栫 路人 |
汽車言(ちゅ)たや 電車じゃっどち 咎(とが)むい孫こ |
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好(よ)かとこい 来たち孫どん 宛(あて)がわれ |
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洗(あ)れやんめ つるっした間(ま)い 亭主(とと)がしっ |
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女房(かか)ん愚痴(ぐぜ) 真正(ましょ)なこつ言(ゆ)で 痛(い)て頭(びんた) |
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芝笛を 吹(ふ)こごっなった 田舎道(いなかみっ) |
有川南北 |
金(ぜん)取(と)いが 良(よ)かたろ市議い 出(で)ろ出(で)ろち |
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大隅(おおす)みな さくらは来(こ)んじ ヘリん不安(せわ) |
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春(は)や別れ 転勤族(てんきんぞっ)の 学童(こ)が涙(なんだ) |
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町内(ちょね)ん役(やっ) 背負(かる)たが最後 抜(ぬ)けきらじ |
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俺(おい)どみも 老人(おんじょ)手当(てあて)ち 言(ゆ)とが欲(ほ)し |
弓場正己 |
正論ぬ 言(ゆ)たや翌日(あくひ)は 首(く)びけなっ |
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賛成も 反対もせじ 今も平(ひら) |
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左遷言(ちゅ)が 事務所は一人(ひとい) 楽(だ)き暮(く)れっ |
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肌ん張(は)や 無(な)かが突(つ)っ張(ぱ)い 欲(よっ)の皮 |
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クラス会 入れ歯探(みし)けで 遅刻(ちこ)くしっ |
堂園三洋 |
空気をば 吸(す)てん肥(こ)ゆっち 嘆(なげ)っ女房(かか) |
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札束(さったば)を 枕(まく)れ一晩(ひとばん) 寝(ね)ろごたっ |
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皺ん多(う)け 顔(つ)れ資生堂(しせいど)も 効(しょ)はうたじ |
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飲(の)ん方(かた)ん 無(な)か会(か)や汝(わい)ち 狡(え)じ親父(おやっ) |
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メートルが 上(あ)がっ演説(えんぜ)つ すごっなっ |
永徳天真 |
味噌漬けん 茶請(ちゃじょ)けが新茶(しん)ちぇ 味(あ)ず添(そ)えっ |
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訪(こと)ったや 喋(しゃべ)くい夫婦(みと)が 帰(もど)しゃせじ |
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あっちこち 寄(よ)い道(みっ)が多(う)け 一年生(いっねんぼ) |
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感謝せか すれば腹どま 立(た)たん娑婆 |
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こいも性分(たっ) 余計(よけ)な事(こ)つ言(ゆ)っ 今日も後悔(くけ) |
天 |
長(な)げ説教(せっきょ) 仏(ほとけ)ん前で はん倒(と)けっ [西迫順風] |
地 |
子い説教(せっきょ) 口下手(くっべた)親父(おや)じゃ 手が早(はよ)し [鮫島牧峰] |
人 |
長(な)げ説教(せっきょ) 大(ふっ)とか鉦(じん)で 目が覚(さ)めっ [日隈英坊] |
五客一席 |
逝(い)た父親(ちゃん)の 説教(せっきょ)が偶(たま)にゃ 夢い出(で)っ [北村虎王] |
五客二席 |
叩(たた)っ上(きゃ)げ 父(ちゃん)の説教(せっきょ)は 胸を刺(せ)っ [郷田悠々] |
五客三席 |
諄(く)で説教(せっきょ) 僧侶(ぼ)しな悪(わ)りどん 出(で)い欠伸(あくっ) [伊地知 孝] |
五客四席 |
反抗期 如何(いけ)な説教(せっきょ)も 効(しょ)あうたじ [江口紫朗] |
五客五席 |
長(な)げ説教(せっきょ) 痺(しび)れっ話(はな)しゃ 上(うわ)ん空(そら) [東 松子] |
選者吟 |
諄(く)で説教(せっきょ) 頭(びんた)ん上を 辷(すべ)らせっ |
横綱(東) |
小(ちん)け小屋 じゃっどん俺(お)いな 大(ふ)とか城 [西ノ園ひらり] |
横綱(西) |
呆(ぼ)え小屋を 春一番(はいいっばん)が 吹(ふ)っ飛(と)べっ [中村雲海] |
大関(東) |
月(つ)く肴(しお)け 山小屋で飲(の)ん 美味(うん)め焼酎(しょちゅ) [山元自在鉤] |
大関(西) |
別れじゃち 判(わか)いか小屋を 出(で)らん牛(べぶ) [萬福平次] |
関脇(東) |
兎小屋(うさっごや) じゃっで掃除は本当(まこ)て楽(だっ) [満留ぐみ] |
関脇(西) |
百年の 丸太小屋じゃが まだ元気 [花園ちづ] |
小結(東) |
農作小屋(さっごや)で 昼飯(ちゅはん)ぬ食(たも)っ 今日(きゅ)も昼寝(ひいね) [松元清流] |
小結(西) |
五十年(ごじゅねん)も 住めば情(じょ)も湧(わ)っ兎小屋(うさっごや) [吉岡道場] |
筆頭(東) |
藁小屋(わらごや)で 飛(つ)だい拗(すね)たい 恋もしっ [有馬純秋] |
筆頭(西) |
牛小屋(べぶごや)を 娘(こ)の結婚式(ごぜんけ)が 空(か)れなけっ [樋口一風] |
二枚目(東) |
老鶏(おんじょどい) 小屋かい出(で)たや 産(う)んでけっ [二見愚楽満] |
二枚目(西) |
縛(きび)られた 小屋で悪戯坊(てんご)は 鼾(いび)くけっ [上山天洲] |
三枚目(東) |
市場(いっ)べ出(だ)し 牛(べぶ)は小屋かあ 出(で)ろたせじ [伊地知 孝] |
三枚目(西) |
爺(じ)の位牌(いへ)と 離(はな)れじ婆(ばば)は 小屋い住(す)ん [弓場正巳] |
四枚目(東) |
大柄(うど)揃(ぞ)れん 家族(けね)い窮屈(きくっ)ね 兎小屋(うさっごや) [堂園三洋] |
四枚目(西) |
過疎ん村 廃校(はいこ)ん庭が 芝居小屋 [原田菊男] |
五枚目(東) |
月(つ)き四五度(しごど) 犬小屋(いんご)へ厄介(やっ)け ない大酔漢(うとら) [石塚律子] |
五枚目(西) |
作業(さぎょ)小屋を 居酒屋(いざか)へ変えた 雪日和(ゆっびよい) [中囿和風] |
六枚目(東) |
芝居小屋 命(いの)つ懸(か)けちょい 美事(みご)て芸 [山田竜生] |
六枚目(西) |
ずんだれた 掘建(ほった)て小屋(ご)へも 税(ぜ)ゆ掛(か)けっ [上薗佳笑] |
七枚目(東) |
小屋こへ這入(へく)だ 青大将(やわた)ゆ引張(そび)っ 強力(ごりっ)妻(かか) [入来創雲] |
七枚目(西) |
午前様(ごぜんさあ) 物置(ものおっ)小屋で 夜(よ)を明(あ)けっ [江口紫朗] |
八枚目(東) |
日曜(にちよ)大工(でっ) 風も吹(ふ)かんて 倒(こ)けた小屋 [郷田悠々] |
八枚目(西) |
山ん春(は)ゆ 炭小屋(すんごや)ん爺(じ)は 独(ひと)い占(じ)め [福原福多] |
親方吟(東) |
新茶煎(い)い 釜小屋一杯(いっぺ) 初夏ん匂(かざ) [津留見一徹] |
親方吟(西) |
小屋も小屋 車庫ん奥(おっく)に ワンルーム [諸木小春] |
酒匂えみ |
婆(ばば)ん団子(だご) 琉球(じゅきゅ)が遠(と)えどん 言(ちゅ)て配(くば)っ |
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からからは 梅が咲(さ)っとが 待(ま)っ長(な)ごし |
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泣(な)っよっか 柱(はした)を打てち 爺(じ)が叱(くる)っ |
佐土原 隆 |
大事(でし)な客(きゃ)き ゴリラが来たち 子が大声(うごえ) |
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父(ちゃん)聞(き)けち テープで昨夜(ゆべ)ん 酔(よく)れ声(ごえ) |
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補聴器を 買(こ)た姑(か)け悪口(あっご) 言(ゆ)がならじ |
実方天声 |
臭(く)せち叱(が)っ 便所(まな)け今一度(まいっど) 拭(ぬ)ぐけやっ |
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巴里(パ)り行(い)たっ 甘藷(からいも)収穫(と)いの 夢を見(み)っ |
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汚れ痒(が)い 牛(べぶ)は金櫛(かなぐ)し 目をつぶっ |
鮫島鈍九 |
はしとせち 女郎蜘蛛(やまこ)ぶ弾(は)じた 加治木(かちっ)兵児(へこ) |
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女(おなご)狂(ぐ)れ 裸(はだ)けされてん 目は覚(さ)めじ |
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相談(はな)し乗(の)ろした 鼻輪(はなぐ)ゆ 婆(ば)が素引(そび)っ |
三條風雲児 |
噂をば 鵜呑(ぐの)み悋気(じんき)ん 箒(ほ)く握(にぎ)っ |
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灰(へ)をあせっ 骨(こ)つ拾(ふ)る項(うな)じゃ まだ若(わ)こし |
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生(なま)し大豆(で)ず 撒(め)たか臼庭(うすに)へ 芽を出(だ)せっ |
篠田葆光 |
根性(ねしゅ)が良(え)で 造作(ぞさ)か悪(わ)りどん 嫁(よ)め貰(も)ろっ |
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琉球(じゅきゅ)が遠(と)え 汁粉(ぜんざ)ゆ義理(ぎい)で ほめっ食(く)っ |
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新任に 先輩風が 吹(ふ)っ荒(あ)れっ |
篠原キミエ |
茶碗皿 山盛(やまも)い浸(つ)けっ遊(あす)っ癖 |
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可愛(むぜ)かった 孫も毛脛ん 足(あ)しゅば出(で)っ |
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味噌麹(みそこっ)が 夜中(よな)けも女房(かか)を 起(お)きらせっ |
ラブコール 父親(とと)が出たなあ 叩(たた)っ切(き)っ [樋口一風] |
行(い)っ先(さ)くば 犬(いん)が決(き)めちょい ウオーキング [瀬戸山刀青] |
喧嘩(いさ)こかち 女房(かか)が杓文字(めしげ)を 振(ふ)い上(あ)げっ [大西学老] |
仕事(しご)ちゃ亀 飲(の)ん方(か)てなれば 兎(うさっ)どん [中村雲海] |
エコち言(ゆ)っ 碌(どっ)なた食(か)せん 我家(やど)ん女房(かか) [原田菊男] |
バーコーで 見事(みご)つ梳(けず)った 薄(う)し頭髪(びんた) [福山吉連] |
子分限者(こぶげんしゃ) 梅雨(つゆ)ん晴れ間が 待(ま)っ遠(どお)し [満留ぐみ] |
婆(ば)ん小言(ぐぜ)い 遠(と)おもなろだい 俺(おい)が耳(みん) [伊地知 孝] |
逝(い)た亭主(とと)い 相槌(えは)は無(な)かどん 今日(きゅ)も語(かた)っ [田中末木] |
夜中(よな)け欲(ほ)し 講習(こうしゅ)ん時(とっ)の あん眠(ねぶ)さ [有川南北] |
良(よ)か説教(せっきょ) 耳遠(みんど)え婆様(ばさ)め 子守唄(こもいうた) [佐伯山神] |
着払(ちゃば)れで ハイヤを頼(たの)ん 帰(も)でた酔漢(とら) [入来創雲] |
相手(えて)ん名あ 男名前で 手帳(てちょ)い書(け)っ [樋口一風] |
早(は)よ隠(かく)せ 素手(てぶら)娘(むしめ)が 実家帰(さともど)い [鞆田紅花] |
文旦(ぼんたん)の 程(ひこ)はあろそな 首相(しゅそ)ん面皮(かわ) [桑元行水] |
竿いっぺ ピンクが目立っ 女所帯(おなごじょて) [谷口雲城] |
限界(げんか)ゆば 年中(ねんじゅ)越(こ)えちょい 千鳥足(ちどいあし) [中村雲海] |