栫 路人 |
日帰(ひがえ)いが 出来(でく)い里じゃが 往(ゆ)き来(き)せじ |
|
うんにゃとな 言(ゆ)えじ仕事(しごっ)が また増(ふ)えっ |
|
趣味ん店 話(はな)しゃ弾(はず)んが 売(う)れはせじ |
|
入れ知恵ん 母(かか)をば見(み)い見(み) 父(と)てねだっ |
|
雑草(くさ)ぼうぼ 街(まっ)の真ん中(な)け 家(え)が遊(あそ)っ |
有川南北 |
馬毛島(まげじ)めも 移設(いせっ)の雲が かかっきっ |
|
五月病(ごがっびょ)い ならんなよかが 総理さあ |
|
退社(ひけ)っかあ 晩に目が開(あ)っ 梟(とっこ)青年(にせ) |
|
羊羹の 一切れ添(そ)えっ 婆(ば)が新茶 |
|
安売(やすう)いの チラし女房(かか)わろ 目を見出(みで)っ |
弓場正己 |
燗の匂(か)ぜ サッ切(き)い上(や)げた 日曜(にちよ)大工(でっ) |
|
首(く)びけなっ 連休(れんきゅ)ん五月(ごが)ちゃ 腹が立(た)っ |
|
金(ぜん)が無(ね)や 兄姉(きょで)も親戚(しんじ)も 遠(と)おけなっ |
|
仕事(しご)ちゃ無(ね)じ 戻(もど)れば鬼(おん)の 顔(つら)が待(ま)っ |
|
免許更新(が)え 痴呆(ちほ)ん検査い 怖気(びっ)が付(ち)っ |
堂園三洋 |
辛口(からくっ)で なかやつまらん 評論家 |
|
瞬まばたっも せじ美人(シャン)ぬば 見(み)ちょい亭主(とと) |
|
女房(かか)ん留守(ずし) ポテトチップで 寂(さび)す飲(の)ん |
|
嘘涙(うそなん)で 嵌(うた)っ諭吉(ゆき)つば 貸(か)せっ後悔(くけ) |
|
草取(くさと)いが 億劫(よだ)きち無精(ふゆ)は 山羊を飼(こ)っ |
永徳天真 |
待(ま)っ合(あ)わせ まだかまだかち ぼさっ立(た)っ |
|
欲(よっ)ごろん 本性(ほんしょ)が出たか 遺産分け |
|
内気者(いめごろ)が 人ち字を呑(の)ん 挨拶(えさ)ち立(た)っ |
|
土産屋を 梯子じゃろそな 日帰(ひげ)いツア |
|
懇親会(のんかた)で 入賞(にゅうしょ)あ駄目(ぼっ)の 敵(かた)ぐ取(と)っ |
天 |
怪我も怪我 あんマドンナが 嫁(く)っち返事(へし) [上薗佳笑] |
地 |
軽(か)り怪我も 保険目当てか 長(さし)か養生(よじょ) [澤津乙名] |
人 |
見舞客(みめきゃ)きな 焼酎(しょつ)で怪我とな 言(ゆ)もならじ [吉岡道場] |
五客一席 |
顔(つら)い怪我 またやられたか 女房(かか)天下 [新地十意] |
五客二席 |
悪戯坊主(われこっぼ) また何(な)ゆしたか 松葉杖 [上山天洲] |
五客三席 |
擦(す)い剥(み)たや 怪我程(ほ)だ無(ね)とに 大騒動(うそど)しっ [大久保胡坐] |
五客四席 |
受(う)かったや 怪我じゃったろち 妬(しょの)まれっ [佐伯山神] |
五客五席 |
怪我ち言(ゆ)が 本当(まこ)ちゃ昨夜(ゆうべ)ん 夫婦(みと)喧嘩 [中囿和風] |
選者吟 |
怪我もせじ 丸橋(まるば)す渡(わた)い 酔(えく)れ足 |
横綱(東) |
可愛(む)ぜ孫も 今でな同等(ぐゎい)の 議(ぎ)を吐(か)えっ [入来創雲] |
横綱(西) |
乳房(ちち)ん差で 同等(ぐゎい)をば裁(さ)べた 徒競走(ときょそう) [井手上政暎] |
大関(東) |
俺(おい)共(ど)みな 民主自民も 同等(ぐゎ)い見(み)えっ [佐伯山神] |
大関(西) |
呆(とぼ)けがち 女房(かか)を叱(く)るどん 亭主(とと)も同等(ぐゎい) [田中末木] |
関脇(東) |
退職金(やめぎん)の 権利あ同等(ぐゎい)ち 吠(ほ)ゆい女房(かか) [西 幸子] |
関脇(西) |
看病(かびょ)あせじ 同等(ぐゎい)じゃち吐(か)えた 遺産分け [楠八重渓流] |
小結(東) |
豚と同等(ぐゎい) おてっき食(く)ろて 肥(こ)えむくっ [樋渡草団子] |
小結(西) |
犬(いん)と猫 傍目(はため)にゃ同等(ぐゎい)の 横杵(よんごぎね) [樋口一風] |
筆頭(東) |
横綱(つ)ね同等(ぐゎい)ち 腰パンぬ叱(が)い 高齢者(としなもん) [石塚律子] |
筆頭(西) |
遣(や)い手議長(ぎちょ) 同等(ぐゎい)の賛否い 決(け)つ下(く)でっ [米元年輪] |
二枚目(東) |
呆(ぼ)え女房(かか)を 叱(が)れば貴男(おはん)と 同等(ぐゎい)ち言(ゆ)っ [山田竜生] |
二枚目(西) |
吝嗇(けち)言(ちゅ)えば 汝(わい)と同等(ぐゎい)よち 言(ゆ)く返(かえ)っ [前村泰山] |
三枚目(東) |
再婚(にどめ)同士(どし) 古(ふ)い傷(き)じゃ同等(ぐゎい)ち 慰(なぐさ)めっ [新地十意] |
三枚目(西) |
両方(まんぼ)共(と)め 子連れで同等(ぐゎい)ち 一緒(ひと)ちなっ [吉岡道場] |
四枚目(東) |
似合(にお)た夫婦(みと) 体形(からだ)も同等(ぐゎい)の メタボ腹 [澤津乙名] |
四枚目(西) |
肩書(かたがっ)が 何(ない)じゃれ同等(ぐゎい)の クラス会 [上山天洲] |
五枚目(東) |
夫婦(みと)諍(いさ)け 同等(ぐゎい)ち子供(こどん)も 相手(えて)にゃせじ [満留ぐみ] |
五枚目(西) |
あん野党(やと)と 政治も金(かね)も 全(まっ)で同等(ぐゎい) [上薗佳笑] |
六枚目(東) |
浮気なら 女房(おかた)も負けん 同等(ぐゎい)の夫婦(みと)郷田悠々 |
六枚目(西) |
切った菓子(か)す 同等(ぐゎい)かち計(はか)い 術(じゅっ)ね兄(あにょ) [原田菊男] |
七枚目(東) |
同等(ぐゎい)じゃった 同級生の 部下いなっ [西ノ園ひらり] |
七枚目(西) |
何(な)ゆすいも 二人(ふたい)で一緒 可愛(む)ぜ双子 [西迫順風] |
八枚目(東) |
勉強(べんきょ)せん 子の頭脳(びんた)どま 父親(ちゃん)と同等(ぐゎい) [福山吉連] |
八枚目(西) |
兄弟(きょで)喧嘩 婆(ば)が大(ふ)て声で 同等(ぐゎい)ち叱(が)っ [折田さくら] |
親方吟(東) |
括(くび)れどが 丸(まっ)で無(ね)女房(かか)は 豚と同等(ぐゎい) [諸木小春] |
親方吟(西) |
鬼(おん)と同等(ぐゎい) 三面記事い 地獄(じご)く見(み)っ [津留見一徹] |
桑畑茶坊 |
乳離(ちちばな)し 胡椒(こしゅ)をば乳房(ちち)い 塗(ぬ)いつけっ |
|
戻(もど)い道(み)ち 義理(ぎい)で乗(の)せたや 事故ん遭(お)っ |
|
世帯(しょて)暮(ぐ)らし 金(ぜん)が無(ね)なれば 夫婦(みと)喧嘩 |
児島豊子 |
揉めたたろ 地五郎(じごろ)ん木戸で 舗装(ほそ)が止(や)ん |
|
通知表(つうしんぼ) 体操(たいそ)ん分(ぶん)な 5で通(と)えっ |
|
借(か)い相談(そだん) 勲三等が 邪魔(ま)じけなっ |
小園さち |
母親(かか)い歳暮(せぼ) 臍繰(へそく)ゆ一枚(いっめ)そっ入(い)れっ |
|
セールスが 来た時(と)か吠(ほ)えち 犬(いん)ぬ叱(が)っ |
|
三指(みつゆ)ぶば ちた女房(かか)じゃって 掴(つか)ん合(よ)っ |
児玉金蜻蛉 |
出張(しゅっちょ)先(ざ)く 悋気(じんき)電話が 追(う)てまわっ |
|
二日酔(ふっかえ)で 呻吟(うどめ)っ亭主(とと)い 鍬(か)を投(な)げっ |
|
小(ちん)け笹(さ)せ 色紙(いろが)む下(さ)げっ 孫ん見舞(みめ) |
古藤雪尾 |
短足(たんそっ)が 最初(はっさ)か速(は)えが ずしただっ |
|
よか衣装(いしょ)も 外股(そとま)て歩(あゆ)ん ずんだれっ |
|
本当(まこ)っかち 団子眼(だごめ)を見出(みで)た 弥五郎(やごろ)さあ |
小松鈍骨 |
雪(ゆっ)の中(な)け 赤(あっ)か南天 絵の如(ご)ちゃっ |
|
早苗饗(さのぼ)いな 田んぼで蛙(びっ)も 歌(う)とでけっ |
|
俺(お)や女房(かか)を 影法師(かげぼ)し連(つ)れっ 五十年 |
境 戸緒流 |
酌(しゃ)き回(まわ)っ 戻れば料理(じゅ)いな 煙草ん灰(へ) |
|
亭主(てし)前は 雑巾(ざふ)く放(はな)さん 新築祝(けんぜゆえ) |
|
振(ふ)られたや 教養(きょうよ)が低(ひ)きち 言(ゆ)っ歩(さ)れっ |
境田西隆 |
孫ん守(も)い 爺(じ)さんも泥で 団子(だご)作(つく)い |
|
降れば心配(せわ) 降(ふ)らんも心配(せわ)な 梅雨(ながし)時期(どっ) |
|
胸ん内(う)つ 焼酎(しょちゅ)で語った 無口者(うんだまい) |
桜山仙人 |
ポンカンち 木市(きいっ)で買(こ)たや 橙(でで)が生(な)っ |
|
田舎相撲(ずも) 女房(かか)ん腰巻(めだれ)が 化粧廻(けしょまわ)し |
|
猿(よも)踊(おど)い 尻(しい)もかかじっ 笑(わる)わせっ |
今日(きゅ)は飲(の)まん 朝い言(ゆ)たなあ 晩に後悔(くけ) [伊地知 孝] |
五月晴(さつっば)れ 臍繰(へそく)や鯉幟(のぼ)い なっ泳(およ)っ [津留見一徹] |
また出(で)たち 犬(いん)が赤面(せけ)ちょい 狩猟(かい)の法螺(ぎら) [楠八重渓流] |
欲(よ)か言(ゆ)うめ 健(さか)しか身体(ごて)と 女房(かか)が居(お)っ [諸木小春] |
夫婦(みと)喧嘩(いさけ) 根気(あや)が切れたち 後(の)ちゃ欠伸(あくっ) [上池酔人] |
機械植え 畦(あ)ぜな茶飲(ちゃの)んの 孫と嫁 [北村虎王] |
肩叩(たた)っ賃(ちん) 消費税もち 悪戯坊(きかんたれ) [中囿和風] |
犬小屋(いんごや)ん 近(ちか)き下着あ 干(ほ)すい女房(かか) [米元年輪] |
山芋(やまいも)ん 終(し)めは女房(おかた)い 出(で)っくらめ [有馬純秋] |
大(ふ)て負債(おっ)け 声も萎(な)えでた 遺産分け [山田竜生] |
わぜ頑張(きば)っ 今は余裕(ゆつら)す 下(くだ)い坂 [吉丸セツ子] |
小(こ)め鯉幟(のぼ)ゆ ベランで揚(あ)ぐい 都会(まっ)暮らし [大西学老] |
乳房(ちち)ん差で 同等(ぐゎい)をば裁(さ)べた 徒競走(ときょそう) [津留見一徹] |
寝(ね)った真似 親ん本音を 全部(ずるっ)聞(き)っ [今井夢紫] |
他人事(ひとごっ)ち 思(おも)た離婚ぬ 言出(ゆで)た女房(かか) [江口紫朗] |
骨董(こっと)好(ず)っ 買溜(こた)めちゃ塵(ごん)ぬ 積(つ)もらせっ [満留ぐみ] |
叱(が)れば叱(が)い 真似で返報(へんぽ)ん 腕白坊(きかんたろ) [山元自在鉤] |
呆(ぼや)し爺(とと) 言(ゆ)う度(かし)違(ち)ごた 遺言(ゆお)くしっ [谷村まさゑ] |
外孫(そとまご)が 我(わ)が家(え)ん奴(と)よか 出来(でけ)が良(ゆ)し [北原凡天] |
後(うし)て来(く)い 足音(あしお)て心細(きぼ)せ 裏小路(うらこしゅっ) [下栗志乃] |
婆(ば)ん小言(ぐぜ)は 聞(き)こえん真似で 手酌酒(てじゃっざけ) [鈴木芳子] |
我(わ)が家(え)でな 骨董(こっと)言(ちゅ)おそな 爺(じ)が威張(いば)っ [樋渡草団子] |
ニューハーフ 美事(みご)てがかった 気味悪(きぞわる)し [満留ぐみ] |
盛(も)い上(あ)げっ 自腹も切った 呆(ぼ)え幹事 [丸山満月] |