中村雲海 |
猫バスが 走(はし)っ来(く)いよな 寂(とぜ)ね過疎 |
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ジャンケンの 弱(よ)え奴(と)が終(しめ)にゃ 妙(す)だ踊(おど)い |
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付け薬(ぐす)や 何年経(た)とが きし効(き)かじ |
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左利(ぎっちょ)をば 直(なお)せち諭す 厳(い)ね爺様(じさま) |
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休戦の 三十八度 疼(うず)っでっ |
有川南北 |
高隈山(たかくま)を 見てかい決(き)むい 洗濯日(せんたっび) |
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烏(から)しゃ利口(じく) 熟柿(じゅく)しなっずや 寄(よ)い付(つ)かじ |
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独(ひと)い笑(わ)れ すい女房(か)け包丁(ほちょ)ん 不安(せわ)をえっ |
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実(な)い過(す)ぎっ 貰(も)ろ手もおらん はやと瓜(うい) |
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淋(げん)ね 晩 亡父(おやっ)と並(な)るだ 年齢(と)す想(おも)っ |
弓場正己 |
駅弁で 稼(かせ)ごち出水(いず)ま も早(へ)大騒動(うそど) |
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仕分け人 そん口振((くっぶ)いが 女房(かか)い似(に)っ |
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子供(こどん)ずい 店長(てんちょ)いなって 亭主(とと)は平(ひら) |
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考(かん)げなし 悪口(あっご)を言(ゆ)たや 後(うし)て居(お)っ |
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立読(たちよ)んぬ すれば叩(はたっ)が 傍い来(き)っ |
堂園三洋 |
大世間(うぜけん)が 灰色(へいろ)い見(み)ゆい 休刊日 |
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俺家(おいげ)どま 見(み)いもきっせん 宅急便(たっきゅびん) |
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舐(な)むいごっ 美人(シャン)ぬば見(み)ちょい くずれ亭主(とと) |
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家族(けね)全部(ずるっ) 色艶(いろひっ)の悪(わ)り 貧乏(びんぶ)世帯(じょて) |
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貧乏(びんぶ)をば 顔(つら)いな出さん 出来(でけ)た女房(かか) |
永徳天真 |
孫が泣(ね)っ 婆(ばば)い叱(が)られた 百面相(ひゃくめんそ) |
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鉄砲(てっぷ)耳(みん) 用事(ゆ)じゃメモ紙(がん)に 書(け)て渡(わ)てっ |
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稽古(けこ)が入(い)っ 若鶯(でっち)も日増(ひま)し 上手(じょ)し歌(う)とっ |
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飲(の)ん方(かた)が あいか素早(てばし)け 仕事(しご)つしっ |
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少(ちっ)と暗(く)れ 場所で手相見(てそみ)あ 客(きゃ)くば待(ま)っ |
樋口一風 |
鏡(かが)む見(み)っ もてん筈(はっ)じゃち 諦(あきら)めっ |
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餅腹(もっばら)が 秤(ちきい)の妻(かか)を 叫(おら)ばせっ |
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コップをば 持(も)っ待(ま)っちょって 長(な)げ挨拶(えさっ) |
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一(ひと)団地 起(お)けた夜中ん 救急車 |
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八十(はっじゅ)婆(ば)も 進化絵文字で 友達(ど)しメール |
天 |
息子(こ)の家も 肩が凝(こ)っ言(ちゅ)てもへ帰(もど)っ [吉岡道場] |
地 |
肩ん雪(ゆ)く 払(は)るっ暖簾で コップ焼酎(じょちゅ) [伊地知 孝] |
人 |
留守番(ずしばん)が ママを見たなあ 肩で泣(ね)っ [上薗佳笑] |
五客一席 |
肩車(かたぐいま) 爺(じ)の耳朶(みんじゃば)で 舵(か)じゅばとっ [市来流星] |
五客二席 |
肩ん荷を 下(お)れた頃いにゃ 余生(さっ)が無(の)し [有馬純秋] |
五客三席 |
肩車(かたぐいま) した子も今じゃ 良(よ)か父親(おやっ) [吉丸セツ子] |
五客四席 |
肩揉(も)んけ 孫がやっ来(く)い 年金日 [米元年輪] |
五客五席 |
嫁ん肩 持てば女房(かか)奴(わろ) 俺(お)よ睨(ねぎ)っ [西 幸子] |
選者吟 |
人を肩(か)て 乗(の)せっ弥五郎(やごろ)ん 浜下(くだ)い [有川南北] |
横綱(東) |
五体(ご)て効(き)っち 爺(じ)は言(ゆ)が迷惑(めわっ) 大蒜(ひい)ん臭(かざ) [日隈英坊] |
横綱(西) |
美人(シャン)が居(お)っ 混浴(こんよ)か身体(から)で 効(き)っごちゃっ [工藤天然] |
大関(東) |
龍馬いも 効(き)た言(ちゅ)霧島(きりい)め 湯治(と)じ行(い)たっ [有馬純秋] |
大関(西) |
機嫌(ごっ)の悪(わ)り 妻(か)けな諭吉(ゆきっ)の 顔(つら)が効(き)っ [中間紫麓] |
関脇(東) |
何(な)い効(き)っも 判(わか)らじ飲(ぬ)じょい 婆(ば)のサプリ [満留ぐみ] |
関脇(西) |
効(き)っち買(こ)た 健康器具は 小屋(こ)へ眠(ねむ)っ [井手上政暎] |
小結(東) |
根回しが 効(き)たかたっちき 議決(ぎけ)つしっ [西 幸子] |
小結(西) |
野菜(やせ)い播(め)た 肥料(こえ)は全部(すっぱい) 草い効(き)っ [弓場正巳] |
筆頭(東) |
何(ど)ん薬(くす)い 効(き)たか分(わ)からじ 病(びょ)は治癒(なお)っ [盛満椒平] |
筆頭(西) |
効(き)っ言(ちゅ)えば 得知(えし)れん草も 煎(せ)じっ飲(の)ん [吉岡道場] |
二枚目(東) |
婆(ばあ)ちゃんの おやっが効(き)たか 肩叩(かたたた)っ [樋之口墨矢] |
二枚目(西) |
効(き)っ言(ちゅ)えば 店んバナナが 空(か)れけなっ [桑元行水] |
三枚目(東) |
増毛薬(ぞうもやっ) 塗(ぬ)って叩(た)てたや 効(き)たごたっ [石塚律子] |
三枚目(西) |
垂(た)れん効(き)た 焼鳥(やきと)い買手(こて)ん 衆(し)が並(な)るっ [入来義徳] |
四枚目(東) |
痩せ薬(ぐす)ゆ 効(き)っ言(ちゅ)た医者も 凄(わ)ぜ肥満(だんべ) [山田竜生] |
四枚目(西) |
正座(きんすわ)っ 母(はほ)ん涙(なんだ)が 子いな効(き)っ [樋口一風] |
五枚目(東) |
胡麻擂(す)いが 効(き)っ窓際い さようなら [堂園三洋] |
五枚目(西) |
俺(おい)が膝(ひ)ぜ 効(き)っ効(き)っ効(き)っち コマーシャル [中囿和風] |
六枚目(東) |
兄弟(きょで)喧嘩 爺(じ)の咳払(せっば)れが 止(や)めさせっ [石原ミエ子] |
六枚目(西) |
効(き)っよかも 火傷が心配(せわ)な 大(うど)か灸(えつ) [萬福平次] |
七枚目(東) |
効(き)っ言(ちゅ)えば 温泉宿を 爺(じ)は梯子 [北村虎王] |
七枚目(西) |
良(ゆ)効(き)っ言(ちゅ)っ 薩摩郷句で 惚(ぼ)け防止 [西迫順風] |
八枚目(東) |
効(き)っ言(ちゅ)えば 山ん出水(でみっ)も 買(こ)け走(はし)っ [畑山真竹] |
八枚目(西) |
値上(ねあ)がいが 効(き)たか煙草を 止(や)めた亭主(てし) [江口紫朗] |
親方吟(東) |
名医言(ちゅ)で 注射も効(き)けた 流行(はやい)風邪 [諸木小春] |
親方吟(西) |
効(き)っち注(ち)だ どどくれ蝮(まむ)し 怖(びび)い猪口(ちょっ) [津留見一徹] |
野間小爺 |
担売(かたげう)い 風袋(ふて)ごみ噂 撒(め)っ歩(さ)れっ |
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塗箸(ぬいてもと) 畳(たた)み蒟蒻(こんにゃ)く 追(う)てまわっ |
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栄転で 店ん掛(かけ)どま け忘(わす)れっ |
野間口鈴女 |
開けた方(ほ)が ひったまがった 外便所(そとまなか) |
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肥満(だんべ)女房(かか) シートベルトが ヒーヒ言(ゆ)っ |
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料理(じゅ)や知(し)たじ 圧力鍋あ 唐芋(かいも)煮(に)い |
枦山一球 |
四十女房(かか) 鏡(かがん)も見(み)らじ 化粧(けしょ)をしっ |
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転勤(で)っ言(つ)たや 単身(ひとい)で行(い)けち 煤(すす)け女房(かか) |
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天気予報(よほ) 梅雨(なが)しなったや 当(あ)たいでっ |
畠中速男 |
虫くれ歯 金(ぜん)の無(な)か時(と)き 疼(うず)っでっ |
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俎板(きいばん)の 音でわが家(え)ん 朝が来(き)っ |
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毎晩(めばん)飲(ぬ)っ 締(し)まれ締(し)まれち 女房(か)けな言(ゆ)っ |
馬場トミ |
歳暮(せぼ)吟味 後(あと)じゃごろいと 夫婦(みと)喧嘩 |
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管巻(じじら)親父(とと) 機嫌ぬとれば 余計(じんじ)掘(ほ)っ |
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高望(たかのぞ)ん 勉強(べんきょ)勉強(べんきょ)ち 子を苛(こ)ねっ |
浜田絡繰 |
結婚(といえ)当初(は)ね 酔(よ)くろた真似で 泊(とま)い野暮 |
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胃が悪(わ)りて 乳房(ちち)を揉(も)んじょい 助平(すけべ)医者 |
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軽(か)い病(びょ)じゃち 嘘も切(せっ)なか 癌の見舞(みめ) |
浜田孝ちゃん |
春(はい)日和(びよ)い 縁側ん爺(じ)は 舟を漕(け)っ |
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日中(にっちゅ)かい 太鼓(てこ)三味線(しゃん)が鳴(な)い 湯治(とっ)の宿 |
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尻(し)ゆば見(み)っ 嫁女(よめじょ)は決(き)めち 婆(ばば)が下知(げっ) |
林 学釣 |
七(なな)とこい 雑炊(ずし)を貰(も)ろよも なか団地 |
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犬(いん)よいか 嫉妬(じんき)女房(かか)わろ 鼻が利(き)っ |
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せからしで 石油缶(せったんかん)ち 名を貰(も)ろっ |
林 豚ん子 |
日曜(にちよ)大工(でっ) 造作(ぞさっ)も器用(じく)い 家(え)を建(た)てっ |
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長(な)げ出張(しゅっちょ) 味噌汁(しゅい)一杯(いっぺ) 恋しゅなっ |
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士族(しぞっ)婆(ばば) 煤(すす)け床(とこ)ん間(め) 香(こ)をば焚(て)っ |
娘(おご)がヒス 父親(とと)んパンツと 洗(あ)るた言(ちゅ)っ [上薗佳笑] |
あん顔(つら)ん どけ惚れたとか 倦怠期 [吉岡道場] |
胃カメラい 遺言(ゆお)く書(か)こそな 臆病者(ひっかぶい) [諸木小春] |
十五日(じゅうごんち) 値引(ねび)っのチョコを 女房(か)け貰(も)ろっ [工藤天然] |
金(ぜん)の事(こ)ちゃ 考(かん)げん亭主(とと)ん 旨(うま)か料理(じゅい) [前田あやめ] |
大霜晩(うじもばん) 亭主(とと)ん股張(またば)い 足(あ)す入(い)れっ [花園ちづ] |
選(え)い残(のこ)ゆ 連(つ)れ添(そ)っ笑(わ)るた 五十年 [松下青雲] |
母(かあ)ちゃんが 恐(おと)ろしとなち 子が笑(わ)るっ [西迫順風] |
方(ほ)の知(し)れん 亭主(て)しつがらんね 歳暮(せぼ)が要(い)っ [三條風雲児] |
狡(え)じ言(つ)たや 所帯魂(しょてだまし)じゃち きし吐(か)えっ [楠八重渓流] |
こん寒(さん)け 見(み)い方(ほ)も堪(のさ)ん ミニん娘(おご) [江口紫朗] |
疎(う)て奴(わろ)が 冗談(わや)くいちいち 聞(き)っ直(な)えっ [永徳天真] |
末吉(すえきっ)の 後(あと)い留吉(とめきっ) ちゅう弟(おとっ) [有川南北] |
ピカソん絵 よっかい女房(かか)が 可愛(む)ぜごたっ [上薗佳笑] |
長(な)げ化粧(けしょ)い 待(ま)っちょいきらん クラクション [新地十意] |
血筋(ちすっ)じゃろ 何処(どっ)か懐(なつ)かし 猿(よも)ん顔(つら) [大重爆笑] |
値(ね)が付(つ)かじ 売買(ういけ)が出来(でけ)ん 過疎ん土地(じだ) [佐伯山神] |
狡(え)じ奴(わろ)が 払(は)るとか直(いっ)き 便所(まな)け入(い)っ [伊地知 孝] |
三回忌 終(お)えっ涙(なんだ)ん 数(かし)も減(へ)っ [おんじょどい] |
寒(さ)み晩な 湯タンポよっか 肥満(だんべ)女房(かか) [前田あやめ] |
孫ん方(ほ)がプロよか高(たか)か肩叩(かたたた)っ [おんじょどい] |
薄(う)し胸(む)ねな がっつい手荒(てあ)れ 聴診器 [石塚律子] |
離婚(わかれ)騒動(そど) 原因(もと)は鰻(うなっ)も 効(き)けん亭主(とと) [石野蟹篭] |