三條風雲児 |
松茸(まったけ)は 朝晩食(く)よな 法螺(ぎら)を吹(ひ)っ |
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アベックを 鶺鴒(たろぜ)が近(ちか)き 来てちょくっ |
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殿様蝗虫(くさだか)を ジャンプで捕った 野良猫(まぐれねこ) |
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擾(こな)し振(ぶ)い 今年(こと)しゃ台風(うかぜ)が 訪(き)どえちょっ |
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新米(にかこめ)ん 飯(め)しゃ精霊様(しょろさあ)が 先(さ)き食(たも)っ |
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寒(さ)むならじ 吊柿(ついが)か軒端(のっ)べ 腐(けっ)されっ |
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食(く)如(ご)っ飲(の)ん 薬(くすい)も一向(いっこ) 効(き)ちゃこんじ |
上田 格 |
飲(の)ん工面 目と目が語(かた)っ 動(いご)っ出(で)っ |
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理屈(ぎ)は言(ゆ)どん 浴衣一枚(いっめ)も 首尾(び)は取(と)れじ |
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訪問(こと)ったや 猫が真先(まっさ)き 挨拶(えさ)ち出(で)っ |
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割勘(わいかん)ち 決まったときな 人数(に)じゃ足(た)らじ |
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新甘藷(しんかいも) 味(あ)じゃま一(ひと)っち 添書(そえ)っあっ |
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ないが痩(や)す 食後(しょっご)は団子(だご)で 締(し)めくくっ |
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アベックい 気兼ねをしいし 蟋蟀(ぎみ)も鳴(ね)っ |
有川南北 |
救急車(きゅうきゅう)しぇ 団地ん窓が ずるっ開(え)っ |
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何(な)ゆ食(く)てん 当(あ)たらん女房(かか)ん 鍋こさっ |
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威張(いば)いくせ 上役(う)へなからきし 弱(よ)え課長 |
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走(はし)いぐら 肥満(だんべ)はいっき 疲(だ)れっ尻(げっ) |
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散歩道(みっ) 犬(いん)な犬(いん)同士(どし) 嗅(かず)ん合(よ)っ |
塚田黒柱 |
染(そ)むい毛が あい衆(し)は良(よ)かち 鏡(かが)む見(み)っ |
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食(か)じおれば 痩(や)すったいがち 妻(かか)を叱(が)っ |
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若(わ)け証拠 大世間(うぜけん)腹が 立(た)っどえっ |
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他人(ひ)てな言(ゆ)が 自分(わ)が親馬鹿(おやば)けな 気がつかじ |
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六十(ろくじゅ)かあ 先(さ)か嬉(うれ)しゅなか 誕生日 |
村田子羊 |
擦(す)れ違(ち)ごが 多(う)こし歯痒(はが)いか メロドラマ |
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よいなこっ 五十(ごんじゅ)男(おっこ)が パパいなっ |
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成(な)い上(や)がっ エスて投(な)ん込(く)だ 煤(すす)け女房(かか) |
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脳みそが 故障(こしょ)をしたよな 若作(わかづく)い |
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父(ちゃん)のごっ なろち頼(たの)もし 後継者 |
岩崎美知代 |
赤飯(あかまま)が 女性(おなご)いなけた 転婆娘(いなばおご) |
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母危篤(きと)き 昨日(きぬ)かあ烏(から)しゃ 騒動(そど)をしっ |
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当選(あが)ったや 我(わ)が顔(つら)つくい 日を暮(く)れっ |
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倹(つま)し女房(かか) 流台(なが)しゃ白砂(しらし)で 光(ひか)らせっ |
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捨(うっ)せ金(ぜん) じゃろそな結婚式(しょよ)ん のし袋 |
天 |
稲刈(いねか)ゆば 孫ん学校(がっこ)で 爺(じ)が指導 [中間紫麓] |
地 |
稲取(と)いに 邪魔(ま)じない加勢(かせ)も 沢山(ずばっ)来(き)っ [諸木小春] |
人 |
減反ち 稲じゃい知(し)たん 衆(し)が吐(か)えっ [塚田黒柱] |
五客一席 |
稲ん穂が 器用(じ)く活(い)けられっ 床(と)け座(すわ)っ [平中小紅] |
五客二席 |
栄養が 過ぎたか稲は 地面(じ)で這(すぼ)っ [堂園三洋] |
五客三席 |
稲掛(か)けん 呆(ぼ)やしうんまが はん転倒(と)けっ [蔵ノ下夢石] |
五客四席 |
どぬり妻(かか) 稲刈(いねか)い茶どま 間(か)き合(お)わじ [入来創雲] |
五客五席 |
陸稲(のいね)刈(か)い 晩生(おって)西瓜が 畦(あ)ぜ転(まく)っ [倉元天鶴] |
選者吟 |
台風(うかぜ)前 テレビも稲ん 心配(せわ)をえっ |
横綱(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)ん 匂(か)ぜ休肝日 うっ止(ちゃ)めっ [福山吉連] |
横綱(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)ち 余計(よけ)な事(こ)つ言(ゆ)で 空(から)いなっ [津留見酎児] |
大関(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)ん 匂(か)ぜ切(き)い端(はな)ん 胃が悔(く)やん [安藤孟宗竹] |
大関(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)も 二三杯(にさんべ)飲めば ただん焼酎(しょちゅ) [小瀬一峻] |
関脇(東) |
管巻(じじら)いな 安(や)し新焼酎(しんじょちゅ)と すい替(か)えっ [塚田黒柱] |
関脇(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)あ クラシックをば 聞(き)て熟成(そだ)っ [福冨野人] |
小結(東) |
爺(じ)が甘藷(かいも) 新焼酎(しんじょちゅ)いなっ もどっ来(き)っ [野間口鈴女] |
小結(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)を 十五夜(じゅごや)ん月(つっ)と 差しで飲(ぬ)っ [小森寿星] |
筆頭(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)ち 新(にっ)か名前で 飛(つ)で売(う)れっ [樋之口墨矢] |
筆頭(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)あ 良(よ)かなち女房(かか)も 出来上(あ)がっ [今釜三岳] |
二枚目(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)を たのしん過(す)ぎっ 古酒(こしゅ)いなっ [堂園三洋] |
二枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)も 水(みっ)じゃ麹(こし)じゃち 方法(て)を変(か)えっ [田原大黒] |
三枚目(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)を 度々(はたれ)っ舐(な)めっ ち酔(よく)ろっ [野村三味] |
三枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)ち 女将(ママ)は馴染(なじん)に そっち注(ち)っ [小森寿星] |
四枚目(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)い 余計(じんじ)飲(の)ん座が 長(な)ごけなっ [満石うらら] |
四枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)は 初恋の味(あっ) ちゅう飲(の)ん平(べ) [平中小紅] |
五枚目(東) |
提げた焼酎(しょちゅ) 新焼酎(しんじょちゅ)じゃっち 念ぬ押(え)っ [川村三生] |
五枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)を 餌(えど)い出(で)っ来(け)ち 悪友(ど)す寄(よ)せっ [上山天洲] |
六枚目(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)を 提げた碁敵(ごがた)き 手抜(てぬ)くしっ [坂元鶴山] |
六枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)が あい頃企(く)んだ 女(おなご)模合(もえ) [中村雲海] |
七枚目(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)で 喜(よろ)くだ舌が 縺(もつ)れ出(で)っ [森山厚香] |
七枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)あ 五臓六腑い 沁(し)んわたっ [倉元天鶴] |
八枚目(東) |
飲め言(ちゅ)たや 新焼酎(しんじょちゅ)なあち 座(すわ)い女房(かか) [松元清流] |
八枚目(西) |
新焼酎(しんじょちゅ)で 出稼(でかせ)ぐ女房(かか)は 待(ま)っ上(ちゃ)げっ [菖蒲谷天道] |
親方吟(東) |
新焼酎(しんじょちゅ)ん キープを術(ずっ)ね 女将(ママ)が飲(ぬ)っ [村田子羊] |
親方吟(西) |
生(い)っ残(のこ)ゆ 賭(か)けっ新焼酎(しんじょちゅ) 蔵(く)れ熟成(そだ)っ [岩崎美知代] |