三條風雲児 |
塩素臭(く)せ とは若水(わかみっ)じゃ 無(ね)ち爺様(じさま) |
|
正月礼(しょがっで)い 車(くいま)で行(い)たや 上戸(じょご)が叱(が)っ |
|
久振(さしかぶ)い 箸戦(なんこ)も弾(はず)だ 寄合(よい)正月(しょがっ) |
|
片付けも 為果(しう)せん台風(うかぜ) 銀座(ぎん)ぜなっ |
|
イチローが 安打記録(きろ)くば 塗(ぬ)い替(か)えっ |
有川南北 |
よか正月(しょがっ) 老妻(かか)と霧島(きりし)め 温泉(ゆ)い浸(つか)っ |
|
靖国い 今年(こと)しゃ詣(め)らいか 総理さあ |
|
合格(うか)ったが さいご神様(かんさ)へ 詣(め)ろたせじ |
|
おーいお茶 言(ちゅ)てん女房(かか)わろ 返事(へし)もせじ |
|
満期(ほつ)れたが 人を馬鹿(ば)けした よな金利 |
塚田黒柱 |
こげな美人(シャン) じゃったか妻(かか)ん 古(ふ)り写真 |
|
台風(うかぜ)いな 飾(かざ)いもならん コンピュータ |
|
クラス会 叱(が)られた敵(かた)く 焼酎(しょちゅ)で取(と)っ |
|
撫(な)でつくい 毛も無(ね)て毎日(めにっ) 鏡(かが)む見(み)っ |
|
自棄酒い 付(つ)っ合(きょ)た相手(えて)が 先(さ)き管巻(じじら) |
堂園三洋 |
台風(うかぜ)奴(わろ) 曲尺(ばんじょがね)型(が)て 曲(ま)がっ来(き)っ |
|
帰(もど)っ時(と)か 杖を忘れた 上手(じょし)な治療(よじょ) |
|
ちょっしもた 高(た)こでひっ買(こ)た 偽(にせ)ヴィトン |
|
運(ふ)の良(え)青年(にせ) 高嶺ん花を 物いしっ |
|
まだ独身(ひとい) 俺(お)いな恵(のさ)らん 異性運 |
植村聴診器 |
結婚式(ごぜんけ)い 腹ん月(つ)き合(お)た 衣装(いしょ)合わせ |
|
日本ぬば 虐待攻めん 態(ふ)の台風(うかぜ) |
|
子の代(で)なっ DNAが 金メダル |
|
喜寿ん祝(ゆえ) 息子ん禿が 広(ひ)れごたっ |
|
詳(くわ)し事(こ)た 知(し)らじ戸籍(こせっ)じゃ 姉妹(きょで)いなっ |
岩崎美知代 |
半分な 母親(はほ)が狙(ね)ろちょい お年玉 |
|
干海老(えっ)の出し 餅(もっ)の汁(しゅ)や婆(ば)ん 味(あっ)がしっ |
|
焙(あぶ)い餅(も)ち 可愛(む)ぜ孫ん子ん 顔(つら)が集(よ)っ |
|
爺(じ)が十八番(おはこ) 粟ん糖汁(なっと)で 夜が明(あ)けっ |
|
白砂(しらし)木戸(き)で 挨拶(えさっ)袴(ばかま)ん 声がしっ |
天 |
放し飼(が)い 鶏(とい)も亭主(て)し似(に)て 外(そ)て泊(とま)っ [池上黒ぢょか] |
地 |
まぐれ鶏(どい) 茶ん藪(や)べ沢山(ずばっ) 産(う)ん貯(た)めっ [仮屋一発] |
人 |
牝鶏(めんどい)が 喧嘩構えで 雛(こ)を守(まも)っ [樋之口墨矢] |
五客一席 |
目が据(すわ)っ どすが利(き)けちょい 喧嘩鶏(けんかどい) [上籠若菜] |
五客二席 |
我(わ)が産んだ 卵をうっ食(く) くずれ鶏(どい) [野間口鈴女] |
五客三席 |
榾切株(ほたつっ)せ 鶏(とい)こしたえん 小斧(こよ)く振(ふ)っ [倉元天鶴] |
五客四席 |
俄客(にわかきゃ)き 亭主(とと)は直(たっち)き 鶏(と)ゆ捻(ひね)っ [棈松睦酔] |
五客五席 |
鶏(とい)言(ちゅ)てん 飼(こ)たや可愛(む)ぞして 食(く)はならじ [西ノ原一句] |
選者吟 |
負けん気の 軍鶏(しゃも)んよぼしの 傷(きし)のあと |
横綱(東) |
太鼓(てこ)三味線(しゃん)に 着物(きもん)の裾を 高(た)こ端折(つぶ)っ [畑山真竹] |
横綱(西) |
寒(さ)むなれば 丹前が良(え)ち 毎晩(めばん)着(き)っ [埀野剣付鶏] |
大関(東) |
留袖が まだかまだかち 出をば待(ま)っ [諸木小春] |
大関(西) |
護謨(ぎった)飛(つ)っ 着物(きもん)の裾を 高(た)こ端折(つぶ)っ [今釜三岳] |
関脇(東) |
仔牛(うし)の代金(こ)や 草どま刈(か)らん 娘(こ)ん着物(きもん) [鈴木一泉] |
関脇(西) |
砂被(すなかぶ)い 着物(きもん)の奥様(こじゅ)が 陣ぬ取(と)っ [棈松睦酔] |
小結(東) |
大島紬(おおしま)を 看(み)っくれた嫁(よ)め 残(の)けっやっ [福山吉連] |
小結(西) |
器量(きりょ)が器量(きりょ) 着物(いしょ)を張(は)い込(く)だ 親愛情(おやぼんの) [上籠若菜] |
筆頭(東) |
着物(きもん)どん 着(き)っ黒ぢょかで 疲(だ)れが飛(つ)っ [堂園三洋] |
筆頭(西) |
銭湯(ふろや)火事(かし) 人ん着物(きもん)ぬ 持(も)っ逃(に)げっ [有馬凡骨] |
二枚目(東) |
婆(ば)の形見(かたん) 着物(きもん)な良(よ)かが サイズ違(ち)げ [樋之口墨矢] |
二枚目(西) |
防虫剤(むしよけ)ん 香(かざ)とめ歩(さ)るだ 高価(た)け着物(きもん) [津留見酎児] |
三枚目(東) |
弥五郎(やごろ)どん 今年(こと)しゃ嬉(うれ)しち 新(に)か着物(きもん) [有馬純秋] |
三枚目(西) |
外股(そとがん)に 大股(うま)て着物(きもん)で 歩(さ)れっ娘(おご) [原田菊男] |
四枚目(東) |
多(う)けも無(ね)て 着物(きもん)に迷(ま)よた 婆(ば)の行楽(でばい) [川村三生] |
四枚目(西) |
着物(きもん)どま 一枚(いっめ)も持(も)たじ 嫁(むから)れっ [那加野黎子] |
五枚目(東) |
横張(よこば)いの 亭主(とと)は着物(きもん)も 晴(は)れがせじ [松元清流] |
五枚目(西) |
親馬鹿が 晴着ん娘(おご)い 付(ち)っまとっ [津留見一徹] |
六枚目(東) |
今年(こと)しゃ帯(おっ) 来年(でねん)着物(きもん)ち 月賦所帯(じょて) [渡 純光] |
六枚目(西) |
短(みし)け足 着物(きもん)ぬ着(き)たや 様(さま)いなっ [平中小紅] |
七枚目(東) |
戦時中(せんじちゅ)は 母親(はほ)ん着物(きもん)な モンぺなっ [樋渡草団子] |
七枚目(西) |
何処(ど)け行(い)っか 着物(きもん)の女房(かか)い 気が揉(も)めっ [有村土栗] |
八枚目(東) |
着物(きもん)どま 恵(のさ)らじ済(す)もち 妻(かか)ん愚痴(ぐぜ) [坂元鶴山] |
八枚目(西) |
店員の 着付けが呆(ぼ)えで 売(う)れん着物(いしょ) [永徳天真] |
親方吟(東) |
入院(にゅいん)騒動(そど) ガーゼ浴衣(ねま)くば 買(こ)け走(はし)っ [岩崎美知代] |
親方吟(西) |
今日(きゅ)は紬(つむっ) 帯(お)ぶポン叩(た)てっ 蝶々(つつ)いなっ [植村聴診器] |
帝王学(ていおが)き 人情(にんじょ)が足(た)らん 三代目 [上籠若菜] |
違(ち)ご言(ちゅ)どん 吝嗇(けち)と節約(かんじゃ)か 知(し)れん境(さけ) [郷田悠々] |
多数決(たすうけ)ち 負(ま)けっ横杵(よんご)が 席(せ)くば蹴(け)っ [今釜三岳] |
可愛(む)ぜ孫が 抓(つま)んきろそな 議(ぎ)を吐(か)えっ [原田菊男] |
年賀状(ねんがじょ)あ 丸(まっ)で子供(こどん)の 見本市(みほんいっ) [西ノ原一句] |
惚(ぼ)け防止(ぼう)し 車(くいま)い乗(の)っち 恐(わざ)いか爺(じ) [楠八重渓流] |
成(な)い上(や)がい 昔(むか)す語(かた)れば 小(ちん)こなっ [米元年輪] |
チャンバラを 観(み)ちょれば自然 手が動(いご)っ [米元年輪] |
け死(し)んもそな 声で台風(うかぜ)ん レポーター [坂元鶴山] |
二次会に メールで届(と)じた 女房(かか)ん角(つの) [諸木小春] |
脱北(だっぽっ)の 気持(きも)ちゃ理解(わか)っち 敷(し)かれ亭主(てし) [工藤天然] |
叱(く)るた部下(ぶ)け 今じゃ世辞(め)すとっ 再就職にどづとめ [有馬慶成] |
鏡(かが)む見(み)っ 紅顔(こうがん)老(お)ゆち 独(ひと)い言(ごっ) [西迫順風] |
夕方(よのいもて) コケコッコ言(ちゅ)で ひねられっ [末村琢詩] |
愛人(なずん)から 貰(も)ろた風邪をば 妻(か)け呉(く)れっ [佐土原 隆] |
検査漬(づ)け してかあ風邪ち きし吐(か)えっ [津留見一徹] |
行(い)きゃ無名 帰(もど)や金(きん)じゃち 凄(わ)ぜ人出 [原田菊男] |
考(かん)げ事(ご)ちゃ まっで無(な)か態(ふ)の 阿波踊(おど)い [小瀬一峻] |
世帯(しょて)ん繰(く)や 知(し)たじ馬鹿亭主(て)しゃ 飲(の)ん歩(さ)れっ [猪俣凡児] |