三條風雲児 |
横座言(ちゅ)が 無(な)かで爺様(じさま)は 炬燵(こたっ)嫌(ぎ)れ |
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味噌搗(みそつ)っが 有(あ)いこっ無(ね)こっ 郷中(ごじゅ)い撒(め)っ |
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不調法(ぶちほ)亭主(て)し 障子(しょ)ず貼(は)らすれば 引(ひ)っ攣(つく)っ |
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子負(こか)れ帯(お)び 背負半纏(こんご)手慣れた 婆(ば)の子守(こもい) |
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絶った焼酎(しょちゅ) 忘年会(ぼうねんか)いな 気が向(む)かじ |
有川南北 |
もへ師走 年月(とし)の経(た)っとの 早(はや)かこっ |
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党首選 ざまな悪口(あっご)ん 言(ゆ)ぐらんご |
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新(に)け政治 言(ちゅ)どん出馬(で)らった 同(ひと)っ顔(つら) |
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恋こゆしたか こん頃(ごろ)わっぜ 綺麗(みご)つなっ |
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預金(ぜん)下(お)ろし ごねた払機(きかい)が 押(お)し戻(も)でっ |
塚田黒柱 |
義理(ぎい)ですい 歳暮(せぼ)ん遣(や)い取(と)や 無(の)し気楽(きだっ) |
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二度寝(にどね)しっ 三度寝(さんどね)もすい 良(よ)か身分 |
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選(え)いたくっ 手垢をつけっ 買(こ)わん奴(わろ) |
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気(き)い食(か)んな 機関銃(きかんじゅ)んよな 口答(くっごた)え |
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叱(が)い飛(と)べた 生徒が笑(わ)るっ 纏付(めち)っきっ |
堂園三洋 |
今日(きゅ)の空を 見てかい変(か)ゆい 天気予報(よほ) |
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ダーリンち 鼻で甘(あま)ゆい 結婚(といえ)当初(はな) |
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女房(かか)は留守(ずし) じっくい飯(めし)が 出来上(あ)がっ |
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休肝日 俺(おい)が辞書いな 載(の)っちょらじ |
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婦人会 美女軍団の 凄(わざ)え騒動(そど) |
植村聴診器 |
少(ち)す肥えた ぐれが可愛(むぞ)かて 痩(や)すごたっ |
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飯(め)す一杯(いっぺ) スーパん釜で 買(こ)た独居(ひとい) |
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嫁(き)て三日 ばれた外面(そとづ)れ 逃(に)げもどっ |
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老後こそ 思(と)もたて妻(かか)は 離婚(わか)る言(ちゅ)っ |
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歳暮(せぼ)も来(こ)ん 借金も無(な)か 小(こ)め生活(くらし) |
岩崎美知代 |
今日(きゅ)は何(ない)も ニュースは無(な)かち 日が欲(ほ)しゅし |
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近(ち)け国(くん)の 遠(と)え国(くん)に泣(な)っ 拉致ん家族(けね) |
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仲良(なかえ)夫婦(みと) 両方(まんぼ)感謝が 顔(つら)い出(で)っ |
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リストラい 匠(たくん)の技術(わざ)も 錆食(さっく)ろっ |
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名義(なめん)換(が)え 看(み)らん横(よん)ごが ねず食(く)ろっ |
天 |
小(ちん)け店 仕事(しごっ)の虫が ビルいしっ [山内成泰] |
地 |
仕事(しご)ちゃ無(ね)て 嫁女(よめじょ)が欲(ほ)しち きし吐(か)えっ [有村土栗] |
人 |
少子化が 助産婦仕事(しご)つ 取(と)い上(や)げっ [今釜三岳] |
五客一席 |
朝戻(あさもど)い 何(ない)の仕事(しごっ)か 紅(べん)が付(ち)っ [弓場正巳] |
五客二席 |
手間仕事(しご)ちゃ 安値(や)すか中国(ちゅうご)き け流(なが)れっ [菖蒲谷天道] |
五客三席 |
仕事(しごっ)よか 男探(みし)けけ きた様(よ)な娘(こ) [樋口一風] |
五客四席 |
飲(の)ん方(かた)が 仕事(しごっ)ち言(ゆ)よな 真赤(まっ)け鼻 [川村 明] |
五客五席 |
仕事(しごっ)よか 喋(しゃべ)いが弾(はず)ん 郷中(ごじゅ)夫役(くやっ) [野村三味] |
選者吟 |
非常勤 仕事(しご)ちゃせんとに わっぜ給料(はれ) |
横綱(東) |
味(あっ)が良(ゆ)し 鍋がかやった 雉子(きし)の雑炊(ずし) [山内成泰] |
横綱(西) |
破(わ)れ鍋い 綴(と)じ蓋保(も)った 五十年 [埀野剣付鶏] |
大関(東) |
帰(もど)ったや 鍋かあ食(く)ちょい 育(ぬ)っ盛(ざか)い [枦山一球] |
大関(西) |
不精(ふゆ)な女房(かか) 鍋尻(なべじ)や狐(きっ)が 提灯(ひ)を点(と)べっ [田原大黒] |
関脇(東) |
鍋底を へ上(あが)や出来(でけ)ん 長(な)げ不況 [新地十意] |
関脇(西) |
ホーホした 鍋が待(ま)っちょい マイホーム [津留見一徹] |
小結(東) |
俄客(にわかきゃ)き 荒(あら)こしたえん 鍋ん鶏(とい) [安藤孟宗竹] |
小結(西) |
穴(ほげ)鍋が 花を咲(さ)かすい 鉢(は)ち化(ば)けっ [江平光坊] |
筆頭(東) |
今日(きゅ)は鍋じゃ 全部(ずるっ)来(こ)んかち 子を寄(よ)せっ [西ノ園ひらり] |
筆頭(西) |
単身の 亭主(とと)いあてごた 片手鍋 [菖蒲谷天道] |
二枚目(東) |
戦時中(ちゅ)い 拝(おが)ん頂(いた)でた 鍋ん雑炊(ずし) [鈴木一泉] |
二枚目(西) |
万能(ばんの)鍋 女房(かか)いなただん 味噌汁(おっけ)鍋 [平中小紅] |
三枚目(東) |
不精(ふゆ)な女房(か)け うってつけじゃろ 鍋ん料理(じゅい) [樋渡草団子] |
三枚目(西) |
鍋も底 貝(け)の汁(しゅ)や 砂(ずな)ん音がしっ [有馬凡骨] |
四枚目(東) |
チンが鳴(な)っ 小鍋(こなべ)で楽(たの)し 結婚(といえ)当初(はな) [森山厚香] |
四枚目(西) |
鍋ん蟹(がね) 足(ごて)で蓋をば 蹴(け)い上(あ)げっ [弓場正巳] |
五枚目(東) |
猪(し)す煮たち 鍋とめ提(さ)げっ 訪(こと)っ来(き)っ [郷田悠々] |
五枚目(西) |
収穫(しおとし)の 昼飯(ちゅはん)に鍋を 担(いの)たてっ [金井一馬] |
六枚目(東) |
上戸(じょご)が鍋 豆腐(おかべ)は滾(たぎ)っ 踊(おど)ゆしっ [松元清流] |
六枚目(西) |
女房(かか)は湯治(とっ) 亭主(てし)にゃ団子汁(だごじゅ)ゆ 鍋(な)べ準備(しこ)っ [山下明良] |
七枚目(東) |
火んかけた 鍋どま見(み)らじ 電話かけ [満石うらら] |
七枚目(西) |
豚ん飼料(はん) 言(ちゅ)おそな手荒(てあ)れ 大鍋(うなべ)料理(じゅい) [今釜三岳] |
八枚目(東) |
小鍋(こなべ)どま 年中(ねんじゅ)野球が 焦(こが)らけっ [藤後一碧] |
八枚目(西) |
昨晩(ゆべ)ん鍋(な)べ 野菜(やせ)どん足(た)せっ 今朝も食(く)っ [有村土栗] |
親方吟(東) |
かけ落ちで 鍋一(ひと)っから 頑張(きば)い抜(に)っ [植村聴診器] |
親方吟(西) |
独身者(ひといもん) ラーメン鍋で用事(ゆ)じゃ け済(す)ん [岩崎美知代] |