おんじょどいの小屋

薩摩郷句誌「渋柿」

第688号

雑吟     永徳天真選

一番槍 にこっ笑(わ)る そん顔(つら)見(み)たせ 今日(きゅ)も介護 [西ノ園ひらり]
二番槍 退院が 決(き)まっナースも 冗談(わや)く言(ゆ)っ [吉岡道場]
三番槍 こら厄介(やっけ) 部下じゃった奴(と)が 部長(ぶちょ)で来(き)っ [原田菊男]
四番槍 良(え)も悪(わ)りも 言(ゆ)わん方(ほ)が良(よ)か 班の会 [野村三味]
五番槍 遠(と)え耳(みん)が 老爺(おんじょ)ん仲を 裂(さ)っ出(で)けっ [加治佐谷山犬]
六番槍 顎骨が ガクガク疲(だ)れた 喋(しゃべ)くい婆(ば) [諸木小春]
七番槍 雨ん降(ふ)い 野菜(やせ)を採(と)っけち 無礼(じも)ね女房(かか) [満吉満秀]

渋柿集

中村雲海 増税が 見え隠れすい 新組閣
節電が 赤字家計の 助(たす)けなっ
安(や)し保険 そん気いさすい コマーシャル
盛(も)い上(や)がっ 添乗員も 踊(おど)いでっ
被災かあ 避難訓練 ハシと行(や)っ
有川南北 わぜ大雨(うあめ) 瑞穂ん国(くん)な 水浸(みっびた)し
半年(はんと)すば 二日(ふっか)で降った すげ大雨(うあめ)
差支(ちか)や無(ね)ち 言(ゆ)てん不安(せわ)らし 放射能
忘年会(としわすれ) 泥鰌掬(す)っどが 流行(はや)ろそな
お骨(こつ)拾(ひ)れ 骨よか金歯(きん)べ 灰(へ)を漁(あ)せっ
弓場正己 親友が 出世をしたや 道(み)ちゃ切(き)れっ
正論ち 言(ゆ)どん賛成(さんせ)や 誰(だい)もせじ
雨風も リハビリ思(と)もっ 今日(きゅ)も散歩
ヤアち言(ゆ)て 握手はしたが 名は出(で)らじ
団体に 入込(へく)っ名所を 無料(ただ)で聞(き)っ
堂園三洋 安(や)し会費 料理(じゅい)の不平(こまご)つ 言(ゆ)もならじ
大世間(うぜけん)の 美人(シャン)ぬ視察(しさ)ち 街(ま)ち出張(でば)っ
半額(はんがっ)で 女房(かか)を売(う)ろごちゃ 倦怠期
済(す)んだ事(こ)つ やいやい悔(く)やん 損な性格(たっ)
松茸は もちろん買(こ)わじ 素通(すど)いしっ
永徳天真 待(ま)っ合わせ 恋人(ぬし)が来たなあ ニコッなっ
相槌(えは)打(う)っで 首(くっ)の体操(たいそ)を 相当(じょじょ)んしっ
通話料(つうわりょ)を 気いしいしいで 長電話
ここだけち 婆(ばば)あ噂を 撒(め)っ歩(さ)れっ
見合(みえ)ん座あ 笑(わ)れも出(で)っきっ 良(よ)かムード
樋口一風 バスガイド 手刀んごっ 人数(に)ず当(あ)たっ
特売(とくば)いな 赤子も一人(ひとい) 人数にじ入(い)れっ
女難の相(そ) 八十歳(はっじゅ)爺(じ)さんも 心配(せわ)をえっ
ほか弁ぬ 亭主(て)しな宛(あて)ごっ 食事会
嫁(い)かん娘(こ)ん 婚活(こんか)ち親が 尻(し)ゆ叩(た)てっ

山椒集 題「珍(めずら)し」     有川南北選

婆(ばば)が酌(しゃ)く すいが思(と)もえば 年金日 [福山吉連]
何(ない)かあっ 亭主(とと)が珍(めずら)す 洗(あ)れやっめ [花園ちづ]
珍(めずら)しか 音信(そ)の無(ね)息子(むしこ)が 贈(おく)い物(もん) [満吉満秀]
五客一席 ひょかっ会(お)っ 珍(めずら)し言(ちゅ)たが 名が出(で)らじ [佐伯山神]
五客二席 こん田舎(いな)け 何十年(なんじゅねん)振(ぶ)い 嫁が来(き)っ [弓場正巳]
五客三席 珍(めずら)しち 焼酎(しょちゅ)どん出せば 借(か)い相談(そだん) [中囿和風]
五客四席 珍(めずら)しか 子の百点に 家族(けね)あ騒動(そど) [江口紫朗]
五客五席 俎板(まねた)どん 珍(めずら)しか態(ふ)で 嫁あ見(み)っ [西ノ園ひらり]
選者吟 亭主(とと)ん料理(じゅい) 珍(めずら)し味(あっ)で 食手(くて)が無(の)し

龍虎集 「時事吟」     堂園三洋選

三度目ん 核(かっ)の悲劇い 泣(な)っ列島(れっと) [福原福多]
泣(な)こよっか ひっ飛べ魂(だまし) 欲(ほ)し総理 [津留見一徹]
セシウムが 京都(きょと)ん送(おく)い火(び)い 水(み)ず差(さ)せっ [石塚律子]
四天王一席 数(か)ず計算(つも)っ 小沢参(め)ゆすい 代表選(だいひょせん) [大西学老]
四天王二席 博多駅(えっ) 新幹線な 独(ひと)い勝(がっ) [弓場正巳]
四天王三席 高校(こうこ)野球(やきゅ) 薩摩ん田舎(いな)け 夢が舞(も)っ [中囿和風]
四天王四席 なでしこい 何処(どっ)か似合(にあ)わん 化粧道具(どっ) [今井夢紫]
選者吟 どげな味(あっ) 早(は)よ飲(の)もごたい 宇宙焼酎(じょちゅ)

郷句相撲 題「揉(も)ん」

横綱(東) 学(が)か無(ね)どん 娑婆い揉(も)まれっ 成(な)い上(や)がっ [入来創雲]
横綱(西) 洗濯機(せんたっき) 俺(おい)が諭吉(ゆき)つば 揉(も)んたくっ [吉岡道場]
大関(東) 先(さっ)が心配(せわ) 夫婦(みと)で気を揉(も)ん 安(や)し仔牛(びょんこ) [北村虎王]
大関(西) 今日(きゅ)は入試 散ったか咲(せ)たか 気をば揉(も)ん [上薗佳笑]
関脇(東) 肩揉(も)んの 孫は駄賃の 予約(よや)くしっ [畑山真竹]
関脇(西) 揉(も)もじった 諭吉(ゆき)ちょ拡(ひろ)げっ レじ渡(わ)てっ [福原福多]
小結(東) 揉(も)んみてん 育毛(いくも)ん気配(けは)や 全然(ぶんと)無(の)し [石塚律子]
小結(西) 気を揉(も)んだ 悪戯児(あまい)も今じゃ 良(よ)か親父(おやっ) [上山天洲]
筆頭(東) 零点な 親にな見(み)せじ 揉(も)んたくっ [澤津乙名]
筆頭(西) 何(ない)よっか 婆(ばば)が手揉(も)んの 一番(いっばん)茶 [西迫順風]
二枚目(東) 横道者(おどもん)が 揉(も)ん手しながら借(か)い相談(そだん) [樋渡草団子]
二枚目(西) 孫(まごんこ)ん 肩揉(も)ん賃も 値上(ねあ)げなっ [満吉満秀]
三枚目(東) ラブレター 書(け)ちゃ揉(も)んたくっ 首尾(しゅ)びゃ取(と)れじ [佐伯山神]
三枚目(西) ど鈍(ぬ)り女房(か)け まこて気を揉(も)ん 旅(たっ)支度(じたっ) [花園ちづ]
四枚目(東) 黒帯い 一丁(いっちょ)揉(も)んでち 頼(たの)ん弟子 [山元自在鉤]
四枚目(西) 小遣(こづけ)をば 目的(めあて)い 孫が肩を揉(も)ん [井手上政暎]
五枚目(東) 糊(のい)の効(き)た 浴衣が娘(おご)ん 胸を揉(も)ん [石原ミエ子]
五枚目(西) 脳味噌(のみそ)をば 揉(も)んでやろそな 古(ふ)り頭(びんた) [米元年輪]
六枚目(東) 新茶時期(どっ) 手揉(ても)んに婆(ばば)は 顎で加勢(かせ) [二見愚楽満]
六枚目(西) 女房(かか)を揉(も)ん 指圧(しあ)ち焼餅(やきも)ちょ 亭主(とと)は妬(や)っ [萬福平次]
七枚目(東) 梅紫蘇が 郷中(ごじゅ)一(いっ)赤(あか)か 婆(ば)の手揉(ても)ん [諸木小春]
七枚目(西) 痺れ足(あ)す 揉(も)んかて説教(せっきょ) 耳(み)み入(い)らじ [入来義徳]
八枚目(東) 手どん揉(も)ん セールスなんだ 婆(ば)が追出(うで)っ [伊地知 孝]
八枚目(西) 威張(いば)い奴(ごろ) 出馬(で)ろち揉(も)ん手(で)で 頼(たの)み来(き)っ [原田菊男]
親方吟(東) 部下ん辞表(じひょ) 考(かん)げ直(なお)せち 揉(も)んたくっ [西ノ園ひらり]
親方吟(西) 初心(うぶ)な青年(にせ) 女(おなご)按摩い ひっ融(と)けっ [樋口一風]

薩摩郷句作品集(薩摩狂句集「ほとくい」より抜粋)

安藤孟宗竹 欠点(あら)は無(ね)が 面目(めんぶ)か無(ね)ごっ 亭主(て)しゃ禿(は)げっ
裏返(うらがえ)っ 出(で)た座布団も 綿が出(で)っ
嫁探(みし)け 安産型ん 腰(こ)す狙(ね)ろっ
池田ナミ 何(ない)も無(ね)が 宝言(ちゅ)う子い 笑(わ)れが舞(も)っ
機械植え 田植えん団子(だご)も 間(か)け合(お)わじ
卵とい 青大将(やわたい)が先(さ)き ひん呑(ぬ)じょっ
泉 山茶花 偶(まれ)けんな 亭主(て)しな語(かた)れん 夢も見(み)っ
姑(かか)ん舵(か)ず 取(と)いかて嘘も 上手(じょ)じけなっ
笑(わ)れ上戸(じょご)ん 嫁で家族中(けねじゅ)が 丸(ま)る暮(く)れっ
伊地知みのり 横(よん)ご爺(じ)と 気放(きほ)じもならん 湯治(とっ)の宿
蹴(け)られてん 小言(ぐぜ)は止まらん くずれ女房(かか)
高(た)け蟹(がね)を 食(か)せっ二三日(にさん)ちゃ 飯(めし)と汁(しゅい)
石野蟹篭 盛皿(もいざら)を 大食(うぐ)れと組んだ 運(ふ)の悪(わる)さ
病上(やんあ)がい 早速(さしつけ)焼酎(しょちゅ)で 胃を洗(あ)るっ
胃袋を 結(きび)っくるそな 大食(うぐ)れ女房(かか)

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「テレビ」 上山天洲選

特選 良(よ)か場面(とこ)で 歯痒(はが)いかテレビ また来週(らいしゅ) [堂園三洋]
秀一 遠(と)おなった 耳(みん)がテレビを 叫(おら)ばせっ [樋口一風]
秀二 見(み)ちゃおらん テレビを消せば 目覚(おず)ん亭主(てし) [隼人ちり]
秀三 煩(うる)せ女房(かか) テレび一々 小言(こご)つ言(ゆ)っ [永徳天真]
秀四 良(え)も悪(わ)いも テレビが言(ゆ)えば 大騒動(うそ)でなっ [前村泰山]
秀五 3D(スリーディー) 飛(つ)っ来た鳥(と)ゆば 爺(じ)が避(よ)けっ [有馬二天]
軸吟 テレビかあ 料理(じゅ)ゆ盗(ぱく)ったが 雑炊(ず)しなけっ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「半分(なから)」 石塚律子選

特選 手術(き)っみたや 駄目(ぼっ)ち半分(なから)で 直(いっ)き縫(ぬ)っ [弓場正巳]
秀一 美人(シャン)じゃ無(ね)ち 見合(みえ)ん半分(なから)で ひん帰(もど)っ [満吉満秀]
秀二 遅(お)せもんじゃ 見れば点滴(てんて)か まだ半分(なから) [永徳天真]
秀三 心配(せわ)心配(せわ)で 期限切れをば 半分(なから)食(く)っ [堂園三洋]
秀四 ヒーヒーフ 亭主(とのじょ)ん加勢(かせ)が 半分(なから)効(き)っ [上薗佳笑]
秀五 年金ぬ 半分(なから)うっ食(く)た パチンコ屋 [前村泰山]
軸吟 湯あ半分(なから) 何処を洗(あ)るえば こげん減(へ)っ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「秘書(ひしょ)」 樋口一風選

特選 秘書が付(ち)っ 同窓会場(どうそかいじょ)で 一(ひと)自慢(おぎら) [今井夢紫]
秀一 役(や)き立(た)っが 時にな秘書も 邪魔(ま)じけなっ [押領司翠里]
秀二 社長(しゃちょ)なんだ 手玉(てだ)め取(と)っちょい 遣(や)い手秘書 [澤津乙名]
秀三 面接(めんせっ)で 一番(いっばん)美人(シャン)が 秘書いパス [堂園三洋]
秀四 予定表(よていひょ)で 社長(しゃちょ)い下知(げ)ちょすい 厳(きび)し秘書 [江口紫朗]
秀五 良(え)も悪(わ)いも 全部(ずるっ)胸内(むねう)ち 遣(や)い手秘書 [諸木小春]
軸吟 危(あっ)ね時(と)か 秘書を担保い しっ逃(に)げっ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「みごて」 永徳天真選

特選 みごて化粧(けしょ) 元ん顔(つら)どま 何処(ど)けも無(の)し [吉岡道場]
秀一 首相(しゅしょ)ん椅子(い)す みごつ仕留めた 辻説法(つじせっぽ) [石塚律子]
秀二 何時(いっ)づいも みごて交際(つっけ)ん 歯痒(はが)い彼 [堂園三洋]
秀三 雑(ざっ)な絵 をみごっ描(け)たがち 褒(ほ)むい母(はほ) [二見愚楽満]
秀四 みごて娘(おご) どっどっしたて ニューハーフ [隼人ちり]
秀五 まねけんな お前(ま)や綺麗(みご)てち 機嫌(めす)もとっ [樋口一風]
軸吟 丈夫(じょっ)な子を 産(う)もそなみごて 尻(し)い惚(ほ)れっ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「素抜(すに)っ」 堂園三洋選

特選 少(ちっ)とずっ 素抜(すに)けば露見(ばれ)ん 女房(かか)ん財布(ふぞ) [石野蟹篭]
秀一 イロハかあ 仕込んだ腕を 素抜(すに)かれっ [上籠若菜]
秀二 メジャーかい 素抜(すに)っきた選手(と)が 打(う)たならじ [二見愚楽満]
秀三 相合傘(あいえが)せ 懐(つくら)ん財布(ふぞ)は 素抜(すに)かれっ [折田さくら]
秀四 禿頭(はげびんた) かい記憶(きおっ)ずい 素抜(すに)かれっ [福冨野人]
秀五 苦瓜(ごい)へちま 食傷(しょっしょ)をしたち 最早(もへ)素抜(すに)っ [石塚律子]
軸吟 管巻(じじら)をば 素抜(すに)たや焼酎(しょちゅ)ん 味(あっ)が出(で)っ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「加減(かげん)」 弓場正己選

特選 夫婦(みと)喧嘩(いさけ) 風呂ん加減で 仇(かた)ぐ取(と)っ [花園ちづ]
秀一 食(しょっ)の秋(あっ) 体重計(はか)ゆ見(み)い見(み)い 加減しっ [今井夢紫]
秀二 嫉妬(じんき)亭主(て)し 良(え)加減してち 今日(きゅ)も外出(でば)っ [押領司翠里]
秀三 砂糖(さと)塩ん 加減な婆(ばば)ん 年季(ねん)き聞(き)っ [石塚律子]
秀四 飲(の)ん始(だ)せば 加減がきかん 飲兵衛(のんべ)亭主(とと) [有馬湧声]
秀五 手加減の 無(な)か桜島(しま)ん灰(へ)い 擾(こな)されっ [吉岡道場]
軸吟 焼酎(しょちゅ)加減 出来(でけ)ん罰(ばっ)じゃろ 胃が穴(ほ)げっ

第23回西日本薩摩郷句大会 兼題「石(いし)」 中村雲海選

特選 野ん花を 石ん地蔵様(じぞさ)へ 今日(きゅ)も供(そ)えっ [上野由美]
秀一 石頭(いしびんた) 自分(わ)が親じゃいが 生憎(なまにく)し [下栗志乃]
秀二 好(す)っじゃった 焼酎(しょちゅ)で墓石(はかい)す 洗(あ)るっやっ [堂園三洋]
秀三 河原(こら)いっぺ 石焼(いしや)っ鮎(あい)の 香(こ)ばし匂(かざ) [永徳天真]
秀四 西南の役(え)く 石(い)し残(の)けた 弾ん痕 [弓場正巳]
秀五 ただん石(い)すアートいなけた ベレー帽 [小瀬一峻]
軸吟 石門に 鶴丸城が 欲(ほ)し薩摩

その他の秀句 (順不同)

汝(わ)やよかで 孫見(み)せ来(け)えち 爺(じ)の電話 [楠八重渓流]
古希ん坂 越(こ)えっぼっぼっ 次(つっ)の旅(たっ) [日隈英坊]
万歳で 上役(うわや)く追出(うで)っ 座が弾(はず)ん [吉岡道場]
飲(の)ん稽古(けこ)を せち言(ゆ)た婿い 減(へが)め言(ちゅ)っ [原田菊男]
休刊ぬ 週二にせえち 酷(こっ)な医者 [諸木小春]
危(あっ)ねどん 穴は東電 職(しょっ)探(さが)し [中囿和風]
読(よ)まならじ 珍(めずら)し名前(な)じゃち 言(ゆ)しか無(の)し [石塚律子]
珍(めずら)しか 女房(かか)ん愚痴(ぐぜ)をば 今日(きゅ)は聞(き)かじ [萬福平次]
屈(かご)んだや も一人(ひとい)居(お)った 芒原(すすっわら) [田辺遊狂]
金相場(そう)べ 婆(ばば)ん金歯を 値踏(ねぶ)むしっ [樋口一風]
ハネムーン 鼾(いび)きムードも ちんがらっ [有川南北]
部下ん衆(し)い 下駄は預(あっ)けっ 名あ社長 [今井夢紫]
獅子のごっ 金歯が並(な)るだ 成(な)い上(あ)がい [有川南北]
良(よ)か車(くいま) 借金(しゃっせん)背負(かる)っ 今日(きゅ)も走(はし)っ [雲水]
チャンネルを 女房(か)け譲(ゆず)ったて 船を漕(け)っ [入来創雲]
女(おなご)どま 半分(なから)捨(うっ)せた 女房(かか)ん髭 [有馬二天]
社長(しゃちょ)よっか かった貫禄(かんろ)か 秘書が上(うえ) [石塚律子]
大臣の秘書あ 覚悟(かっご)ん 橋(は)す渡(わた)っ [中村雲海]
大根(でこん)には 大(ふ)て顔(つら)させん 見事(みご)て足 [木佐貫白猫]
亭主(とと)ん財布(ふぞ) 素抜(すに)っ札(さ)ちゃ無(の)し 逆(ぎゃ)き入(い)れっ [原田菊男]
百薬(ひゃくやっ)の 長(ちょう)言(ちゅ)が焼酎(しょちゅ)も 加減次第(しで) [内村仏心]