三條風雲児 |
お供(そな)えん 餅(も)つ搗(ち)っ夫婦(みと)で 旧正月(きゅうしょがっ) |
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水餅(つけもっ)も 食(か)じどろくれた 老夫婦(おんじょみと) |
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祝儀(はな)なんだ 踊った馬(うま)は 貰(も)れださじ |
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鶯が 不調法(ぶちほ)な 歌を鳴(う)とでけっ |
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喧(せから)しか 野良猫(まぐれねこ)ずい 来て鳴(お)れっ |
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猫柳(いんのこ)が もへ目覚(おず)んじょい 川ん土手 |
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病人(びょにん)たろ 風邪(かぜひっ)ずいも 取(と)い罹(かる)っ |
上田 格 |
役職(や)く負(かる)っ 挨拶(えさ)つ仕方も 教(ゆ)っかせっ |
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幼稚園 今(ま)一度(いっど)橋で 手どん振(ふ)っ |
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田の神(かん)も 一枝貰(も)ろた 梅の花 |
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しんこ団子(だご) 曲がった角(かど)で 匂(にえ)がしっ |
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日曜(にちよ)大工(でっ) 二年がかいで 家(え)を建(ま)げっ |
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野菜(やせ)ずいも 片仮名んとが 先(さ)き売(う)れっ |
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収穫(といえ)時(ど)き 猫も初穂(はっぽ)を 少(ち)す貰(も)ろっ |
有川南北 |
誕生日 じゃって女房(かか)どま 歌謡ショー |
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七十も なっかあ氷川(ひか)へ 熱(ね)つ上(あ)げっ |
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肩書(かたがっ)が なかやとぼれん 敷(し)かれ亭主(てし) |
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退職(やめ)っかあ まっで女房(おかた)ん 運転手 |
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節(せっ)がわい 父(と)て被(かぶ)らせた 鬼(おん)の面 |
塚田黒柱 |
泣(ね)っ借(か)った よっぜ利子(じし)じゃい 入(い)るたせじ |
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世辞(め)すとれば 余計(じんじ)のぼすい 成(な)い上(や)がい |
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もう生(お)えちゃ 来(こ)ん思(と)もどん まだ塗(なす)っ |
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そん心算(つもい) じゃったて手じゃい 握(にぎ)ろせじ |
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年(と)す取った 証拠か妻(かか)ん 一人言(ひといごっ) |
参考作品 |
野良着(はいぎ)でな 孫を抱(だ)っなち 嫁が叱(が)っ [山路野菊] |
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落選(おて)た衆(し)の 顔(つら)が出揃(でそ)ろた 補欠選(ほけっせん) [大和元気] |
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お年玉(としだ)め きんきん座(すわ)い 小(ちん)け膝 [大和 渚] |
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新卒(しんそっ)が 入(い)らじ今年も また茶汲(ちゃく)ん [弓場正巳] |
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みかん狩(が)い 娘(こ)の大根足(でこんあ)しゃ 枝を折(お)っ [横手五月] |
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叙位叙勲 生(い)きちょいうちな 呉(く)れはせじ [丘山] |
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リストラで 大樹ん蔭(かげ)も 心配(せわ)いなっ [景一] |
横綱(東) |
痩(や)すち願(ね)げ 霜柱(しもばした)をば 踏(ふ)ん走(はし)っ [堂園三洋] |
横綱(西) |
示現流(じげんりゅ)い 裸足(はだ)し踏(ふ)ん込(く)だ 霜柱(しもばした) [川村 明] |
大関(東) |
麦畑(むっばたけ) 霜柱(しもばした)とめ 踏(ふ)んつけっ [大和 渚] |
大関(西) |
鬼火焚(おねっこ)ん 勢力(せり)きけ萎(な)えた 霜柱(しもばした) [小森寿星] |
関脇(東) |
合格(うか)れよち 霜柱(しもばした)踏(ふ)ん 百度参(ひゃっどめ)い [藤高春風] |
関脇(西) |
霜柱(しもばし)て 震えが止(や)まん 外便所(そとまなか) [有村土栗] |
小結(東) |
霜柱(しもばした) 踏(ふ)ん仕舞(しめ)ん悪(わ)り 畑仕事(はいしごっ) [郷田悠々] |
小結(西) |
霜柱(しもばし)て 頭突(ずつ)く食(か)せちょい 千鳥足(ちどいあし) [岩崎美知代] |
筆頭(東) |
霜柱(しもばし)て 百度参(ひゃっどめ)効(き)かじ 子は戦死 [佐土原 隆] |
筆頭(西) |
霜柱(しもばした) せんべ草履(ぞい)どま 突(つ)っ破(きゃ)ぶっ [平中小紅] |
二枚目(東) |
霜柱(しもばした) 踏(ふ)ん踏(ふ)ん裸足(はだ)し 寒稽古 [野村三味] |
二枚目(西) |
霜柱(しもばし)て 削(けず)い取(と)らるい 境界(さけ)ん土手 [津留見酎児] |
三枚目(東) |
霜柱(しもばした) 甘藷(からいも)収穫(とゆば) 急(せ)ったてっ [野瀬曲尺] |
三枚目(西) |
安(や)し宅地(たっち) 晩ずい解(と)けん 霜柱(しもばした) [津留見一徹] |
四枚目(東) |
野菜(やせ)ん芽を かんめ上(あ)げちょい 霜柱(しもばした) [川村三生] |
四枚目(西) |
日が当(あ)たっ 靴(く)つば泣(な)かすい 霜柱(しもばした) [樋口一風] |
五枚目(東) |
温暖化 霜柱(しもばした)ずい 短(みし)こなっ [竹之内零余子] |
五枚目(西) |
霜柱(しもばした) 草履(ぞい)に噛(か)んちた 学校道(がっこみっ) [小原庄太郎] |
六枚目(東) |
石灯籠(いしづろ)を 傾(かた)びかせちょい 霜柱(しもばした) [樋渡草団子] |
六枚目(西) |
霜柱(しもばし)て 麦(むっ)の新芽も 浮(う)っ上(きゃ)がっ [倉元天鶴] |
七枚目(東) |
霜柱(しもばした) 境石(さけい)す移動(な)えた 罪(つ)む被(かぶ)っ [野間口鈴女] |
七枚目(西) |
霜柱(しもばし)て 気合(きあ)ゆ踏(ふ)ん込(く)ん 寒稽古 [上籠若菜] |
八枚目(東) |
霜柱(しもばした) 冷(つん)て朝礼(ちょうれ)い 泣(ね)た昔 [松元清流] |
八枚目(西) |
霜柱(しもばした) 蹴(け)い蹴(け)い可哀相(むい)ね 麦(む)ぐば踏(ふ)ん [坂口橘風] |
親方吟(東) |
霜柱(しもばし)て ちった恥(げん)なか 午前様(ごぜんさあ) [瀬戸口抱洋] |
親方吟(西) |
鴨狩猟(かもね)れん 尻(しい)で解(と)かせた 霜柱(しもばした) [入来創雲] |
着物(いしょ)吟味 盗人(ぬす)て遭(お)た如(ご)っ 散(ち)らかせっ [村田子羊] |
抓(つま)まれっ がっつい嬉(うれ)し 痣(あざ)いなっ [平中小紅] |
麦踏(むっふ)んに 頬被(ざんねんかぶ)い 蟹(がね)歩(あゆ)ん [金井一馬] |
丸太橋(まるたば)す 渡(わた)っおいよな 社長(しゃちょ)ん繰(く)い [津留見酎児] |
言難(ゆに)き事(こ)ちゃ 聞(き)こごちゃ無(な)かち 冷(つん)て奴(わろ) [小瀬一峻] |
酔漢(よくれぼ)が 便所(まな)け行(い)た間(こ)め 針(は)ゆ回(ま)えっ [小森寿星] |
休肝日 誰(だい)のためかち 言(ゆ)おごちゃっ [津曲とっこ] |
何(ない)もかも 鋏(はさん)で料理(じゅ)った 娘(こ)ん炊事(まかね) [藤後一碧] |
担棒(さし)の先(さ)き 蜻蛉(ぼい)が休(よ)くちょい 野良(はい)帰(もど)い [中村雲海] |
好き勝手 仕放題(しほで)じゃしたち 喪主が言(ゆ)っ [東 竜王] |
肌もっが 良(ゆ)なっ手がまし 亭主(て)す抓(つま)ん [塚田黒柱] |
単身赴任(たんしん)ぬ 毎日(めにっ)電話で 縛(しば)い妻(かか) [堂園三洋] |
無農薬(むのうやっ) 周囲(ぐるい)の田から 目の敵(かたっ) [中囿和風] |
職(しょっ)探(みし)け 学歴(がくれっ)なんだ 言(ゆ)ちゃおれじ [楠八重渓流] |
烏(からし)ちゅ字 抜けた鳥(とい)じゃが 賢明(じく)なこっ [仮屋三唱] |
アメリカん 牛(べぶ)は英語が 少(ち)すわかっ [塚田黒柱] |