中村雲海 |
女房(うっかた)を 仕込(しく)だた昔 今家来(けらい) |
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正五九(しょうごく)ん お祓(は)れあ大事(でし)ち 家族(けね)で参拝(め)っ |
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指導(しど)はせじ 先輩顔(づら)ん 吝嗇(けち)な心根(ねしゅ) |
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見れば買(こ)け 走(はし)っで宣伝紙(チラ)しゃ 塵(ちり)い出(で)っ |
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プレッシャが 取れて輝(かがや)っ 退職(やめ)た亭主(てし) |
有川南北 |
温暖化 言(ちゅ)どんやっぱい 冬(ふ)や寒(さむ)し |
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駅伝が 一足(ひとあし)早(はや)か 春(は)ゆ告(つ)げっ |
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寝付(ねち)た嬰児(こ)を 春雷(はいかんなれ)が 目覚(おず)ませっ |
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ハクションと 一緒(ひと)ちひん出た 爺(じ)の入歯 |
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痛(い)て真似ん 灸(やいと)で幼児(ちび)を 怖(びび)らせっ |
弓場正己 |
女房(か)け向(む)こっ ごめんち言(ゆ)とは 何時(いっ)も亭主(てし) |
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新(に)けトイレ ボタンぬ全部(ずるっ) 押(え)て大騒動(うそど) |
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死刑言(ちゅ)た 裁判員な 鬱(うつ)いなっ |
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喧嘩凧 好(す)かん奴(て)態(わざ)と 絡(から)ませっ |
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円卓(えんたっ)も 社長(しゃちょ)ん両脇(りょうわ)か 席(せっ)が空(え)っ |
堂園三洋 |
日記をば 今年(こと)しゃしっかい 書(か)こち買(こ)っ |
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交互(かたいご)ち 婆(ば)と転倒(はんと)くい 弱々(よと)し身体(ごて) |
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隣(つっ)の亭主(て)しゃ 課長(かちょ)じゃが宅(やど)は 只(ただ)ん平(ひら) |
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ロボットい 掃除(そっ)どまさせっ ドラマ見(み)い |
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美人(シャン)じゃっち 威張(いば)っちょっどん 将来(やが)ちゃ婆(ばば) |
永徳天真 |
恥(げん)ねこっ 亭主(て)す叱(が)い声が 道(み)ち漏(も)れっ |
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星(ほ)す浴(あ)びっ 気分最高(さいこ)ん 露天風呂 |
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イケメンの 色気い女房(かか)も 逆上(のぼ)せちょっ |
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小(こ)め怪我で 済(す)ん後塞(あとぜっ)の 交通事故(こうつじこ) |
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良(よ)か説法(せっぽ) 聞(き)たが現実(げんじ)ち 流(なが)されっ |
樋口一風 |
神様(かんさあ)が こっちを向(む)かじ 不合格(ひっちゃ)えっ |
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爺婆(じいばば)ん 愛情(ぼんの)を背負(かる)た ひな人形(にんぎょ) |
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二日酔(ふっかえ)あ 昨夜(ゆべ)ん記憶(きお)くば 繋(つ)ねっみっ |
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縁談(もればなし) 焼酎(しょちゅ)が入(い)ったや 揉(も)めでけっ |
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まだ早(は)えて 飲兵衛(のんべ)あ花見(はな)む 組(く)ん立(た)てっ |
天 |
曲(ま)がい角(か)で 来たか化粧(けしょ)しも 念(ねん)が入(い)っ [吉岡道場] |
地 |
済んだ事(こ)つ 後で議(ぎ)を言(ゆ)う 臍曲(へそま)がい [満吉満秀] |
人 |
太(ふ)て孟宗竹(もそ)を 弓形(ゆんな)い曲げた なごい雪(ゆっ) [津留見一徹] |
五客一席 |
右(み)ぎ余計(じんじ) 曲(ま)がっ行(い)こそな 次(つっ)の首相(しゅしょ) [石塚律子] |
五客二席 |
頑固(いっこっ)爺(じ) こけも居(お)ったか 道(み)つ曲(ま)げっ [中間紫麓] |
五客三席 |
バスん尻(し)や 宙(そ)れ舞(も)ちょいよな いろは坂 [今井夢紫] |
五客四席 |
迫田植(さこだう)え 畦(あぜ)い合(お)たごっ 上手(じょ)じ曲(ま)げっ [楠八重渓流] |
五客五席 |
曲(ま)がい腰(こ)しゅ 伸(の)べちゃ小走(こばし)い 婆(ば)のゲート [北村虎王] |
選者吟 |
冬季(ふ)いなれば 降灰(へ)も鹿屋せえ 曲(ま)がっ訪(き)っ |
横綱(東) |
● |
朝帰(あさもど)い 三つ指(ゆっ)の女房(か)け 身震(みぶ)れしっ [おんじょどい] |
横綱(西) |
○ |
隣(つっ)の火事(か)じ 身震(みぶ)れが止(や)まじ 夜(よ)が明(あ)けっ [中間紫麓] |
大関(東) |
● |
浮気をば 身震(みぶ)れをすいめ 詰(なじ)い女房(かか) [澤津乙名] |
大関(西) |
○ |
内視鏡(ないしきょ)い 身震(みぶ)れをさせた 爛(たんだ)れ胃 [津留見一徹] |
関脇(東) |
○ |
出た後(あと)ん トンネル事故い 身震(みぶ)れしっ [入来創雲] |
関脇(西) |
● |
滝(たっ)飛沫(しぶ)く 被(かぶ)っ寒(かん)修行(しゅぎょ) 身震(みぶ)れしっ [市来流星] |
小結(東) |
● |
境(さけ)諍(いさ)け 相手(えて)ん剣幕(けんま)き 身震(みぶ)れしっ [新地十意] |
小結(西) |
○ |
寒稽古 身震(みぶ)れしながあ 海(う)み浸(つか)っ [樋口一風] |
筆頭(東) |
○ |
ちんがらっ なった車(くいま)い 身震(みぶ)れしっ [佐伯山神] |
筆頭(西) |
● |
凄(わ)ぜ色気 身震(みぶ)れすいよな 女形(おんながた) [楠八重渓流] |
二枚目(東) |
● |
臆病者(やっせんぼ) 破れ提灯(ちょちん)に 身震(みぶ)れしっ [郷田悠々] |
二枚目(西) |
○ |
白(しろ)か息(い)き 身震(みぶ)れも伴(ての)だ 露天風呂 [白澤黒猫] |
三枚目(東) |
● |
孫と同名(ずっ) 身震(みぶ)れをさせた 車(くいま)事故 [北村虎王] |
三枚目(西) |
○ |
取(と)い締(し)まい ブレーキを踏(ふ)ん 身震(みぶ)れしっ [折田さくら] |
四枚目(東) |
○ |
拾(ふ)るた財布(ふぞ) 身震(みぶ)れすいよな 凄(わ)ぜ中身 [山元自在鉤] |
四枚目(西) |
● |
大穴ん 馬券に身震(みぶ)れ しでた奴(わろ) [米元年輪] |
五枚目(東) |
● |
日銀が アベノミクスい 身震(みぶ)れしっ [伊地知 孝] |
五枚目(西) |
○ |
グラグラっ 来たや身震(みぶ)れで 腰(こ)しゃ立(た)たじ [弓場正巳] |
六枚目(東) |
○ |
見(み)ちょい方(ほ)が 身震(みぶ)れをすそな 大(ふ)て注射 [樋之口墨矢] |
六枚目(西) |
● |
空ん旅(たっ) 着(ち)っ時(とっ)ぎいな 身震(みぶ)れしっ [前村泰山] |
七枚目(東) |
● |
溝(み)ぜ転倒(かや)っ 身震(みぶ)れをしでた 酔(よく)れんぼ [日隈英坊] |
七枚目(西) |
○ |
ひっかぶっ 夜中(よな)け身震(みぶ)れん 着替え騒動(そど) [今井夢紫] |
八枚目(東) |
○ |
身震(みぶ)れしっ 泣(な)っ子い鬼(おん)な 墨(す)む塗(なす)っ [西 幸子] |
八枚目(西) |
● |
堅物(かたぶっ)も 身震(みぶ)れが止(や)まん 胸ん谷(たん) [上薗佳笑] |
親方吟(東) |
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試飲ぬち 如何(いか)な二杯目(にへめ)ん 酢い身震(みぶ)れ [石塚律子] |
親方吟(西) |
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順番(ばん)が来(き)っ 身震(みぶ)れを仕出(しで)た 挨拶(えさっ)下手(べた) [吉岡道場] |
中間紫麓 |
また鬼(おん)に 園長(えんちょ)をなけて 豆で追(う)っ |
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注射よか 燗の良(え)焼酎(しょちゅ)が 風邪い効(き)っ |
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女風呂(おなごぶろ) 一杯(いっぺ)飲(ぬ)だよな わぜ語(かたい) |
中村雲海 |
骨と皮 目を離(はな)されん 切(せっ)ね看病(かびょ) |
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馬鹿じゃ無(ね)か 水(み)ずば飲(の)んでん 肥(こ)ゆい女房(かか) |
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焼酎(しょちゅ)工場(こう)べ 唐芋(かいも)が走(はし)い 秋(あっ)の街道(けど) |
西 タマミ |
郷中(ごじゅ)ん寄合(よ)ゆ 隅(すん)からこじいでた 横杵(よんご) |
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忙(せし)こかて 生(うん)まれたよな 世を暮(く)れっ |
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担売(いねう)いが 一息(ひとい)く入(い)るい 坂ん口(くっ) |
西迫順風 |
遠慮せじ 嫁もわが子ち 叱(く)る姑御(しゅとじょ) |
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箸(は)しょ投(な)げっ 手掴(てつが)み食付(くち)た 蟹(がね)ん料理(じゅい) |
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飛行場(ひこうじょ)い 絵符(えぼ)付(つ)っで来た 孫を抱(で)っ |
西園不動 |
初孫(はっまご)い 孟宗竹(もそ)も折(お)るいめ 鯉(こ)ゆつねっ |
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田草取(と)い 夕立(さだ)ちゃ臀(しい)かい 降(ふ)いかかっ |
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考(かん)げなし 借(か)った金(ぜん)じゃろ 夜逃げしっ |
西原未笑 |
初日の出 隣(つっ)の瓦も 新(に)こ見(み)えっ |
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妬(しょの)んよな 女(おなご)じゃなかち 女房(かか)を叱(が)っ |
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金(ぜん)が無(ね)や 安売(やすう)いずいも 縁が無(の)し |
新田フサ |
倦怠期 湯気(ほけ)出(だ)し女房(かか)も 飲(の)んけ出(で)っ |
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実家(さと)ん財(ざ)ゆ 笠い大法螺(うぎら)を 吐(か)やす嫁 |
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茶摘(ちゃつ)ん娘(おご) 毛虫(ほじょ)い肌脱(はだぬ)ぐ しっ大騒動(うそど) |
抜水凡々 |
雪(ゆっ)の朝 詩人気取(きど)っいで 縁(えん)に立(た)っ |
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面倒(めん)でこちゃ 地五郎(じごろ)任せで ひっ決(き)めっ |
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病人(びょにん)相手(えて) わがも時々(とっど)きゃ おかしゅなっ |
野口嫁菜 |
退職(やめ)たぎい 鏡(かがん)も見(み)らん 女房(か)けしなっ |
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気丈(きじょ)な後家 担棒(さし)で五人の 子を養育(おえ)っ |
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頭(びんた)かあ 寝冷えをすそな 見事(みご)て禿 |
野瀬小さん |
音んせん 花火(はなっ)じゃらよち 婆(ばば)が耳(みん) |
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結婚(といえ)当初(はな) 寝冷えをすそな 姿(よし)で寝(ね)っ |
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貰(も)れ風呂で 下着も洗(あ)るっ 歯痒(はが)い婆(ばば) |
野間小爺 |
汁(おっけ)鍋(な)べ 身投げアマメで 飯(め)さ空食(からぐ) |
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泥溝(みぞ)浚(さら)え 素手でやっ来て 星(ほ)すまえっ |
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語(かた)い好(す)っ 用事(ゆ)ざ帰(もど)っかあ 考(かん)げちっ |
野間口鈴女 |
知(し)たん間(こ)め 後妻(あと)い座った 茶飲(ちゃの)ん友達(どし) |
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皺ん中(な)け 幾坂(いくさか)越えた 仏顔(ほとけづら) |
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鍵(か)ぎょ掛(か)けじ 外出(で)てん心配(せわ)ん無(ね) 田舎住(ず)め |
枦山一球 |
代議士ん 郷里(さと)は街道(けど)ずい 美事(みご)つなっ |
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胃袋が 二つあろそな 肥満(だんべ)女房(かか) |
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納屋通(なやどお)い 短躯(じっくい)妻(かか)は 消(き)えどえっ |
職(しょっ)も無(の)し か言(つ)て永久(えいきゅ)ん 当ても無(の)し [楠八重渓流] |
内気人(いめじん)も 美人(シャン)にないっぺ 冗談(わや)く言(ゆ)っ [満吉満秀] |
切(き)れん剃刀(そい) 皮とめ顎ん ひげを剃(そ)っ [前原人力車] |
桜茶(さくらぢゃ)を 四十(しじゅ)ん手前で やっと飲(ぬ)っ [石塚律子] |
飲(の)んごろが 開花予報を 気いしでっ [米元年輪] |
素夫婦(すみ)てなっ 表札(ひょうさ)ち猫ん 名も入(い)れっ [工藤天然] |
豆撒(まめま)くば 天井(つし)で笑(わ)るちょい 貧乏神(びんぶがん) [江口紫朗] |
嫌(いや)じゃ無(ね)が そげん好(す)っでも 無(な)か亭主(とのじょ) [今井夢紫] |
願(ね)ごわれっ 嫁(き)て牛(べぶ)ん如(ご)っ 使(つ)こわれっ [岩崎美知代] |
飯(めし)の後(あと) デザートん如(ご)っ 多(う)け薬(くすい) [日隈英坊] |
子分限者(こぶげんしゃ) 誰(だい)か泣(な)かんな 済(す)まん飯(めし) [津留見一徹] |
辛(つ)れ別れ キスも半端で 発車ベル [樋口一風] |
爺(じ)の膝で あのねあのねち 可愛(も)ぜ相談(そだん) [鈴木芳子] |
短気者(たんきもん) 点滴(てんて)く自分(わが)で 早(は)よ落(お)てっ [満吉満秀] |
酩酊(きけ)たなあ 当初(はな)ん遠慮(しんしゃ)か 嘘んごっ [有川南北] |
禁煙ぬ 言(ゆ)てかあ十二支(えと)も 一巡(ひとめぐ)い [福原福多] |
エコじゃっち 雨水溜(た)めっ 蚊どん飼(こ)っ [江吟] |
多(う)け兄弟(きょで)も 介護ちなれば ひん逃(に)げっ [上別府印句] |