中村雲海 |
焼酎瓶(そつびん)が 旅(たっ)の鞄に 無(の)して騒動(そど) |
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そいも性格(たっ) うんにゃが言(ゆ)えじ 役(や)く負(か)るっ |
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晩に爪 切(き)っといかんち 婆(ばば)が騒動(そど) |
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美事(みご)つ咲(せ)た 椿(つば)き目白(はなし)が 接吻(キッス)攻(ぜ)め |
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飢(ひだ)り鵯(ひよ) 墓ん菊花(きっばな) 坊主頭(ぼ)じなけっ |
有川南北 |
人間ち 何故(なし)てこげんも 諍(いさ)け好(ず)っ |
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苛め言(ちゅ)が 宅(やど)は平和な 女房(かか)天下 |
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体罰(たいば)つば 食(く)たか部長(ぶちょ)さあ 爪ん傷(きし) |
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火の車(くい)め またガソリンの 値が上(あ)がっ |
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郷中(ごじゅ)ん役(やっ) 暫時(いっとっ)言(ちゅ)たて 二十年 |
弓場正己 |
辞令前 情報が飛(つ)っ 湯沸し場 |
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還暦(かんれっ)も 古希もローンが 追(う)て回(まわ)っ |
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爺(じ)が散歩 碁仇(ごかたっ)が家(え)で 足(あ)しゃ止(と)まっ |
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婆(ば)が口(くっ)が 減れば病(やんめ)ち 心配(せわ)を焼(え)っ |
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大学(だいがっ)が 合格(うか)った日から 職(しょっ)探(みし)け |
堂園三洋 |
鼻歌で 婆(ばば)と買物(けもん)の 年金日 |
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肥満(だんべ)女房(か)け がっつい可哀相(ぐら)し ハイヒール |
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散髪代(つんちん)も 馬鹿(ば)けならんどち 乱髪(やんかぶ)っ |
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年甲斐も 無(の)してチャンネル 婆(ば)と奪合(ばこ)っ |
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スタイルも 顔(つら)も満点 隣(つっ)の奥様(こじゅ) |
永徳天真 |
はしとせち ずんだれ亭主(とと)が 子をば叱(が)っ |
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茶一杯(ちゃいっぺ)ち 言(ゆ)たばっかいに 長尻(ながじ)客(きゃっ) |
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今日(きゅ)はデート 良(ゆ)う光らせた 美事(みご)て禿 |
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出歩(でさる)かじ 肥(こ)ゆい一方(いっぽ)ん 炬燵番(こたっばん) |
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丼(どんぶい)も 食(く)ろそな勢(いっ)の 大食うぐれ青年(にせ) |
樋口一風 |
爺(じ)の箸戦(なんこ) ミニスカートん 股(ま)て負(ま)けっ |
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父(とう)ちゃんな 上手(じょし)ち煽(おだ)てっ 掃除(そ)ずさせっ |
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先生(せんせ)ゆば 俎板(まねた)い載せた 新任地 |
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一緒(ひと)ち寝(ね)っ 妻(かか)を裏切(うらぎ)っ 美人(シャン)の夢 |
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隣家(つっ)の子が 東大(とうだ)い合格(とお)っ 歯痒(はが)いママ |
天 |
極楽(ごくらっ)の 予約(よやっ)ち婆様(ばさま) お寺参(てらめ)い [中間紫麓] |
地 |
け忘(わす)れた 予約(よやっ)が救(すく)た 事故旅行 [下栗志乃] |
人 |
三月腹(みつっばら) 式場(しきじょ)ん予約(よや)く やれ催促(せず)っ [石塚律子] |
五客一席 |
品薄(しなうす)ち 予約(よや)く急(せ)かすい 商売(あっね)上手(じょし) [江口紫朗] |
五客二席 |
予約(よや)くした 割(わい)にゃ美味(うん)も無(ね) グルメ料理(じゅい) [新地十意] |
五客三席 |
予約(よや)くした つもいの彼女(おご)が 他人(ほ)け嫁(いた)っ [山元自在鉤] |
五客四席 |
予約(よや)くした 後(あと)で後悔(くけ)すい テレショップ [西ノ園ひらり] |
五客五席 |
過疎ん料亭(みせ) 予約(よや)かせんでん 閑古鳥(かんこどい) [小蓬原鯉太郎] |
選者吟 |
流行(はやい)風邪 予約(よや)くしたごっ 家族(け)ね食付(くち)っ |
横綱(東) |
○ |
湯はまだか 狼狽(ばたぐ)ろ父親(ちゃん)ぬ 叱(が)い産婆 [植村昭子] |
横綱(西) |
● |
手術(しじゅっ)後(あと) 初(はっ)めっの湯い 生(い)っ上(きゃ)がっ [弓場正巳] |
大関(東) |
○ |
競(せ)ろたごっ 足湯い並(な)るだ 大根足(でこんあし) [諸木小春] |
大関(西) |
● |
湯が先(さっ)ち 産婆さんべ叱(が)られっ 父(ちゃん)になっ [花園ちづ] |
関脇(東) |
● |
混浴(こんよっ)ち 言(ゆ)で飛(つ)っ行(い)たや 足湯じゃっ [山元自在鉤] |
関脇(西) |
○ |
湯をば飲(の)ん 酌(しゃ)くして回(まわ)い 出来(でけ)た下戸 [津留見一徹] |
小結(東) |
○ |
冷えきった 身体(から)で有難(あいが)て 湯の御馳走(ごっそ) [西ノ園ひらり] |
小結(西) |
● |
鵜呑(ぐの)みした 湯い狼狽(ばたぐ)ろた 薬(くすい)飲(の)ん [吉岡道場] |
筆頭(東) |
○ |
湯煙(ゆけむい)で 爺(じ)か婆(ば)か知(し)れん 露天風呂 [石塚律子] |
筆頭(西) |
● |
湯加減ぬ 聞(き)っ人(と)も居(お)らん 独居(ひとい)世帯(じょて) [萬福平次] |
二枚目(東) |
● |
足湯駅(えっ) 大根(でこん)比べで 賑(にっぎゃ)こし [樋之口墨矢] |
二枚目(西) |
○ |
逃(に)げられっ 煮え湯を飲んだ 不倫夫(とと) [樋口一風] |
三枚目(東) |
● |
湯の御馳走(ごっそ) 温(ぬ)りた得言(えゆ)わじ 礼(で)どん言(ゆ)っ [畑山真竹] |
三枚目(西) |
○ |
風呂ん湯を 半分(なから)いなけた 肥満(だんべ)女房(かか) [江口紫朗] |
四枚目(東) |
● |
九十(くんじゅ)爺(じ)が 湯のよな焼酎(しょちゅ)を 飲(ぬ)で元気 [二見愚楽満] |
四枚目(西) |
○ |
貰(も)れ風呂ん 温(ぬ)り湯ん皮肉(ひに)き 嚏(くしゃ)むしっ [米元年輪] |
五枚目(東) |
○ |
上(あ)がっどち 女房(かか)が叫(お)れじょっ 共同(きょうど)風呂 [有馬純秋] |
五枚目(西) |
● |
美人(シャン)の湯ち 長(な)ご浸(つか)っ 湯疲(ゆだ)れしっ [市来流星] |
六枚目(東) |
○ |
なまぬり湯 ひとくべ欲(ほ)しち 言(い)えん義理(ぎい) [西 幸子] |
六枚目(西) |
● |
湯ん中で 半端け眠(ねぶ)っ 怒鳴(くる)われっ [上山天洲] |
七枚目(東) |
● |
茶を飲めち 挨拶(えさっ)じゃろかい 湯は沸(わ)かじ [佐伯山神] |
七枚目(西) |
○ |
混浴(こんよっ)ち 楽(たの)しみ行(い)たや 猿(よも)と湯治(とっ) [楠八重渓流] |
八枚目(東) |
● |
旅先(たっさっ)の 無料(ただ)ん足湯で 湯治(とっ)気分 [おんじょどい] |
八枚目(西) |
○ |
湯煙(ゆけむい)が おさいじゃんせち 温泉郷(おんせんきょ) [今井夢紫] |
親方吟(東) |
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混湯(こんゆ)言(ちゅ)で 喜(よろ)くっ行けば 定休日 [伊地知 孝] |
親方吟(西) |
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湯が多(う)けち 言(ゆ)どん十杯(じゅっぺ)じゃ 過(す)ぎい焼酎(しょちゅ) [満留ぐみ] |
枦山竜胆 |
西瓜(すか)を切(き)い 手元(ても)ち兄弟(きょで)して 目を据(す)えっ |
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太鼓(てこ)三味線(しゃん)の 裏でパートは 茶碗洗(あ)る |
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喋(しゃべ)い女房(か)け 口(く)ちゅば修繕(こそく)い 術(じゅっ)も無(の)し |
畠中速男 |
取付(といつっ)が 悪(わ)りが語(かた)れば よか巡査 |
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愛情(ぼんの)どま 無(な)かろそな態(ふ)で 叱(が)いたくっ |
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お月様(つっさ)へ 二人(ふたい)の秘密(ひみ)つ のぞかれっ |
浜田一銭 |
禿ん亭主(て)し そっち日傘を 差(さ)しかけっ |
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女房(かか)ん化粧(けしょ) 唇(すば)を曲(ま)げたい 突(つ)っ出(で)たい |
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退職(やめ)たなあ 女房(おかた)ん用事(ゆし)で こなされっ |
浜田絡繰 |
亭主(とと)ん能(ぬ)は 女(おなご)口説(くど)っと 焼酎(しょちゅ)ん燗 |
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知(し)たん態(ふ)で 姑(かか)い習(な)るちょい 利口(じく)な嫁 |
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朝寝女房(かか) 髪(かん)なギッタで ざっ縛(きび)っ |
林 学釣 |
仏壇(ぶっだん)に 孫が行(い)っ度(た)び 葡萄(ぶど)が減(へ)っ |
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化粧瓶(けしょびん)な 多(う)けどん顔(つら)は ぱっとせじ |
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浜蟹(はまがね)も ビキニい慣(な)れっ 見向(みむ)かせじ |
林 夢太郎 |
目張(めば)い障子(しょし) 花も咲(せ)ちょれば 星もあっ |
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味噌作(つく)い 破れ毛布(ケット)も 役(や)くもろっ |
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くずれ妻(かか) 金(ぜん)せか見れば 機嫌(ごっ)が良(ゆ)し |
東 竜王 |
犬(いん)と猫 どっちも異動(いど)で 縒(よ)ゆ戻(も)でっ |
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飯(めし)支度(じたっ) 妻(かか)が居(お)らんと どもならじ |
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留守(ずし)電話(でん)うぇ 唐芋(かいも)普通語(ふつご)で 女房(かか)は言(ゆ)っ |
引地砂蒸 |
胃の検査(けん)せ 餓死(ひじ)んそな態(ふ)ん 大食(うぐ)れ亭主(とと) |
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床ん間(ま)ん 掛軸(かけじ)か年中(ねんじゅ) 鶴が舞(も)っ |
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折詰(おいづめ)が 尻(しい)で調子(ちょ)すとい 千鳥足(ちどいあし) |
久永時盛 |
昼寝(ひんね)牛(べぶ) 尻尾(しいぼ)は寝(ね)せじ 蠅(へ)どん追(う)っ |
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盆踊(ぼんおど)い 幼女(ちび)も大人(おせ)並(な)み 腰(こ)すば振(ふ)っ |
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赤字線 魚売(いおう)ゆ一人(ひとい) 駅(え)き降(お)れっ |
肱岡月汀 |
迫ん太郎(たろ) たっぽたっぽち 春(は)よ告(つ)げっ |
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妙円寺(みょえんじ)詣(め)い 横井(よけ)ん甘藷飴(げせん)で 息(い)く入(い)れっ |
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婆(ばば)芸者 辺輪(へわ)い似たよな 髷を結(ゆ)っ |
日高九百坪 |
金(ぜん)な強(つ)え ごろいと美人(シャン)ぬ 女房(おか)てしっ |
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長病(ながやん)に 蛍(ほた)ゆ捕(と)っきて 蚊帳(か)へ入(い)れっ |
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育児(こそだて)は とんじゃか無(な)かて ピーピ産(う)ん |
日高山伏 |
自動車(くいま)でな 来(く)んなち布令(ふれ)い にたっなっ |
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魔がせたち 言(ゆ)どん色事(いろご)ちゃ 親譲(おやゆず)い |
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番地ずい 書(け)たて傘わろ 戻(もど)っこじ |
平中小紅 |
舵取(かっと)いが 慣(な)れっ面白(おもし)て 横(よん)ご亭主(てし) |
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燃えた日が 嘘ん如(ご)っあっ 倦怠期 |
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亭主(とのじょ)とな 違(ち)ごたタイプい 燃えでけっ |
努力(どりょ)きゃせじ 娘(おご)は待(ま)っちょい 王子様 [中囿和風] |
休肝の 前で女房(かか)奴(わろ) 娘(こ)とワイン [工藤天然] |
春(は)いなって 着膨れじゃ無(ね)ち 発覚(ばれ)た女房(かか) [萬福平次] |
退職(やめ)っかや 偶数月(づっ)が 待(ま)っ長(なご)し [小蓬原鯉太郎] |
新婚の 順に団地ん 灯(ひ)が消(き)えっ [福田鹿角] |
婿も良(え)が 姑御(しゅとじょ)が良(よ)かで 娘(こ)をば嫁(や)っ [大保十紫子] |
短気者(たんきもん) 釣(つ)れんな海(うん)ぬ 掻(か)っ混(ま)ぜっ [大野彦星] |
転勤も 行(い)っ先(さ)く聞(き)たや 笑(わ)れが止(や)ん [内村仏心] |
着払(ちゃっば)れん 初荷が届(と)じた 酔(えく)れ亭主(とと) [前村泰山] |
女房(かか)と俺(お)や 絆言(ちゅ)よっか 腐れ縁 [工藤天然] |
混浴(こんよっ)ち 喜(よろ)くっ行(い)たて 女房(かか)も居(お)っ [吉岡道場] |
利口(じく)な孫 小遣(こつ)けち言(ゆ)わじ 肩を揉(も)ん [永徳天真] |
説教(せっきょ)よか 母(はほ)ん涙(なんだ)が 子いな効(き)っ [萬福平次] |
御苦労様(ごくろさあ) 社長(しゃちょ)が酌(しゃ)くすい 社員旅行(りょこ) [前田一天] |