三條風雲児 |
鋤焼(すっきゃっ)も 旬の白菜(しとな)が 味(あ)ず添(そ)えっ |
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猫舌を 湯豆腐(ゆどっ)で擾(こな)す 倦怠期 |
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着(き)ぶくれっ おっで風呂入(い)や 億劫(よだ)くなっ |
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節(ふし)くれた 指(い)び手袋(てぬくい)が 駄々(ね)ずこでっ |
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年金じゃ 暮れん買物(けもん)も しはならじ |
有川南北 |
飲(の)ん足(た)らじ 進軍ラッぺ 従(ち)て行(い)たっ |
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帰(もど)いはを 失(うし)のた下戸も 引張(そび)かれっ |
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独身者(ひといもん) 言(ちゅ)えば蝶々(ちゅちゅ)わろ 寄(な)ん掛(かか)っ |
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若(わ)け時(とっ)の つけがいま来(く)い キリギリス |
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家屋敷(えやしっ)が 広(ひ)れとも堪(の)さん 独(ひと)い住(ず)め |
塚田黒柱 |
大頭(ずっちゃん)け 痺れが切れた 膝枕 |
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メル友が 女房(おかた)一人(ひとい)じゃ 寂(とぜん)のし |
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高(た)け着物(いしょ)は 君(わ)い似合(に)おわんち 買(こ)ちゃくれじ |
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官僚(かんりょ)から 手玉(てだ)め取(と)らるい 金バッジ |
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先生の 声も眠(ね)っちょい 五時間目 |
堂園三洋 |
年の功 長老(ちょうろ)ん話(はな)しゃ 味(あっ)があっ |
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背伸(せの)ぶして 暮(く)れてん長(な)ごは 続(つづ)かせじ |
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居心地(いごこっ)が いけんか悪(わ)いか 課長(かちょ)ん家(うっ) |
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食欲(しょくよっ)が 爆発(ばくは)つしちょい 伸(ぬ)っ盛(ざか)い |
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好(す)かん女(と)ん 急接近に 逃げ回(まわ)っ |
植村聴診器 |
ハリケンが 後(あと)を追(う)て来(く)い 避難騒動(そど) |
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あん猛暑 どけ行(い)っつろかい 寒(さ)み師走 |
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飼主(けぬ)し似(に)っ 飢(ひだ)りさ知(し)らじ 肥満(だんべ)猫 |
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拉致されっ 考(かん)げ当(あ)たらじ 歯痒(はが)い家族(けね) |
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掃除機ち まこて邪魔(じゃ)めない 痛(いた)か腰 |
岩崎美知代 |
刺(せ)た殺(こ)れた 命(いのっ)の値打(ねう)ちゃ 下(さ)がい放題(ほで) |
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お帰りち 猫が先(さ)き俺(お)ゆ 出迎(でむか)えっ |
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孫ん子も 義理(ぎい)で婆(ば)が出(で)た 餅(も)つ食(たも)っ |
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貼(は)い終(と)った 障子(しょう)じ暖(ぬ)き陽(ひ)が 婆(ば)を訪(こと)っ |
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白砂(した)す撒(め)っ 新(に)か年(と)す待った 恋(こい)し故郷(さと) |
天 |
掃除(そっ)なんだ した事(こ)た無(ね)態(ふ)の 息子(こ)の下宿(げしゅっ) [吉丸セツ子] |
地 |
賽銭箱(ぜんばこ)も 念入(ねんい)い磨(み)げた 年の暮れ [横手五月] |
人 |
嫁ん掃除(そ)じ 隅(すん)な姑御(しゅとじょ)が 掃(は)っ直(な)えっ [原田菊男] |
五客一席 |
掃除(そっ)なんだ すい気いならん ぽんこっ車(しゃ) [川村三生] |
五客二席 |
掃除(そっ)の度(かし) 引(ひ)っ出(で)っ見(み)っで なお散(ち)れっ [鈴木一泉] |
五客三席 |
肥満(だんべ)女房(かか) 呻吟(うどめ)っかたで 風呂ん掃除(そっ) [金井一馬] |
五客四席 |
化粧(けしょ)紅(べん)な 濃いが我(わ)が家(う)ちゃ 埃(ごん)だらけ [山田竜生] |
五客五席 |
掃除しけ 浮気探(さぐ)いの 女房(かか)が来(き)っ [佐伯山神] |
選者吟 |
今日(きゅ)のぶんな 掃除(そっ)が行届(と)じちょい 結納(ゆいの)ん日 |
横綱(東) |
映画館 隅(すん)で見たなあ 長(な)ご写(うつ)っ [野間口鈴女] |
横綱(西) |
来た順に 隅(すん)から座(すわ)い 郷中(ごじゅ)ん集会(よい) [栫 路人] |
大関(東) |
会合(かたいえ)は 隅(すん)かい人が 詰(つ)まっ来(き)っ [堂園三洋] |
大関(西) |
隅(すん)くじれ 家族(けね)を投(な)ん込(く)だ 俄客(にわかきゃっ) [小瀬一峻] |
関脇(東) |
取(と)いやしで 仕事着(こだな)しゃ土間ん 隅(すん)に置(え)っ [新田フサ] |
関脇(西) |
駐車場(ちゅうしゃじょ)ん 隅(すん)の柱(はした)で 擦(す)いどえっ [米元年輪] |
小結(東) |
あいがたか こげな隅(すん)ずい 来(く)い手紙(てがん) [西ノ園ひらり] |
小結(西) |
隅(すん)くじれ 居(お)いが地五郎(じごろ)ん 目が光(ひか)っ [楠八重渓流] |
筆頭(東) |
孫が来(き)っ 隅(すん)かあ隅(すん)ぬ 馬(うん)めなっ [泊 白水] |
筆頭(西) |
夫婦(みと)喧嘩 子を隅(すん)くじれ 怖(びび)らせっ [飯福小手毬] |
二枚目(東) |
洗濯物(あれむん)ぬ 隅(すん)に蹴(け)い蹴(け)い 客(きゃ)く通(と)えっ [入来創雲] |
二枚目(西) |
早(は)え造作(ぞさっ) 隅(すん)なごまけた 横道(おど)な大工(でっ) [井手上政暎] |
三枚目(東) |
内気(い)め見(み)えっ 隅(すん)になおけん 浮気ぐせ [満留ぐみ] |
三枚目(西) |
隅(すん)くじれ 住(す)んじょい奴(や)ちも 税がきっ [有村土栗] |
四枚目(東) |
悪(わ)り話(はな)しゃ 隅(すん)から隅(すん)に 知れ渡(わた)っ [松山寸八] |
四枚目(西) |
反省会(はんせかい) エラをした奴(と)は 隅(す)み曲(ま)がっ [棈松睦酔] |
五枚目(東) |
語(かた)ろ言(ちゅ)っ 下戸同士(ど)しゃ隅(すん)に 陣ぬ取(と)っ [森山厚香] |
五枚目(西) |
煙草好(ず)く 嫌煙権が 隅(す)み追(う)やっ [池上黒ぢょか] |
六枚目(東) |
隅々(すんずん)も 回(まわ)っ叫(お)れだて 落選(ひっちゃ)れっ [山田竜生] |
六枚目(西) |
避難所ん 隅(すん)で眠(ねむ)れん 夜が明(あ)けっ [那加野黎子] |
七枚目(東) |
隅々(すんずん)の 塵(ごん)出(だ)し励(はま)い 年の暮れ [細山田妙子] |
七枚目(西) |
田植機ん 四隅(よすん)な人ん 手をば借(か)っ [大脇保子] |
八枚目(東) |
金(ぜん)が無(ね)で 田舎ん隅(すん)で 小(こ)む暮(く)れっ [諸木小春] |
八枚目(西) |
綿埃(わたごん)が ぽうぽ集(たま)った 隅(すん)くじら [平中小紅] |
親方吟(東) |
水仙が 一藪(ひとやぼ)隅(すん)に 匂(かざ)を撒(め)っ [岩崎美知代] |
親方吟(西) |
安(や)しで買(こ)っ 冷蔵庫(れいぞこ)ん隅(す)み 期限切れ [植村聴診器] |