中村雲海 |
美味(う)め焼酎(しょちゅ)で 毎晩(めえばん)しちょい 内臓(わた)洗浄(せんじょ) |
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大将(おしょ)振(ぶ)って 畳(たた)ん掛(か)けたや 火傷(やけじょ)しっ |
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脂切(あぶらぎ)れ 栄養(えいよ)が欲(ほ)しち 叫(おら)っ肌 |
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業界が 真っ青(さ)おなった 肉(にっ)の事故 |
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素面(しらふ)でな どしてん出来(でけ)ん 千鳥足(ちどいあし) |
有川南北 |
震災の めども立(た)たんて 内輪揉め |
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菅おろし 昨日(きぬ)ん同志(どし)ずい 弓(ゆん)ぬ引(ひ)っ |
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ながし雨 三日続けば 厭(あっ)がきっ |
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放射能(ほうしゃの)が 来(く)っどち幼児(ちび)を 寝(ね)せつけっ |
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夕涼(ゆうすず)ん 縁台(ばんこ)ん娘(おご)を 叫(おら)ばせっ |
弓場正己 |
浮かれ世い 天の戒(いまし)め 放射能 |
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我(わ)が体 厭(いと)わじ見舞(みめ)ん 両陛下 |
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定年後 背広どん着て 畑仕事(はいしごっ) |
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辞(や)むい気も 出世すい気も 無(な)か息子 |
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我(わ)が腹を 痛めた子供(こど)み 泣(な)かされっ |
堂園三洋 |
同(ひと)っ事(こ)つ くどくど吐(か)やす コマーシャル |
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爺(じい)ちゃんに 似れば禿(は)ぐっち 孫ん心配(せわ) |
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美人(びじん)医者(い)しぇ 血圧(けつあ)ちゃ二百(にひゃ)く 軽(か)る越(こ)えっ |
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醜男(ぶにせ)亭主(て)し 恵(のさ)っ浮気ん 心配(せわ)は無(の)し |
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如何(いけ)な血が 流れちょっとか 臍曲(へそまが)い |
永徳天真 |
痒(か)い背中 其処(そこ)其処ち女房(か)け 掻(け)っ貰(も)ろっ |
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晩酌(だいやめ)あ 俺(お)や焼酎(しょちゅ)女房(かか)は 高価(た)けワイン |
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酒癖ん 別(べっ)な人格(じんか)き 酔(え)も醒(さ)めっ |
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少(ちっ)とずっ 汗ん結晶(けっしょ)で すい復興(ふっこ) |
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メールしで 話(はな)すば聞(き)てん 上(うわ)ん空(そら) |
樋口一風 |
節電(せっでん)ち 団扇(うっば)ん風で 我慢(きば)らせっ |
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肩を抱(で)っ 暗闇(くらす)み消えた 六月灯(ろっがっど) |
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汗掻(あせか)っが 節電(せっでん)の夏(な)ち 擾(こな)されっ |
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娘(こ)んビキニ 布(きれ)が小(ちん)けち 父親(とと)が叱(が)っ |
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ひょかっ客(きゃっ) シュミッ一枚(いっめ)ん 妻(かか)あ騒動(そど) |
横綱(東) |
胸を張(は)っ エコ暮らしじゃち 乏(とぼ)し世帯(しょて) [西 幸子] |
横綱(西) |
被災地い 乏(とぼ)し財布(ふぞ)かあ 諭吉(ゆき)つ出(で)っ [吉岡道場] |
大関(東) |
脳トレで 乏(とぼ)し脳味噌(のみそ)い 活(か)つ入(い)れっ [諸木小春] |
大関(西) |
職(しょ)か無(ね)孫(ま)げ 乏(とぼ)し年金 握(にぎ)らせっ [中間紫麓] |
関脇(東) |
再審で 乏(とぼ)し証拠が 無罪(むざ)いなっ [盛満椒平] |
関脇(西) |
放射能(ほうしゃの)ん 乏(とぼ)し情報(じょうほ)い 募(つの)い心配(せわ) [津留見一徹] |
小結(東) |
赤提灯(あかちょちん) 乏(とぼ)し小遣銭(こつけ)じゃ 素通(すど)ゆしっ [石塚律子] |
小結(西) |
乏(とぼ)し金(ぜん) 義理張(ぎいは)ゆしかて 夫婦(みと)喧嘩(げんか) [弓場正巳] |
筆頭(東) |
乏(とぼ)し財布(ふ)ぜ こぎいこぎいで すい買物(けもん) [満留ぐみ] |
筆頭(西) |
乏(とぼ)し財布(ふ)ぜ また借(か)い貰(も)れん 金(ぜん)相談(そだん) [中囿和風] |
二枚目(東) |
乏(とぼ)し米 持(も)っ寄(よ)っ飢えを 凌(しの)だ村 [有馬純秋] |
二枚目(西) |
連休(れんきゅ)明け 爺(じい)の財布(ふぞ)どま 乏(とぼ)しゅなっ [市来流星] |
三枚目(東) |
老後用(ろうごゆ)ん 乏(とぼ)し小遣(こづけ)い 将来(さっ)が心配(せわ) [畑山真竹] |
三枚目(西) |
脳トレち 乏(とぼ)し頭(びんた)で 郷句(く)を捻(ひね)っ [楠八重渓流] |
四枚目(東) |
ただでせか 乏(とぼ)し財政(ざいせ)い 津波(つなん)補償(ほしょ) [植村昭子] |
四枚目(西) |
何(ない)もけん 乏(とぼ)しが頑張(きば)っ 震災地 [江口紫朗] |
五枚目(東) |
郷句(く)作(つく)いも 乏(とぼ)し頭脳(びんた)じゃ 時間(ひま)が要(い)っ [二見愚楽満] |
五枚目(西) |
乏(とぼ)し頭髪(け)を あの手この手で 撫(な)でつけっ [福冨野人] |
六枚目(東) |
久振(なごぶ)いの デートい心配(せわ)な 乏(とぼ)し財布(ふぞ) [入来創雲] |
六枚目(西) |
乏(とぼ)し水(み)ず 分け分け飲(ぬ)じょい 避難先(ひなんさっ) [米元年輪] |
七枚目(東) |
スナックにゃ 乏(とぼ)し小遣(こつけ)じゃ 行(い)かならじ [澤津乙名] |
七枚目(西) |
乏(とぼ)し財布(ふぞ) 買物籠(けもんかご)どん 計算(さんにょ)しっ [花園ちづ] |
八枚目(東) |
財源な 乏(とぼ)して大(ふと)か マニフェスト [福山吉連] |
八枚目(西) |
乏(とぼ)し五体(ごて) じゃが金(ぜん)ぬ持(も)っ 強(つ)え爺様(じさま) [埀野剣付鶏] |
親方吟(東) |
乏(とぼ)し耳(みん) 何度も親父(とと)い 叫(おら)ばせっ [樋口一風] |
親方吟(西) |
また飯(めし)か 乏(とぼ)し食欲(しょくよ)き 大息(うい)く付ちっ [西ノ園ひらり] |
弓場正巳 |
両方(まんぼ)とめ 集(よ)すれば口(くっ)が わぜ違(ち)ごっ |
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初出場(はっしゅつじょ) 一点入(い)れっ 町(ま)ちゃ大騒動(うそど) |
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売出(ういだ)しの 広告(こうこ)かずるっ 女房(かか)が切(き)っ |
吉崎しづか |
解剖室(かいぼしっ) 医者ん卵が 目を見出(みで)っ |
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波(なん)の音(お)て 目覚(めざ)めっ旅(たっ)の 夜(よ)が長(な)ごし |
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見舞(みめ)ん客(きゃ)き 腹で暴れた 石(い)す見(み)せっ |
吉永護謨毬 |
じゃがじゃがち 諄(く)で酔払(よくれぼ)を 寝(ね)せつけっ |
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心太(ところてん) 総入歯(かんぶ)ゆ外(は)じっ 啜(すす)い込(く)っ |
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石段(きざ)上(のぼ)い 滑(すべ)らん草鞋(わら)じ 目が集(たか)っ |
吉丸セツ子 |
裏口(うらぐ)つば 噂(うわ)せなろそな 影が入(い)っ |
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野良(はい)戻(もど)い 縁側(えんが)へ転(ころ)っ 鼻が鳴(な)っ |
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栄転も 岸(き)す離(はな)れたや 気細(きぼ)すなっ |
吉満古参岳 |
新米(しんめ)課長(かちょ) 大(ふと)か認印(みとめ)い 彫(ほ)いかえっ |
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巻茣蓙(まっござ)も 担棒(いねぼ)いきびっ 浜下(はまくだ)い |
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歯痒(はが)いこっ 隣(つっ)の畑にゃ 夕立雨(さだっあめ) |
吉満ささ舟 |
茣蓙枕(ござまくら) たしね髪(かん)のば こすい切(き)っ |
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一代物(いっでもん) 言(ちゅ)た箒(ほっ)売(う)いが またも来(き)っ |
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茶を飲めち 言(ゆ)どん自在鉤(じでか)ぎゃ 吊ったない |
婆(ばあ)ちゃんも 行(い)こやち言(ゆ)時(と)きゃ 財布(ふぞ)が当て [佐伯山神] |
好男子(よかにせ)ち 女房(おかた)一人(ひとい)が 言(ゆ)てくれっ [石塚律子] |
日曜(にちよ)大工(でっ) 小言(ぐぜ)い手伝(こど)いが ひん逃(に)げっ [入来創雲] |
此(こ)ん暑(ぬっ)せ 良(よ)か肌持(はだもっ)ち 繁茂(ほこ)い草 [前田あやめ] |
ポストいも 愚痴(ぐぜ)を聞かせた 千鳥足(ちどいあし) [福冨野人] |
後(あと)あ紙(か)む 張(は)いしか無(ね)よな 超ビキニ [津留見一徹] |
我が子いな 捨(うっ)せ育(おや)しが 孫は別(べっ) [西 幸子] |
朝顔い 明日(あした)会(お)が言(ちゅ)っ 蕾(つぼ)み水(みっ) [今井夢紫] |
恥(は)ず知(し)たん 被災募金ぬ 騙(かた)い詐欺 [下栗志乃] |
出世をば 努力(どりょ)きゃ褒(ほ)めんじ 運(ふ)を妬(しょの)ん [樋口一風] |
慣(な)れん旅行(たっ) イエスイエスで 大(ふ)とか支払(は)れ [湯前為一] |
育休を 給料(はれ)ん安(や)し亭主(て)しゃ 請(う)け被(かぶ)っ [上村牛歩] |
鼻声い 直(いっ)き応(こた)ゆい 健(さか)し亭主(てし) [新森鶏冠] |
振られ青年(にせ) さっぱいしたち 負け惜(おし)ん [上山天洲] |
竹ん子が 脱(に)だ着物(いしょ)今度(こん)だ 団子(だご)が着(き)っ [石原ミエ子] |
大笑(ひたわ)れも 青年(にせ)は片頬(かたふ)ち じっ我慢(きば)っ [白澤黒猫] |
ずんだれを はしと仕付けた 自衛隊 [郷田悠々] |
所帯(しょて)持(も)っち 知(し)たじ厄介(やっけ)な 恋(こ)ゆばしっ [樋口一風] |
大根葉(でこんば)で 三品(みしな)あ作(つく)い 倹(つま)し所帯(しょて) [津留見一徹] |
長病臥(ながねお)い 何度数(か)んぜた 天井(つし)の節(ふし) [郷田悠々] |
素穂抜(すぼぬ)こち すれば巻付(めち)ちょい 孫ん勘 [大器] |
狂壇の 面白(おもし)て唱(しょう)で 郷句(く)が光(ひか)っ [原田菊男] |