中村雲海 |
言(ゆ)わにゃ良(え)て そいが遺伝の 損な性質(たっ) |
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我が子をば やんきな誉(ほ)むい 貧(ひん)な心根(ねしゅ) |
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煽(おだ)つれば 俺(おい)が大将(おしょ)じゃち 調子(ちょ)しけ乗(の)っ |
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帰(もど)い道(み)ち 何杯(なんべ)飲んだか 指(い)ぶ積(つ)もっ |
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石の上(う)へ 十年経って 見えん峠(とげ) |
有川南北 |
日本の 右肩(みっか)て亀裂(ひ)ぶば 入れた地震(なえ) |
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凄(わ)ぜ津波(つなん) 魂消(たまげ)た声が 声(こ)へならじ |
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如何(いけん)すち 川内(せんで)原発(げんぱ)ち 募(つの)い不安(せわ) |
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マニフェスト 子供(こどん)手当も おかすなっ |
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新燃(しんもえ)よ 梅雨(ながし)が来(く)っど 土石流 |
弓場正己 |
女房(かか)が乗(の)っ 軽(けい)の助手席(じょしゅせ)か 斜めなっ |
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白バイが マラソンの時(と)か 派手を取(と)っ |
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白髪(したが)を ば染(そ)めたや皺が なお目立(めだ)っ |
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大部屋い 同病が集(よ)っ 医者吟味 |
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店長の お薦めち書(け)た 売れ残(のこ)い |
堂園三洋 |
化粧代(けしょうだ)や 捨(うっ)せ金(ぜん)じゃち 女房(か)け言(ゆ)えじ |
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混浴(こんよっ)の 野郎共(やろど)み恥(げん)ね 寂(さび)し胸 |
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何(な)ゆ着(き)てん やっぱい美人(シャン)な 良(ゆ)う似合(にお)っ |
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安(や)しち買(こ)た 腐(くっさ)れ鯖で 死ん目遭(お)っ |
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美人湯い 入(い)いぐれ要(い)らん 美人(シャン)の女房(かか) |
永徳天真 |
受付ん 活花(いけば)ね和(なご)ん 病院(びょいん)通(が)え |
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昨日(きぬ)買(こ)たて 酔(え)もひっ醒めた 靴(くっ)間違(まっ)げ |
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こいもエコ 枝を箸(てもと)で 山昼飯(やまちゅはん) |
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喋(しゃべ)くいの 女房(か)けな敵(かぬ)わん 口喧嘩(くっげんか) |
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少(ちっ)とじゃが 情(なさけ)がさすい 義援金 |
樋口一風 |
喧嘩ずい 勝率(しょうり)ちゃ五分ん 仲(なか)え夫婦(みと) |
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年金じゃ こげなもんじゃろ 所帯(しょて)暮(ぐ)らし |
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手を握(にぎ)っ 次(つ)ぎな進まん 初心(うぶ)な恋 |
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さすが姑(しゅと) 塩一撮(ひとつま)み 味(あ)ず決(き)めっ |
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握(にぎ)らせっ 反対派をば 黙(だま)らせっ |
横綱(東) |
短気者(たんきもん) 言訳(ゆわけ)も聞(き)かじ 叫(おら)っ出(で)っ [満留ぐみ] |
横綱(西) |
信号(しんご)待(ま)ち 空吹(からぶ)かすすい 短気青年(にせ) [米元年輪] |
大関(東) |
爺(じ)の短気 二才(ふたっ)の孫が 見事(みご)つ継(ち)っ [石塚律子] |
大関(西) |
血統(すっ)じゃろで 短気あ父(ちゃん)の 敷(す)け写(うつ)し [今井夢紫] |
関脇(東) |
電話掛け 居(お)らんち二度で ガチャン切(き)っ [諸木小春] |
関脇(西) |
題(だ)や短気 自分(わ)が事(こ)つ書(か)けち 揶揄(ちょく)っ女房(かか) [萬福平次] |
小結(東) |
パソコンぬ 短気親父(おやっ)が 打壊(うっく)えっ [佐伯山神] |
小結(西) |
風呂ん火を イーち短気が 燻(すも)らけっ [吉岡道場] |
筆頭(東) |
短気亭主(とと) 俺(おい)がすっでち 役(や)く背負(かる)っ [石原ミエ子] |
筆頭(西) |
少(すっ)ね母乳(ちち) 乳首(ちく)び噛(か)ん付(ち)た 短気赤児(ちび) [江口紫朗] |
二枚目(東) |
ど鈍(ぬ)りどち 叫(おら)っ通(ど)えちょい 短気亭主(とと) [樋渡草団子] |
二枚目(西) |
あん時(とっ)の 短気が因(もと)で 今も平(ひら) [福原福多] |
三枚目(東) |
短気者(たんきもん) 後(あと)も考(かん)げじ 離婚(わかれ)騒動(そど) [澤津乙名] |
三枚目(西) |
針(はい)の目ん 揶揄(ちょく)い放(ほ)い出(で)た 短気婆(ばば) [市来流星] |
四枚目(東) |
遣(や)い手じゃが 短気が元で 平(ひら)止(ど)まい [入来創雲] |
四枚目(西) |
若(わ)け頃ん 短気を子かあ 見(み)せられっ [津留見一徹] |
五枚目(東) |
短気女房(か)け びくびくしちょい 内気(いめ)な婿 [福山吉連] |
五枚目(西) |
短気者(たんきもん) 撒餌(まき)へ寄(よ)い頃(こ)れ 替(か)わい釣場(ばしょ) [中間紫麓] |
六枚目(東) |
短気者(たんきぼ)も 人並(ひとな)み我慢(きば)っ 避難宿 [畑山真竹] |
六枚目(西) |
大概(てげ)な事(こ)ちゃ 短気あ損気 言(ちゅ)て気張(きば)っ [西迫順風] |
七枚目(東) |
うな言(ちゅ)たや 盃(ちょ)く投げつけた 短気者(たんきもん) [山元自在鉤] |
七枚目(西) |
短気亭主(とと) 盆栽松(ぼんさいま)つば 坊主(ぼ)じなけっ [花園ちづ] |
八枚目(東) |
短気じゃが 気は優(やさ)し子ち 褒(ほ)むい母(はほ) [二見愚楽満] |
八枚目(西) |
早(は)よ注(ち)げち 下戸ん徳利(とっく)ゆ 急(せ)っ立(た)てっ [上薗佳笑] |
親方吟(東) |
顔(つ)れ惚(ほ)れっ 短気も可愛(む)ぜち 見えた女房(かか) [西ノ園ひらり] |
親方吟(西) |
左遷(とば)されっ 自分(わが)ん短気い 後悔(くけ)をしっ [樋口一風] |
福島福助 |
合図じゃち 口笛(はと)どん吹けば 吠(ほ)えられっ |
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掛取(かけと)いの 声じゃち直(いっ)き 仮病(けびょ)で寝(ね)っ |
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山登(やまのぼ)い 支度(した)か立派(ごご)しが もへ疲(だ)れっ |
福園東風 |
女房(かか)ん焼酎(しょちゅ) 街(まっ)で飲(の)んごちゃ 美味(うん)も無(の)し |
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告(ま)ねごろん 一口(ひとく)ち世帯(しょて)が 揉(も)めでけっ |
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金(ぜん)の面(つ)れ 潮が引(ひ)っごっ 失(う)せた角(つの) |
藤高春風 |
三番鶏(しばど)いな 一(ひと)ちょか傾(か)えた 茶飲(ちゃの)ん親父(とと) |
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水神の 足元ずいで 大水(うみ)じゃ引(ひ)っ |
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争(いさ)こてん 結局(つま)や女房(おかた)ん 言(ゆ)ごっなっ |
藤崎政男 |
数の子は お客用(きゃっよう)言(ちゅ)て 食(か)すたせじ |
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追出(うで)た鬼(おん) 屋台(やて)で虎(と)れなっ 戻(もど)っ来(き)っ |
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初市の 笊(しょけ)を飛(と)っ出(で)た 暴れ独楽(こま) |
細山田妙子 |
赤字線 乗(の)ってん帰(もど)や 汽車あ無(の)し |
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伝言も 傘も一時(いっど)き け忘(わす)れっ |
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押売(おしう)いに 亭主(とと)ん不精(ぶしょ)ひげ 物を言(ゆ)っ |
前田唐芋 |
吝(つま)し婆(ばば) 茶は人ん家(え)で けすませっ |
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嫁道具(よめしょど)き 通帳(かえ)をばそっち 入(い)れっやっ |
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盆なっと 稼(かせ)っ時(どっ)じゃち 僧侶(ぼ)しゃ走(はし)っ |
前原人力車 |
宿題の 計算(さんにょ)い母親(かか)ん 指(いっ)も借(か)っ |
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糸はまだ 腹(は)れつけたない 飲(ぬ)で歩(さ)りっ |
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暦(こよ)み丸 孫も狙(ね)ろちょい 年金日 |
馬迫びっきょ |
素人(しろと)治療(よじょ) 瘡蓋(かさぶた)なんだ つんむしっ |
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木(き)の芽(め)時(どっ) 青筋(あおす)じょ立(た)てっ 叫(おら)っ女房(かか) |
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田舎店 訪(こと)れば裏で 畑打(う)っ |
松下純哉 |
でけた女房(かか) 方(ほ)の無(ね)亭主(とと)でん 奉(たてまつ)っ |
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せっぺ降れ 蛙(びっ)も鳴(お)ろじょい梅雨(ながし)時期(どっ) |
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ど鈍(ぬ)り女房(かか) 夕立(さだ)ち布団ぬ 洗(あ)るわせっ |
松元片栗 |
大事(でし)なこちゃ 一々妻(かか)ん 許可が要(い)っ |
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郷中(ごじゅ)ん寄(よ)い 下戸は下戸同士(どし) 輪をつくっ |
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妙円寺詣(いじんめ)い 横井(よけ)ん芋飴(げせん)で 元気ぢっ |
宮江照院 |
どしこ黒(く)れ 着物(いしょ)を着(き)ってん 細(ほ)そ見(み)えじ |
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袖ん下 使(つ)こた挙句(あげ)きな 逮捕(つな)がれっ |
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ラブレタを 灰(へ)いして別(べっ)な 人と挙式(しっ) |
宮里碁楽 |
尻(し)たびらを 叩(た)てたがぐらし 子ん寝顔 |
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トタン屋根 霰(あられ)い鶏(とい)も 騒動(そど)をしっ |
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新米(しんごめ)を 作(さ)くせん衆(し)どが 先(さ)き食(く)ろっ |
村田子羊 |
朝戻(あさもど)ゆ すい度(た)び嘘が 上手(じょ)じけなっ |
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藪占(やぼおせん) ムニャムニャ吐(か)えっ 金(ぜん)ぬ取(と)っ |
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惚(ぼ)けんはっ 婆(ばば)は色気が まだ残(のこ)っ |
村野兵六 |
名付祝(なつけゆえ) 児(こ)あ床(とこ)ん間(ま)い 可愛(む)ぜ寝息(ねいっ) |
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隣(つっ)の夫人(か)け 挨拶(えさっ)が長(な)げち 抓(ねず)まれっ |
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引越(えうつい)な 焼酎屋(しょちゅや)かあ先(さ)き 挨拶(えさ)つしっ |
森豊鹿郎 |
焼酎(しょちゅ)好(す)っが 飲(の)まん婿どみ 寂(とぜん)ね態(ふ) |
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肥満(だんべ)妻(かか) 相撲取(すもと)い節じゃ 綱を張(は)っ |
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猪罠(ししわな)が 筍(たけんこ)泥を 吊(つ)い上(あ)げっ |
盛満椒平 |
読(よ)まならん 字が達筆(たっぴっ)の 良(よ)かとこい |
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褌(へこ)が干(へ)っ あっで分かった 友人(どし)の家(うっ) |
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黒ぢょかが 囲炉裏(ゆるい)で親父(ちゃん)の 上(あ)がゆ待(ま)っ |
安庭四郎兵 |
縁先(えんさっ)の 籾叺(こぶ)ちも供(あ)げた 祝飾(ゆえかざ)い |
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日の丸も 風呂敷(ふろし)き変えた 負け戦争(いっさ) |
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塵紙(ちりがん)ち 言(ゆ)たときゃ落(お)てた 鼻ん汁(しゅい) |
矢田赤提灯 |
よか腕を 焼酎(しょちゅ)と女(おなご)が 腐(ねま)らけっ |
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肌持(はだもっ)が 良(ゆ)なっ出(で)がなか 一升瓶(いっしゅびん) |
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飢(ひだ)りかち 痩(やせ)ごろ猫を 抱(だ)っ上(きゃ)げっ |
見栄張(は)いの 世帯(しょて)は派手じゃが 火の車(くいま) [新地十意] |
道路(み)ちゃ出来(でけ)て 人も車(くいま)も 居(お)らん里 [萬福平次] |
水(みっ)のよな 焼酎(しょつ)いぼっぼっ 腰(こ)しょ上(あ)げっ [吉岡道場] |
女房(かか)が知(し)りゃ 只(ただ)でな済(す)まん 郷句(く)を捻(ひね)っ [日隈英坊] |
自己流ち 免許で見事(みご)つ 婆(ば)が活(い)けっ [石塚律子] |
鼠(ねずん)捕(と)い 手招(てまね)っの先(さ)き 亭主(てし)も居(お)っ [西ノ園ひらり] |
大(ふ)て地震(なえ)い 親父(おや)じ雷(かんなれ) 可愛(む)ぞ見(み)えっ [石塚律子] |
窓際で ビール腹どん 撫(な)でっ五時 [郷二] |
虫食(むしく)れ歯 燠(おき)を銜(くわ)えた よな痛さ [山元自在鉤] |
小(ちん)け飴 一(ひと)っで婆(ばば)あ 友達(ど)す作(つく)っ [津留見一徹] |
痒(か)い背中 柱(はした)ん角(かど)が 掻(け)っくれっ [上村牛歩] |
女房(かか)ん真似 じゃろか孫ずい 二度ん返事(へし) [工藤天然] |
二次会の 話も出(で)らん こん不況 [正子] |
仕分けをば すい程(しこ)は無(な)か 亭主(てし)の給料(はれ) [吉岡道場] |
晩酌(だいやめ)が 少(ち)す遅(お)すなれば 湯気(ほけ)が立(た)っ [上薗佳笑] |
四五反(しごたん)じゃ 元(もと)どま取(と)れん 機械農業(ざっ) [楠八重渓流] |
赤提灯(あかぢょちん) 睨(ねぎ)っ走った 給料日(はれび)前 [入来創雲] |
パチンコにゃ 行(い)って募金な 得為(えせ)ん奴(わろ) [米元年輪] |