さつま狂句誌「さんぎし」
第328号
- 空気(くうき)しか 乗(の)せん日が 多(う)け 過疎んバス [多田一行]
- 犬(いん)に言(ちゅ) 貰(も)ろた残(のこ)いが 亭主(とと)ん餌(えど) [瀬戸口湯気]
- パック詰(づ)め 見かけん悪(わ)りた 下(し)て隠(か)きっ [宮田隆翔]
- 喧嘩(いさけ)後(あと) 鏡(かが)み映った 凄(わざ)え顔(つら) [蔵ノ下夢石]
- 昨日(きぬ)は過去 今こん時刻(とく)ば 大事(で)じ生きっ [前野一合敏]
- 過疎(かそ)ん足 我(わ)が免許証(めんきょしょ)が 一番(いっ)の足 [有川八味]
- 暗闇(くらすん)の キスで火が付(ち)て 共白髪(ともしたが) [永田酒楽]
- 軽(か)り口(くっ)が 郷中(ごじゅ)ん交際(つっけ)を 遠ざけっ [宮田隆翔]
- 見舞客(みめきゃっ)の 冗談(わや)き傷口(きずぐ)ちゃ 疼(うず)っ出っ [津曲とっこ]
- 微笑(わる)た顔(つ)れ 心(ここ)れ深(ふ)け傷(き)ず 少(ち)す覗(み)せっ [東 こっ風]
- 傷心(しょうしん)の 娘(おご)かブランコ 揺(ゆ)れもせじ [狩俣康俊]
- 申告(しんこ)きな 算用(さんにょ)い強(つ)よか 女房(かか)を派遣(や)っ [牟田島世音]
- メタボ女房(かか) また妊娠(でけ)たかち 揶揄(ちょく)られっ [有馬二刀流]
- 懸賞(けんしょう)が 相撲(すも)ん勝負(しょっ)よか 気いかかっ [茶女]
- 素駄(すだ)で来て しこたま抱(かか)えっ 娘(こ)は帰(もど)っ [すもも]
- 無(な)か頭(びん)て 力仕事(ちからしごっ)で 頑張(きば)れ言(ちゅ)っ [宮田隆翔]
- 片道(かたみっ)の 切符で帰(もど)っ 派遣(はけん)切(ぎ)い [東 五本松]
- 背丈(たけ)が減(へ)っ 隠(か)きたヘソクい 届かせじ [野菊]
- 外顔(そとづら)が よか程(しこ)女房(おか)て 辛(つ)ろ当(あ)たっ [吉村一酔]
- 絶(た)えた縁(えん) 親ん葬式(おんぼ)で 道(み)ちょ開(あ)けっ [宮田隆翔]