中村雲海 |
頑固爺(いっこっじ) 金(ぜん)が有(あ)っとが 唯(ただ)取柄(といえ) |
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鈍(ぬ)り奴(わろ)あ 年中(ねんじゅ)時間と 戦(たた)こちょっ |
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久(ひさ)す会(お)っ 肥(こ)えたなあつあ 直(じ)き言(ゆ)えじ |
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安心ぬ 呉(く)るい女房(おかた)ん 優(やさ)し返事(へし) |
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俺(おい)が道(み)ち 女房(かか)伴奏(ばんそ)で 馬力(ばり)か倍 |
有川南北 |
こん酷暑(ぬっ)せ ビールが威張(いば)い 冷蔵庫 |
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見苦(みぐ)るしち 裸を詰(なじ)い 爺(じ)も裸 |
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わぜ出世 したが奥方(おか)てな 蟹(が)ねどんじ |
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総入歯(がんぶ)ゆば 湯呑(ゆの)み浸(つ)くれば 娘(こ)が叱(く)るっ |
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LED(エルイーディ) 霊が現(で)ろそな 暗(く)れ灯(あか)い |
弓場正己 |
女房(かか)よっか 亭主(てし)の方(ほ)が重(お)び 更年期 |
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婆(ば)の猫背 孫は瘤(こっ)じゃち やれ撫(さす)っ |
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黒田節 爺(じ)が飲(の)ん方(かた)ん 端(はな)を切(き)っ |
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下足番(げそっばん) 靴(くっ)でお客(きゃっ)の 品定め |
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先(さ)か無(ね)言(ちゅ)が 十年日記 又(また)付(つ)けっ |
堂園三洋 |
宅急便(たっきゅびん) 母親(かか)ん愛情(ぼんの)が ずし重(おぶ)し |
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ブータンに 転居(なお)ろごっあい 堪(の)さん世帯(しょて) |
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舐(な)むいごっ 美人(シャン)ぬ眺(なが)むい くずれ亭主(とと) |
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てんがね子 トイレん掃除(そっ)も 笑(わ)るっしっ |
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桜島(しま)ん灰(へ)ん おかげで美人(シャン)と 相合傘(あいえがさ) |
永徳天真 |
距離があっ 風邪も移(うつ)らん 倦怠期 |
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爺(じい)を叱(が)い 婆(ばば)をきょとんち 孫あ見(み)っ |
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肩を組(く)ん 校歌で締めた 同窓会(どうそかい) |
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凄(わ)ぜ気合(きあ)い あっさい土俵(どひゅ)い 叩(はた)かれっ |
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出来(でく)い衆(し)は 九十点も 悪(わ)り点数(てんす) |
樋口一風 |
夫婦(みと)喧嘩(いさ)け 止(と)め手もおらじ 延長戦(えんちょせん) |
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神棚(かんだな)で 小(ちん)こなっちょい 外れ籤(くし) |
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横(よん)ご爺(じ)が ごろいと議(ぎ)をば 曲(ま)げつけっ |
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当(あ)たい籤(くじ)ょ 出せち売(う)い子い 無理(む)ゆば言(ゆ)っ |
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度忘れで 生米(なまごめ)じゃった 炊飯器 |
横綱(東) |
○ |
寝床ずい 焼酎(しょつ)を持(も)っ込(く)ん 旅(たっ)の宿 [伊地知 孝] |
横綱(西) |
● |
単身赴任(たんしん)の 寝床(ねど)け代(か)わいの 抱(だ)っ枕 [中囿和風] |
大関(東) |
○ |
起(お)きらんが 思(と)もたや寝床(ねど)け 大(ふと)か地図 [入来創雲] |
大関(西) |
● |
猪が まくじった様(よ)な 爺(じ)ん寝床 [石野蟹篭] |
関脇(東) |
○ |
ピコピコち 寝床(ねど)け隠(かく)れっ またゲーム [諸木小春] |
関脇(西) |
● |
ママが読(よ)ん 童話が夢い 出(で)い寝床 [津留見一徹] |
小結(東) |
● |
焼酎(しょちゅ)臭(く)せち 亭主(てし)と離(はな)せっ とい寝床 [満留ぐみ] |
小結(西) |
○ |
逃(に)げられっ ダブルベッドが 夜鳴(よな)くしっ [樋口一風] |
筆頭(東) |
○ |
大虎(うとら)をば 寝床(ねど)けな入(い)れじ 転(ころ)ばけっ [西 幸子] |
筆頭(西) |
● |
某(なんたら)ち 高価(た)け服(ふ)きゃ犬(いん)の 寝床(ねど)けなっ [棚網 鮎] |
二枚目(東) |
● |
炬燵をば 寝床いなけた 不精者(ふゆしごろ) [澤津乙名] |
二枚目(西) |
○ |
倦怠期 女房(かか)ん寝床にゃ 三毛が寝(ね)っ [花園ちづ] |
三枚目(東) |
○ |
峠じゃち 寝床ん側で 夜通(よし)て看(み)っ [新地十意] |
三枚目(西) |
● |
冬(ふ)や良(え)どん 夏(なっ)の寝床にゃ のさん孫 [今井夢紫] |
四枚目(東) |
○ |
破れ障子(しょし) 寝床(ねど)け十五夜(じゅごや)ん 月(つ)く仰向(おね)っ [畑山真竹] |
四枚目(西) |
● |
朝寝坊(あさねごろ) かった寝床い まだ未練 [上山天洲] |
五枚目(東) |
○ |
転寝(いどこね)を 寝床(ねど)け移(うつ)れち 蹴飛(けと)ばけっ [西ノ園ひらり] |
五枚目(西) |
● |
倦怠期 寝床(ねど)け持(も)っ込(く)だ 抱(だ)っ枕 [米元年輪] |
六枚目(東) |
● |
枕元(まくらも)て 郷句誌(くし)を広げた 爺(じ)が寝床 [北村虎王] |
六枚目(西) |
○ |
女房(かか)ん寝床(とこ) アイロンよっか 重(お)しが効(き)っ [桑元行水] |
七枚目(東) |
● |
寝袋い 月(つっ)も笑(わ)るちょい 山男 [郷田悠々] |
七枚目(西) |
○ |
頭(びんた)から 寝床い這込(へく)だ 酔(よく)れ亭主(てし) [吉丸セツ子] |
八枚目(東) |
● |
枕元(まくらも)て 並(な)るだリモコン 爺(じ)ん寝床 [日隈英坊] |
八枚目(西) |
○ |
離婚(わか)れたや 猫が待(ま)っちょい 寝床(ねど)けなっ [白澤黒猫] |
親方吟(東) |
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大霜(うじも)朝 寝床を出(で)かて 活(か)つ入(い)れっ [吉岡道場] |
親方吟(西) |
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また大水(うみっ) 寝床を直(へっ)ち 出(で)やならじ [石塚律子] |
田代山太郎 |
出来(でけ)過(す)ぎっ 茄子(なすっ)だらけん 晩の料理(じゅい) |
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梯子焼酎(じょちゅ) 考(かん)げ出(だ)さんて 請求(つけ)が来(き)っ |
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同窓会(どうそかい) 綽名(しこな)は出(で)てん 名前(な)は出(で)らじ |
田中栄泉 |
夫婦(みと)喧嘩(げん)け 実家(さと)を持(も)っ出す くずれ女房(かか) |
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新精霊(にじょろ)せえ 燕ん下駄は 裏(う)れ回(ま)えっ |
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口止(くっど)めを 焼酎(しょちゅ)がすっぱい 言散(ゆち)らけっ |
田中五郎太 |
珠算(そろばん)な 段持(だんも)っ言(ちゅ)どん 繰(く)や悪(わ)るし |
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特価品 亭主(とと)もそん列(れ)ち 並(なる)ばせっ |
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帰(もど)い道(みっ) 蛙子(げこ)と遊(あ)すじょい ランドセル |
谷口ゆんぼ |
宝じゃち 大切(てせ)ち育てた 息子(こ)はぐれっ |
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餅肌(もっはだ)ち 口説(くで)たが今じゃ 萎(しなび)れっ |
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離婚(わかれ)騒動(そど) 大世間(うぜけん)いっぺ 恥(は)ずされっ |
谷口楽狂 |
地五郎(じごろ)爺(じ)が 先生(せんせ)いなった 史談会 |
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運動会(うんどかい) カメラが孫を 追(う)て走(はし)っ |
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蒸発(じょはっ)女房(かか) 馬にゃ一抱(ひとだっ) 食(か)せっ出(で)っ |
種子田 寛 |
薮(やぼ)ん中(な)け 建てたよな態(ふ)の 不精者(ふゆし)が家(え) |
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只(ただ)焼酎(じょちゅ)は 用心(ゆじん)のしいし 喉(の)で通(と)えっ |
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井戸浚(さ)れい 水神様(すいじんさあ)も 焼酎(しょちゅ)を飲(ぬ)っ |
田辺長作 |
嫁も来(こ)じ 農業(さっ)の息子あ 禿(はげ)でけっ |
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目の上ん 瘤(こっ)が生意気(こさっ)な 課長(かちょ)いなっ |
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値引(ねび)っ言(ちゅ)っ 一匹(いっぴっ)添えた だれ鰯 |
田辺遊狂 |
七十(ななじゅ)じゃが まだ現役(げんえっ)ち 赤銅肌(しゃっどはだ) |
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借(か)いでたや ゆっくいもせじ ひん帰(もど)っ |
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切(き)い張(は)いの 障子(しょし)も煤(すす)けた 隠居部屋 |
田原大黒 |
厄払(やっば)れん 銭(ぜん)もこぎった 吝奴(にぎいごろ) |
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晩酌(だいやめ)ん 肴(しおけ)も女房(かか)ん 天気次第(しで) |
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偉(え)ろなれば 都合(つご)ん悪(わ)りときゃ 病(びょ)がでおっ |
田畑椪柑 |
雨ん日は 蠅(へ)も家ん中(な)け 宿を借(か)っ |
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亭主(て)しゃ無口(むくっ) 女房(かか)は喋(しゃべ)いが 仲は良(ゆ)し |
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新(に)け畳(たたん) 猫ん泥足(どろあ)す 叱(く)るた女房(かか) |
埀野剣付鶏 |
動悸(とためっ)が 相合傘ん 柄(え)い響(ひび)っ |
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背負(かる)た乳児(こ)あ 日傘ん外(そと)い 反(そ)いかえっ |
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箍(おっ)替(か)えん 桶(たんご)あ足(ごて)ん 先(さ)きおどっ |
中馬美丈夫 |
小短躯(こじっくい) 持(も)っ倒(と)かそそな 造林鎌(かま)を振(ふ)っ |
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二百十日(にひゃっとか) 茣蓙を敷(し)たよな 田(た)んべ泣(ね)っ |
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立膝ん 寡婦(ごけ)が箸戦(なんこ)い ずるっ寄(よ)っ |
塚田黒柱 |
なっちょらん 議(ぎ)を札束(さったば)が 押し通(と)えっ |
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合格(ごうかっ)の 御礼(ごれ)い真先(まっさ)き 塾(じゅ)き走(はし)っ |
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胃カメラを 焼酎(しょちゅ)臭(く)そなけた 一斗甕(いっとがめ) |
佃 夢酔 |
一(ひと)パック 卵焼(こがや)き使(つ)こた 大家族(うげね)世帯(じょて) |
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子あ駄々(やから) 負けなし叫(おら)っ 女房(かか)と豚 |
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亭主(て)しな用事(ゆ)じゃ 無(な)かち言(ゆ)かたで 五人産(う)ん |
津留見酎児 |
取(と)い止とめた 命(いの)ち嬉(うれ)しか 溲瓶(しびん)替(が)え |
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可愛(む)ぜリレー 靴(くっ)が脱(ぬ)げたや 後返(あとがえ)っ |
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内気者(いめじん)の 悋気(じんき)あ胸で 燠(おき)いなっ |
出口あやめ |
手荒(てあ)れ女房(かか) 網(あん)のよな帽子(ぼ)しょ 編(あ)んくれっ |
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義理(ぎい)堅(かた)か 嫁で親類(しんじ)も グッ言(ちゅ)わじ |
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蝶々(ちゅちゅ)ん毒(ど)き 当(あ)たっ腑抜けん 午前亭主(とと) |
樋之口墨矢 |
日曜(にちよ)大工(でっ) 赤錆(あかさっ)鋸(のこ)が ねずこでっ |
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巨漢(うど)女房(かか)が 管巻(じじら)飲(の)ん平(べ)を 軽(か)る背負(かる)っ |
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参観日 母(かか)を見(み)い見(み)い 手を挙(あ)げっ |
悔(く)やんでん 土下座なんどじゃ 消(き)えん過去 [福冨野人] |
あと五分 寝床が恋(こい)し 結婚(といえ)当初(はな) [盛満椒平] |
頭(びんた)どみ 生(お)ゆれば良(よ)かて 面倒(めん)で鬚 [今井夢紫] |
何彼(ないかい)ち 年中(ねんず)女房(おかた)ん 知恵を借(か)っ [満吉満秀] |
おはようち 笑(わ)るちょい遺影(いえ)い 茶を供(あ)げっ [樋渡草団子] |
十五夜様(じゅごやさあ) 悩(なや)ま無(な)か態(ふ)で にこっ出(で)っ [花園ちづ] |
親子リレ 女房(かか)はブラジャを 締め直(な)えっ [鹿児山亜喜緒] |
無人駅(むじんえ)き 出稼(でかせ)ぐ降(お)れた 収穫期(といれどっ) [江平光坊] |
虐待(ぎゃくた)ゆば 逃(に)ぐいよも無(な)か 可哀相(ぐら)し幼児(ちび) [福原福多] |
結婚式(ごぜんけ)い 逃げた女房(にょうぼ)を 唄(う)と間抜け [諸木小春] |
自棄糞(やけくそ)い マンガどん描(け)た 答案紙 [樋口一風] |
健(さか)し爺(じ)あ 焼酎(しょちゅ)が薬(くすい)ち 盃(ちょ)く握(にぎ)っ [折田さくら] |