三條風雲児 |
娘(おご)ん衆(し)の キャンプ薪(たくん)じゃ 飯(め)しゃ炊(た)けじ |
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臍出しの 癖で浴衣は 窮屈(きくっ)のし |
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畑(はっけ)いな 降(ふ)らじ山(や)め降(ふ)い 馬鹿夕立(さだっ) |
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入れ歯どま 嵌(は)めじ爺様(じさま)も 心太(ところてん) |
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雷(かんなれ)を 朝かい落(お)とす 夏休(なっやす)ん |
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北ん斜面(ひら) まだ目が覚(さ)めん 合歓(あさねごろ) |
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また一(ひと)っ 病院(びょいん)な病(びょ)をば 見(み)しけ出(で)っ |
上田 格 |
何(な)ゆしてん 呆(ぼ)えが魚釣(いおつ)や 勘が良(ゆ)し |
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負け箸戦(なんこ) 焼酎(そつ)が回れば 取(と)い戻(も)でっ |
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遅れ客(ぎゃっ) 皿も大(ふ)と小(こ)む 得揃(えそろ)わじ |
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灯篭(つろ)ん絵い 漫画が並(な)るだ 六月灯(ろっがっど) |
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闘鶏(けんかどい) 一(ひ)と声上(あ)げっ 飛(と)っかかっ |
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昨夜(ゆべ)ん虎 玄関の前(ま)へ 吐(は)っかぶっ |
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天吹(てんぶ)くば 握(にぎ)っ明治ん 顔(つら)いなっ |
有川南北 |
疲(だ)れ鰯 白内障(そこひ)じゃろかい 目が濁(にご)っ |
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また石蕗(つわ)か こげん再々(はいと)じゃ 飽(あっ)がきっ |
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すい事(こっ)も 無(な)かでまた寝(ね)ろ 梅雨(ながし)あめ |
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泣(な)っ笑(わ)れが 壁越し分(わ)かい 長屋住(ず)め |
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大法螺(うぼら)吹(ふ)き 落花生(だっきしょ)殻も 倍散(ち)れっ |
塚田黒柱 |
考(かん)げなし 顔(つら)どみ惚れたとが 間違(まっ)げ |
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好(す)っじゃっち 一日(ひして)一度(いっど)は 言わされっ |
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焼酎(しょちゅ)となあ 心中(しんじゅ)をしてん 良(え)ち吐(か)えっ |
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まだ一人(ひとい) 辞職(や)めじバッジい しがん付(ち)っ |
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隠居言(ちゅ)が 他人(ひと)が言(ゆ)しこは 楽(だっ)じゃ無(の)し |
村田子羊 |
一年中(いっねんじゅ) 丼飯(どんぶいめし)の 健(さか)し女房(かか) |
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蟇蛙(いぼどんこ) 涼(すず)し背戸合(せどや)で 座禅(ざぜ)む組(く)ん |
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千尋腸(ぞぞわた)い 厄介(やっけ)な疣(いぼ)が 顔(つら)を出(で)っ |
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厳(いみ)し姑(しゅと) 胸ん奥(おっく)い 鬼(おん)ぬ飼(こ)っ |
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横(よん)ご泥鰌(どじょ ) 料理(じゅい)の最中(さなか)い 泥を吐(へ)っ |
岩崎美知代 |
寝(ね)っ転(ころ)っ 嘘もくりくり 電話口(でんわぐっ) |
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食(く)な飲(の)んな 歩(あゆ)め走れち 恐(お)ぜ糖尿病(とうにょ) |
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人間に すれば百五歳(ひゃっご)ん 三毛が産(う)ん |
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六月灯(ろっがっど) 何歳(いく)ちなってん 弾(はず)ん胸 |
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暑気払(しょっば)れん 婆(ば)ん冷水(ひやすい)で 生(い)っ上(きゃ)がっ |
横綱(東) |
ひと休(やす)ん ともた昼寝(ひんね)あ 日が落(お)てっ [小原庄太郎] |
横綱(西) |
海馬(とど)と豚 言(ちゅ)よな昼寝(ひんね)ん 肥満(だんべ)夫婦(みと) [塚田黒柱] |
大関(東) |
滅多(めっ)てせん 昼寝(ひんね)ん最中(さな)け 歯痒(はが)い客(きゃっ) [棈松睦酔] |
大関(西) |
昼寝(ひんね)場所 女房(かか)が早ばや 陣ぬ取(と)っ [馬迫 蛙] |
関脇(東) |
山小払(やまこば)れ つるっしたなあ 日は陰(かげ)っ [栫 路人] |
関脇(西) |
出れば金(ぜん) 婆(ばば)あ昼寝(ひんね)で 夢を見(み)っ [西 幸子] |
小結(東) |
昼寝(ひんね)をば 起(お)けたセールしゅ 叱(が)いたくっ [上籠若菜] |
小結(西) |
初孫(はっまご)は 可愛(む)ぞし昼寝(ひんね)を 起(お)けっ抱(で)っ [末村多櫛] |
筆頭(東) |
昼寝(ひんね)女房(かか) まだ目が覚(さ)めん 夕飯(ゆめし)時(どっ) [江平光坊] |
筆頭(西) |
腹ん胎児(こ)が 昼寝(ひんね)ん母(かか)を 蹴(け)い起(お)けっ [隈元都城男] |
二枚目(東) |
爺(じ)の昼寝(ひんね) 夕立(さだ)つ呼(よ)んよな わぜ鼾(いびっ) [有村土栗] |
二枚目(西) |
定年(てねん)亭主(とと) 所望(のぞ)だ昼寝(ひんね)も 飽(あっ)が来(き)っ [安藤孟宗竹] |
三枚目(東) |
昼寝(ひんね)すっ 思(と)もたや晩な 飲(の)んけ出(で)っ [福原福多] |
三枚目(西) |
サイレンに 昼寝(ひんね)ん犬(いん)も 叫(おら)っ出(で)っ [坂元鶴山] |
四枚目(東) |
趣味も無(ね)で 昼寝(ひんね)をせんな 日が長(な)ごし [津留見酎児] |
四枚目(西) |
昼食後(ひい)からな 仕事(しご)ちなならん 昼寝(ひんね)癖 [郷田悠々] |
五枚目(東) |
俄か客(ぎゃ)き 昼寝(ひんね)茣蓙目(ござめ)を 隠(か)きっ出(で)っ [倉元天鶴] |
五枚目(西) |
お昼寝ん 時間ちさいも 寝(ね)かされっ [藤後一碧] |
六枚目(東) |
金(ぜん)が無(ね)で 昼寝(ひんね)じゃ雨ん 日曜日 [永徳天真] |
六枚目(西) |
やぜろし蠅(へ) 昼寝(ひんね)婆(ば)ん顔(つら) やれむしっ [満留ぐみ] |
七枚目(東) |
昼寝(ひんね)じゃろ 婆(ばば)が陣取(じんと)い 日向(ひなた)縁(えん) [有馬凡骨] |
七枚目(西) |
久振(さしかぶ)い 昼寝(ひんね)が嬉(うれ)し 里帰(さともど)い [森山厚香] |
八枚目(東) |
昼寝(ひんね)どん しちょって暇は 無(ね)ち吐(か)えっ [川村 明] |
八枚目(西) |
派手な唄 昼寝(ひんね)を起(お)けた 魚売(さかなう)い [鈴木一泉] |
親方吟(東) |
食飽(じっど)れっ 納戸ん隅(すん)で 蚊も昼寝(ひんね) [村田子羊] |
親方吟(西) |
稽古(けこ)後(あと)ん 昼寝(ひんね)い横綱(つな)ん 夢を追(う)っ [岩崎美知代] |