栫 路人 |
点滴(てんてっ)の 落(お)ちが遅(お)そかち 言(ゆ)おごちゃっ |
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起(お)っ上(きゃ)がい 加勢(かせ)が要(い)い五体(ごて) 歯痒(はが)いこっ |
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飯(め)しゃ一日(ひして) 一度(いっど)も多(う)かち 言(ゆ)う病人(びょにん) |
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張った腹 少(ちっ)と動けば 息(い)か切(き)れっ |
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横向(よこむ)っで 無(な)かや寝(ね)られん 病(びょ)い出合(でお)っ |
有川南北 |
口(くっ)が先(さ)き 生まれたとじゃろ 議(ぎ)が多(う)こし |
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西部劇(せいぶげ)く 阿久根でも見た 議会騒動(そど) |
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クラス会 招待(まね)た恩師ん 弱々(よと)し皺 |
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夫婦(みと)喧嘩 亭主(て)しゃ粛々と 後整理(あとこばめ) |
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偶(たま)にしか 行(い)かん墓参(はかめ)い 蚊がくろっ |
弓場正己 |
音信(そ)の無(ね)時(と)か 良(よ)か事(こっ)じゃっち 母(かか)は言(ゆ)っ |
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割り箸が どんどん溜(た)まい 一人者(ひといもん) |
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苦情係(くじょがか)や 派遣社員に 受けさせっ |
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権力(けんりょっ)の 女房(か)け議(ぎ)を言(ゆ)たや 日干(ひぼ)し遇(お)っ |
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五十年目(ごじゅねんめ) 鍋と蓋とが やっと合(お)っ |
堂園三洋 |
乙女座ち 言(ゆ)おそな顔(つら)か 大男(うどっかん) |
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講師(かたいて)い 聞(き)こえあせんか 大(ふ)て鼾(いびっ) |
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剛腕ち 褒(ほ)めっ亭主(とのじょ)を 使(つ)こたくっ |
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混浴(こんよっ)の 美人(シャン)に恥(げん)なか 痩せ肋骨(あばら) |
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パチンコい 雨宿(あまやど)ゆして 財布(ふぞ)は空(から) |
永徳天真 |
無愛想(ぶあいそ)ん 声い電話も 短(みし)こなっ |
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何度柄(え)も 替えたか 包丁(ほちょ)と 長(な)げ付合(つっ)け |
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宿題は 後で後でち 勉強(べんきょ)嫌(ぎ)れ |
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甘(あ)も見たか 相手(えて)ん先発(せんぱ)ちゃ 三番手 |
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駅伝に テレビ桟敷(さじっ)も 叫(お)れ通(ど)えっ |
天 |
朝読(あさよ)んの 声が嬉(うれ)しか 一(ひと)っ屋根 [諸木小春] |
地 |
いま流行(はやい) 何(なん)ち読(よ)んとか 赤子(こ)ん名前 [伊地知 孝] |
人 |
読(よ)ん聞かせ 途中(つと)で孫共(と)め 婆(ば)も眠(ねぶ)っ [大西学老] |
五客一席 |
呆(ぼ)え外交(がいこ) チャイナん肚(はら)を 読(よ)ん違(ち)げっ [おんじょどい] |
五客二席 |
答弁の 棒読(ぼうよ)み野次が 食(く)れ掛(か)かっ [津留見一徹] |
五客三席 |
童話をば 間違(まっ)ごっ読めば 孫が叱(が)っ [佐伯山神] |
五客四席 |
握手すい度(かし) 候補者は票(ひゅ)をば読(よ)ん [上薗佳笑] |
五客五席 |
読(よ)んみたが 何(ない)も分からん 説明書 [中村雲海] |
選者吟 |
偉(え)らか衆(し)は 来(こ)じ代読(だいどっ)の 多(う)け祝辞 [有川南北] |
横綱(東) |
シェルタでな 岩を割(わ)っ音(お)た 神(かん)の声 [有馬純秋] |
横綱(西) |
真っ二(ぷた)ち 賛否が割れた 町議会 [弓場正巳] |
大関(東) |
腹を割(わ)っ 語(かた)ろち飲(ぬ)だて 掘(ほ)いでけっ [伊地知 孝] |
大関(西) |
腹を割(わ)っ 中を見(み)ろそな 酷(ひ)で横杵(よんご) [花園ちづ] |
関脇(東) |
割勘(わいかん)に 下戸が立腹(はら)けた 三次会 [松元清流] |
関脇(西) |
諄(く)で小言(ぐぜ)い 爺(とと)あ茶碗ぬ 叩(た)たっ割(が)っ [楠八重渓流] |
小結(東) |
九一(きゅういっ)で 割った焼酎(しょちゅ)どん 飲(ぬ)で元気 [西ノ園ひらり] |
小結(西) |
大雪(うゆっ)じゃろ 竹ん割(わ)る音(お)て 目が醒(さ)めっ [中間紫麓] |
筆頭(東) |
焼酎(しょつ)瓶ぬ うっ割(が)っ床(ゆか)を 舐(な)め回(ま)えっ [澤津乙名] |
筆頭(西) |
割勘(わいかん)の 分母(ぶん)べなっちょい 堪(の)さん下戸 [吉岡道場] |
二枚目(東) |
割(わ)っ入(い)った 仲裁(ちゅうさ)や夫婦(みと)い 叩(たた)かれっ [新地十意] |
二枚目(西) |
割った壺 ボンドで付(つ)くい 悪戯坊主(われこっぼ) [江口紫朗] |
三枚目(東) |
草野球 ガラすば割った ホームラン [堂園三洋] |
三枚目(西) |
腹を割(わ)っ 語(かた)れあ良(よ)かて 犬(いん)と猫 [上山天洲] |
四枚目(東) |
割勘(わいかん)の 時(と)きな浴(あ)び程(ひこ) 飲(の)ん帰(もど)っ [満留ぐみ] |
四枚目(西) |
割れた壺 罪(つん)の被(かぶ)った 可哀相(ぐら)しタマ [中囿和風] |
五枚目(東) |
遺産分け 直(いっ)き取前(といめ)を 割(わ)い出(だ)せっ [畑山真竹] |
五枚目(西) |
割勘(わいかん)ち 飲(の)ん代(で)は下戸も ひっ負(かる)っ [井手上政暎] |
六枚目(東) |
割(わ)い切(き)れば 夫婦(みと)あ他人ち 吠(ほ)ゆい女房(かか) [西 幸子] |
六枚目(西) |
ガラす割(わ)っ 雨戸を閉めた 夫婦(みと)喧嘩 [米元年輪] |
七枚目(東) |
肚(はら)を割(わ)っ 語(かた)ろち飲んだ 焼酎(しょちゅ)が仇(あだ) [郷田悠々] |
七枚目(西) |
酔(よ)くれ亭主(て)す 焼酎(しょちゅ)あ二八(にはっ)で 騙(だま)かせっ [樋口一風] |
八枚目(東) |
取(と)い落(お)てっ 割った花瓶に 泣(な)っでけっ [樋渡草団子] |
八枚目(西) |
腹を割(わ)っ 語(かた)いが言(ちゅ)たて 喧嘩(けん)けなっ [前村泰山] |
親方吟(東) |
肥溜(こえだめ)ん 蓋を踏(ふ)ん割(わ)っ 川(か)へ走(はし)っ [津留見一徹] |
親方吟(西) |
母(はほ)を手段(だ)し 口(く)つば割らせた 遣(や)い手刑事(でか) [諸木小春] |
花生(はない)けい ヒステリ女房(かか)あ 坊主(ぼ)じなけっ |
女房(かか)よっか 子供(こど)み叱(が)らるい 方(ほ)が多(う)こし |
わが勝手(かっ)て 産んだたろがち 反抗期 |
考(かん)げごちゃ 無(ね)とか妻(かか)どま 肥(こ)えまくっ |
上(あ)がらせん うだっち歳暮(せぼ)どま うっちゃめっ |
背広いも 潮匂(しおかざ)がすい 浜男 |
横(よん)ご爺(じ)も 婆(ばば)が見(み)えんな 呼(よ)っどえっ |
パンツずい 妻(かか)ん好(この)んぬ 穿(き)せられっ |
父(とと)は其処(そ)け 居(お)って母(かか)さい 子は相談(そだん) |
嫁が来(き)っ 家族中(けねじゅ)朝飯(あさめ)しゃ パンになっ |
物忘れ すいが勅語(ちょっご)は 覚(おぼ)えちょっ |
会議言(ちゅ)は 口実(だし)で当初(はな)から 焼酎(しょちゅ)が出(で)っ |
猫ん名は 呼(よ)んが女房(おかた)ん 名は言(ゆ)わじ |
羽釜(はがま)ずい こせだ空き巣い 唖然(あけっ)なっ |
長(な)げ付合(つっ)け 女房(かか)ん正体(しょうた)ゆ まだ知(し)たじ |
割勘(わいかん)で 飲(ぬ)だて酔払(よく)れん 守(も)ゆばしっ |
愛の鞭(むっ) 力加減が 難(むっか)しゅし |
酔(よ)い醒(ざ)めん 水(みっ)の美味(うま)さを 知(し)たん下戸 |
打捨(うっす)いな 惜(お)しち背広で 畑(はい)仕事(しごっ) |
甘(あ)まやけっ 叱(が)らん親をば 叱(が)ろごたっ |
列(れ)ち蒔(め)たて こぼれ種(だね)どが 成長(いっ)が良(ゆ)し |
結婚式(ごぜんけ)で 父(とと)は泣(な)っ虫 じゃっち知(し)っ |
ざっぺらっ 洗(あ)るえば姑(しゅと)が 洗(あ)る直(な)えっ |
抱(だ)こしたや 雲ん切れ間ん 月(つっ)が出(で)っ |
下戸が家(え)な 歳暮(せぼ)ん魔王(まおう)が 床(と)け眠(ねぶ)っ [吉岡道場] |
愛情ち スパイし加勢(かせ)を 貰(も)ろた料理(じゅい) [石塚律子] |
嘘(うそ)嘘ち 相槌(えは)あ嘘しか 言(ゆ)わん娘(おご) [江口紫朗] |
風邪ち言(ゆ)な 俺(おい)が決(き)むっち 医者が言(ゆ)っ [中囿和風] |
饒舌(しゃべい )ごろ 読(よ)ん方(か)てなれば ずもいでっ [松下青雲] |
順番(ばん)が来た 音痴あ歌ば 読(よ)んでけっ [折田さくら] |
共白髪(ともしたが) 約束(やっじょ)を破(やぶ)っ はっ逝(じ)たっ [諸木小春] |
負(ま)け惜(お)しん 破れた恋(こ)ゆば 振った言(つ)っ [楠八重渓流] |
亭主(てし)の料理(じゅい) 失業(しっぎょ)すい度(かし) 上(あ)がい腕 [日隈英坊] |
買(こ)っくれち 転倒(かや)った孫と 根競(こんくら)べ [西ノ園ひらり] |
テープどん 掛(か)けっ偽物(まげ)坊主(ぼ)しゃ ひん帰(もど)っ [有馬青嵐] |
パーティーに 行(い)こそな容姿(よし)で 参観日 [永徳天真] |
良(よ)か容姿(よ)すば してんどもこも 短(みし)け脚(あし) [堂園三洋] |
容姿(よ)しゃ千両(せんりょ) 噴(ふ)けば万両(まんりょ)ん 桜島 [新地十意] |
私(あたい)よか 兄弟(きょで)が可愛(む)ぜ態(ふ)ん 歯痒(はが)い亭主(とと) [上籠若菜] |
あの世いな 未だ用事(ゆ)じゃ無(な)かち 爺(じ)ん気迫(きはっ) [大重爆笑] |
そん昔 偽物(まげ)とな知(し)らじ 惚(ほ)れた胸 [有川南北] |
五十年(ごじゅねん)も 偽物(まげ)指輪(いっがね)で 使(つ)こたくっ [花園ちづ] |
見合(みえ)ん席(せっ) 障子(しょし)の破れい 目が二(ふた)っ [湯前為一] |
かしたん座(ざ) 座椅子を一(ひと)っ 用意(しこ)たてっ [鳥丸幸春] |
良(よ)か容姿(よ)すば してんどもこも 短(みし)け脚(あし) [堂園三洋] |