栫 路人 |
飲(の)めんどん 正月(しょがっ)の御神酒(おみき) だけは飲(の)ん |
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子ん御蔭(おかげ) ハトバスい乗(の)っ 御所も観(み)っ |
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羽田(はね)で着(ち)っ 中憩(なかよく)をせな 出口(でぐ)ちゃ来(こ)じ |
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一晩(ひとよさ)で 半月(はんつっ)食(く)しこ 取(と)いホテル |
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実(み)が生(な)らん 隣(とない)の柿(かっ)の 心配(せわ)をえっ |
有川南北 |
煩(うぜら)しで 此の頃(ご)ら女房(かか)と 諍(いさ)こわじ |
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口答(くっごた)え そゆば真似すい 九官鳥(きゅうかんちょ) |
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女房(かか)許(ゆる)せ 共に白髪(したが)が 俺(お)や禿(はげ)っ |
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人も訪(こ)ん 老人(おんじょ)世帯(しょて)いも 来た正月(しょがっ) |
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不精(ふゆ)なこっ まだアナログん 古(ふ)りテレビ |
弓場正己 |
村芝居 剣劇(けんげ)か舞台(ぶて)を 踏(ふ)ん穴(ほ)げっ |
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裏金も 表金(おもて)も全部(ずるっ) 俺(おい)が税 |
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渋滞の 先頭(はな)はもみじん 爺(じ)が車(くいま) |
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習(な)れ事(ごっ)も 上手(じょし)と下手でな 気が合(お)わじ |
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情(じょ)を殺(こ)れっ 工事中止ん 八ツ場(やんば)ダム |
堂園三洋 |
息(せ)が切(き)れっ ハーフタイムん 夫婦(みと)喧嘩 |
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週(しゅ)い二度は 休刊日をち 医者ん無理(むい) |
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俺宅(おいげえ)ん ファーストレディあ やんかぶっ |
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エプロンで 涙(なんだ)をば拭(ぬ)ぐ 敷(し)かれ亭主(てし) |
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若(わ)け頃ん 二倍(にば)やあろそな 女房(かか)ん幅 |
永徳天真 |
惜(あった)らか 新車をボコッ 凹(へこ)ませっ |
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笑(わ)るもせん 立腹(はらか)っもせん 倦怠期 |
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プレセント 呉(く)れたて御礼(ごれ)ん キスも無(の)し |
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ええああち 何度言(ゆ)たろか 挨拶(えさっ)下手 |
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教(ゆっか)せた 宿題(しゅくだ)や間違(まっ)げ 恥(げん)ね父(ちゃん) |
植村聴診器 |
腹回(はらまわ)ゆ そろいと計(はか)い 正月(しょがっ)明け |
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賽銭に 就職(しゅうしょ)く願(ね)ごた 初詣 |
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老夫婦(おんじょみと) ちんとお屠蘇で 無事(ぶ)ず祝(ゆお)っ |
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除夜ん鐘 夜勤介護ん 最中(さな)け聞(き)っ |
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息(い)く殺(こ)れっ 耳(みん)で様子(よ)す見(み)い 子供(こどん)部屋 |
天 |
妙(す)だ事(こっ)じゃ 呼(よ)っもせん奴(と)が 上座(かん)ぜ居(お)っ [満留ぐみ] |
地 |
呼(よ)っ付(つ)けっ 叱(が)ろち思(おも)たて 提(さ)げっ来(き)っ [松元清流] |
人 |
大(ふ)て声で 呼(よ)だや恥(げん)なか 人(ひと)間違(まっ)げ [田中末木] |
五客一席 |
飯(めし)最中(さな)け 飲(の)んの呼出(よっだ)し 飛(つ)で行(い)たっ [諸木小春] |
五客二席 |
呼(よ)っもせん 知(し)っちょいどんが 波(な)む立(た)てっ [小瀬一峻] |
五客三席 |
また君(わい)か 職員室(しょくいんしっ)が 呼(よ)っ付(つ)けっ [樋口一風] |
五客四席 |
胃カメラが 女房(かか)も一緒(いっど)き 呼(よ)っ出(だ)せっ [北村虎王] |
五客五席 |
助けをば 呼(よ)って届(と)じかん 怖(おじ)か夢 [樋渡草団子] |
選者吟 |
遅(お)そか筈(はっ) 呼(よ)び行(い)た奴(わろ)が ミイれなっ |
横綱(東) |
久振(さしかぶ)い 餅(も)つ搗(つ)っ音い 立(た)っ止(ど)まっ [松元清流] |
横綱(西) |
杵(きね)ん調子(ちょ)す ど鈍(ぬ)り手混(てま)ぜが 狂(くる)わせっ [樋口一風] |
大関(東) |
メタボ腹 餅(もっ)で一段(いっだん) ち膨(ふく)れっ [満留ぐみ] |
大関(西) |
搗(つ)っ上(きゃ)げた 餅(も)つ婆(ば)あ素手で 笊(しょ)け投(な)げっ [久永桂心] |
関脇(東) |
餅(も)つ搗(つ)っけ 帰(もど)っけ言(ちゅ)たや 要(い)らん言(ちゅ)っ [二見愚楽満] |
関脇(西) |
雑煮餅(もっ) 大(ふ)て八(や)っ頭(がし)れ 背負(かい)われっ [花園ちづ] |
小結(東) |
ダイエッて 誠(まこ)ち厄介(やっけ)な 焙(あぶ)い餅(もっ) [諸木小春] |
小結(西) |
冗談(はらぐれ)で 故意(わざ)っマドンね 重ね餅(もっ) [上薗佳笑] |
筆頭(東) |
金(ぜん)が良(え)ち 餅(も)ちゃ拾(ふ)る人(て)も無(ね) 上棟祝(じょうとゆえ) [石塚律子] |
筆頭(西) |
繭(め)の餅(もっ)も 踊(おど)い加(かた)った 寄(よ)い正月(しょがっ) [津留見一徹] |
二枚目(東) |
家族中(けねじゅ)揉(も)ん 大(ふ)つ小(こ)む並(な)るだ 笊(しょけ)ん餅(もっ) [北村虎王] |
二枚目(西) |
餅(も)つ食えば 長(な)げ鼻髭(はなひげ)が 絡(から)ん付(ち)っ [中村雲海] |
三枚目(東) |
甘藷(かいも)餅(も)ち 杵(きね)を取(と)られっ 座(すわ)い込(く)ん [盛満椒平] |
三枚目(西) |
総入歯(がんぶ)ゆば 餅(もっ)の吸物(すもん)が 揶揄(ちょく)らけっ [入来義徳] |
四枚目(東) |
安(や)し方(ほ)をば スーパーで買(こ)た 鏡餅(かがんもっ) [植村聴診器] |
四枚目(西) |
枕元(まくらも)て 餅(も)つば飾った 長入院(ながねおい) [弓場正巳] |
五枚目(東) |
機械餅(も)ちょ どぞこぞ言(ゆ)てん 楽(だ)きけ済(す)ん [西 幸子] |
五枚目(西) |
一凹(ひとくぼ)ん 繭(め)の餅(もっ)で婆(ば)あ 豊作(さ)く祈(いの)っ [田中末木] |
六枚目(東) |
杵(きね)と臼(う)し 飾餅(ゆえも)つ供(あ)げっ 幸運(ふ)を願(ね)ごっ [畑山真竹] |
六枚目(西) |
餅搗(もっつ)くば 子供(こど)み見(み)すっち 田舎(さ)て帰(もど)っ [江口紫朗] |
七枚目(東) |
送(おく)い餅(も)つ 早々搗(ち)ちょい 老夫婦(おんじょみと) [山田竜生] |
七枚目(西) |
餅(も)つ背負(かる)た 孫い家族中(けねじゅ)が 付(ち)て声援(おら)っ [桑元行水] |
八枚目(東) |
機械餅(も)ちゃ 落(お)て着(ち)っの悪(わ)り 味(あっ)がしっ [新地十意] |
八枚目(西) |
五穀豊穣(ごこっほじょ) 願(ね)ごた繭(め)の餅(も)つ 花ん如(ご)っ [楠八重渓流] |
親方吟(東) |
運(ふ)を願(ね)ごた 鬼火焚(おねっこ)ん餅(も)ちゃ 燠(おき)いなっ [吉岡道場] |
親方吟(西) |
上棟式(むねあげ)い 紅白(こうはっ)の餅(も)つ 四方(しほ)い撒(め)っ [入来創雲] |
孫よっか 爺(じ)さんが嬉(うれ)し 独楽(こま)回し [花園ちづ] |
頭(びんた)せえ 視線ぬ移(う)ちっ 歳(と)す探(さぐ)っ [樋口一風] |
只(ただ)貰(も)れん 女房(かか)を五十年(ごじゅねん) 使(つ)こたくっ [諸木小春] |
初夢あ 亭主(とと)ん鼾(いびっ)が 見(み)せもせじ [田中末木] |
今年くさ 今年くさ言(ちゅ)て また正月(しょがっ) [樋渡草団子] |
少(ち)す焼酎(しょちゅ)を 点滴(てんて)き入れち 爺(じ)は冗談(わやっ) [北村虎王] |
潜(もぐ)い込(く)で 亭主(て)しょ叫(おら)ばすっ 冷え性(しょ)女房(かか) [萬福平次] |
一年(いっねん)の 計(けい)が立(た)て難(に)き 九十(くんじゅ)坂 [中間紫麓] |
仕様(しよ)が無(な)か 馬(うんま)ん骨が 孕(はら)ませっ[中村雲海] |
呼(よ)ばこ亭主(てし) おいからちゅ名の 妻(かか)いなっ [植村聴診器] |
ちゃん付(づ)けが 娶(も)ろたや直(いっ)き 呼(よ)っ捨(す)てっ [津留群志] |
呼(よ)ばれてん 財布(ふぞ)が迷惑(めわっ)の 披露宴 [西 幸子] |
指切(ゆびき)いで 長生(ながい)くしてち 可愛(む)ぜ約束(やっじょ) [永徳天真] |
相撲(すも)あ駄目(ぼっ) 派手な塩撒(しおま)き 観客(みて)が沸(うぇ)っ [楠八重渓流] |
入院(にゅいん)ぬば 逃げ道(み)ち準備(しこ)た 汚職(おしょっ)騒動(そど) [上村牛歩] |
土下座ずい した約束(やっじょ)じゃが また浮気 [永徳天真] |
割勘(わいかん)の 約束(やっじょ)を酔漢(とら)あ け忘(わす)れっ [野崎満夫] |
オギャー言(ちゅ)っ スタートしたが もへ米寿 [上薗佳笑] |
検問な 大蒜(ひい)臭(く)せ息(いっ)も やれ嗅(かず)ん [工藤天然] |
息(い)く止(と)めっ 抱(だ)っ付(ち)た相手(えて)あ レントゲン [福冨野人] |
色話(いろばな)す すればまだ笑(わ)る 百歳(ひゃっ)の祝(ゆえ) [津留見一徹] |
カーナビが 知(し)たん小路(しゅっ)ずい 丁寧(て)ね誘導(さそ)っ [中村雲海] |
夫婦(みと)いなっ 動悸(とため)た胸も 今溜息(ういっ) [入来院彦六] |
息(いっ)の根も引張(そび)っ出(だ)さそな激はげしキス [稲田切株] |
正月(しょがっ)腹 七日(なんか)雑炊(ず)す食(く)て 元(も)て戻(もど)っ [原田菊男] |