さつま狂句誌「さんぎし」
第332号
- 臍繰(へそく)いが 不況(ふきょ)いな勝(か)てじ 面(つら)を出(で)っ [有川八味]
- 助手席(じょしゅせっ)で 煩(やぞ)ろしゅ叫(お)らっ 女房(カカー)ナビ [おんじょどい]
- 後家(ごけ)ん家(え)も 夫婦茶碗(みとわん)じゃった 引出物(ひっでもん) [西郷つぼね]
- 紅葉(もみっ)の手 一徹爺(いっこっじ)をば 簡単(や)す落(お)てっ [多田一行]
- 不況(ふきょ)ん風(かぜ) シャッター通(ど)ゆば 吹っ抜(ぬ)けっ [狩俣康俊]
- おい言(ちゅ)たや おいは居(お)らんち 吐(か)やす女房(かか) [津曲とっこ]
- 時計をば 派遣のパート 見(み)いどえっ [東 こっ風]
- 我(わ)が家(え)でん 妻(かか)が言(ゆ)でけた マニフェスト [椛山十四郎]
- 午前様(ごぜんさあ) この頃(ご)ら飼犬(いん)も 叱(が)い出(で)けっ [宮田隆翔]
- プレゼント 品物(しな)よか金銭(ぜん)ち 言(ゆ)もならじ [渡辺比呂子]
- 火の車(くい)め 女房(かか)もごろいと パーて出(で)っ [蔵ノ下夢石]
- 質素(つま)し料理(じゅい) 年金暮(ぐら)しゃ 今日(きゅ)も豆腐(おかべ) [新開 譲]
- 百年(ひゃくねん)の 人生(じんせ)ゆ煙(けむ)や 二十分(にじゅっぷん) [西郷つぼね]
- 火の無(ね)所(と)け 煙(けむ)ゆ立てちょい 噂(うわさ)好(ず)っ [宮田隆翔]
- 怠惰(ずぼら)かあ 先(さ)き窓際(まどぎわ)ん 席(せ)か決まっ [凡骨]
- 手をやれば 火傷(やけど)をすそな 赤銅肌(しゃっどはだ) [小糠]
- 郷中(ごじゅ)ん寄合(よい) 理屈ちゃ通らじ 年令(とし)が勝(か)っ [文人]
- 肥満(だんべ)嬶(かか) 襦袢(じばん)ぬ脱(に)だや 腹(はら)三つ [冗男]
- 白か肌(は)で 月も嬉(うれ)しか 露天風呂 [牟田島世音]
- 雲が月(つ)く 隠(か)きたや直(いっ)き 肩を抱(で)っ [大蛙]