さつま狂句誌「さんぎし」
第327号
- 爺(じ)が寝(ね)たや コップん中で 義歯(は)が笑るっ [有川八味]
- 糸ん様(よ)な 縁(えん)も手探(てさぐ)い 票(ひゅ)ば頼ん [東 こっ風]
- 脳味噌も 連(て)のっ頭(びんた)ん 毛は逃げっ [瀬戸口湯気]
- 老化(ろうか)奴(わろ) リハビリよっか 先(さ)く走っ [永瀬ひよこ]
- 正論が 剣幕(けんま)き押され 尻(しい)すぼん [江口雪隠]
- 無農薬 虫とめ貰ろた 田舎野菜(やせ) [吉丸セツ子]
- 呉るっ言(つ)で そいじゃ貰ろとけ 給付金 [永井牛山]
- 美人(シャン)ナーし 痛(い)てとを我慢(きば)い 予防(よぼ)接種(せっしゅ [蔵ノ下夢石]
- 広(ひ)れ娑婆を しゃいも狭(せ)もすい 横(よ)んご者(もん) [土竜]
- 丁度(がっつい)ち 太(ふ)とかお下(さが)ゆ 着せられっ [大蛙]
- 婆(ば)は一人(ひとい) 電灯(あかい)が点(つ)かじ 訪(こと)っ見っ [凡栽]
- うそ泣っの 女房(かか)ん涙(なんだ)い 又嵌(うた)っ [一髪]
- 涙声(なんだごえ) なったで負けた 夫婦喧嘩(みとげんか) [ゆめ路]
- 俺(おい)がよな 良か虫が付(ち)て 運(ふ)の良(え)女房(かか) [永田酒楽]
- 老人(としよい)の 街なやぜろし ピアノ稽古(けこ) [慶田乱雲]
- 長(な)げ挨拶(えさ)ち 眺めちょい料理(じゅ)い 腹が鳴っ [一珍]
- 歯痒(はが)い青年(にせ) 据(す)え膳(ぜん)食わん 弱虫坊(やっせんぼ) [御前]
- 減った髪(かん) 櫛(く)しゃリストラで 棚(た)ね欠伸(あくっ) [前野一合敏]
- 後家じゃれば 少(ち)す塗った紅(べん) 罪(つ)ん作っ [ひまわり]
- 飲酒(ぬ)じょらんち 巡査(じゅん)せ強請(もが)った 縺(もつ)れ舌(じた) [福田鹿角]