中村雲海 |
過ぎた人 言(ちゅ)ごった亭主(て)すば 尻(し)いけ敷(し)っ |
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人が減(へ)っ 鳥獣奴(わろ)が 増(いみ)っ騒動(そど) |
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選挙戦 第三極(だいさんきょっ)が 掻(か)っ混(ま)ぜっ |
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少(ちっ)と美人(シャン) 顔(つ)れ出(で)い性質(たっ)で まだ独身(ひとい) |
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特売場(とくばいじょ) 女房(かか)あ戦闘(せんと)ん 顔(つ)れ変(か)わっ |
有川南北 |
目出度(めで)て新春(はい) 今年(こと)しゃ賀状も 来(こ)ん喪中 |
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寒(さん)か朝 目覚時計(めざま)す止(と)めて また潜(もぐ)っ |
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通信簿 かった変(おか)しか アンケート |
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まだ十九(じゅうく) 嫁(や)ってな惜(てこ)ね 親煩悩(おやぼんの) |
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腹踊(はらおど)い 見手(みて)を全部(すっぱい) 絶倒(かや)らせっ |
弓場正己 |
亭主(て)しゃカレー 血統(ちすっ)の犬(いん)な 輸入(ゆにゅ)ん餌(えさ) |
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目を瞑(つぶ)っ 公務員なら 嫁(い)けち言(ゆ)っ |
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イルカショー 餌(えさ)が大(ふ)てとか 高(た)こ跳(は)ねっ |
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趣味ん会 言(ちゅ)たが行(い)た先(さ)か 赤提灯(あかちょちん) |
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里帰(さともど)い 新幹線ち 子が決(き)めっ |
堂園三洋 |
敬老席(けいろせ)き かった似合(にお)わん 達者な爺(じ) |
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好(す)っな娘(こ)が 嫁(よ)めはっ行(ち)たっ 娑婆は闇(やん) |
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少(ちっ)としか 貰(もろ)わんパーて 濃(こ)ゆ化粧(なす)っ |
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貧乏(びんぶ)じゃろ 綻(ほこ)れバッチを 着(き)ちょい娘(おご) |
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短(みし)けほど 良(え)とがお経と 娘(おご)んミニ |
永徳天真 |
釘(く)ぐ刺(せ)たて 案(あん)の定(じゅ)じゃった 早(は)え噂 |
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苦笑(にがわ)れで 聞(き)っとも疲(だ)るい あてこすい |
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風呂嫌(ぎ)れが あらつら洗(あ)るっ 最早(もへ)上(あ)がっ |
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デュエットを 俄(にわか)恋人(こいび)て なっ歌(う)とっ |
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学校(がっこ)せえ 子を送(おく)い出(で)っ 一休(ひとやす)ん |
樋口一風 |
元旦な 髪(かん)どん褒(ほ)めっ 妻(か)けも酌(しゃっ) |
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生(い)きちょった 証拠ん友(どし)の 賀状(がじょ)が来(き)っ |
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似顔絵い サービし髪(かん)ぬ 書(か)っ足(た)せっ |
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女湯(おなごゆ)い 一段(いっだん)響(ひび)っ 妻(かか)ん声 |
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サロンパス 剥(へ)っかあ夜(よん)の 蝶々(つつ)と会(お)っ |
天 |
木強(ぼっけ)女房(かか) 裸足(はだ)し百足(むかで)を 踏(ふ)んちびっ [米元年輪] |
地 |
早(は)よせえち 足踏(あしぶ)むしちょい 長(な)げ便所(まなか) [伊地知 孝] |
人 |
厳(きび)し娑婆(しゃ)べ 一歩踏(ふ)ん出(で)た 子ん巣立(すだ)っ [萬福平次] |
五客一席 |
免許取(と)い 角(かど)ん標識(ひょうし)く 踏(ふ)ん倒(た)えっ [新地十意] |
五客二席 |
お百度を 踏(ふ)ん母親(か)け励(はま)い 入試少年(にせ) [上薗佳笑] |
五客三席 |
二度三度 砂糖黍(き)ぶば台風(うかぜ)が 踏(ふ)ん倒(と)けっ [石塚律子] |
五客四席 |
うどん踏(ふ)み わっぜ精出(はま)った 偏平足(べったあし) [中間紫麓] |
五客五席 |
セクハラが 出世コースを 踏(ふ)ん外(は)じっ [澤津乙名] |
選者吟 |
癪(しゃっ)なデモ 国旗を足で 踏(ふ)ん千切(ちぎ)っ |
横綱(東) |
● |
爺(じ)の太(ふと)か 声をも一度(いっど) 聞(き)こごたっ [樋渡草団子] |
横綱(西) |
○ |
神経が 他人(ひと)ん倍(ばい)太(ふ)て 苦情係(くじょがかい) [米元年輪] |
大関(東) |
● |
太(ふ)て肝(きも)じゃ 蛇(へ)ぶば捕(つか)むい 転婆(いなば)娘(おご) [山元自在鉤] |
大関(西) |
○ |
太(ふ)て肝(きも)ち 持(も)っ上(ちゃ)げられっ 奮発(はま)っ寄付 [中間紫麓] |
関脇(東) |
○ |
酔(え)が醒(さ)めっ 肝(きも)太(ふ)つ払(は)るた 後悔(くけ)をしっ [諸木小春] |
関脇(西) |
● |
愚図(ぐず)い子を 太(ふ)て腕(う)で寝(ね)すい 子煩悩(こぼんのう) [津留見一徹] |
小結(東) |
● |
太(ふ)て足が 足湯い浸(つか)っ 弾(はず)ん法螺(ぎら) [入来創雲] |
小結(西) |
○ |
太(ふ)て大根(でこん) 選(え)って買(こ)たなあ 中あ空洞(うと) [市来流星] |
筆頭(東) |
● |
弥五郎(やごろ)どん 太(ふと)か眉毛(めげ)いも 濃(こ)い愛情(ぼんの) [西 幸子] |
筆頭(西) |
○ |
太(ふ)て綱で 川内(せんで)ん街道(けど)あ 沸(わ)っ返(かえ)っ [樋口一風] |
二枚目(東) |
● |
古(ふ)り写真 誠(まこ)ち恥(げん)なか 太(ふと)か足 [西ノ園ひらり] |
二枚目(西) |
○ |
フラダンス 派手を取(と)っちょい 太(ふと)か尻(しい) [今井夢紫] |
三枚目(東) |
○ |
太(ふ)て声ん 友達(どし)の寝言(ねごっ)で 寝(ね)やならじ [満留ぐみ] |
三枚目(西) |
● |
野良(はい)昼飯(ちゅはん) 大(ふと)か握り飯(にぎめ)しゅ 重箱(じゅ)い詰(つ)めっ [原田菊男] |
四枚目(東) |
○ |
酔(よく)れ亭主(とと) 近所い恥(げん)ね 太(ふ)て地声 [日隈英坊] |
四枚目(西) |
● |
太(ふ)て腕ん 割(わ)いな気力(あや)ん無(ね) 色男 [楠八重渓流] |
五枚目(東) |
○ |
小(こ)め炬燵(こた)ち 女房(かか)んなま太(ふ)て 足(ごて)が来(き)っ [畑山真竹] |
五枚目(西) |
● |
収穫(といあ)げた 女房(かか)ん足(あ)し似た 太(ふ)て大根(でこん) [満吉満秀] |
六枚目(東) |
○ |
過疎ん里(さ)て 真(まこ)ち目出度(めでた)か 大(ふと)か腹 [伊地知 孝] |
六枚目(西) |
● |
大(ふ)て乳房(ちち)い 赤児(あかご)あ息(いっ)が 出来(でけ)じ騒動(そど) [石野蟹篭] |
七枚目(東) |
● |
土俵際(どひゅぎわ)で 太(ふ)て人(と)をぐりっ 投(な)げ飛(と)べっ [新地十意] |
七枚目(西) |
○ |
寝(ね)やならん 言(ちゅ)う割(わ)い女房(かか)ん 大(ふ)て鼾(いびっ) [福冨野人] |
八枚目(東) |
● |
太(ふと)っちょが 好(す)っ言(ちゅ)で食放題(くほで)食(く)っ 糖尿病(とうにょ) [諸木小春] |
八枚目(西) |
○ |
大(ふ)て胸を せっぺ遊(あ)すじょい 聴診器 [上薗佳笑] |
親方吟(東) |
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野太(のぶ)て声 コーラし邪魔ち 追出(うだ)されっ [石塚律子] |
親方吟(西) |
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太(ふと)か首(く)び ひっぱしろそな ネックレス [吉岡道場] |
何(なん)言(ちゅ)てん 金(ぜん)が一番(いっばん) 言(ゆ)こつ聞(き)っ [吉岡道場] |
挨拶(えさ)ちゃ 大概(てげ)爺家(じげ)へ来た用事(ゆ)じゃ ぽち袋 [今井夢紫] |
もう逝(い)たろ 思(と)もでち出(だ)さん 年賀状 [前田あやめ] |
晩酌(だいやめ)ん 膝を奪合(ばこ)ちょい 猫と孫 [石野蟹篭] |
短躯(じっくい)が 吊った注連縄(いぎれ)あ 首(く)び掛(か)かっ [中村雲海] |
手袋ん 糸を引(ひ)っ出(で)た 皸(あっがれ)手(で) [上田 格] |
女客(おなごきゃ)き 女房(かか)はちょいちょい 顔(つら)を出(で)っ [大田麦秋] |
三日目も まだ飯(め)す炊(た)かん 膨れ顔(づら) [山元自在鉤] |
肥満(だんべ)女房(かか) 綱引(つなひ)っ向(む)っち 名が挙(あ)がっ [下栗志乃] |
稽古(けこ)んごちゃ いっめ狼狽(ばたぐ)ろ 地震(なえ)津波(つなん) [植村昭子] |
亭主(て)し告(ま)ぬい 妻(おかた)が社宅(しゃた)く 揺(ゆ)い壊(く)えっ [上籠若菜] |
女房(か)け言訳(ゆわけ) 稽古(けこ)をしてかい 戸を開(あ)けっ [花園ちづ] |
訳も無(ね)て 泣(な)こごたい日もあい 独居(ひとい) [石野蟹篭] |
人前じゃ 虐待(ぎゃくた)ゆ隠(か)きた 子い涙(なんだ) [上籠若菜] |