さつま狂句誌「さんぎし」
第342号
- 一年(いっねん)ち 誰(だい)が決めたか 首相(しゅしょ)ん席(せっ) [椛山十四郎]
- 九十(くじゅ)越(ご)えん 葬式(そし)きゃ弔問(き)た人(し)も 楽(だ)き語(かた)っ [萩迫凡栽]
- 松茸まったけ)が 有(あ)れば万円(まん)じゃち 山歩(やまざる)っ [有川八味]
- 天下(あまくだ)や 俺(お)いどが税で 反(そ)い返(かえ)っ [瀬戸口湯気]
- 磯(いそ)ん浜(は)め どこを見(み)ちょいか サングラス [狩俣康俊]
- 憎(に)き梅雨(ながし) 命(いの)つ取(と)らんな 明(あ)けやせじ [馬込白鯨]
- 当選(とお)ったや 天下(てんか)取(と)ろそな 自慢(おぎら)吹(ふ)っ [江口雪隠]
- 安(や)し会費 歌が出(で)っ時(と)きゃ 焼酎(しょちゅ)が無(の)し [津曲とっこ]
- 単身の 暮らしょ嗅(かず)んけ 悋気(じんき)女房(かか) [牟田島世音]
- 団子(だご)鼻(ばな)が 親(お)え似(に)っまこて 可愛(むぞ)か孫 [ほたる]
- 虐待(ぎゃくた)ゆば 躾(しつけ)ち吐(かや)す 冷(つん)て継母(かか) [有馬二刀流]
- 旅行(たっ)支度(した)き 妻(かか)わろ旅費ん 倍(ばい)掛(か)けっ [宮田隆翔]
- 序列(じょれっ)どま 退(や)めっかあずい 付(ち)てまわっ [文人]
- 落選(お)てたビラ 気力(あや)ん無(ね)顔(つら)が 未(ま)だ笑(わる)っ [黒牛]
- 停電の 手探(てさぐ)い柱(はし)て 瘤(こ)ぶ貰(も)ろっ [前田あやめ]
- 空財布(からふぞ)が 懐(つくら)を探(さぐ)い 真似をしっ [凡骨]
- そら見たか 焼酎(しょつ)どん貰(も)ろで 役(や)く背負(かる)っ [蟹篭]
- 切(き)ったやち 電話で下知(げっ)の 旅(たっ)の女房(かか) [寿音]
- 新婚当初(といえはな) 毎日(めにっ)弁当(べんと)は 行楽(でばい)並(な)ん [紫笛]
- 議(ぎ)い負(ま)けっ 玄関(とぐ)つ蹴(け)っじた 下駄ん音 [ごっ婆]