さつま狂句誌「さんぎし」
第330号
- 馬鹿言(ちゅ)えば じゃっで嫁(き)たとち 吐(か)やす女房(かか) [おんじょどい]
- あ行(ぎょう)から 操(く)ってん出(で)らん 俳優(はいゆ)ん名 [多田一行]
- 可哀想(ぐら)し財布(ふぞ) 診察券が 独占(ひといじ)め [永田酒楽]
- 子を叱(が)った ついで亭主(とと)いも 飛火(とびひ)しっ [狩俣康俊]
- 献血(けんけっ)の 血(ち)ずい焼酎(しょちゅ)臭(く)せ 飲(の)んべ亭主(とと) [蔵ノ下夢石]
- パチンコい 涼(すず)んけ行たっ 太(ふと)か損(ほげ) [吉元三智]
- デート代(だ)い 困(こま)っごろいと 所帯(しょて)を持っ [有川八味]
- 音信(そ)の無(ね)息子(こ)を 故郷(さ)て連れ戻(も)でた 大不況 [瀬戸口湯気]
- そのまんま 知事がよかがち 世論(ひと)は言(ゆ)っ [山下山ゆい]
- ボロ畳(だた)む 踏(ふ)めばタンスが 踊(おど)いでっ [狩俣康俊]
- 新婚当初(といえはな) 六畳(ろっじょ)一間で 世帯(しょて)を操(く)っ [椛山十四郎]
- 座敷(ざなか)をば 衣装(いしょ)ん海(う)みした 旅行(りょこう)前 [こまめ]
- 終電車 汗臭(あせく)せ臭気(かざ)い 座席(せ)く追(う)われ [永田酒楽]
- 大雷(うがんな)い 柔道(じゅうど)五段も 蚊帳(か)へ潜(もぐ)っ [慶田乱雲]
- 婆(ば)んメール 前略ん次(つ)ぎゃ 委細手紙(ふみ) [多田一行]
- 良(よ)か娑婆ち へそ出し娘(おご)い 爺(じ)がニタッ [西 御前]
- 好(す)っじゃっち 言難(ゆにっ)か娘(おご)は 手紙(てが)む出(で)っ [かぼす]
- 叶(かの)た願(ね)げ 夢から覚めっ 横(よ)けな婆(ばば) [かぼす]
- 小才(こだ)ん利(き)た 孫ん飛車角(ひしゃか)き 爺(じ)あ投げっ [左利]
- 試着室 流行(はや)い恵(の)さらん 肥満(だんべ)嬶(かか) [茶女]