三條風雲児 |
二十三夜(にじゅさんにゃ) 武運長久(ぶうんちょうきゅ)を 思(お)め出(だ)せっ |
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枝豆が 目障(めざわ)いち態(ふ)の 休肝日 |
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月(つっ)の出を 待(ま)っつけん態(ふ)で 猪口(ちょ)く握(にぎ)っ |
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何(な)ゆ食(く)てん 舌が肥えたか 美味(うん)も無(の)し |
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良(ゆ)し悪(わる)し ホームページが 罪(つ)む作(つく)っ |
有川南北 |
枕どま 足元(あしも)て転(こ)ろだ 幼児(ちび)ん寝相(ねぞ) |
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こん盛夏(うな)ち 犬(いん)も暑(ぬ)っかろ 本毛皮 |
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毛皮ショー 汗ぞっぷいの 楽屋裏 |
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泥鰌(どじょ)掬(す)くが 現(で)っきたぶんで 座が揺(ゆ)れっ |
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言(ゆ)わしとん よかひと口(くっ)で 揉(も)めでけっ |
塚田黒柱 |
世が世なあ 手討(てう)ちなろそな 議(ぎ)を言(ゆ)女房(かか) |
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他人(ひ)て見(み)すい 化粧(けしょ)じゃ無(な)か言(つ)が 念が入(い)っ |
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政治言(つ)は つまや自分(わが)ため 金(ぜん)のため |
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振(ふ)られたや 痘痕(あばた)は痘痕(あば)て 見(み)えでけっ |
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諦(あきら)めん 悪(わ)り毛後頭部(ぼろっ)て しがん付(ち)っ |
堂園三洋 |
至福(しふっ)言(ちゅ)は こいの事(こっ)じゃろ 赤提灯(あかぢょちん) |
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通訳(つうや)くば 挟(は)すだ抗議じゃ 気が抜(ぬ)けっ |
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大往生(だいおうじょ) 言(ちゅ)ごっ玄関(ふんご)み 寝た飲(の)ん平(べ) |
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喧嘩相手(えて) 居(お)らじ寂(とぜん)ね 女房(かか)ん留守(ずし) |
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保険屋が どしこ褒(ほ)めてん 金(ぜん)が無(の)し |
植村聴診器 |
台風(うかぜ)奴(わろ) 二百十日(にひゃっとか)をば 待(ま)っつけじ |
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妙(す)だ夏(なっ)で 六月燈(ろっがっど)よか 先(さ)き台風(うかぜ) |
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昔(むか)しゃ苦瓜(ごい) 高級品で 今レイシ |
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農業(さ)か大(ふ)つし 借金(おっか)もあろち 継(つ)ごたせじ |
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計算(さんにょ)でな メダル取(と)い過ぎ アテネ行(い)っ |
岩崎美知代 |
孫五人 頭(びんた)も秋(あっ)の 風が吹(ひ)っ |
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風呂上(あ)がい 夫婦(みと)で涼台(ばんこ)い 干(ほ)すビール |
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臭(く)せどのち 馬鹿(ば)けした焼酎(しょつ)で 盛(も)い上(あ)がっ |
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食(く)しこ有(あ)っ 健康(さか)す暮らせば 良(よ)か老後 |
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がんたれを アンティーク言(つ)ちゃ 買(こ)て帰(もど)っ |
天 |
重(お)び命(いの)つ 蠅(へ)のごっ叩(たた)っ 憎(に)き戦争(せんそ) [津留見一徹] |
地 |
干鰯(がらんつ)ん 臭(かざ)い蠅(へ)が集(よ)い 野良(はい)昼飯(ちゅはん) [井手上政暎] |
人 |
蠅(へ)が止(と)まっ かった食(く)おごちゃ なか刺身(さしん) [今釜三岳] |
五客一席 |
爺(じ)の背中(せな)け 蠅(へ)をばめがけっ 婆(ば)あ叩(た)てっ [野村三味] |
五客二席 |
煩(やぜろ)しか 昼寝(ひんね)をすれば 蠅(へ)がめちっ [山下明良] |
五客三席 |
何(ない)にでん 蠅(へ)のごったかい 族議員(ぞっぎいん) [原田菊男] |
五客四席 |
蠅(へ)叩(たた)っが 仕事(しごっ)じゃろそな 老夫婦(おんじょみと) [松元清流] |
五客五席 |
馬鹿奴(ばかたれ)ち 叫(お)れっ金蠅(きんべ)を 打(う)っ殺(こ)れっ [岩崎美知代] |
選者吟 |
折角(せっかっ)の 御馳走(ごっそ)を蠅(へ)奴(わろ) 先(さ)きむしっ |
横綱(東) |
合(お)わん筈(はっ) 我(わ)が家(え)い居(お)った 金庫泥棒(どろ) [入来創雲] |
横綱(西) |
有(あ)っ所(と)けな 有(あ)っち金庫が 溜息(うい)くちっ [小瀬一峻] |
大関(東) |
金庫いな 金(ぜん)が入(い)きらん 夢を見(み)っ [満留ぐみ] |
大関(西) |
婆(ば)ん金庫 臍繰(へそく)ゆ貯(た)むい 紙(かん)の箱 [山下明良] |
関脇(東) |
買(こ)た金庫 さしつけ入れた 通信簿 [諸木小春] |
関脇(西) |
宝籤(たからくし) 金庫い収納(なえ)っ 幸運(ふ)をば待(ま)っ [西 幸子] |
小結(東) |
大(ふ)て金庫 笑(わ)れが止(と)まらん 繁盛(はや)い店 [森山厚香] |
小結(西) |
偽物(まげもん)の 宝(たか)れ金庫が 笑(わ)れを噛(か)ん [津留見一徹] |
筆頭(東) |
眼鏡ずい 金庫い入れた 成(な)い上(あ)がい [細山田妙子] |
筆頭(西) |
金庫をば 開(あ)けっがっかい 遺産分け [樋口一風] |
二枚目(東) |
金(ぜん)な無(ね)で 宅(やど)ん金庫は 開(あ)けた侭(ない) [野間口鈴女] |
二枚目(西) |
金庫とみ 金庫ん鍵(かっ)も ひんなえっ [那加野黎子] |
三枚目(東) |
病臥(ねお)い婆(ば)は 手提げ金庫を じっ握(にぎ)っ [稲留明天] |
三枚目(西) |
籤(く)じ当(あ)たっ 金庫い納(な)えた 夢を見(み)っ [上瀬明星] |
四枚目(東) |
諭吉翁(ゆきっじ)が 窒息(ちっそ)くすそな 小(こ)め金庫 [堂園三洋] |
四枚目(西) |
出社した 社長(しゃちょ)は金庫を 先(さ)き拝(おが)ん [弓場正巳] |
五枚目(東) |
秘書給与 金庫ん番な 女房(か)けさせっ [安藤孟宗竹] |
五枚目(西) |
金々(ぜんぜん)ち 爺(じ)は金庫じゃ無(ね) 孫を叱(が)っ [盛満椒平] |
六枚目(東) |
大(ふ)て金庫 据(す)えちゃおっどん もへ倒産(かや)っ [川村三生] |
六枚目(西) |
焼け跡い 煤(すす)け金庫が 生(い)っ残(のこ)っ [福冨野人] |
七枚目(東) |
持(も)たんくせ 金庫が重(お)びち きし吐(か)えっ [篠原文兎] |
七枚目(西) |
金庫ずい 質屋い入(い)れっ 食(く)いつねっ [栫 路人] |
八枚目(東) |
不況風 金庫ん中は 請求書(つけ)だらけ [山内成泰] |
八枚目(西) |
散(ち)れた部屋(へ)へ 夜逃げが残(の)けた 空(から)金庫 [小森寿星] |
親方吟(東) |
手をすけっ 金庫ん遺言(ゆお)く 子供(こど)が待(ま)っ [岩崎美知代] |
親方吟(西) |
玩具屋(おもちゃや)ん 金庫で間(ま)にお 家(やど)ん金(ぜん) [植村聴診器] |
七十(ななじゅ)爺(じ)い たばこを止(や)めち 要(い)らん世話 [川村三生] |
そけ居(お)って ビールも注(ち)がん 茶も入(い)れん [津留見一徹] |
御令室様(ごれいしつさあ)へち 来たが煤(すす)け女房(かか) [種子田 寛] |
酔(よ)くろたか 妻(かか)が紀香い 見(み)えっきっ [小瀬一峻] |
打捨(うっ)せたて 落ちましたよち いらん世話 [佐伯山神] |
宿六(やどろっ)ち 見下(みく)でっおいが 実(じ)ちゃホの字 [野間口鈴女] |
我(わ)が臍と 久振(さしかぶ)い会(お)た ダイエット [福冨野人] |
不足(ふそ)か無(な)か 不足(ふそ)か無(な)かどん 欲(ほ)しか金(ぜん) [楠八重渓流] |
金メダル 総(ずる)っ獲得(と)ろそな 五輪前 [田原大黒] |
手をば摺(す)い 蠅(へ)い似(に)た亭主(てし)の 金(ぜん)要求(せびい) [津留見酎児] |
駅(え)き近(ち)けち 他人(ひと)ん庭先(にわさ)く 踏(ふ)ん潰(ち)びっ [仮屋一発] |
元気なた 口(くっ)ばっかいち 婆(ば)は笑(わ)るっ [西 三日月] |
可愛(む)ぜ声い 素通(すどお)や恥(げん)ね 募金箱 [西 幸子] |