さつま狂句誌「さんぎし」
第343号
- 亭主(て)す立てっ 裏で本音ん 舵(か)ずば取(と)っ [瀬戸口湯気]
- デパートで 亭主(とと)ん愛情(ぼんの)を 確(たし)かめっ [蔵ノ下夢石]
- 土俵(どひょ)ん外(そ)て 太(ふと)か黒星(くろぼ)しょ 積(つ)ん上げっ [窪田ヨー]
- 代表選(だいひょせん) 我が家(え)も二派(には)い 別れ騒動(そど) [慶田乱雲]
- 此(こ)ん次は 俺(おい)が番じゃち 訃報(ふほ)を見(み)っ [江口雪隠]
- おふくろん 味(あ)じゃけ忘(わす)れっ 妻(かか)ん味(あっ) [吉元三智]
- 鹿児島弁(かごっまご) 通訳(つうや)かすっち 旅(た)び誘(さそ)っ [有川八味]
- 良(よ)か娘(こ)じゃが 出雲ん会合(よい)で 仕分け合(お)っ [多田一行]
- 外出(で)ろしたや むっち暑(ぬ)っさが 足(あ)す止(と)めっ [山口涼風]
- 就職活動(しゅうかつ)ん 厳しさ語(かた)っ 靴(くっ)の底 [椛山十四郎]
- 新(に)け背広 着(き)ったや靴(くっ)が しょぼくれっ [慶田乱雲]
- 其処(そ)けあって オーイ電話ち 女房(かか)を呼(よ)っ [津曲とっこ]
- 携帯で 呼べば後(うし)とで 声がしっ [塩田我流]
- 付けで良(よ)か ママん一言(ひとこ)ち 過ぎた焼酎(しょちゅ) [竜風]
- 遣(や)いて妻(か)け 亭主(て)しゃ付け足しの 所帯柱(しょてばした) [東 五本松]
- 祭(まつ)い好(ず)っ 朝も早(は)よから おてつかじ [むらさき]
- 結(むす)だ糸 色が違(ち)ごたか ひん戻(もど)っ [呆太]
- 境界(さけ)争(いさ)け 親父(おや)じゃ口下手(くっべた) 婆(ば)が出張(でば)っ [黒牛]
- 見栄で買(こ)た 犬(いん)ぬ近所を 引(ひ)っ回(ま)えっ [寿音]
- 交代(かたいご)で 耳(みん)ぬ穿(ほじく)い 新婚当初(といえはな) [井之上一洋]