三條風雲児 |
客(きゃっ)も無(の)し 旧の正月(しょが)つば 家族(けね)でしっ |
|
稽古(けこ)疲(だ)れか 鼾(いび)くばけちょい 踊(おど)い馬 |
|
臥竜梅(がりゅうば)よ 見(み)ろち爺様(じさま)は 着(き)ぶくれっ |
|
目白(はなし)ずい 寒行(かんぎょ)か毎朝(めあさ) 水(み)ず浴(あ)びっ |
|
医療費が 少(こ)し年金ぬ つんむしっ |
上田 格 |
人中(ひとなか)じゃ 目と目で語(かた)い 恋人(なじゅん)同士(どし) |
|
セールスが 帰(もど)れば犬(いん)が やれ吠(ほ)えっ |
|
不精者(ふゆしごろ) 庭い這(ほ)わせた 臥竜梅(がりゅうばい) |
|
落成式(じょしいえ)を ハンニャで締めた 爺(じ)が大声(うごえ) |
|
七歳祝(ななっいえ) ご本尊どま 婆(ば)とけ寝(ね)っ |
塚田黒柱 |
残念じゃ 茶髪(ちゃぱ)ちすいしこ 髪(かん)が無(の)し |
|
幾通(いくとお)い 塗ったか知(し)れん 育毛剤(いくもざい) |
|
亭主(とのじょ)ずい 女房(かか)ん多趣味が 振(ふ)い回(ま)えっ |
|
老人(おんじょ)いな ティッシュ配(くば)いも 寄(よ)いつかじ |
有川南北 |
六場所を 休場(やすん)比(ぐら)ごで 締(し)めくくっ |
|
贔屓(ひい)くすい 後継者(あと)が早(は)よ欲(ほ)し 井筒(いづっ)部屋 |
|
年賀状 親友(どし)も中風(なえ)たか 字が震(ふる)っ |
|
預(あっ)くそな 金(ぜん)どま無(ね)とに 訪(く)い銀行(ぎんこ) |
堂園三洋 |
大騒動(うそど)をば 医者い叱(が)られた 見舞(みめ)ん友達(どし) |
|
潮が良(え)ち 張(は)い切(き)っ行(い)たが 無駄(すだ)帰(もど)い |
|
飲(の)ん平(べ)亭主(て)しゃ 格好(かっこ)ん悪(わ)りか 狸腹(たぬっばら) |
|
窮屈(せっ)ね態(ふ)で 風呂(ふ)れ浸(つか)っちょい 肥満(だんべ)女房(かか) |
村田子羊 |
口(く)ちチャック させっ申告(しんこ)き 女房(かか)をやっ |
|
スタミナを つけっ気忙(きぜわ)し 帰(もど)い鶴 |
|
ヤミ金融(きんゆ) 大世間(うぜけん)いっぺ 餌(えど)を撒(め)っ |
|
秘密(ひみ)つ知(し)っ こんごら秘書が 邪魔(じゃ)めけなっ |
岩崎美知代 |
巡査どん 牛(べぶ)ん産にも 駆(か)けつけっ |
|
百円じゃ 神(かん)も外見(そらん)の 合格(ごかっ)願(ね)げ |
|
安(や)し鏡(かがん) 横(よん)ご顔(づら)どん 写(うつ)し出(で)っ |
|
け死(し)んだや 身内(みのきれ)じゃっち 人数(にし)が集(よ)っ |
横綱(東) |
花嫁が 匂(かざ)をばらめた 男世帯(じょて) [川村三生] |
横綱(西) |
武家屋敷(やしっ) かった侍(さむれ)ん 匂(かざ)がしっ [江平光坊] |
大関(東) |
回(めぐ)い棒(ぼ)が 目刺(めざし)の匂(かざ)で 手が狂(くる)っ [新地十意] |
大関(西) |
色直し 一生(いっで)一度(いっど)ん 匂(かざ)を撒(め)っ [津留見酎児] |
関脇(東) |
風向(かざむ)っが 匂(かざ)を運(はこ)じょい パン工場 [西 幸子] |
関脇(西) |
菜の花ん マラソン街道(けど)い 匂(かざ)が舞(も)っ [井手上政暎] |
小結(東) |
糯米(もっごめ)ん 蒸篭(せろ)ん匂(かざ)いに 腕まくい [細山田妙子] |
小結(西) |
犬(いん)猫も 敵(てっ)か味方か 嗅(かず)んみっ [小瀬一峻] |
筆頭(東) |
良(よ)か匂(かざ)ん 美人と嬉(うれ)し バスん席(せっ) [堂園三洋] |
筆頭(西) |
松茸(まったけ)あ 匂(かざ)だけ店で 御馳走(ごっ)せなっ [金井一馬] |
二枚目(東) |
胸いっぺ 故郷(さと)ん匂(かざ)をば 吸(す)っ帰(もど)っ [塚田黒柱] |
二枚目(西) |
石鹸の 匂(かざ)どん連(ての)っ 来た浮気 [上山天洲] |
三枚目(東) |
良(よ)か匂(かざ)ん 美人(シャン)が通れば ちっ行(じ)たっ [福山吉連] |
三枚目(西) |
娘(おご)ん匂(か)ぜ 馬(うんま)ん骨が 付(ち)っ纏(まと)っ [津留見一徹] |
四枚目(東) |
里(さ)て帰(もど)っ 昔(むか)す思(お)めでた 団子(だご)ん匂(かざ) [松元清流] |
四枚目(西) |
一(ひと)飯杓子(めしげ) 余計(じんじ)注(つ)がせた 焼魚(いお)ん匂(かざ) [深道好之] |
五枚目(東) |
味(あっ)も良(え)が 匂(かざ)がまた良(よ)か 柚子(ゆべし)団子(だご) [森山厚香] |
五枚目(西) |
また匂(かざ)を 変えた女房(おかた)い 感(かん)ぬしっ [平中小紅] |
六枚目(東) |
化粧(けしょ)ん匂(か)ぜ 愛情(ぼんの)を隠(か)きた 女講(おなんこう) [坂元鶴山] |
六枚目(西) |
おか娘(おご)あ 写真ずい甘(あ)め 匂(かざ)がしっ [上籠若菜] |
七枚目(東) |
野良猫(まぐれねこ) 秋刀魚ん匂(かざ)い 隙(す)く狙(ね)ろっ [入来創雲] |
七枚目(西) |
シャネルなあ 五番が欲(ほ)しち 煤(すす)け妻(かか) [樋口一風] |
八枚目(東) |
木犀の 良(よ)か匂(か)ぜ植えた 亡夫(て)しゅ思(おも)っ [新田フサ] |
八枚目(西) |
寒(かん)海苔(のい)の 味噌汁(おっけ)が美味(うん)め 磯ん匂(かざ) [中村雲海] |
親方吟(東) |
串焼(くしや)っの 匂(かざ)いせからし 腹ん虫 [村田子羊] |
親方吟(西) |
紅梅(こべ)ん匂(か)ぜ 幼鶯(でっち)ん歌も 弾(はず)んでっ [岩崎美知代] |
子育(こおや)しが 済めば介護で 襁褓(しめし)替(か)え [津留見酎児] |
子を真似(まね)っ 親も茶髪(ちゃぱっ)で 大人(お)せならじ [植村聴診器] |
家(うっ)じゃ殿(との) 役所(やっしょ)じゃ平(ひら)で 畏(かしこ)まっ [有馬慶成] |
木戸口(きどぐっ)で 出会(でよ)た隣(とない)も 午前様(ごぜんさあ) [永徳天真] |
寄(よ)れ言(ちゅ)たで さしつけ行(い)たや 挨拶(えさっ)急須(ぢょか) [倉元天鶴] |
逆箒(さかぼ)くば 握(にぎ)っ歌(う)とでた 長尻(ながじ)客(ぎゃっ) [米元年輪] |
借(か)いでたや 貰(も)ろた気(き)でおい 術(ずっ)ね奴(わろ) [前田セツ] |
婆育(ばばおや)し 大人(お)せな挨拶(えさっ)が まこて上手(じょし) [西 幸子] |
総入歯(がんぶい)が パン食(く)競争(きょうそ)ん 後(あ)て残(のこ)っ [篠原文兎] |
夫婦(みと)喧嘩 妻(かか)あ裸足で 亭主(て)しゅば追(う)っ [江口紫朗] |
食(か)せ損(ぞん)の 卵亭主(とと)どま 鼾(いび)くけっ [石野蟹篭] |
父親(ちゃん)の膳 訳(わけ)があろそな 生卵 [江平光坊] |
もと金(きん)の 卵い切(せっ)ね 肩叩(たた)っ [坂元鶴山] |
女房(うっかた)ん 小言(こご)つ肴(しおけ)い 苦(に)げビール [堂園三洋] |
可愛(む)ぜ猫と 半分取(と)いの 爺(じ)の肴(しおけ) [村田子羊] |
人前じゃ 言(ゆ)きらん議(ぎ)をば 妻(か)け吼(ほ)えっ [樋口一風] |
間違(まっ)げずい 真似た隣(とない)の カンニング [上籠若菜] |
間違(まっ)ごてん 愛しちょっとな 言(い)わん亭主(とと) [長井春江] |
一通(ひととお)い 道具(どっ)が揃(そ)ろたや 飽(あ)っが来(き)っ [塚田黒柱] |