さつま狂句誌「さんぎし」
第338号
- 黄砂をば 大口(うぐ)ち飲(の)んじょい 鯉幟(こいのぼい) [東 こっ風]
- 丸(ま)いか背(せ)ん 女房(かか)ん苦労を 目で詫(わ)びっ [瀬戸口湯気]
- 新弟子が 秤(ちき)い水腹(みっばら) ずし乗(の)せっ [おんじょどい]
- 商売上手(あっねじょし) 横杵(よんご)ん客(きゃっ)も 大切(てね)いしっ [太田土管]
- 啓蟄(けいちっ)が 浮気ん虫も 目覚(おず)ませっ [永田酒楽]
- 口(くっ)の女房(かか) 拳骨(とっこ)ん亭主(とと)を 捩(ね)じ伏(ふ)せっ [有川八味]
- 自販機が 諭吉様(ゆきっさあ)いな 横を向(む)っ [江口雪隠]
- ぼやし婆(ばば) 鍵(か)ぐば差(さ)し込(こ)ん 街(ま)ち外出(でば)っ [国生千鳥]
- 鍵(かっ)もせじ 気楽(きだ)き暮(く)れちょっ 過疎ん島 [渡辺比呂子]
- 慣らせかて 三度噛(か)ん付(ち)た くずれ犬(いん) [永井牛山]
- 馴(な)らされっ 女房(かか)ん鼾(いびっ)も 子守唄(こもいうた) [佐藤赤猿]
- 歓迎会(みしいゆえ) 新参(しんめ)ん娘(おご)い 青年(にせ)が寄(よ)っ [津曲とっこ]
- 襁褓替(しめしが)え 向顔(むかづ)れ放尿(くろ)た 新参(しんめ)パパ [有馬二刀流]
- 久(さ)しか振(ぶ)い 会(お)て挨拶(えさっ)よか 先(さ)き涙(なんだ) [お茶女]
- 朝市な 元気な野菜(やせ)と 婆(ば)が並(な)るっ [山下矢絣]
- 老夫婦(おんじょみと) ことろす語(かた)い 事(こっ)も無(の)し [井之上一洋]
- 悪戯坊(われこっぼ) 説教(せっきょ)をしたや 親が来(き)っ [萬福平次]
- 厚化粧(あっげしょ)を 束子(そら)で落(お)てたや 自分(わ)が恐怖(びび)っ [多田一行]
- 食(く)たしこあ 歩(あゆ)めち爺(じじ)を 掃(は)わっ出(で)っ [善福夢幻]
- コマシャルい なったとこいで 腰(こ)す上(あ)げっ [川畑小鈴]