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狂句道場

表記の基本 (「渋柿」第669号より) 永徳天真

今回は助詞の送りがなを中心に薩摩郷句での表記の基本を復習してみたいと思います。
手術台(しゅじゅつだ)い 上(あ)がってかあも 郷句(く)を捻(ひね)っ
(手術台に上がってからも郷句を捻る)

恋敵(こいがた)き 今なあ呉(く)るっ 倦怠期
(恋敵に今なら呉れる倦怠期)

*この2句の共通点は、上五部分の助詞「に」の方言での表記の仕方です。この表記ではいくつかの形がありますので、その例を次のように示します。

1、助詞「に」の前の言葉の語尾が、ア段音・オ段音の場合(朝(あさ)・明日(あした)・鼻(はな)・皿(さら)・鯖(さば)・箱(はこ)・過疎(かそ)・後(あと)・孫(まご)など)
(共通語→方言→短縮の方言の順です)
車(くるま)に乗(の)る→車(くいま)い乗(の)っ→車(くい)め乗(の)っ
外(そと)に出(で)る→外(そと)い出(で)っ→外(そ)て出(で)っ
*このように短縮の方言では、車の語尾の「ま」が「め」に、外の語尾「と」が「て」にというように、その行のエ段音が送りがなとなり、助詞「に」の働きをすることになります。

2、助詞「に」の前の言葉の語尾が、イ段音・エ段音の場合(駅(えき)・口(くち)・旅(たび)・店(みせ)・船(ふね)・夢(ゆめ)・壁(かべ)など)
先(さき)に行(い)く→先(さき)い行(い)っ→先(さ)き行(い)っ
雨(あめ)に濡(ぬ)れた→雨(あめ)い濡(ぬ)れた→雨(あ)め濡(ぬ)れた
*このように短縮の表記では、先の語尾「き」や雨の語尾「め」がそのまま送りがなとなり、助詞「に」の働きをすることになります。

3、その他
電車(でんしゃ)に乗(の)る→電車(でんしゃ)い乗(の)っ→電車(でん)しぇ乗(の)っ
電話(でんわ)に出(で)る→電話(でんわ)い出(で)っ→電話(でん)うぇ出(で)っ
前(まえ)に聞(き)いた→前(まえ)い聞(き)た→前(ま)へ聞(き)た
部屋(へや)に入(はい)る→部屋(へや)い入(はい)っ→部屋(へ)へ入(はい)っ
*「何処(ど)け行(い)っとよ」「町(ま)ち行(い)たっくっで」のように、日常の話し言葉では、助詞「に」を短縮した形でよく使われています。いろいろな言葉を並べて、この助詞「に」の表記について考えるのも、一つの勉強法だと思います。
合格(うか)ったや 一年分(いっねんぶん)の 鼾(いび)くけっ
(合格したら一年分の鼾をかく)

*この句では、下五部分の助詞「を」の方言での表記に注目です。助詞「を」の方言での短縮の形は、次のような助詞「を」の前の言葉の語尾が、イ段音とウ段音の場合に限られています。(駅(えき)・足(あし)・口(くち)・春(はる)など)
駅(えき)を出(で)る→駅(え)く出(で)っ[駅(え)きょ出(で)っ]
足(あし)を洗(あら)う→足(あ)す洗(あ)るっ[足(あ)しょ洗(あ)るっ]
口(くち)を挟(はさ)む→口(く)つ挟(はす)ん[口(く)ちょ挟(はす)ん]
春(はる)を待(ま)つ→春(は)ゆ待(ま)っ
*したがって、助詞「を」の前の言葉の語尾が、ア段音・エ段音・オ段音の場合は、短縮されないので、「傘(か)さ借(か)っ」「店(み)せ出(で)っ」「外(そ)と見(み)っ」などの表記は間違いになります。

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