吊(さかつ)い 里(さ)て運(はこ)っ [瀬戸口和八久]」「俺(おい)も高齢(とし) 女房(かか)と中担(なかい)ね した甘藷(かいも) [上籠若菜]」

ながか:長い 「休肝日 叫(おら)っ出(だ)そそな 長(なが)か晩 [永田酒楽]」「パチンコい 寄付をすい衆(し)の 長(なが)か列(れっ) [堂園三洋]」

なかげ:仲買・仲買人 「儲(も)けは無(ね)ち 仲買人(なかげ)は言(ゆ)どん 売買(ういけ)上手(じょし) [日隈英坊]」

なかさるい・なかさるっ:泣かされる 「呆(ぼ)やし長男(すよ) また妹(いもっ)から 泣(な)かされっ [塚田黒柱]」 「にせ振(ぶ)いの 良(よ)か亭主(て)し一生(いっしょ) 泣(な)かされっ [岩崎美知代]」

ながさるっ:流される 「良(よ)か説法(せっぽ) 聞(き)たが現実(げんじ)ち 流(なが)されっ [永徳天真]」

ながし:梅雨 「憎(に)き梅雨(ながし) 命(いの)つ取(と)らんな 明(あ)けやせじ [馬込白鯨]」 「脳味噌い 黴(こし)が生(ね)ろそな 長(な)げ梅雨(ながし) [樋渡草団子]」

ながし・ながしば・ながしどこ:台所 「まれけんな 台所(ながし)い立てち 娘(おご)い下知(げっ) [尾崎若狭]」 「台所(ながしば)で 音がすい度(た)び 皿が減(へ)っ [樋口一風]」

ながじ・ながじい:長居・長居する人 「長尻(ながじ)客(きゃ)き 栓な抜 (ぬ)かんじ 出(で)たビール [小瀬一峻]」「長尻(ながじい)の 鼻先(はなさっ)で茶を 滴(した)め切(き)っ [平瀬芙蓉]」

なかすい・なかすっ:泣かせる 「日が当(あ)たっ 靴(く)つば泣(な)かすい 霜柱(しもばした) [樋口一風]」 「日の一日(ひして) 子供(こど)む泣(な)かすい 小児科医 [小瀬一峻]」

なかだっ:仲人・仲立ち・仲介者 「仲人(なかだっ)も そこ迄 (ず)や知(し)らん 凄(わ)ぜ鼾(いびっ) [新地十意]」「処女じゃっち 仲人(なかだ)ちゃ聞かん 事(こっ)も言(ゆ)っ [金井一馬]」

ながつづっ:長続き

なかなおい:仲直り 「仲直(なかなお)い 投げた指輪(いっがね) 拾(ふる)っ来(き)っ [上田 格]」 「仲直(なかなお)ゆ すい為しちょい 夫婦(みと)喧嘩 [津留見一徹]」

ながぶい:久し振り

なかもん・なかん:はらわた・内臓 「内臓(なかもん)な 歯切れが悪(わ)りち 鵜呑(ぐの)みしっ [上別府印句]」

ながやん・ながやんめ:長患い 「長病(ながやん)の 女房(かか)を花火(ひやな)ぎ 抱(だ)っ起(お)けっ [三平]」 「箸(てもと)ずい 大儀(て)せ態(ふ)で可哀相(ぐら)し 長病(ながやんめ) [上山天洲]」

なかゆ:仲良く 「何(ない)も無(ね)が 仲良(なか)ゆ暮らせち 遺言状(ゆいごんじょ) [山元自在鉤]」 「野良(はい)昼飯(ちゅはん) 寄(よ)っ付(つ)っ鳥(とい)と 仲良(なか)ゆ食(く)っ [花園ちづ]」

なから:半分・中途 「また検査 半分(なから)覚えた 視力表(しりょっひょう) [柳村遊月]」 「狭(せ)め間口(まぐっ) 半分(なから)でけ済(す)だ 注連縄(いぎれ)張(は)い [大重爆笑]」

ながるい・ながるっ:流れる 「手間仕事(しご)ちゃ 安値(や)すか中国(ちゅうご)き け流(なが)れっ [菖蒲谷天道]」

なかん:中身・はらわた・内臓 「胃袋ん 中身(なかん)な大方(うかた) 輸入品 [押領司翠里]」 「堅(こ)えも堅(こ)え 顎を鍛(きた)ゆい 安(や)し臓物(なかん) [堂園三洋]」

なぐい・なぐっ:投げる 「鬼役(おんやっ)の 姑(しゅと)い本気で 投(な)ぐい豆 [萬福平次]」 「遠(と)え耳(みん)に おれおれ詐欺が 匙(さ)ず投(な)げっ [佐土原 隆]」

なぐれ・なぐれむん・なぐれもん:道楽者・放蕩者 「人並(ひとなん)に 放蕩(なぐれ)ん息子(こ)いも 希望 (のぞ)む抱(で)っ」「放蕩(なぐれ)亭主(て)し 気力(あや)が切れたち 荷を結(きび)っ [入来院彦六]」

なげ:長い 「依存症(いぞんしょ)が ペンぬ吸(す)でけた 長(な)げ会議 [馬場日登巳]」 「そいならち 木戸(き)で出(で)てからが 長(な)げ喋(しゃべ)い [佐伯山神]」

なけ:中に 「かやん なけ へが へくだ」(蚊帳の中に蝿が入り込んだ)

なげうい:投売り

なげしお:勘で入れる塩加減

なげっ:嘆く 「空気をば 吸(す)てん肥(こ)ゆっち 嘆(なげ)っ女房(かか) [堂園三洋]」 「無(な)か馬力(ばりっ) 愛が足(た)らんち 嘆(なげ)っ女房(かか) [中村雲海]」

なげつくい・なげつくっ:投げつける

なけべし・なけべす・なけんべし:泣き虫 「泣虫(なけべし)ち 子をば叱(が)いうち 自分(わが)も泣(ね)っ [西ノ原一句]」「泣虫(なけべ)すば 叱(が)いたくろそな 武者人形(にんぎょ) [三條風雲児]」

なけべし・なけべす・なけんべし:井守(いもり) 「トラクタい ど鈍(ぬ)り井守(なけべ)しゃ 逃(に)げうせじ [郷田悠々]」

なご:長く 「赤(あ)け糸が 長(な)ご経(た)っうちな 鎖(くさ)いなっ [満留ぐみ]」「さいも長(な)ご 生(い)きれち嫁が 義理(ぎい)の愛想(えそ) [久永桂心]」

なごい:名残り

なこかいとぼかい なこよかひっとべ:泣こうか跳ぼうか泣くより跳んでしまえ・困難に出会った時は、 あれこれ考えず、とにかく行動しろ

なこごたい:泣きたくなる 「訳も無(ね)て 泣(な)こごたい日もあい 独居(ひとい) [石野蟹篭]」

なごし:長い 「波(なん)の音(お)て 目覚(めざ)めっ旅(たっ)の 夜(よ)が長(な)ごし [吉崎しづか]」 「夜(よ)あ長(なご)し 真実(まこ)ち淋(とぜ)んね 休肝日 [伊地知 孝]」

なこど:仲人 「どん子いも 丁度(がっつい)じゃがち 仲人口(なこどぐっ) [小瀬一峻]」

なごない・なごなっ:寝そべる

なごぶい:久し振り 「長(な)ごぶいの 賀状(がじょ)いあん日を 思(お)め出(だ)せっ [塚田黒柱]」 「久振(なごぶ)いの デートい心配(せわ)な 乏(とぼ)し財布(ふぞ) [入来創雲]」

なごん:和む 「受付ん 活花(いけば)ね和(なご)ん 病院(びょいん)通(が)え [永徳天真]」 「久振(さしかぶ)い墓参(はかめ)い行(い)たや気が和(なご)ん [米元年輪]」

なさけんなか・なさけんね:情けない

なじい・なじっ:詰る 「白豚ち 詰(なじ)っ泣かせた 姉弟(きょで)喧嘩 [有川南北]」「浮気をば 身震 (みぶ)れをすいめ 詰(なじ)い女房(かか)」

なしけ:何故 「なしけなら 最早(もへ)はっ逝(ち)たか 友達(どし)の通夜 [六田紫好]」 「何故(なしけ)じゃろ 諭吉(ゆき)ちゃ俺(おい)が家(え) 素通(すど)ゆしっ [上池酔人]」

なして:何故 「実(じっ)の兄弟(きょで) 何故(なし)てのっぽと 小短躯(こじっくい) [花園ちづ]」 「単身じゃ 無(ね)どん何故(なして)か 洗(あ)れやっめ [塚田黒柱]」

なじみ・なじん・なじゅん・なずん:恋人・愛人 「合図じゃろ 咳で席(せ)く立っ 恋人(なずん)同士(どし) [井手上政暎]」「内気(いめ)な青年(にせ) 恋人(なじゅん)も出来(でけ)じ 年(と)しゃ暮(く)れっ [山田竜生]」

なすい・なすっ:擦る・責任転嫁する 「出不精(でぶしょ)亭主(とと) インフルエンぜ 罪(つ)む擦(なす)っ [おんじょどい]」「秘書い罪(つ)む 擦(なす)っとぼくい 辣韮面(だっきゅづら) [津留見一徹]」

なすい・なすっ:塗る・化粧する 「若(わ)け肌ち 誉(ほ)め誉(ほ)め塗(なす)い 化粧(けしょ)売場(ういば) [吉岡道場]」「少(ち)す紅(べん)ぬ 婆(ばば)も塗(なす)った 敬老会(けいろかい) [棈松睦酔]」

なすいたくい・なすいたくっ:塗りまくる

なすいちくい・なすいちくっ・なすいつくい・なすいつくっ:なすりつける・責任転嫁する

なすいよ:なすり合う・責任転嫁し合う

なすっ:茄子 「苦瓜(ごい)の次(つ)が 焙(あぶ)い茄子(なすっ)ち 飽(あ)っが来(く)っ [折田さくら]」 「貰(も)ろた苗 出来(でけ)た茄子(なすっ)で お礼(れ)をしっ [山内ミキ]」

なち:優しい・親しげな・温和な 「温和(な)ち亭主(おやっ) 車(くいま)い乗れば 牙(きば)を剥(み)っ [有川南北]」 「退職(やめ)た亭主(とと) 肩書(かたが)か取(と)れっ 穏(な)つ語(かた)っ [有村土栗]」

なちっ:懐く 「まぐれ猫 一度(いっど)食(か)せたや きし懐(な)ちっ [鈴木佳根生]」「懐(な)ちた孫(ま)げ 帰(もど)ろごちゃ無(な)か 爺(じ)と婆(ば)さん [永徳天真]」

なっ:夏 「ひと夏(なっ)の 恋が生理を 打(う)っ止(と)めっ [長瀬慶子]」「若(わ)け肌を うっ出(だ)せかぎい 夏(なっ)のギャル [樋口一風]」

なっ:泣く 「泣(な)っよっか 柱(はした)を打てち 爺(じ)が叱(くる)っ [酒匂えみ]」「泣(な)っ声も 入(い)れっ迷子ん 拡声器 [東 竜王]」

なっ:鳴る 「まだ仕舞(しめ)あ 済(す)まんて除夜ん 鐘が鳴(な)っ [樋口一風]」「飲(の)ん平(べ)亭主(てし) 沈(しず)ん夕日い 喉が鳴(な)っ [北村虎王]」

なっ:成る 「政治家い 成(な)っから金(ぜん)が 溜(た)まい出(で)っ [今釜三岳]」

なっおとし:泣き落とし 「出任(でまか)せん 口(くっ)で金(ぜん)借(か)や 泣(な)っ落(お)とし [永徳天真]」 「泣(な)っ落とし 負(ま)くそな亭主(とと)い 用事(ゆ)じょ作(つく)っ [吉丸セツ子]」

なつかし・なっかし・なっかしか:懐かしい 「血筋(ちすっ)じゃろ 何処(どっ)か懐(なつ)かし 猿(よも)ん 顔(つら) [大重爆笑]」「飛魚(とっいお)が 今は懐(なっか)し 田植え時期(どっ) [下竹久子]」

なっかしゅし:懐かしい 「優(やさ)し声 じゃった会長(かいちょ)が 懐(なっ)かしゅし [福山吉連]」 「ダムん底(そ)け 沈んだ郷中(ごじゅ)が 懐(なつ)かしゅし [米元年輪]」

なっかぶい・なっかぶっ:泣きべそをかく 「叱(が)い方(かた)が 分(わ)からじ親が 泣(な)っかぶっ [横手五月]」「痩せちょれば 泣(な)っかぶろそな 腹踊(はらおど)い [諸木小春]」

なつけゆえ:名付け祝い 「名付祝(なつけゆえ) 邪魔(ま)じない主役(しゅや)か 寝(ね)せつけっ [瀬戸口凡句良]」 「凄(わ)ぜ希望(のぞん) 名前(な)が賑(は)ずませた 名付祝(なつけゆえ) [ゆめ路]」

なっじゃすん・なっぢゃすん:夏休み 「夏休(なっじゃす)ん 日記んネタち 婆(ば)と歩(さ)れっ [山路野菊]」

なったけ:なるだけ・なるべく 「混浴(こんよっ)じゃ 目をばなったけ 大(ふ)と開(あ)けっ [堂園三洋]」

なっちゃこん・なってこん:うまくいかない 「成(な)っちゃこん 大声(うごえ)で叫(お)ろだ マニフェスト [桑元行水]」

なっちょい:なっている 「寝(ね)いだけん わが家(え)なっちょい 一人者(ひといもん) [栫 路人]」 「割勘(わいかん)の 分母(ぶん)べなっちょい 堪(の)さん下戸 [吉岡道場]」

なっちょい・なっちょっ:当を得ている・正解である 「横(よん)ごじゃが たまにゃ成(な)っちょっ 議(ぎ)も 吐(か)えっ [猪俣凡児]」

なっちょらん:間違っている・正当でない 「なっちょらん 議(ぎ)を押し通(と)えた 大(ふ)て地声 [津留見一徹]」 「なっちょらん 議(ぎ)を札束(さったば)が 押し通(と)えっ [塚田黒柱]」

なっと:~だけでも・~こそ 「海苔(のい)弁当(べん)で 会議費なっと 切(き)い詰(つ)めっ [山崎 満]」 「盆なっと 稼(かせ)っ時(どっ)じゃち 僧侶(ぼ)しゃ走(はし)っ [前田唐芋]」

なっべしょ:泣き虫 「泣(な)っべしょが 卒園式(そつえんしっ)じゃ 大(ふと)か返事(へし) [今井夢紫]」

なっまね:泣き真似 「夫婦(みと)喧嘩 女房(かか)ん泣(な)っ真似(ま)ね また嵌(うた)っ [郷田悠々]」 「税務署い 妻(か)け泣(な)っ真似を させけやっ [倉元天鶴]」

なっやすん:夏休み 「夏休(なっやす)ん 先生(せんせ)や良(よ)かち やれ妬(しょの)ん [有川南北]」 「一年生(いっねんぼ) 慣れた思(と)もえば 夏休(なっやす)ん [石原ミエ子]」

なっわれ:泣き笑い 「泣(な)っ笑(わ)れが 壁越し分(わ)かい 長屋住(ず)め [有川南北]」

なでかかい・なでかかっ:寄りかかる・しなだれかかる

なでちくい・なでつくい:撫でつける 「乏(とぼ)し頭髪(け)を あの手この手で 撫(な)でつけっ [福冨野人]」 「若(わ)け言(つ)たや 少(すっ)ね髪(かん)の毛 撫(な)でつけっ [中囿和風]」

ななっ:七つ 「祓(はれ)が済(す)ん 石段(きざ)で疲(だ)れ込(く)だ 七(なな)っの子 [敦子]」

ななとこ:正月七日七歳に達した子供が近所の七箇所を雑炊を貰いに回ること  ななとこずし:七草粥 「七草祝(ななとこ)ん 雑炊(ずし)貰(も)れん子も 少(すっ)のなっ [鈴木一泉]」「子は宝 七草粥 (ななとこずし)を 作(つく)っ待(ま)っ [片平桜子]」

ななむい:均す・平にする ななめっ:均して・平にして 「皺顔(しわづら)を 化粧(べん)で均(なな)めっ 花行楽(はなでばい) [畑山真竹]」

なば:茸・きのこ・しいたけ 「長雨い 茸(なば)が生(お)ゆそな 兎小屋(うさっごや) [今隅くま五郎]」 「茸(なば)採(と)いけ 行けば地五郎(ぢごろ)が 取(と)いたくっ [蚕エ門]」

なべがしま:魚鳥獣を煮て食べること 「鍋が島 嫌(き)ろっ必死で 鶏(と)や逃(に)げっ」

なま~:強調の意の接頭語 「なま暑(ぬっ)け 焼酎(しょつ)を湯で割(わ)っ 汗をけっ [津留群志]」 「なま寒(さん)け 娘(おご)は膝どん うっ出(だ)せっ [津留群志]」

なまあくっ:生欠伸 「春(は)や眠(ねっ)か 講演(はな)す聴(き)っかて 生欠伸(なまあくっ) [折田さくら]」

なまい:訛り 「都会(まっ)で逢(お)た 郷里(さと)ん訛(なまい)を 呼(よ)っ止(と)めっ [永徳天真]」 「一番茶(いっばんちゃ) 知覧訛(なま)いが 味(あ)ず添(そ)えっ [川崎てい女]」

なまい・なまっ:訛る 「普通語が 途中(つと)から訛(なま)い 見合(みえ)ん青年(にせ) [中囿和風]」

なまいお:生魚

なまごん:生塵 「生塵(なまごん)の 日じゃ無(ね)で烏(から)しゃ 朝寝しっ [小森寿星]」

なまさんか:どことなく寒い

なまし:生(なま)・未熟 「生(なま)し大豆(で)ず 撒(め)たか臼庭(うすに)へ 芽を出(だ)せっ [三條風雲児]」

なましれん・なまきっしれん:つまらない・くだらない 「なましれん 漫才よっか 面白(おもし)て狂句(く) [河原武庫の花]」

なますかん:嫌いな 「なま好かん 課長(かちょ)ん見舞(みめ)いな 安(や)しバナナ [堂園三洋]」 「なま好(す)かん 笑(わ)るっ謝(あやま)い 横着者(おちゃっもん) [新地十意]」

なまつっ・なまつづ:生唾 「テレビ料理(じゅ)い 喉を生唾(なまつ)じゃ 垂れ流し [北村虎王]」

なまにき・なまにっか:心から憎い 「石頭(いしびんた) 自分(わ)が親じゃいが 生憎(なまにく)し [下栗志乃]」

なまぬいか・なまぬり:生温い 「生温(なまぬい)か 湯タンポんよな 歯痒(はが)い亭主(てし) [前田あやめ]」 「なまぬり湯 ひとくべ欲(ほ)しち 言(い)えん義理(ぎい)」

なまぬき・なまぬっか:生暖かい 「なま温(ぬ)っけ 気取(きど)っミンクで 汗を掻(け)っ [石塚律子]」

なまぬり・なまぬるか:動作が鈍い 「なま鈍(ぬる)か 茶は間(か)け合(お)わん 機械植え [三條風雲児]」

なまふて:膨大な・太い 「小(こ)め炬燵(こた)ち 女房(かか)んなま太(ふ)て 足(ごて)が来(き)っ」 「御馳走(ごっそ)どま せんてなま大(ふ)て 冷蔵庫 [有川南北]」

なまへし:生返事 「倦怠期 生返事(なまへ)ず吐(か)えっ 横を向(む)っ [新地十意 ]」

なまやせ:生野菜 「ヘルシーち 生野菜(なまやせ)なんど 食(か)せられっ [樋口一風]」

なむい・なむっ:舐める 「手の平い 滴(すた)めっ舐(な)むい 倹(つま)し上戸(じょご) [入来創雲]」 「新焼酎(しんじょちゅ)を 度々(はたれ)っ舐(な)めっ ち酔(よく)ろっ [野村三味]」

なめくし:蛞蝓 「罪(つん)な無(ね)が 蛞蝓(なめく)し塩を 浴(あ)びらせっ [永徳天真]」

なめさすい・なめさすっ:舐めさせる 「幻(まぼろし)の 焼酎(しょちゅ)をば吝嗇(けち)が 舐(な)めさせっ [堂園三洋]」

なめずい・なめずっ:舐めまわす 「可愛(も)ぜ若菜 舐(な)めずっ食(く)ろた 台風(うかぜ)奴(わろ) [坂口橘風]」

なめまわし:舐め回す 「首(く)び下げた メダルを牛(べぶ)は 舐(な)め回(ま)えっ [片平桜子]」「焼酎(しょつ) 瓶ぬ うっ割(が)っ床(ゆか)を 舐(な)め回(ま)えっ [澤津乙名]」

なめん:名義 「遺産分け 前い名義(なめん)ぬ ひっ変(か)えっ [金井一馬]」「狡(ずっ)ね女房(かか) 通帳(かえ)あ全部(すっぱい) 我(わ)が名義(なめん) [おんじょどい]」

なめんがえ:名義変更 「名義替(なめんが)え 三歳児(みっつご)ずいも 頭(びんた)下(さ)げ[今隅くま五郎]」 「名義(なめん)換(が)え 看(み)らん横(よん)ごが ねず食(く)ろっ [岩崎美知代]」

なや:魚屋 「言(い)わんでん 魚屋(なや)ん女房(おかた)ち 分(わ)かい鱗(いこ) [上籠若菜]」

なやん:悩み・悩む 「一人(ひとい)住(ず)め 悩(なや)んな猫が 聞(き)っくれっ [西ノ園ひらり]」 「褒(ほ)むい事(こ)ちゃ 無(ね)どかち悩(なや)ん 通知表 [種子田 寛]」

なゆい・なゆっ:中風にかかる・萎える  「中風(な)えたなあ 直(いっ)きホームち 薄(う)し絆(きずな) [岩崎ヒロシ]」「年賀状 親友(どし)も中風(なえ)たか 字が震(ふる)っ [有川南北]」

なゆば:何を 「毎晩(めばん)会(お)て 何(な)ゆば語(かた)いか 恋人(なじゅん)同士(どし) [江口紫朗]」 「寝込(ねく)だ女房(か)け 何(な)ゆば食(く)うかち 店(み)せ走(はし)っ [佐伯山神]」

なよすいも:何をするにも 「何(な)よすいも 妻(かか)が財布を じっ握(にぎ)っ [楠八重渓流]」 「何(な)よすいも 心配(せわ)が先(さ)き立(た)っ 蚤(のん)の肝玉(きも) [多田一行]」

ならさるい・ならさるっ:慣らされる 「何時(いっ)の間(め)か 嫁女(よめじょ)ん料理(じゅい)に 慣(な)らされっ [中島小黒瀬]」「不精(ふゆ)女房(かか)ん てげてげな味(あ)じ 慣(な)らされっ [川辺多恵子]」

ならぶっ:並べる 「禿げた衆(し)は 後(うし)て並(なら)べっ はいチーズ [有馬純秋]」

ならわすい・ならわすっ:習わせる

なる・なるっ:習う 「習(な)るたごっ 娘(むいめ)も亭主(て)すば びりっやっ [上籠若菜]」「巣立(すだ)っ子い メールを習(な)るっ 送(おく)い出(で)っ 「永田酒楽」」

なる・なるっ:並ぶ 「一億(いちお)くば 狙(ね)ろ衆(し)が並(な)るだ 宝くし [末原一声]」 「トイレずい 社長と並(なる)っ 胡麻を擂(す)っ [前田一天]」

なるっ:慣れる 「地響(じひび)きも 慣(な)れっ線路ん 脇(わ)き暮(く)れっ [瀬戸口抱洋]」 「慣(な)れっきっ 姑御(しゅとじょ)ん機嫌(ごっ)も 取(と)い習(な)るっ [中里飯語]」

なれごっ:習い事 「習(な)れ事(ごっ)も 上手(じょし)と下手でな 気が合(お)わじ [弓場正巳]」 「習(な)れ事(ごっ)も 頭ん体操(たいそ) 呆(ぼ)け防止 [東 松子]」

なれん:慣れない 「慣(な)れん着物(いしょ) 肥満(だんべ)あ首(くっ)が 衿(え)い沈(しず)ん [今井夢紫]」 「慣(な)れん旅行(たっ) イエスイエスで 大(ふ)とか支払(は)れ [湯前為一]」

なろで:なるだろう 「イクメンの 先駆(さっが)けなろで 育休(いっきゅ)知事 [諸木小春]」 「若(わ)こなろで 婆(ば)も紅(べん)ぬ差(せ)っ 寄(よ)い正月(しょがっ) [畑山真竹]」

なわとっ:縄跳び 「縄跳(なわと)っの 紐がお揶揄(ちょく)い 短(みし)け足 [福冨野人]」

なわばい:縄張り 「縄張(なわば)いが 命(いのっ)取(と)いない 鮎(あい)の魚(いお) [三條風雲児]」

なわねこ・なわねこう:昔、青年たちが冬の夜行った俵用の縄を綯う講 「手の平を 昔(むか)し鍛えた 縄綯講(なわねこう) [伯楽]」

なん:並み 「俺(おい)が軽自動車(けい) 下(くだ)いの走(はし)や ベンツ並(なん) [多田一行]」 「美人(シャン)言(ちゅ)うが 周囲(ぐるい)の並(なん)が 支えちょっ [平瀬芙蓉]」

なん:波 「浜い書(け)た 恋詩(こいうた)波(なん)が 洗(あ)れ流(な)げっ [寿音]」

なん:何 「何(なん)ちゅ娑婆 鼻ずいピアす ひっ下(さ)げっ [坂元鶴山]」

なんか:長い 「気の長(なん)か 客(きゃっ)も怒(はら)けた 鈍(ぬ)り料理屋(じゅいや) [樋口一風]」 「産声(うぶごえ)い 長(な)んか陣痛(じんつ)も 飛(つ)で消(き)えっ [外薗湯乃香]」

なんかかい・なんかかっ:よりかかる、もたれる 「眠(ね)び真似で 故意(わざ)き美人(びじん)に 凭(なんか)かっ [佐土原 隆]」「不自由(せんぽ)どま させん言(ちゅ)た女房(か)け 凭(なんか)かっ [田中栄泉]」

なんかずし・なんかんずし:七草粥 「芹(せい)がもへ 春(は)ゆ嗅(かず)ますい 七日雑炊(なんかずし) [筧 三平]」 「正月(しょがっ)腹 七日(なんか)雑炊(ず)す食(く)て 元(も)て戻(もど)っ [原田菊男]」

なんくん・なんこん:投げ込む 「良(よ)か返事(へ)ずば 願(ね)ごっ投函(なん)くだ ラブレター [堂園三洋]」 「隅(すん)くじれ 家族(けね)を投(な)ん込(く)だ 俄客(にわかきゃっ) [小瀬一峻]」

なんこ:箸戦(互いに手の中に箸を折ったものを握って数を当てるゲーム、負けた方が焼酎を飲むきまり)  「負け箸戦(なんこ) しもたち直(いっ)き 盃(ちょ)く握(にぎ)っ [林 夢太郎]」「勉強(べんきょ)嫌(ぎ)れ 箸戦(なんこ)じゃ負けん 子い 育(そだ)っ [津留見一徹]」

なんこやし:振り分け荷物 「顔(つら)土産 帰(もど)や米野菜(こめやせ) 振分(なんこや)し [森山厚香]」 「振分(なんこや)し 肩(か)てずっしいと 郷里(さと)土産 [盛満椒平]」

なんだ:~などは 「婆(ばば)なんだ 煎じ薬(ぐすい)で 医者知(し)らし [永徳天真]」「稽古(けこ)なんだ せんじ覚えた 酒タバコ [樋口一風]」

なんだ:涙 「匙で飯(め)す 食(か)すいも涙(なんだ) 食(く)も涙(なんだ) [永田酒楽]」「悔(くや)んの座(ざ) 挨拶(えさ)ちゃ涙(なんだ)が 言(ゆ)っくれっ [平瀬芙蓉]」

なんだめ:涙目 「涙目(なんだめ)は 花粉症(かふんしょ)じゃって 亭主(とと)は騒動(そど) [枦山一球]」 「涙目(なんだめ)ん 母(はほ)は愛情(ぼんの)で 児(こ)を叩(た)てっ [上山天洲]」

なんだもれ:涙もろい 「涙脆(なんだも)れ 女房(かか)は屁(へ)のよな ドラめ泣(ね)っ [有川南北]」

なんち:何と 「娶(も)ろ時(と)きな 何(なん)ち言(ゆ)やした 浮気(うわっ)亭主(とと) [上薗佳笑]」

なんち・なんちな:何だって?・何?(念を押したりする時に問い返す語)

なんちゅえば:何かというと 「何(なん)言(ちゅ)えば 逆(ぎゃっ)しか言(ゆ)わん 憎(にっ)か亭主(てし) [下栗志乃]」「何(なん)言(ちゅ)えば 隣(とない)の主人(て)すば きし褒(ほ)めっ [江平光坊]」

なんちゅこっ:なんということか!・なんとしたことか! 「何(なん)言(ちゅ)こっ 九回の裏(う)れ パスボール [今井夢紫]」「なんちゅこっ 俺(お)い家(げ)ん血筋(すっ)も 国際化 [樋口一風]」

なんちゅてん:何といっても 「何(なん)言(ちゅ)てん 金(ぜん)が一番(いっばん) 言(ゆ)こつ聞(き)っ [吉岡道場]」 「何(なん)言(ちゅ)てん 財布(ふぞ)を握った 妻(かか)ん勝(か)っ [桑元行水]」

なんつあならん・なんつはならん:何とも言えない 「盗焼酎(ぬすっとじょちゅ) 何言(なんつ)わならん こんスリル [楠八重渓流]」「風呂上(あ)がい なんつはならん 生ビール [桜井吹雪]」

なんでん:多分・おそらく 「あや なんでん こい じゃろそな」 (あれはおそらく、これらしいけど)

なんでん:何でも 「首相(しゅしょ)ん肚(はら) 何(ない)が何(なん)でん 民営化 [川村 明]」

なんど:など・等 「好(す)っなんど 腰が抜(ぬ)くそな 亭主(とと)ん世辞(めし) [有川八味]」 「ヘルシーち 生野菜(なまやせ)なんど 食(か)せられっ [樋口一風]」

なんとん:なんとも 「暑(ぬっ)さどま なんとん無(な)か態(ふ) 頑固爺(がんこじい) [吉丸セツ子]」

なんとんしれん:つまらぬ・いい加減な・意味のない 「名刺裏(う)れ なんとん知(し)れん 役(やっ)も 刷(す)っ [津留見一徹]」

なんなん・なんなんさあ・なんまんさあ:仏様・仏壇 「仏壇(なんなん)の 鉦(じん)な此(こ)ん頃(ご)ら 遊(あす)っ道具(どっ) [桑元行水]」