さつま狂句誌「さんぎし」
第347号
- 鬼(お)にゃ追出(う)たが 豆じゃ応(こた)えん 貧乏神(びんぶがん) [瀬戸口湯気]
- 深(ふ)け恩義 賀状一枚(いっめ)で けすませっ [東 こっ風]
- 嫁は床(と)け 飾(かざ)っち嫁(き)たて 始終(ねんじゅ)農作業(さっ) [馬込白鯨]
- 暇な医者 往診先(さっ)で 囲碁(ご)ずい診断(み)っ [有川八味]
- 年賀書(か)っ 一年(いっねん)過ぎた 返信(へ)じょ添(そ)えっ [松下小天狗]
- 冷性(ひえしょ)妻(かか) 毛糸パンツい ミニを着(き)っ [狩俣康俊]
- 信号(しんご)待(ま)っ そん度(た)び擦(なす)い 朝寝化粧(げしょ) [有馬二刀流]
- 可哀相(ぐら)しこっ 遺族(いぞ)きカメラが やれ纏付(めち)っ [蔵ノ下夢石]
- 良(よ)か国(くん)に 恵(の)さっ小言(こまご)ちゃ 言放題(ゆほ)で言(ゆ)っ [片平桜子]
- 点滴(てんてっ)で 年金目当て 生(い)かされっ [猪俣南照]
- 撒(め)た思(と)もた 酔漢(とら)が二次会(にじか)い 先回(さっまわ)い [永田酒楽]
- 先(さ)っの世も 彼方(おはん)で良(よ)かち 可愛(むぞ)か女房(かか) [金井一馬]
- 寒(さ)み季節(とき)な 朝寝はエコち 理屈(ぎ)を言(かえ)っ [澤津乙女]
- 俺(おい)が軽自動車(けい) 下(くだ)いの走(はし)や ベンツ並(なん) [多田一行]
- 配(くば)らんにゃ 纏付(めち)っ帰(もど)らん お年玉 [一髪]
- 回覧ぬ 配れば待てち 出(で)たコップ [梅星]
- 世の中あ 計算(さんにょ)外(はず)れん 寄せ集め [文人]
- 披露宴 記念キッスを 見せ付(つ)けっ [冗男]
- 虎刈(きしねこ)が ごろいと床屋(とこ)へ 走(はし)い込(く)ん [黒牛]
- 一見客(いちげん)ぬ 虜(といこ)いなけた 語(かた)い上手(じょし) [ルリ女]