| 三條風雲児 |
紫陽花(じごっばな) 地面(じ)で這(すぼ)わせた 梅雨(ながしあめ) |
|
早苗饗(さのぼい)も 思い出なった 機械植え |
|
火乾(ひぼか)せば 山太郎蟹(やまたろがね)は 串(く)しゅ挟(はす)っ |
|
涎(ゆだい)繰(く)い 昔(むか)しゃ食(か)ませた 蝸牛(つんぐらめ) |
|
粟ん飯(め)し こいじゃこいじゃち 生辣韮(なまだっきょ) |
|
リストラん 靴(く)ちゃ玄関(ふんごん)で 黴(こし)が生(ね)っ |
|
病院に 行けば病気(やんめ)を 暴(あば)っでっ |
| 上田 格 |
持(も)てた奴(と)い 払(は)れが回った 三次会 |
|
暴れ独楽(ごま) 笊(しょけ)を飛(と)っ出(で)っ 呻(おら)っ出(で)っ |
|
近道(ちかみっ)で 垣根(やねが)か始終(はいと) 踏(ふ)ん壊(くえ)っ |
|
下(さ)がい蜘蛛(こっ) 縁起(げん)が良(よ)か言(ちゅ)て 叩(たた)かれじ |
|
飲屋(のんや)ずい 野菜(やせ)と豆腐(おかべ)ん 和定食(わていしょっ) |
|
日曜(にちよ)大工(でっ) 出来(でけ)た箱ずい 床(と)け飾(かざ)っ |
|
戻(もど)い寒(かん) 霰(あられ)ん音い 目が覚(さ)めっ |
| 有川南北 |
背は低(ひ)きが 座高(ざこ)でな負(ま)けん 家ん血筋(すっ) |
|
睨(ねぎ)ったや ニコッ秋波(いろめ)が 返(もど)っきっ |
|
ただちょっち 触(かか)ったぶんで 喚(おら)ばれっ |
|
やい手じゃが 油断なでけん 狡(ずっ)ね奴(わろ) |
|
都合(つご)が悪(わ)る なったや笑(わ)れで ごまかせっ |
| 塚田黒柱 |
禿げたなあ 同(ひと)っ墓いな 入(い)らん言(ちゅ)っ |
|
手遅れい なってん塗(なす)い 育毛剤(いくもざい) |
|
次(つ)ぎゃ俺(おい)が 番かちびびい 金バッジ |
|
同(ひと)っ料理(じゅ)ゆ 二三日(にさんち)食(か)すい 妻(か)けけなっ |
|
不景気い 値下げ競争(ぐらご)も 効(しょ)はうたじ |
| 村田子羊 |
生理じゃち パンツを穿(き)ちょい 座敷(ざしっ)犬(いん) |
|
蝸牛(つんぐらめ) 雨いるんるん ランデブー |
|
無精(ふゆ)な奴(と)が 考(かん)げたとじゃろ 無洗米 |
|
気は二十歳(はたっ) 老爺(おんじょ)ラガーん 血がたぎっ |
|
顔(つら)ん傷(き)ず 女房(か)けやられたち 言(ゆ)もならじ |
| 岩崎美知代 |
貯め込(く)だや 子供(こどん)が争(いさ)こ 原因(もと)いなっ |
|
竹ん子も 疣(いぼ)を噛(か)まんな おてつかじ |
|
飯(めし)と味噌汁(しゅ)ゆ 食(たも)っ天寿を 全(まっ)としっ |
|
痛(い)て痛(い)てち 叫(お)れっ恥(げん)なか 娘(こ)がお産 |
|
手がまし子 間(ま)あ無(な)し鉦(じん)が 鳴(な)いどえっ |
| 横綱(東) |
泥を塗(ぬ)っ お化けなっちょい 妙(す)だエステ [枦山一球] |
| 横綱(西) |
腹一杯(いっぺ) 食(か)せたや 泥を吐(へ)た黙秘 [津留見一徹] |
| 大関(東) |
手遅れち 思(お)もどん泥を パックしっ [諸木小春] |
| 大関(西) |
裏返し ざまな横綱 背中(せな)け泥 [埀野剣付鶏] |
| 関脇(東) |
恋敵(こいがた)く 泥(ど)れつっ倒(と)けた せっぺとべ [横手五月] |
| 関脇(西) |
畦塗(ぬ)いの 鍬(か)べらん泥を 顔(つ)れ被(かぶ)っ [倉元天鶴] |
| 小結(東) |
一張羅(いっちゃび)れ 泥水(どろみ)ずかけた 憎(に)き車(くいま) [松元清流] |
| 小結(西) |
泥染めん 紬(つむ)ぐ祖母(ばば)から 三代(さんで)着(き)っ [花牟礼雲雀] |
| 筆頭(東) |
小短躯(こじっくい) ぬかい泥田(どろだ)で ばたぐろっ [堂園三洋] |
| 筆頭(西) |
田鋤(たすっ)亭主(とと) 泥亀んよな 容姿(よし)で帰(き)っ [有馬凡骨] |
| 二枚目(東) |
溝さらえ 泥くさみなっ 鯉(こ)ゆ掴(つか)ん [入来創雲] |
| 二枚目(西) |
恐(わざ)い勘 タイヤん泥で 犯人(ほ)す検挙(あげ)っ [津留見酎児] |
| 三枚目(東) |
泥足で 寝床い這込(へく)だ 午前様(ごぜんさあ) [川村三生] |
| 三枚目(西) |
泥も病(や)ん 過疎ん田んぼは 身(み)ごゆなっ [田中末木] |
| 四枚目(東) |
運転(まく)い方(か)て 泥が飛(つ)だ言(ちゅ)て 裁判(さば)き遭(お)っ [末村多櫛] |
| 四枚目(西) |
泥遊(どろぜっ)の 児(こ)あ妖怪(めん)になっ 帰(もど)っ来(き)っ [菖蒲谷天道] |
| 五枚目(東) |
農業(さっ)下手あ 泥が付(ち)た侭(な)い 鍬(か)を仕舞(なえ)っ [野間口鈴女] |
| 五枚目(西) |
泥パック ひょかっきた亭主(て)しゃ 気絶(きぜ)つしっ [平中小紅] |
| 六枚目(東) |
農協が ブランドん鶏(と)い 泥を塗(ぬ)っ [坂元鶴山] |
| 六枚目(西) |
泥よけあ まっで飾(かざ)いの ダンプ奴(わろ) [蔵ノ下夢石] |
| 七枚目(東) |
猫好(す)っが 泥足(どろあ)す拭(ぬぐ)っ 座敷(ざな)け飼(こ)っ[安藤孟宗竹] |
| 七枚目(西) |
野良(はい)戻(もど)い 泥手ん孫を 抱(だ)っ上(きゃ)げっ[川村 明] |
| 八枚目(東) |
肴(しおけ)をば 泥どん払(は)るた 手い貰(も)ろっ [塚田黒柱] |
| 八枚目(西) |
泥祭(どろまつ)い 美人(シャン)が一番(いっばん) 塗(なす)られっ [田原大黒] |
| 親方吟(東) |
蓮根(はすね)掘(ほ)ゆ 泥が股ずい 冗談(わや)くしっ [村田子羊] |
| 親方吟(西) |
代議士も おらじ泥道(どろみ)つ まだ走(はし)っ [岩崎美知代] |