おんじょどいの小屋

薩摩郷句誌「渋柿」

第661号

雑吟     永徳天真選

一番槍 飲(の)ん方(かた)も 大概(てげ)大概(てげ)せえち 胃が叫(おろ)っ [中村木強]
二番槍 飯事(ままごっ)で 娶(も)ろっ来たよな 嫁い泣(ね)っ [中村雲海]
三番槍 行(い)っ違(す)いの 娘(おご)ん良(よ)か匂(か)ぜ 爺(じ)もニタッ [鮫島牧峰]
四番槍 草むしい こんよか仕事(しご)た 首(く)びならじ [佐澤汽車道]
五番槍 婆(ば)が作(つく)い 料理(じゅい)で長生(ながい)っ 爺(じ)は感謝 [永野寛二]
六番槍 不況(ふきょ)じゃれば 活性化じゃち 毎晩(めばん)バー [山元自在鉤]
七番槍 冷凍庫(れいとう)け アイスも沢山(ずばっ) 孫を待(ま)っ [樋渡草団子]

渋柿集

栫 路人 総入歯(がんぶい)ば 外(と)れば八十歳(はちじゅ)が 百歳(ひゃ)き見(み)えっ
痩せたとは 良(え)どん入歯も 緩(ゆ)るしなっ
検診に 下着も新(に)けと 着(き)っ行(じ)たっ
一滴(いってっ)も 飲(の)めじ付合(つっけ)ん 座い混(まじ)っ
腹ん虫(む)す 焼酎(そつ)が宥(なだ)むい 癖が付(ち)っ
有川南北 飲(の)ん競(くら)べ 干(ひ)た丼(どんぶい)で 勝負(しょっ)がちっ
時(とっ)ならん ドカ灰(べ)が街(ま)つば 塗(ぬ)い変(か)えっ
何処ん出生(で)か 尾頭(おかしら)付(つ)っの 土用(どゆ)鰻(うなっ)
安価(や)し鰻(うなっ) 不精(ふゆ)な女房(おか)てな うった付(つ)け
うな丼ち ただ飯(め)し鰻(うな)ぐ 乗せただけ
弓場正己 浮かれ世い 天罰(てんばっ)が来た 流行(はやい)風邪
母(かあ)ちゃんな マスク美人ち 娘(こ)が揶揄(ちょく)っ
亭主(て)しゃ平(ひら)で 裁判員に 女房(かか)がなっ
表替え 女房(かか)ん煤(すす)けが 尚(なお)目立(めだ)っ
赤提灯(あかちょちん) 請求(つけ)が溜まれば 次(つ)ぎ移(うつ)っ
堂園三洋 新聞と どっちが重(お)びか 多(う)けチラシ
焼芋ん 音(お)て走(はし)い出(で)た メタボ女房(かか)
子は全員(ずるっ) 農業(さっ)の世襲は 嫌(いや)ち言(ゆ)っ
女房(か)け負(ま)けん 筋肉(きんにっ)が欲(ほ)し 夫婦(みと)喧嘩
ボロ家(え)をば レトロち褒(ほ)むい 保険勧誘(とい)
永徳天真 嬉(うれ)し見舞(みめ) いけなこっけち 友達(どし)が来(き)っ
爺(じ)の体操(たいそ) あっちこっちで 骨が鳴(な)っ
有(あ)い物(もん)で あらつら料理(じゅ)った 女房(かか)ん留守(ずし)
下(しも)ネタで 勝負(しょ)ぶすい芸の 将来(さ)か知(し)れっ
宿題を すいよな顔(つら)で 句を捻(ひね)っ
植村聴診器 職(しょっ)が無(ね)で 面接(めんせ)ち準備(しこ)た 服(ふっ)が泣(ね)っ
立話(たっばなし) 噂は全部(ずるっ) 真実(まこ)ちなっ
暴(ほこ)い坊(やっ) 案(あん)の定(じゅ)頭(びんた) うっ穴(ぽ)げっ
干(へ)た梅(うんめ) 俄雨(さだっ)が心配(せわ)で 夫(とと)い番
伸(ぬ)っ盛(ざか)い おてちき食(く)子い 四苦八苦

山椒集 題「倹(つま)し」     有川南北選

干上(ひや)がっち 鼠(ねずん)も逃げた 倹(つま)し所帯(しょて) [津留見一徹]
子分限者(こぶげんしゃ) 倹(つま)し暮(くら)しも 夢があっ [山田竜生]
倹(つま)し繰(く)い してん孫いな 緩(ゆる)ん財布(ふぞ) [福原福多]
五客一席 倹(つま)し婆(ば)が ティッシュを一枚(いっめ) ずっ使(つ)こっ [満留ぐみ]
五客二席 一年中(いっねんじゅ) 湯あ臍ずいち 倹(つま)し世帯(しょて) [石塚律子]
五客三席 年金で 倹(つま)し生活(くらし)の 老夫婦(おんじょみと) [西迫順風]
五客四席 倹(つま)し夫婦(みと) 着物(いしょ)は全部(すっぱい) 中国製(チャイナせい) [北村虎王]
五客五席 倹(つま)し女房(かか) 野菜(やせ)も捨(うっす)っ とこや無(の)し [吉丸セツ子]
選者吟 倹(つま)しこっ 出(で)らんチューブを まだ絞(しぼ)っ

龍虎集 「時事吟」     堂園三洋選

孫同士(どし)が 日本丸(にっぽんまる)ん 舵(か)ず奪合(ばこ)っ [吉岡道場]
子は職(しょっ)が 親は金(ぜん)が無(ね) 大不況 [植村聴診器]
危(あっ)ね事(こ)つ 体験させた 海(うん)の家 [米元年輪]
四天王一席 ウイルスが 人間共(ども)を ちょくらけっ [有馬純秋]
四天王二席 北朝鮮(きたちょせん) 核実験ぬ 遊(あそ)びしっ [松下青雲]
四天王三席 影武者ん 糸が党主(とうしゅ)を 踊(おど)らせっ [弓場正巳]
四天王四席 国技館 モンゴル相撲(ずも)い 沸(わ)っ上(きゃ)がっ [おんじょどい]
選者吟 一年(いっねん)に 二度も阿久根は 市長(しちょ)選(えら)っ

郷句相撲 題「遅刻(ちこっ)」

横綱(東) 今日(きゅ)も遅刻(ちこっ) 社訓も社歌も まだ知(し)たじ [佐伯山神]
横綱(西) 近道(ちかみっ)が 凄(わ)ぜ渋滞で 遅刻(ちこ)くしっ [中村木強]
大関(東) 飲(の)ん方(か)てな 自慢じゃ無(ね)どん せん遅刻(ちこっ) [郷田悠々]
大関(西) 遅(お)す行(い)たや 社長(しゃちょ)ん前しか 席(せっ)が無(の)し [樋口一風]
関脇(東) 多(う)け遅刻(ちこ)き ごろいと理由(わけ)も 底を突(ち)っ [石塚律子]
関脇(西) 遅刻(ちこ)くしっ じりじりさすい 可愛(む)ぜ彼女 [津留見一徹]
小結(東) 遅刻(ちこっ)娘(おご) 仕事(しご)ちゃ碌(ど)きせじ 帰(もど)い化粧(けしょ) [松元清流]
小結(西) 代返(だいへん)の 頼(たの)んだ奴(わろ)が 遅刻(ちこ)くしっ [江口紫朗]
筆頭(東) 遅刻(ちこ)くしっ 朝飯(あさめ)し弁当(べんと) 半(なか)ら食(く)っ [有馬純秋]
筆頭(西) 新婚の ほやほや遅刻(ちこ)く 揶揄(ちょく)られっ [鮫島牧峰]
二枚目(東) 遅刻(ちこっ)しっ 掛持(かけも)っ暴露(ばれ)た 待(ま)っ合(あ)わせ [盛満椒平]
二枚目(西) 黄泉(さっ)の世(よ)い 行(い)っとも遅刻(ちこっ) 百歳(ひゃ)く越(こ)えっ [中村雲海]
三枚目(東) 場所間違(まっ)げ 飲(の)ん方(か)て歯痒(はが)い わぜ遅刻(ちこっ) [諸木小春]
三枚目(西) 遅刻(ちこ)くした 課長(かちょ)あ焼酎(しょちゅ)臭(く)せ 息(い)くばしっ [米元年輪]
四枚目(東) 妻(かか)ん旅(たっ) 遅刻(ちこ)くすいめち 寝(ね)らじ居(お)っ [津留群志]
四枚目(西) 逆(ぎゃく)いじめ 先生(せんせ)や今朝も 遅刻(ちこ)くしっ [弓場正巳]
五枚目(東) 遅刻(ちこっ)しっ 上手(じょし)な言訳(ゆわけ)で 誤魔化(ごまか)せっ [日隈英坊]
五枚目(西) 義理(ぎい)の見合(みえ) 気分が乗(の)らじ 遅刻(ちこ)くしっ [井手上政暎]
六枚目(東) 今日(きゅ)も遅刻(ちこっ) 課長(かちょ)ん睨(にら)んも 平然(しれっ)たん [西ノ園ひらり]
六枚目(西) 遅刻(ちこっ)癖 目覚(めざま)しゃ年中(ねんじゅ) 罪(つ)む被(かぶ)っ [小瀬一峻]
七枚目(東) 術(じゅっ)ね奴(わろ) 朝は遅刻(ちこっ)で 帰(もど)や一番(いっ) [福山吉連]
七枚目(西) 遅刻(ちこ)くしっ そろいと出勤(で)れば 睨(ねぎ)い課長(かちょ) [花園ちづ]
八枚目(東) また奴(あい)か 遅刻(ちこ)くすったあ 大概(てげ)決(き)まっ [伊地知 孝]
八枚目(西) また遅刻(ちこっ) 段々嘘が 上手(じょ)じけなっ [中囿和風]
親方吟(東) 門限の 遅刻(ちこく)い小屋で 夜(よ)を明(あ)けっ [入来創雲]
親方吟(西) 遅刻(ちこ)くした 罰(ばっ)が校庭(こうて)ゆ また走(はし)っ [吉岡道場]

薩摩郷句作品集(薩摩狂句集「くろぢょか」より抜粋)

織田岳児 秋風(あっかぜ)い 芒(すす)きゃ満月(まんげ)つ やれ撫(な)でっ
振(ふ)い上(や)げた 拳骨(とっこ)を女房(かか)あ 泣(ね)て止(と)めっ
小野田凡太 飲(の)ん癖が 出世ん芽をば 摘(つま)ん切(き)っ
威張(いば)ってん 肩書(かたが)く取れば ただん人

第107回南日本薩摩狂句大会 兼題「冗談(はらぐれ)」 堂園三洋選

特選 冗談(はらぐれ)で 女房(か)け好(す)っ言(ちゅ)たや 鯛(て)の刺身(さしん) [郷田悠々]
秀一 冗談(はらぐれ)が 瓢箪(ひゅたん)に駒(こま)ん 今ん妻(かか) [楠八重渓流]
秀二 冗談(はらぐれ)は 定価が無(の)して 高価(たっ)かバー [前田あやめ]
秀三 冗談(はらぐれ)い 席(せ)く蹴(け)っ立った 怒(はらか)っ坊(ぼ) [有川南北]
秀四 冗談(はらぐれ)い 手術(しゅじゅっ)の傷(きっ)が 疼(うず)っ出(で)っ [津曲とっこ]
秀五 きみまろん 冗談(はらぐ)れ臍が 茶を沸(わ)けっ [上籠若菜]
軸吟 朝市(あさいっ)の 婆(ば)は冗談(はらぐれ)も 混(ま)ぜっ売(う)っ [堂園三洋]

第107回南日本薩摩狂句大会 兼題「術(ずっ)ね」 弓場正巳選

特選 退職金(やめぎん)な 半分ずっち 術(ずっ)ね女房(かか) [石塚律子]
秀一 背を向(む)けっ 舌(べろ)を出(だ)せちょい 術(ずっ)ね嫁 [永徳天真]
秀二 米櫃(こめびっ)の 中(な)けも這入(へく)んだ 術(ずっ)ね不況(ふきょ) [津留見一徹]
秀三 狭(せ)べ椅子を 分け分け術(ずっ)ね 尻(し)ゆ据(す)えっ [上山天洲]
秀四 どん団子(だ)げも 指(ゆ)ぶば突(つ)っ込(く)だ 術(ずっ)ね孫 [福山吉連]
秀五 術(ずっ)ね奴(わろ) 食(く)放題(ほで)ん蟹(がね)を 袋(ふく)れ盗(と)っ [米元年輪]
軸吟 術(ずっ)ね奴(わろ) 御機嫌(ごっげん)取(と)いで 早(は)え出世 [弓場正巳]

第107回南日本薩摩狂句大会 兼題「年中(ねんじゅ)」 有川南北選

特選 夫婦(みと)喧嘩 軍配(ぐんば)や年中(ねんじゅ) 女房(か)け挙(あ)がっ [堂園三洋]
秀一 大(ふ)てチラす 年中(ねんじゅ)入(い)れちょい パチンコ屋 [二見愚楽満]
秀二 こげな亭主(て)し 何(な)ゆ血迷(ちま)よたか 年中(ねんじゅ)後悔(くけ) [楠八重渓流]
秀三 金(ぜん)貯(た)めが 趣味言(ちゅ)て年中(ねんじゅ) 襤褸(ぼろ)を着(き)っ [前田あやめ]
秀四 塵(ごん)出(だ)し日 定年組(ていねんぐん)が 年中(ねんじゅ)会(お)っ [工藤天然]
秀五 独身者(ひといもん) 晩飯(ばんめ)しゃ年中(ねんじゅ) カップ麺 [原田菊男]
軸吟 耳(みん)に胼胝(たこ) 年中(ねんじゅ)勉強(べんきょ)ち 五月蠅(うる)せママ [有川南北]

第107回南日本薩摩狂句大会 兼題「真実(まこっ)」 栫 路人選

特選 拉致家族(かぞっ) 真実(まこっ)が欲(ほ)しち 火の叫(おら)っ [稲田切株]
秀一 出張は 真実(まこっ)か女房(かか)が 社長(しゃちょ)い聞(き)っ [工藤天然]
秀二 浮気亭主(てし) 真実(まこっ)じゃろそな 寝言(ねご)つ言(ゆ)っ [新地十意]
秀三 良心が 真実(まこ)つ言(ゆ)わせた 時効(じこ)ん前 [下栗志乃]
秀四 神前で 真実(まこ)つ誓(ち)こたて もへ浮気 [諸木小春]
秀五 真実(まこっ)かよ 痴漢に遭(お)たち 皺くれ婆(ば) [萬福平次]
軸吟 不貞寝女房(かか) 真実(まこ)て情強(じょご)えか 飯(めし)も食(か)じ [栫 路人]

第39回若法師忌・第22回雪尾忌句会 兼題「手伝(こど)い」 堂園三洋選

日曜(にちよ)大工(でっ) 婆(ばば)ん手伝(こど)いじゃ 請(う)けかぶっ [福山吉連]
引越しの 手伝(こど)いで島あ 空(か)れしなっ [福冨野人]
機械植え 手伝(こど)や田の畦(あ)ぜ 茶どん飲(の)ん [弓場正巳]
子に手伝(こど)ゆ 頼めば金(ぜん)ち きし吐(か)えっ [江口紫朗]
建築祝(けんぜゆえ) 朝かあ手伝(こど)い 来た飲兵衛(のんべ) [津留見一徹]
こら厄介(やっけ) 邪魔(ま)じない孫が 手伝(こど)い来(き)っ [谷口雲城]
間違(まっ)ごたた 手伝(こど)いがぼえち 叱(く)るたくっ [樋口一風]
選者吟 アイガモん 手伝(こど)いで出来(でけ)た 美味(うん)め米 [堂園三洋]

第39回若法師忌・第22回雪尾忌句会 兼題「大概(てげ)」 弓場正巳選

自分(わが)あ大概(てげ) じゃいこて子いな 夢を追(う)っ [吉岡道場]
出世どま 大概(てげ)で良(よ)か言(つ)が 尻(し)や叩(た)てっ [楠八重渓流]
キスん次(つ)が 大概(てげ)有(あ)い胸を どうぞ言(ちゅ)っ [上薗佳笑]
大概(てげ)大概(てげ)な 気持(きもっ)じゃ出来(でけ)ん 長(な)げ介護 [上薗佳笑]
子育(こおや)しも 二人目(ふたいめ)かあな 大概(てげ)いなっ [江口紫朗]
伸(ぬ)っ盛(ざか)い 大概(てげ)な味(あっ)でん 奪合(ばこ)っ食(く)っ [栫 路人]
多(う)け誤字い 先生(せんせ)や大概(てげ)ち 思(おも)われっ [永徳天真]
選者吟 釣った言(ちゅ)が 底(そ)けな買(こ)た魚(いお) 大概(てげ)混(ま)ぜっ [弓場正巳]

その他の秀句 (順不同)

やい手言(ちゅ)が 妻(かか)が後(うしと)で 全部(ずるっ)指示(げっ) [小瀬一峻]
何事(ないごっ)ち 女房(かか)ん一喝(いっか)ち 止(や)ん管巻(じじら) [桜井吹雪]
仲人(なかだっ)が 内心(ねしゅ)が良(え)言(ちゅ)とか 美人(シャン)じゃ無(の)し [新地十意]
仲間(どし)の罪(つ)む 悪戯児(てんご)一人(ひとい)で うっ被(かぶ)っ [上山天洲]
何(なん)言(ちゅ)てん わが家(え)ち女房(かか)は 言(ゆ)ちゃ出張(でば)っ [有馬純秋]
指(ゆ)び嵌(は)めた 輪ゴムい用事(ゆ)ずば 思(お)め出(だ)さじ [原田菊男]
相手(えて)も無(の)し 婆様(ばさま)あ猫と 恋(こ)ゆ語(かた)っ [北村虎王]
三人の 雪花菜(きらし)文殊ん 知恵(ち)へ成(な)らじ [樋口一風]
こらうなち 亭主(てし)の頭(びんた)ん 蠅(へ)を叩(た)てっ [入来創雲]
天下(あまくだ)い 金(ぜん)から金(ぜん)に 渡(わた)い鳥(どい) [中囿和風]
黄泉(さっ)の世(よ)い 行(い)っとも遅刻 百歳(ひゃ)く越(こ)えっ [福原福多]
自慢話(ぎらばな)し 相槌打(えはう)っ上手(じょし)が 次(つ)ぐ催促(せず)っ [山田竜生]
妻(か)けすれば 外(はず)れじゃっつろ 男運(おとこうん) [楠八重渓流]
冗談(はらぐれ)が パッち映(うつ)らん 蛍光灯(けいこうと) [津留見一徹]
冗談(はらぐれ)を 言(ゆ)おごっもなか 倦怠期 [木佐貫白猫]
可愛(む)ぜ婿い 何(な)ゆ食(か)すかいち 女房(かか)は騒動(そど) [上山天洲]
真実(まこっ)かよ 痴漢に遭(お)たち 皺(しわ)くれ婆(ば) [萬福平次]
そいじゃ無(ね)ち 手伝(こど)いの孫が 下知(げ)つ吐(か)えっ [樋口一風]
課長(かちょ)ん椅子(い)す 狙(ね)ろちょったとに 肩叩(かたたた)っ [澤津乙名]
大概(てげ)な句を 色紙(しき)し書(け)た上(う)へ 額(が)き入(い)れっ [津留見一徹]
癌じゃっで 切除しましょち さらっ言(ゆ)っ [楠八重渓流]
お手空(てぱら)ち 故意(わざ)と負(ま)けちょい 飲(の)ん平(べ)奴(わろ) [鮫島牧峰]
倹(つま)すしっ 亭主(とと)が逝(い)てかあ 使(つ)こ思(と)もっ [有馬純秋]
仏壇(にょうさん)に 嫁ん悪口(あっご)を 久(さ)す語(かた)っ [永徳天真]
坪単価 値切れば似合(にお)た 柱(はし)てしっ [津曲とっこ]
冗談(はらぐれ)ち 聞(き)っ流(な)げちょった プロポーズ [石塚律子]
良(よ)か嫁ん 真似も年中(ねんじゅ)じゃ 疲(だ)れとけっ [樋口一風]
可笑(おか)し亭主(とと) 真実(まこっ)じゃ無(ね)とか やれ吃(ずも)っ [新森鶏冠]