三條風雲児 |
もへ師走(しわす) こん頃(ご)ら女房(かか)も 着ぶくれっ |
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うそ震(ぶ)るっ 帰(もど)れば おでん鍋が待(ま)っ |
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口(く)ち入(い)れっ たぎった湯豆腐(ゆど)き 狼狽(ばたぐ)ろっ |
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兎(うさっ)狩(が)い 油断なでけん 薪(たくん)取(と)い |
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久振(さしかぶ)い 干菜(ほしな)ん汁(しゅい)に 生(い)っ上(きゃ)がっ |
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禁酒をば またがん壊(く)えた 歳暮(せぼ)ん焼酎(しょちゅ) |
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病(びょ)は癒(ゆな)や せんじ今年も 大晦日(としのばん) |
上田 格 |
今朝採(と)れた 貝(け)じゃろ砂どん 被(かぶ)っちょっ |
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ご機嫌(っげん)が 元い戻(もど)らん 横(よん)ご杵(ぎね) |
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世の中を 小才(こだ)ばっかいで 切(き)い抜(ぬ)けっ |
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負(ま)くい前 補欠(ほけっ)も出(で)でた 甲子園 |
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焼酎(しょちゅ)煙草 こいもいかんち 指(い)ぶ立(た)てっ |
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焼酎(しょちゅ)瓶で 耳(みん)ずい笑(わ)るた 隠居爺(じじ) |
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猪(しし)の肉(にっ) 自慢(おぎら)も黙(だま)っ 聞(き)て食(たも)っ |
有川南北 |
退職(やめ)たなあ 昼飯(ひいめ)しゃ食(く)たい 食(か)じゃったい |
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トロ箱い 葱(ねっ)どん植(う)えっ 一人(ひとい)住(ず)め |
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風呂(ふ)れ入(い)らん 小(こ)ギャルが臭(く)せち 議(ぎ)を吐(か)えっ |
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見(み)ちょい方(ほ)が 恥(げん)ね人中(ひとな)け 手を連(つ)ねっ |
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通信簿 元気やっでち 諦(あきら)めっ |
塚田黒柱 |
よいなこっ 禿も運命(さだめ)ち 諦(あきら)めっ |
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交際(つっけ)ん良(え) 妻(か)け年金な ずうず減(へ)っ |
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報復(ほうふっ)ち 言(ゆ)ちょいがつまや 人殺し |
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目が霞(かす)ん 女房(おかた)が美人(シャン)に 見(み)えでけっ |
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染(そ)むい毛が あっでまだ良(え)ち 思(お)め直(な)えっ |
参考作品 |
英語どま 喋(しゃべ)いがなっが 挨拶(えさ)ちゃせじ [前田セツ] |
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担任が ハンサムじゃれば 役(や)く負(かる)っ [松田一雄] |
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肩書(かたがっ)が 女房(かか)ずい上座(かん)ぜ 座(すわ)らせっ [松元清流] |
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茶道(ちゃ)はすいが ドアどま尻(しい)で ドンちやっ [満石うらら] |
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新参(しんめ)親 寝(ね)ぼけち知(し)たじ 医者(い)しぇ走(はし)っ [胡頽子] |
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まだ独身(ひとい) 河童(がらっぱ)禿が 邪魔をしっ [村田子羊] |
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養子(よし)じゃれば 遠慮(しんしゃ)くしいし 物を言(ゆ)っ [永谷 勝] |
天 |
火も止(と)めっ 婆(ばば)ん舌先(したさ)き 味(あ)じゃ決(き)まっ [有馬凡骨] |
地 |
よか味(あっ)ち 料理(じゅ)ゆばほめたや 酌(しゃ)くばしっ [平中小紅] |
人 |
母親(はほ)ん味(あ)ず 宅急便で 送(おく)っ遣(や)っ [田代彦熊] |
五客一席 |
五十年(ごんじゅねん) 鍛えた芸の 味(あ)ず見(み)せっ [大和 渚] |
五客二席 |
婆(ば)ん枯れた 喉がハンヤい 味(あ)ず添(そ)えっ [津留見一徹] |
五客三席 |
そばん出し 惚(ほ)れっ老舗い 婆(ば)と這入(へく)っ [鈴木一泉] |
五客四席 |
旬の味(あっ) 松茸(なば)ん土瓶ぬ しため切(き)っ [有馬慶成] |
五客五席 |
味(あっ)よっか 匂(かざ)い釣(つ)られっ 鰻(うな)ぐ買(こ)っ [規矩夫] |
選者吟 |
薄味(うすあっ)も 慣れたがかった 気力(あや)がのし |
横綱(東) |
志望校(しぼうこ)ん 吟味も恥(げん)ね 通信簿 [松元清流] |
横綱(西) |
安(や)し金利 夫婦(みと)で吟味ん 世帯(しょて)ん繰(く)い [菖蒲谷天道] |
大関(東) |
辞書吟味 結局(つま)や字の大(ふ)て とい決(き)めっ [坂元鶴山] |
大関(西) |
吟味言(ちゅ)も 無(の)して決(き)めちょい 女房(かか)天下 [有馬凡骨] |
関脇(東) |
夫婦(みと)ん旅(たっ) 土産吟味で 時間(と)く潰(つ)びっ [山田竜生] |
関脇(西) |
無駄(すだ)吟味 一番(いっばん)鶏(どい)が 鳴(う)とでけっ [倉元天鶴] |
小結(東) |
郷中(ごじゅ)ん寄合(よい) 吟味あ大概(てげ)で 焼酎(しょちゅ)いなっ [川村三生] |
小結(西) |
両親(おや)介護 吟味い兄弟(きょで)が 黙(だま)い込(く)っ [有馬慶成] |
筆頭(東) |
吟味した 高(た)け料理(じゅ)や俺(おい)が 口(く)ち合(お)わじ [塚田黒柱] |
筆頭(西) |
字画(じか)く引(ひ)っ 可愛(む)ぜ初孫(はっまご)ん 名を吟味 [棈松睦酔] |
二枚目(東) |
大息(うい)くちっ 放蕩(なぐれ)息子ん 嫁吟味 [佐土原 隆] |
二枚目(西) |
焼酎(しょちゅ)ん匂(か)ぜ 揉めた吟味が さっ決(き)まっ [川村 明] |
三枚目(東) |
議(ぎ)が多(う)こし 吟味だおれん 郷中(ごじゅ)ん寄合(よい) [郷田悠々] |
三枚目(西) |
見合(みえ)仕度(したっ) 座敷(ざな)け広げた 着物(いしょ)吟味 [今釜三岳] |
四枚目(東) |
吟味すい 暇もなかうち 買(こ)わされっ [満留ぐみ] |
四枚目(西) |
苦情(くじょ)吟味 役所(やっしょ)ん中を 盥回(たれまわ)し [永徳天真] |
五枚目(東) |
歳暮(せぼ)吟味 倹(つま)し亭主(とと)とな 時間(ひま)が要(い)っ [福山吉連] |
五枚目(西) |
テロ事件 吟味ん顔(つら)は 吊(つ)い上(や)がっ [津曲とっこ] |
六枚目(東) |
着物(いしょ)吟味 亭主(とと)んたへっち ひっ決(き)まっ [満石うらら] |
六枚目(西) |
夏(なっ)台風(うかぜ) 吟味ん予報(よほ)を 相当(じょじょ)曲(ま)げっ [中村雲海] |
七枚目(東) |
半返し 吟味もしかて 痛(い)て頭(びんた) [堂園三洋] |
七枚目(西) |
銘柄(めがら)当て 飲(ぬ)だい嗅(か)ずだい 吟味しっ [有村土栗] |
八枚目(東) |
良(よ)か嫁を 吟味が長(な)ごし 貰(も)ろださじ [樋之口墨矢] |
八枚目(西) |
遺産分け 吟味が後(のち)な 喧嘩(けん)けなっ [那加野黎子] |
親方吟(東) |
句の吟味 捻(ひね)くい回(ま)えて がん壊(く)えっ [瀬戸口抱洋] |
親方吟(西) |
祝儀(はな)開(びら)っ 吟味い集(よ)った 鍋黒顔(へぐろづら) [入来創雲] |