おんじょどいの小屋

鹿児島弁辞典「す」}

「す」

:身体の穴 「鼻ん穴(す)を 寿司のわさびが 揶揄(ちょく)らけっ [山田竜生]」「耳(みん)の穴(す)が 太(ふ) てが小言(こまご)ちゃ 突(つ)っ抜(ぬ)けっ [浮門]」

:吸う 「依存症(いぞんしょ)が ペンぬ吸(す)でけた 長(な)げ会議 [馬場日登巳]」「吸(す)な飲(の)んな 俺 (お)いなけ死(し)めち 言(ゆ)とと同(が)い [塚田黒柱]」

す・ず:~を 「切った菓子(か)す 同等(ぐゎい)かち計(はか)い 術(じゅっ)ね兄(あにょ) [原田菊男]」「ガブッ 食(く)た キムチい口(くっ)が 火事(か)ず起(お)けっ [池上黒ぢょか]」

ず・ずっ:頭 「雨除(よ)けも ならんてバッグ 頭(ず)い乗(の)せっ[東 こっ風]」 「大概(てげ)で良(え)て 馬鹿を頭(ず)い載(の)せ 難儀しっ [窪田ヨー]」「秘書選考(えら)っ 社長(しゃちょ)は顔(つら)言(つ)が 奥様(こじゅ)は頭 (ずっ) [中囿和風]」

:胴 「好(す)かん課長(かちょ) 胴上(ずあ)げで故意(わざ)き 取(と)い落(お)てっ [金井一馬]」

すあい:座る

すい:擂る・摺る・擦る 「卸(す)い方(か)てな 惜(てこ)ね気がすい 股(また)大根(でこん) [工藤天然]」「駐車場 (ちゅうしゃじょ)ん 隅(すん)の柱(はした)で 擦(す)いどえっ [米元年輪]」

すい・すっ:する 「何(な)よすいも 灰(へ)の掃除(そっ)が先(さっ) 桜島(しま)暮らし [今井夢紫]」「三億い 当たれば気絶(きぜ)つ すっち心配(せわ) [堂園三洋]」

すい:掏摸(すり) 「刑事(でか)じゃろか 掏摸(すい)じゃろか似た 目付(めつ) くしっ[慶田乱雲]」

すい・すいか:酸っぱい 「体育の 後(あと)はびっ酸(す)い 教室(せっ)の臭(かざ) [山路市子]」「訪(こと)ったや 酸(す)い臭(かざ)がすい 兎小屋(うさっごや) [永徳天真]」

ずい:~まで 「付け根ずい 見れち言(ゆ)おそな ミニん娘(おご) [谷口雲城]」「仲人(なかだっ)も そこ迄(ず)や知(し)らん 凄(わ)ぜ鼾(いびっ)[新地十意]」

ずい:料理 「長旅(ながたっ)の 腹も落(お)て着(ち)た 女房(かか)ん料理(ずい) [稲留明天]」「惚(ほ)れた罰(ばっ) 味(あっ)の無(ね)料理(ずい)も 我慢(きば)っ食(く)っ [鈴木一泉]」

すいあぐい・すいあぐっ:吸い上げる 「ボーナスば ジングルベルが 吸(す)い上(あ)げっ [有川南北]」

ずいおつい・ずいおつっ:ずり落ちる 「緩(ゆ)りギッタ 四五歩(しごほ)歩けば ずい落(お)てっ [有川南北]」「抜 (ぬ)け上(あ)がっ 向(む)こ鉢巻(はちまっ)も ずい落(お)てっ [入来創雲]」

すいかゆっ:すり替える 「管巻(じじら)いな 安(や)し新焼酎(しんじょちゅ)と すい替(か)えっ [塚田黒柱]」

すいくゆっ:擦り崩れる 「はん倒(と)けっ 高(た)こもね鼻を 擦(す)い壊(く)えっ [楠八重渓流]」

すいくん・すいこん:吸い込む

すいこぎ・すいこっ:擂粉木

すいじんさあ:水神(河川や池、沼、井戸などに祀られる神様)・河童 「井戸浚(さ)れい 水神様(すいじんさあ)も 焼酎(しょちゅ)を飲(ぬ)っ [種子田 寛]」

すいぬくい・すいぬくっ:すり抜ける 「塗(ぬ)いの箸(は)す 薄(う)しか鰒(ふぐ)刺身(さ)しゃ 擦(す)い抜(ぬ)けっ [池上黒ぢょか]」

ずいばん:留守番
すいみっ・すいむっ:擦り剥く 「擦(す)い剥(み)たや 怪我程(ほ)だ無(ね)とに 大騒動(うそど)しっ [大久保胡坐]」

すいめ:鯣(するめ) 「情強(じょづ)え奴(わろ) 鯣(すいめ)は燠(おき)ゆ 抱(で)て曲(ま)がっ [中間紫麓]」 「総入歯(がんぶい)が 舌(べろ)でももじい 焼(や)っ鯣(すいめ)」

すうす:肌寒いさま 「したを みたや せなかが すうすした」(下を見たら背中が寒くなった」

ずうず:さっさと・すかさず・どんどん 「お年玉(としだま)貰(も)ろた やずうずきし帰(もど)っ[江平光坊]」「爺(じ)が運転(まくい) ずうず軽(けい)かあ 追越(うこ)されっ [有川南北]」

ずうず:またたく間に 「ずうず減(へ)っ 思(と)もたや女房(かか)も 盗焼酎(ぬすとじょちゅ)」「病(や)ん 上(あ)がい 薄(う)し焼酎(と)を注げば ずうず飲(ぬ)っ [桑元行水]」

すえ:台所 「メガネどん 掛(か)くっで見(み)ゆい 台所(すえ)ん埃(ごん) [石塚律子]」

すえご・すえんこ:末っ子・末子 「放任養育(うっせご)で 育(お)えた末子(すえご)ん 世話いなっ [佐伯山神]」 「父(ちゃん)んの日ち 末子(すえご)ん酌(しゃく)い ほろっなっ [山路野菊]」

すか:西瓜 「二人(ふたい)でな こいが手頃ち 小玉(こだま)西瓜(すか) [野間口鈴女]」「大(ふと)か西瓜(すか) 買(こ)もせん奴(わろ)も 尻(け)つ叩(た)てっ [田代勝泉]」

すかるい・すかるっ:好かれる

すかん:好きでない 「好(す)かん亭主(とと) 穴ち穴から 音が出(で)っ [埀野剣付鶏]」「婚活で 面白(おもし)と 語(かた)い 好(す)かん奴(わろ) [中村雲海]」

すかんて・すかんと:好きでない人 「好(す)かん奴(て)な 火傷(やけじょ)をすそな 燗(かん)ぬしっ [日高山伏]」 「好(す)かん奴(と)い 限(かぎ)っやいやい 来(く)い電話 [馬場日登巳]」

すぎい・すぎっ:過ぎる・度を越す 「義理張(ぎいは)いの 過(す)ぎい隣(つっ)とな 肩が凝(こ)っ [諸木小春]」 「先(せん)の子い 気兼ねが過(す)ぎっ 甘(あ)め躾 [津留見酎児]」

すく:掬う 「泥鰌(どじょ)掬(す)くが 現(で)っきたぶんで 座が揺(ゆ)れっ [有川南北]」「ミニん膝(ひ)ぜ 金魚掬(す)くどま 身みが入(い)らじ [吉岡道場]」

すく:助ける・救う 「け忘(わす)れた 予約(よやっ)が救(すく)た 事故旅行 [下栗志乃]」

すくい・すくっ・すける:水などを下に受ける 「紙(かん)襁褓(しめ)す 敷(す)けっ下知(げち)すい 厳(いみ)し 姑(しゅと) [菖蒲谷天道]」「詰め限(かぎ)い 詰(つ)めっ破れい 手を助(すけ)っ [吉岡道場]」

すぐい:柄をつける 「柄(え)を挿(す)げた 鉛筆(えんぴ)つ奪(ば)こた 戦時中 [鈴木一泉]」「惜(あった)れち 短(みし)け鉛筆(えんぴ)ち 柄(え)をすげっ [菖蒲谷天道]」

ずくりっしょ:ツクツクボウシ 「酷(ひ)で夏(なっ)も 終(おわ)っ山でな 法師蝉(ずくりっしょ) [有川南北]」

ずぐれ・ずぐろか:どす黒い 「紫黒(ずぐ)れ唇(す)べ こら早(は)えかった 海開(うんびら)っ [石塚律子]」

すけうつし:手本の上に白紙を置いて写し取ること 「血統(すっ)じゃろで 短気あ父(ちゃん)の 敷(す)け写(うつ)し [今井夢紫]」

すごたい・すごたっ:~したい 「道(みち)ならん 恋(こ)ゆすごたっち くずれ友達(どし) [堂園三洋]」

すごたなか・すごたね・すごたのし:~したくない 「犬(いん)が引(ひ)て すごた無(な)か様子(ふ)で 爺(じ)は 散歩 [中囿和風]」「呆(ぼ)け防止 言(ちゅ)どん算数(さんす)は すごた無(の)し [桑元行水]」

すごもい:冬眠

すざい:後ずさりする・後退する すざらん:後ずさりしない・後退しない  「小(こ)め島を 取(と)ろち退(すざ)らん 大(ふ)て中国(チャイナ) [米元伝喜]」

ずし:留守 「食放題(くほで)食(く)っ飲(の)ん放題(ほで)飲んだ女房 (かか)ん留守(ずし)[堂園三洋]」「間違(まっ)げなし 亭主(とと)ん財布(ふぞ)いな 諭吉(ゆき)ちゃ留守(ずし)[河原武庫の花]」

ずし:雑炊 「鶏(と)ゆつびっ 雑炊(ずし)が待(ま)っちょい 寄正月(よいしょがっ) [横手五月]」「雑炊 (ずし)の様(よ)な 猫ん御飯(まんま)を 俺(お)い食(か)せっ [入来院彦六]」

ずし:たくさん 「実家(さと)土産 重(お)び荷じゃっ言(つ)が 沢山(ずし)貰(も)ろっ [前野一合敏]」「横道 (おど)な女房(かか) 亭主(とと)い保険ぬ 沢山(ずし)掛(か)けっ [田代彦熊]」

すしけ:煤け 「叱(が)られてん 居(お)らんな寂(さび)し 煤(すし)け嬶(かか) 」「服(ふ)か白ち 蓮舫(れんほ)気取(きど)いの 煤(すし)け女房(かか) [石塚律子]」

ずしけ:ずるい・横着である 「欲(ほ)すなれば 歴史も替(か)ゆい 狡(ずし)け国(くん) [日隈英坊]」

ずしち・ずしと:どっしりと・ずっしりと 「逝(い)た同志(どし)の 遺影が胸い ずしち来(き)っ [上山天洲]」 「神無月(かんなづっ) わが家(え)なずしち 山ん神(かん) [福原福多]」

ずしっ:ずっしりと 「ずしっ来(く)い チラしゃ見(み)もせじ 塵(ごん)に出(で)っ [江口紫朗]」

ずしばん:留守番 「留守番(ずしばん)な鶏(にわと)いさせた過疎(かそ) ん里(さと)[坂元鶴山]」「留守番(ずしばん)が ママを見たなあ 肩で泣(ね)っ [上薗佳笑]」

すじょ:素性 「良(よ)か素性(すじょ)い 何(ない)があったか 大変(でい)な悪人(わる) [米元伝喜]」「つん割 (が)れた 後(あと)かあ素性(すじょ)を 悔(く)やん壺 [上籠若菜]」

すすい・すすっ:啜る 「試食(ししょ)くした 後(あと)あ試飲の 茶を啜(すす)っ [米元年輪]」「ラーメンぬ 啜(すす)っ横(よん)ごあ 年(と)す越(こ)せっ [津留見一徹]」

すすくい:煤ける

すずし・すずしか:涼しい 「涼(すず)し縁側(えん) 先(さ)き居(お)い猫を 追(う)て昼寝(ひんね) [植村昭子]」 「涼(すず)しかち 思(おも)たや褌(へこ)は 足(あ)し巻付(めち)っ [中囿和風]」

すすはれ:煤払い 「煤払(すすは)れん 亭主(て)し飛(と)っ下(お)じた 八手(やっで)蜘蛛(こっ) [有川南北]」

すずめげ:蜆(しじみ) 「蜆貝(すずめげ)が 肝臓(かんぞ)い良(よ)かち 毎日(めにっ)食(く)っ [深道好之]」

すずるし・すずるしか:涼しい 「素麺(そめん)ぬば 湯掻(ゆが)っ涼(すず)るし 態(ふ)ん夕飯(いめし) [新田フサ]」 「裏小路(うらすっ)の 盛夏(うな)ち涼(すず)るし 金魚売(う)い [筧 三平]」

すすん:進む 「嘘んごっ 時計が進(すす)ん 焼酎(しょちゅ)飲(の)ん座 [堂園三洋]」

すずん:涼む 「図書館に 涼(すず)ん目当てい 行(い)て昼寝(ひんね [樋口一風]」「パチンコい 涼(すず)んけ 行たっ 太(ふと)か損(ほげ) [吉元三智]」

すずんだい:涼み台・縁台 「孫相手(えて)い 御伽噺(むかしばなし)の 涼(すず)ん台 [有川南北]」 「涼(すず)ん台 御前(わい)も座れち 月(つ)く仰向(おね)っ [栫 路人]」

すだ:収穫のないこと 「素駄(すだ)ん釣(つ)や 空(から)クーラーも 重(お)もけなっ [樋口一風]」 「無駄(すだ)吟味 一番(いっばん)鶏(どい)が 鳴(う)とでけっ [倉元天鶴]」

すだ:妙な・変な 「安物(やすもん)が 似合(によ)でよかねち 妙(す)だ褒め様 (よ)[郷田悠々]」「妙(す)だ調子(おだめ) キーがどのこの 言(ゆ)う音痴 [押領司翠里]」

すだ:素手・手ぶら 「素駄(すだ)で来て しこたま抱(かか)えっ 娘(こ)は帰 (もど)っ [すもも]」

すだい・すだっ:後ずさりする・後退する 「並(な)るだ列(れ)つ 退(すだ)い退(すだ)いの 注射嫌(ぎ)れ [諸木小春]」「メタボ女房(か)け 猿(よも)も後退(すだ)った 露天風呂[安藤あざみ]」

すただい:着物がだらしなくあうり落ちる 「着馴(な)れん着物(いしょ) 片身すただい 街(ま)つ歩(さ)れっ [平中小紅]」

すたっ:すっぱり・すっかり 「嫁を取(と)っ 息子(むすこ)がすたっ 音信 (そ)も切(き)れっ[田中栄泉]」「大風呂敷(うぶろしっ) 落選(ちゃ)えたやスタッ 議(ぎ)が止(と)まっ [有馬二刀流]」

すたっ:ぐったり・気が抜けたさま 「夏休(なっやす)ん 孫い食(か)せかて すたっなっ [山路野菊]」

すだっ:巣立つ 「子が巣立(すだ)っ 物置(ものお)きなった 子供(こどん)部屋 [佐伯山神]」「頑張(きば)れよち 巣立(すだ)っの孫い 熨斗袋 [鈴木一泉]」

すだてっぽ・すだでっぽ:無駄撃ち・獲物のない狩 「雪雨(ゆっさめ)い 震(ふる)えっ戻(もど)い 素駄(すだ) 鉄砲(てっぽ) [久永時盛]」「子作(こづく)いけ行(い)た旅(た)びゃかった素駄鉄砲(すだでっぽ)[おんじょどい]」

すたむい・すたむっ:水を出し切る 「手の平い 滴(すた)めっ舐(な)むい 倹(つま)し上戸(じょご) [入来創雲]」

すだもどい:獲物がなく帰ること 「潮が良(え)ち 張(は)い切(き)っ行(い)たが 無駄(すだ)帰(もど)い [堂園三洋]」

すぢゃ:お茶請けのないお茶 「御絞(おしぼ)いが 出たどん後(あと)は 素茶(すじゃ) 一杯(いっぺ) [堂園三洋]」「寄(よ)っ行(じ)けち 晩酌(だいやめ)前い 素茶(すぢゃ)が出(で)っ [吉岡道場]」

すっ:吸う 「ゴルフ場(じょ)ん 芝贅沢(ぜいたっ)な 汗を吸(す)っ [三條風雲児]」「外れ予報(よほ) 布団な雨を ごいと吸(す)っ [堂園三洋]」

すっ:筋 「筋(すっ)が良(え)ち 褒(ほ)めっ欠席(けっせ)く させん師匠(ししょ) [西ノ園ひらり]」「逞(ごっ)な手と 握手をしたや 筋(すっ)が攣(つ)っ [有川南北]」

すっ:血筋・血統 「血筋(すっ)じゃ無(ね)て 世ん荒波(あらなん)が 毛を毟 (むし)っ[池上歌子]」「俺(おい)が血筋(すっ) 一流校(いちりゅうこ)どま 無理(むい)も無理(むい) [松元清流]」

すっ:好き 「山(や)め向(む)こっ 好(す)っち大声(うごえ)ん プロポーズ [諸木小春]」「好(す)っじゃった 焼酎(しょちゅ)で墓石(はかい)す 洗(あ)るっやっ [堂園三洋]」

すっ:鋤く 「箱ん代(で)も 無(な)かち鋤(す)っ込(く)だ 見事(みご)て野菜(やせ)[入来創雲]」

すっ:粒 「薬(くすい)下手 一粒(ひとすっ)飲(の)んじゃ 溜息(うい)くちっ [那加野黎子]」

すっ:空く 「生(い)きちょれば 不精(ふゆ)も人並(ひとな)み 腹も空(す)っ [入来院彦六]」

すっ:擦る 「手足(てあ)しゅ擦(す)っ 命乞(いのっご)ゆすい 蝿(へ)を叩(た)てっ [林 夢太郎]」

すっ:刷る 「名刺裏(う)れ なんとん知(し)れん 役(やっ)も刷(す)っ [津留見一徹]」

ずっ:ずる・すべり移る 「娘(おご)が来(き)っ 座席(ざせ)くずったや 婆(ば)が座(すわ)っ [伊地知 孝]」

ずっ:同じ・同等 「俺(おい)と同(ずっ) 不足(たらん)加減(かげん)が 良(よ) かとこい[茶恋児]」

ずっ:頭 「秘書選考(えら)っ 社長(しゃちょ)は顔(つら)言(つ)が 奥様(こじゅ)は頭(ずっ) [中囿和風]」

ずっ:~ずつ 「少(ちっ)とずっ 目立(めだ)っ腹さめ 子守(こも)い歌 [上薗佳笑]」「少(ちっ)とずっ 素抜 (すに)けば発覚(ばれ)ん 女房(かか)ん財布(ふぞ) [石野蟹篭]」

すっきゃっ:鋤焼き 「鋤焼(すっきゃっ)の 匂(かざ)をばまけば 隣(つ)が鰻(うなっ) [植村聴診器]」「親父 (とと)ん小言(ぐ)ぜ 鋤焼(すっきゃっ)なんだ 味(あっ)も無(の)し [樋口一風]」

すっさくい・すっさくっ:叩く

ずっさらし:だらしない 「退職(やめ)た当初(はな) 良(よ)か庭面(にわつら)も ずっさらし [尾崎若狭]」

すっさろ・すっさわろ:なにくそ 「すっさろち 奥歯(おっば)を噛(か)んじゃ 句を捻(ひね)っ[澤津乙名]」

すったあろ:なにくそ 「すったあろ 負けがないかち 空を見(み)っ [塚田黒柱]」「すったあろ 一(いっ)か八(ばっ)かで 宝籤(く)ずば買(こ)っ [堂園三洋]」

すったい:ひどく・大層 「野次(やじ)いかて すったい疲(だ)れた 新米 (しんめ)野党(やと)[田原大黒]」「カメラ呑(の)み すったい疲(だ)れた 胃の検査 [上原野風呂]」

すったすった:すたすた・雫が落ちるさま

すったろ:なにくそ 「すったろち 四年後を誓(ち)こ 銀メダル [小森寿星]」

すっちげ:筋違い

ずっちゃんこ:頭の大きいこと 「大頭(ずっちゃんこ) 見かけにゃよらじ 中は空洞(うと)[佐土原 隆]」「ベビー帽子(ぼ)す ちょこっ乗せちょい 大頭(ずっちゃんこ) [森山厚香]」

すっな:するな 「無理(むい)すっな 言(ちゅ)どん仕様(しよ)ん無(ね) 一人(ひとい)住(ず)め [樋渡草団子]」 「気いすっな 言(つ)て噂をば 置(え)て帰(もど)っ [樋口一風]」

すっなか:少ない 「上手(じょし)な字ん 割(わ)いな少(すっ)なか 祝金(つつんぜん) [田辺長作]」

ずっなか・ずっね:ずるい 「やい手じゃが 油断なでけん 狡(ずっ)ね奴(わろ) [有川南北]」「狡(ずっ)ね 女房(かか) 通帳(かえ)あ全部(すっぱい) 我(わ)が名義(なめん) [おんじょどい]」

すっね:少ない 「年金日 貰(も)れは少(すっ)ねが 暦(こよ)み丸 [樋之口墨矢]」「騒動(そど)をした 割(わ) いなメタルん 少(すっ)ね数(かっ) [渡辺比呂子]」

すっのない・すっのなっ:少なくなる 「欲得(よっとっ)が 少(すっ)のなったや 惚(ぼ)けがきっ [新地十意]」 「少(すっ)のなっ 喜寿で終(し)めした クラス会 [小森寿星]」

すっぱい:すっかり、全部 「管巻(じじら)亭主(てし) 家族(けね)をすっぱい 敵(て)き回(ま)えっ [平中小紅]」 「難儀(みご)え事(こ)た 全部(すっぱい)主人(とと)い 任せきっ [吉丸セツ子]」

すっぱすっぱ:すぱすぱ・煙草を続けざまに吸うさま

すっばら:空きっ腹 「空腹(すっばら)い 遅(お)せち叱(が)られた 出前持(でまえも)っ [福冨野人]」「家族 (けね)揃(そろ)っ 空腹(すっばら)で行(い)っ バイキング [江口紫朗]」

ずっぷい:びっしょり

すっぺ:全部・ことごとく 「肥(こ)ゆい筈(はっ) 主婦業(しゅふぎょ)は全部 (すっぺ) 亭主(て)しさせっ[鶴田昌憙]」

すっぽぬくい・すっぽぬくっ:抜ける

すっぽぬっ:引き抜く

すづら:手ぶらで人の家に行くこと 「よか度胸 素面(すづら)抱(かか)えっ 招待(しょゆ)い来(き)っ [西 幸子]」

ずて:胴体・胴 「ごったまし 胴体(ずて)で出費(だしめ)あ 蚤(のん)の肝(きも) [堂脇 進]」「胴体(ずて)一杯 (いっぺ) 飾(かざ)っ馬(うんま)ん 可愛(む)ぜ踊(おど)い [村田子羊]」

ずでかっ:自在鉤 「灰(へ)で磨(み)げた 自在鉤(ずでかっ)の艶(つや) 婆(ば)の自慢(おぎら) [市来流星]」

すどおい:素通り 「可愛(む)ぜ声い 素通(すどお)や恥(げん)ね 募金箱 [西 幸子]」「赤提灯(あかちょちん) 乏(とぼ)し小遣銭(こつけ)じゃ 素通(すど)ゆしっ [石塚律子]」

ずな:砂 「女房(かか)を相手(えて) 砂(ずな)を噛(か)んよな 倦怠期 [田中栄泉]」「金(ぜん)要(い)らん 砂 (ずな)が土産ん 甲子園 [堂園三洋]」

ずなめ:メダカ

すにっ・すぬっ:引き抜く 「釣銭(ついせん)ぬ 隠(か)きた臍繰(へそく)ゆ 婆(ば)が引抜(すに)っ [鶴田昌憙]」 「亭主(とと)ん財布(ふぞ) 素抜(すに)っ札(さ)ちゃ無(の)し 逆(ぎゃ)き入(い)れっ [原田菊男]」

すねい・すねっ:拗ねる 「禿(は)げんでち 約束(やっじょ)したかち 拗(す)ねい夫(とと) [岩崎美知代]」 「魚(いお)嫌(ぎ)れが 鱗(いこ)ん一(ひと)っで きし拗(すね)っ [中村雲海]」

すのむん・すのもん:酢の物 「お目出度(めでた)か 多(う)え酢の物(もん)の 嫁い勘(かん) [諸木小春]」

すば:唇 「唇(すば)迄(ず)やち 覚悟(かっご)を決めっ 初デート [楠八重渓流]」「女房(かか)ん口(く)ち 言負(ゆま)けた唇(すば)が 攣(つ)いでけっ [上籠若菜]」

すばえ:素早い 「平常(かね)ちゃ疎(う)て 女房(かか)が浮気にゃ 素早(すば)え勘 [上山天洲]」

すばこ:暴れる

すばしけ:すばしこい・敏速である

ずばっ:沢山(たくさん) 「献血(けんけっ)の晩(ばん)な血液(ち) 作(つく)い沢山(ずばっ)飲(ぬ)ん[中村雲海]」「沢山(ずばっ)撒(め)た安(や)し義理(ぎい)チョコで 鯛(て)を狙(ね)ろっ[上籠若菜]」

すばと・すばとっ:歩き回る・飛跳ねる 「すばと児(こ)い 衣服(いしょ)を着(き)すちゅちゃ 家族(けね)は騒動 (そど) [吉永一心]」「跣(はだ)しなっ 浜をすばとた 里戻(さともど)い [かずら]」

すばべん:口紅 「唇紅(すばべん)が 派手(は)でないでけた パート女房(かか) [仮屋一発]」「唇紅(すばべん)な 亭主(てし)の好(この)んの 色を買(こ)っ [江口紫朗]」

すひくい・すひくっ:煤ける

すびっ:歯がしみる

ずべ:土手・堤 「朝散歩 土手(ずべ)ん花かあ 秋(あっ)の匂(かざ) [西 萌]」「胡蝶蘭 よっかも土手(ずべ)ん 花が好(す)っ [塚田黒柱]」

すべい・すべっ:滑る 「大臣に ないせかすれば 滑(すべ)い口(くっ) [片平桜子]」「麻生殿(どん) どもこも口 (くっ)が 横(よ)け滑(すべ)っ [諸木小春]」

すべくい・すべくっ:滑る 「座中(ざな)け撒(め)た 豆いすべくっ 額(ふて)にゃ瘤(こっ) [今井夢紫]」

すべらかす:滑らせる

すぼ:腹這う・身体を低くする 「雌伏(しふっ)じゃち 吐(か)やすがずっと 腹這(す)ぼた儘(ない) [濱川白馬]」 「豆学者(がっしゃ) 蟻(あい)観察(かんさっ)ち 地面(じ)で腹這(す)ぼっ [大重爆笑]」

すぼっけ:向こう見ずなこと 「男ん子 素木強(すぼっけ)あっで 傷(き)じゃ絶(た)えじ [崎山典子]」

すぼぬっ:こっそり抜け出す 「計算(さんにょ)前(ま)へ なれば素抜(すぼぬ)っ 吝(けち)な奴(わろ) [国生千鳥]」 「素穂抜(すぼぬ)こち すれば巻付(めち)ちょい 孫ん勘 [西浦大器]」

すぼまい:狭まる

すぼん:萎む

すますい:済ませる

ずまっ:胴巻き 「旅(たっ)支度(じたっ) 臍繰(へそく)や胴巻(ずま)き ずし挟(はす)ん [川村 明]」「暮れん 繰(く)い 爺(じ)は胴巻(ずまっ)かい ほいち出(で)っ [花園ちづ]」

すみと:子供抜きの夫婦 「素夫婦(すみ)てなっ 手抜(てぬ)っの料理(じゅい)で 黙(だま)っ食(く)っ[折田さくら]」「素夫婦(すみ)てなっ 気楽(きだっ)なこっち 温泉(ふろ)巡(めぐ)い [折田さくら]」

すめ:住まい・住居 「父親(ちゃん)が平(ひら) 子供(こ)ずい引け目ん 社宅(しゃたっ)住(ず)め [金井一馬]」 「一人(ひとい)住(ず)め 悩(なや)んな猫が 聞(き)っくれっ [西ノ園ひらり]」

ずめい・ずめっ:滑る 「提灯(ちょちん)とめ 溝い滑(ずめ)った 千鳥足(ちどいあし) [ゆめ路]」「山んバス 尻(し)ゆば揺(ゆ)さぶっ 横(よ)け滑(ずめ)っ [藤田てこ]」

すめっ:燻(いぶ)す 「牛小屋(べぶごや)い 笊(しょけ)ん団扇(うっば)で 蚊を燻(す)めっ [岩崎美知代]」

ずめっ:悪寒がする 「初霜(はっしも)い 悪寒(ずめ)っち女房(かか)が 這入(へく)っ来(き)っ [今釜三岳]」 「ずめっ時(と)きゃ 焼酎(しょつ)で寒気(さんけ)を 追散(うち)らけっ [横手五月]」

すも:相撲 「口(くっ)の傍(そ)べ コップが止(と)まい 激(はげ)し相撲(すも) [東 竜王]」「外国(がいこっ)の 力士が背負(かる)た 相撲(すも)人気 [おんじょどい]」

すもい・すもっ:燻ぶる 「燻(すも)い出(で)っ 挙句(あげ)きゃ火が付(ち)た 金バッジ [坂元鶴山]」 「堪(の)さんこっ 若島津ずい 燻(すも)いでっ [樋口一風]」

ずもい・ずもっ:吃(ども)る 「心易(ここいや)し 爺(じ)が吃(ずも)っ時(と)きゃ 大事(でし)な事(こっ)[猪俣南照]」「饒舌(しゃべい)ごろ 読(よ)ん方(か)てなれば 吃(ずも)いでっ [松下青雲]」

すもとい・すもといどん:力士・関取 「地球儀で 相撲(すも)取(と)いどんの 故国(くん)探(みし)け [松元清流]」

すもらすい・すもらくい:燻らせる 「風呂ん火を イーち短気が 燻(すも)らけっ [吉岡道場]」

すもん:吸物 「餅(もっ)が海老(え)ぶ 離(はな)さじ慌(せし)こ 吸物椀(すもんわん) [ひろ子]」「総入歯 (がんぶ)ゆば 餅(もっ)の吸物(すもん)が 揶揄(ちょく)らけっ [入来義徳]」

ずや:牢屋 「DNA(ディーエヌエ) 牢屋(ずや)から無実(むじ)つ 帰還(もど) らせっ」「怖(こ)え麻薬(まやっ) スターを牢屋(ずや)い 引張(そび)っ込(く)ん [津留見一徹]」

すゆい・すゆっ:据える 「床とけ据(す)ゆっ 言(ちゅ)たて嫁(き)たなあ 床(とこ)は無(の)し [隈元三植]」 「座布団が 悲鳴(ひめ)ゆあぐそな 尻(し)ゆ据(す)えっ [上山天洲]」

すよ:長男・総領 「わがじゃ敷(し)っ敷(し)かるんなよち長男(すよ)は 叱(が)っ[種子田 寛]」「両親(ふたおや)を 産んだよな議(ぎ)を 吐(かや)す長男(すよ)[猪俣南照]」

すよどんどん:長男の腑抜け 「一粒種(さんのくそ) 長男(すよ)殿殿(どんどん)に 育(お)やされっ [岩崎美知代]」

すよむいめ・すよむしめ:長女

ずるっ:全部・ありったけ 「無(な)か品(しな)は全部(ずるっ)じゃったち 商売(あっね)上手(じょし)[佐伯山神]」「寝(ね)った真似 親ん本音を 全部(ずるっ)聞(き)っ[今井夢紫]」

すれる:過ぎる 「還暦(かんれっ)と 古希を過(す)れたや 直(じ)き米寿 [上瀬明星]」

すわい・すわっ:座る 「狭(せ)べ隙間(すっ)め 大尻(うじ)ゆ押し込(こ)ん 座(すわ)い乗客(きゃっ) [永徳天真]」 「見合(みえ)ん座(ざ)い 床屋ん匂(にえ)も 付(ち)て座(すわ)っ [東 こっ風]」

すわっ:据わる 「目が据(すわ)っ どすが利(き)けちょい 喧嘩鶏(けんかどい) [上籠若菜]」「いざ言(ちゅ)時 (と)き 度胸(どきょ)が据(すわ)った いっも妻(かか) [満留ぐみ]」

すわぶい・すわぶっ・すわぶる:しゃぶる 「すわぶい」(キス・接吻) 「 接吻(すわぶい)の 引金(ひっがね)なった 虫の声[永徳天真]」「大方(あらかした) 吸(す)わぶってかあ ポチん餌(えさ) [桑元行水]」

すわらすい:座らせる 「巨漢(うど)息子(むしこ) 亭主(とと)は叱(が)いかて 座(すわ)らせっ [内村風鈴]」 「肩書(かたがっ)が 女房(かか)ずい上座(かん)ぜ 座(すわ)らせっ [松元清流]」

すん:住む 「食(く)て飲んで 住(す)ん家(え)もあって 物足(ものた)らじ [松元清流]」「息子(こ)と住(す)んか 一人(ひとい)で居(お)いか 今日(きゅ)も迷(まよ)っ [弓場正巳]」

すん:済む 「若君(わかぎみ)は 億(おっ)ち小遣銭(こつけ)も 知(し)たじ済(す)ん [桑元行水]」「度忘れで 済(す)ん内(う)ちゃ良(よ)かが 将来(さっ)が心配(せわ) [新地十意]」

すん:炭 「長(な)げ電話 魚(いお)ん形(かた)儘(まま) 炭(すん)になっ [瀬戸口湯気]」「落ち葉焚(た)っ 忘れた 唐芋(かいも) 炭(すん)になっ [永徳天真]」

すん:墨 「不器用(ぶちほ)女房(かか) 眉毛(めげ)を片々(かたかた) 墨(すん)ぬ引(ひ)っ [北山如無]」 「露(ち)で擦った 墨(すん)で書(け)たどん 下手あ下手」

すん:隅 「目を瞑(つぶ)っきた 塵(ご)ま隅(すん)に 一(いっ)センチ [石塚律子]」「役替(やっが)わい 議垂(ぎた) れも隅(すん)で ぐっ言(ちゅ)わじ [山田竜生]」

すんくじら:隅・片隅 「肥満(だんべ)女房(かか) 隅(すん)くじらでん 目立(めだ)っちょっ [小城るい女]」 「異議有りち 隅(すん)くじらかい 横(よん)ごん議(ぎ) [堂園三洋]」

ずんなか・ずんね:うるさい 「ずんね文句(ぐぜ) 大概大概(てげてげ)聞(き)ちょい 亭主(とと)ん耳(みん) [かぼす]」

ずんだるい・ずんだるっ:服装が乱れる 「好青年(よかにせ)も 着物(いしょ)を着(き)すれば ずんだれっ [樋之口墨矢]」「ずんだれっ 里帰(もど)っくんなち 母親(かか)ん見栄 [西 幸子]」

ずんだれ:しまりのない・だらしない 「見(み)ろ容姿(よし)も 無(な)かずんだれを 流行(はやい)言(ちゅ)っ「植村聴診器」」「欲(ほ)し一票(いっぴゅ) ずんだれ婆(ばば)ん 手も握っ [津留見一徹]」

すんて:住む人・住人

すんにっ:引き抜く

すんぬくい・:すっぽ抜ける

ずんばい:沢山 「日帰(ひげ)い旅(た)び 沢山(ずんばい)持った 常備薬(じょうびやっ) [猪俣南照]」 「沢山(ずんばい)の 良(よ)か友達(ど)し恵(のさ)っ 今があっ [塚田黒柱]」

ずんべい:滑る・滑り落ちる

すんぽ:寸法 「母(はほ)ん勘 寸法(すんぽ)も採(と)らじ 子ん浴衣 [米元伝喜]」

すんやっ:炭焼き