栫 路人 |
あん世でも 添(そ)うか言(ちゅ)たなあ 誰(だい)が言(ちゅ)っ |
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刃向(はむ)こたや 欠点(あら)ん有(あ)い限(た)け 返(もど)っきっ |
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かすがいの 子どま見向(みむ)っも せじ暮(く)れっ |
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用事(ゆ)しゃ無(ね)どん 孫ん声聞(き)きゃ 済(す)ん電話 |
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罹(かか)っみっ 予想(よそ)よいきっか 日射病 |
有川南北 |
国民な 蚊帳ん外(そ)て放(や)っ 党首選 |
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骸骨(さねこっ)が 年金ぬ貰(も)ろ 長寿国(ちょうじゅこっ) |
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逆(さか)らえん 女房(かか)ん専決(せんけ)ち ざまね俺(おい) |
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元気ちゅが 八十(はっじゅ)過ぎれば 休憩(よく)どえっ |
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盗(ぬすと)猫(ね)け 罪(つん)な無(な)かろに 飢(ひも)じ日々 |
弓場正己 |
白骨(はっこっ)が 年金ぬ貰(も)ろ 長寿国(ちょうじゅこっ) |
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来(き)っやった 貰(も)ろっやったで 五十年 |
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女房(かか)奴(わろ)が 小遣(こづけ)を又も 仕分けしっ |
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就活(しゅうかっ)の 戻(もど)ややっぱい 赤提灯(あかちょちん) |
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金持(ぜんもっ)も 貧乏(びんぶ)も長命(じゅみょ)い 差どま無(の)し |
堂園三洋 |
敷(し)かれ亭主(とと) 料理(じゅい)の番組(ばんぐ)み メモを取(と)っ |
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まあ良(よ)かろ プラスマイナス ゼロん女房(かか) |
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縦横(たてよこ)が 余計(うご)ちゃ変わらん 女房(か)けけなっ |
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シュレッダで 跡形も無(な)か 呆(ぼ)えテスト |
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ぼろテレビ 最高(さいこ)ん場面(とこ)で 砂嵐 |
永徳天真 |
夫婦(みと)ん顔(つ)れ なっ帰(もど)っきた ハネムーン |
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案山子いな 破れ背広も 一張羅(いっちゃびら) |
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指(い)ぶ舐(ねぶ)っ 婆(ば)あ釣銭(ついせん)ぬ 数(かん)ぜ方(かた) |
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後(うしと)かあ おいち抱(だ)っ付(ち)た 知(し)らん奴(わろ) |
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眠(ね)び所(とこ)い 何事(ないごっ)かよち 睨(ねぎ)い犬(いん) |
横綱(東) |
嫁(き)て五年 姑(ばば)ん小言(こごっ)も 短(みし)けなっ [松元清流] |
横綱(西) |
五七五(ごうしちご) 短(みし)け言葉が 脳(の)を苛(こ)ねっ [米元年輪] |
大関(東) |
爺(じ)の自慢 短(みし)こ千切れた 手打(てうっ)蕎麦 [澤津乙名] |
大関(西) |
短(みし)け首(く)び ネクタや始終(ねんじゅ) 狼狽(ばたぐ)ろっ [上山天洲] |
関脇(東) |
短(みし)けお経(きょ) 包(つつ)ん過ぎたち 妻(かか)ん愚痴(ぐぜ) [山元自在鉤] |
関脇(西) |
溶接(ようせっ)で 長(な)ごないめかい 短(みし)け脚(あし) [原田菊男] |
小結(東) |
膳ぬ前(ま)へ 短(みし)け挨拶(えさ)つば 褒(ほ)められっ [佐伯山神] |
小結(西) |
日の短(みし)け 昼寝(ひんね)女房(おかた)あ きいきい舞(め) [花園ちづ] |
筆頭(東) |
短(みし)け夏(な)つ 精一杯(せっぺ)生(い)きちょい 蝉(せっ)の声 [新地十意] |
筆頭(西) |
特攻隊(とっこたい) 短(みし)け命(いのっ)で 娑婆を絶(た)っ [入来義徳] |
二枚目(東) |
元気やち 短(みし)け電話い ほろっなっ [西 幸子] |
二枚目(西) |
修繕(かがい)大工(でっ) 短(みし)け柱(はした)い履(ふ)ます下駄 [中間紫麓] |
三枚目(東) |
好(す)っち書(け)た 短(みし)けラブレて グラッきっ [石塚律子] |
三枚目(西) |
女房(かか)が逝(い)っ 短(みし)け看病(かんびょ)い 残(のこ)い悔い [萬福平次] |
四枚目(東) |
びびっ来(き)っ 短(みし)け交際(つっげ)で 結婚(ひと)ちなっ [西ノ園ひらり] |
四枚目(西) |
浮気亭主(とと) 此(こ)いで二度目ん 坊主(ぼし)頭(びんた) [上薗佳笑] |
五枚目(東) |
おいあいち 短(みし)け会話(かたい)で け済(す)ん夫婦(みと) [有馬純秋] |
五枚目(西) |
短(みし)け足(あ)す 二人三脚(ににんさんきゃ)か 抱(で)て走(はし)っ [吉岡道場] |
六枚目(東) |
我(わが)は棚(た)ね 足が短(みし)けち 娶(も)れ相談(そだん) [入来創雲] |
六枚目(西) |
金送れ たったそしこん 子んメール [樋口一風] |
七枚目(東) |
老い先(さっ)が 短(みし)け言(ちゅ)ながら また貯金 [満留ぐみ] |
七枚目(西) |
形見(かたん)分け 丈が短(みし)けち 文句(ゆご)ちょ言(ゆ)っ [今井夢紫] |
八枚目(東) |
話下手 短(みし)け挨拶(えさっ)で わぜもてっ [樋渡草団子] |
八枚目(西) |
縄跳(なわと)っの 紐がお揶揄(ちょく)い 短(みし)け足 [福冨野人] |
親方吟(東) |
短(みし)けどん 掘れば掘(ほ)いしこ 深(ふ)け郷句 [津留見一徹] |
親方吟(西) |
襟巻(えいまっ)が 窮屈(きくっ)ぬしちょい 短(みし)け首(くっ) [諸木小春] |
樋之口墨矢 |
多(う)け親類(しんじ) 結婚式(ごぜんけ)後(あと)にゃ またお通夜 |
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庭上(にわあ)がい 加勢(かせ)せん子供(こど)が 一番(はっぽ)馳走(ぞゆ) |
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飲(の)ん屋でな 平(ひら)が課長様(かちょさ)へ 下知(げ)つばしっ |
堂園三洋 |
美味(うん)め態(ふ)で 飲(の)ん亭主(て)し止(や)めち 言(ゆ)もならじ |
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色直(いろなお)す すい度(た)びかった おかすなっ |
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消しゴムん 潰れは隣(つっ)の 字も消(け)せっ |
徳永みよ子 |
駅(え)き出迎(でむ)け 父(ちゃん)よか土産(みや)げ 走(はし)い寄(よ)っ |
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食倒(じっど)れっ 億劫(よだ)くなっきた 洗(あ)れやっめ |
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世話好(ず)っが 出(で)ばっ叱(が)られた 夫婦(みと)喧嘩 |
泊 光秀 |
デート前 そん気でブラジャ 緩(ゆ)る締(し)めっ |
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色話(いろばな)し 片頬(かたふ)で笑(わ)るた 無口者(うんだまい) |
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手土産ち 地鶏(じど)ゆ藁苞(わらづ)て 土間(ど)め投(な)げっ |
富安 醴 |
快気祝(かいきゆえ) 兎(うさ)ぎ食(か)すそな 野菜(やせ)ん料理(じゅい) |
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護謨(ぎった)毬(ま)ゆ 握(に)ぎ握(に)ぎ養生(よじょ)ん 爺(じ)の真顔 |
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目刺(めざ)す食(く)た 舌でグルメを きし吐(か)えっ |
中島小黒瀬 |
何時(いっ)の間(め)か 嫁女(よめじょ)ん料理(じゅい)に 慣(な)らされっ |
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貰(も)ろた焼酎(しょちゅ) 煤(すす)けた熨斗が ひっ付(ち)ちょい |
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横(よん)ご爺(じ)も 機嫌ゆ歌(う)とっ 鎌踊(おど)い |
長瀬慶子 |
巨峰(きょほ)んよな 乳首(ちく)ば赤子ん 口(く)ち入(い)らじ |
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目が肥えた 今ならこげな 亭主(て)しな嫁(こ)じ |
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ひと夏(なっ)の 恋が生理を 打(う)っ止(と)めっ |
長瀬ポンパツ |
入学式(にゅがっし)き 見栄んダイヤを 光(ひか)らせっ |
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土用(どゆ)鰻(うな)ぐ 夫婦(みと)共(と)め食(く)ろっ 晩が心配(せわ) |
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苦瓜(ご)ゆ貰(も)ろっ 義理(ぎい)堅(が)て女房(かか)は 西瓜(すか)をやっ |
長瀬ヨシ子 |
風呂水(みっ)が 気が気じゃ無(ね)とい 長電話 |
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女房(かか)が叱(く)る 声もうぜらし 夏休(なっやす)ん |
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不器用(ぶきっちょ)が 挿(す)げた鍬(か)の柄(え)は 抜けどえっ |
永田望桜 |
御馳走(ごっそ)をば 前(ま)へ待(ま)っ疲(だ)れ 長(なが)挨拶(えさっ) |
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着物(いしょ)姿 まん丸(まい)か尻(し)い 惚れ直(な)えっ |
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火事(かし)騒動(そど)い 荷を担(かた)げ出(で)た 馬鹿力 |
那加野黎子 |
雪空(ゆっぞら)い 飲(の)ん日和(びよい)じゃち 提(さ)げっ来(き)っ |
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七五三 連(つ)れぶし女房(かか)も 着物(いしょ)作(つく)い |
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取粉(あれ)ん化粧(けしょ) 田の神(かん)さあも 若(わ)こ見(み)えっ |
長野マサ子 |
にわか客(ぎゃ)き 恥(げん)のしのさん 昼寝(ひんね)顔(づら) |
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酔(よく)れぼん きし諄(く)で話(はな)し 欠伸(あく)ぶしっ |
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孫ん守(も)い 稲刈(いねか)いよっか 疲(だ)れかぶっ |
中原喜美子 |
島津様(しまっさあ) 桜島(しま)を築山(つっきゃ)め 眺(み)て暮(く)れっ |
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退職(やめ)亭主(とと)が 下知(げ)つしがなった 女房(かか)一人(ひとい) |
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筋(す)じょ言(ゆ)てん 声高(こえだ)け女房(かか)ん 議(ぎ)い負(ま)けっ |
中間紫麓 |
情強(じょづ)え奴(わろ) 鯣(すいめ)は燠(おき)ゆ 抱(で)て曲(ま)がっ |
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後家ん鎌 研(て)だや立腹(はら)けた 悋気(じんき)女房(かか) |
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始業式(しぎょうしっ) 良(ゆ)遊(あ)すだ順に 黒(くろ)か顔(つら) |
中村雲海 |
短躯(じっくい)が 吊った注連縄(いぎれ)あ 首(く)び掛(か)かっ |
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達筆の 割(わ)いにゃ寸志ん 少(すっ)ねこっ |
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運(ふ)悪(わ)り束子(そら) さしつけ便所(まな)け 使(つこ)われっ |
長山克士 |
初雛が 広(ひ)れ床ん間も 狭(せ)もなけっ |
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宅急便(たっきゅびん) 鮮魚(ぶえん)も一緒(ひと)ち掻(こさ)っ込(く)っ |
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よか娘(おご)が 青年(にせ)ん心臓(しんぞ)を 躍(おど)らせっ |
永吉モンロー |
雪(ゆっ)の肌(は)で 灸(えつ)も遠慮(えんじょ)を して燃(も)えっ |
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目も耳(みん)も 口(くっ)ずい適(か)のた 歯痒(はが)い姑(しゅと) |
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逃げ腰で 養子(よし)が吠(ほ)えちょい 夫婦(みと)喧嘩 |
簡単で 要(よ)を得ませんち 長(な)げ挨拶(えさっ) [郷田悠々] |
年金ぬ 貰(も)ろ始(で)た女房(かか)が 上い立(た)っ [吉岡道場] |
亭主(てし)も息子(こ)も 頭(びんた)は大(ふ)てが 少(すっ)ね脳 [萬福平次] |
無理矢理(むいやい)に 解った顔(つら)ん ピカソ展 [諸木小春] |
損じゃっち 言(ゆ)かたで添(そ)ゆい 商売(あっね)上手(じょし) [大脇保子] |
見てくれち 臍(へそ)も打(う)っ出(で)っ 女子ゴルフ [盛岡淑平] |
味噌樽(みそだい)が ホテルん中で け迷(まぐ)れっ [樋口一風] |
金(ぜん)金(ぜん)ち 息(いっ)の出(で)い度(かし) きし吐(か)えっ [桜井吹雪] |
赤(あ)け糸が 偶然(まぐれ)で一緒(ひと)ち 雨宿(あまやど)い [諸木小春] |
偶然(まぐれ)でん 当(あ)たやきっせん 宝籤(たからくし) [楠八重渓流] |
帰(もど)い道(み)ち 手招(てまね)くしちょい 赤提灯(あかちょちん) [津留見一徹] |
毎日(めにっ)待(ま)っ 偶然(まぐれ)で会(お)たち 顔(つら)をしっ [佐伯山神] |
出張(しゅっちょ)かあ 帰(もど)れば最早(もへ)ち 顔(つら)ん女房(かか) [工藤天然] |
送(おく)っじっ 帰(もど)いが恐(お)じち 送(おく)らせっ [鞆田紅花] |
俺(おい)も俺 君(わい)も君じゃち 長(な)げ無沙汰 [大器] |
忙(せわ)し盆 僧侶(ぼし)も説教(せっきょ)を 間引(まび)くしっ [伊地知 孝] |
高(た)け鼻い 種が違(ち)ごがち きし吐(か)えっ [桑元行水] |
釣った魚(いお) 見せちゃ冷凍庫(れいと)い また納(な)えっ [中間紫麓] |