おんじょどいの小屋

さつま狂句誌「さんぎし」

第340号

  • 病(だれ)もせじ 痩体(やせごて)使(つこ)っ 長持(たま)い妻(かか) [永井牛山]
  • 鼾(いびっ)掻(か)き 限(かぎ)っ寝付(ねつっ)の 早(はや)かこっ [慶田乱雲]
  • 寸足(すんた)らん 服(ふっ)で歩(さ)れちょっ 街(まっ)の娘(おご) [椛山十四郎]
  • ベッドから 何度落(お)てたか 蒸暑(ほめ)っ晩 [河野楽天]
  • 異動時期 泣(ね)たい笑(わる)たい 妬(しょ)のんだい [新開 譲]
  • 大概(てげ)で良(え)て 馬鹿を頭(ず)い載(の)せ 難儀しっ [窪田ヨー]
  • 女房(かか)ん声 天井(てんじょ)い響(ひび)っ 女風呂(おなごぶろ) [山下矢絣]
  • 他人(ひと)ん癖 血液型(けつえっがた)で 決(き)め付(つ)けっ [有川八味]
  • 突然(ひょかっ)会(お)て ほんに歯痒(はが)いか 名前(な)が出(で)らじ [茶女]
  • 日替(ひがわ)いの 気温差(きおん)せ慌(せ)しこ 服装(いしょ)選(えら)っ [永田酒楽]
  • 見舞(みめ)ん婆(ば)が 替(か)わろごたっち 涙(なんだ)出(で)っ [梅星]
  • 無料焼酎(ただじょちゅ)ち 腹一杯(おてつき)飲(ぬ)だや 全部(ずるっ)吐(へ)っ [瀬戸口湯気]
  • グァンタレも 横杵者(よんごもん)言(つ)う 名を残(の)けっ [茶恋児]
  • 小(こ)もなった 背中(せな)け難儀ん 証(あか)す見(み)っ [寿音]
  • 七転(ななころ)っ 言(ちゅ)どん一度(いっど)で 音(ね)を上(あ)げっ [凡骨]
  • 愚痴(ぐ)ちょ降(お)れっ 米野菜(やせ)味噌を 戻(もど)や積(つ)ん [善福夢幻]
  • 事故ん度(た)び 並(な)るだ禿どが 言訳(いわけ)しっ [御供田久ちゃん]
  • 麦踏(むっふ)んに 誂(あつら)えたような 偏平足(べったあし) [永山天人]
  • 松の枝(え)で 手足(てあ)す突(つ)っ張(ぱ)っ 無料(ただ)で見(み)っ [山元自在鉤]
  • 鍵(かっ)の守(も)よ 花鉢(はなば)ちさせっ 共稼(ともかせ)っ [善福夢幻]