三條風雲児 |
合鴨(あいがも)で 田車(たぐいま)押しも け忘(わす)れっ |
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花茣蓙(はなござ)い 裸(はだ)け爺(じ)さんな 鼻が鳴(な)っ |
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亭主(とと)は留守(ずし) 目が腐(けっさ)るい 程(ほ)で昼寝(ひんね) |
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エアコンも すったい疲(だ)れた 熱帯夜 |
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あぐっちぇっ 揚(あ)がい花火(ひやな)ぐ ちゃんこねっ |
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西瓜番(すかばん)ぬ 骨抜(ほねぬ)きなけた 三合(さんご)瓶 |
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気力(ぎろ)ん無(な)か 転寝(いどこ)ね女房(かか)も気を遣(つ)こっ |
上田 格 |
下戸じゃれば 焼酎(しょつ)ん燗どん させられっ |
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焼酎(しょつ)が出(で)い 会じゃろ不精(ふゆ)も 準備(しめ)が良(ゆ)し |
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溶岩の 海苔(のい)じゃろかった 骨があっ |
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慰労会 そんた出席(で)ろ言(ちゅ)て 印(はん)ぬ押(ち)っ |
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口(くっ)が原因(もと) じゃろ娑婆ん道(み)つ 踏(ふ)ん外(は)じっ |
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参観日 亭主(とと)は後(うしと)で 手を挙(あ)げっ |
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南瓜棚 生(な)れば下かあ 撫(な)でられっ |
有川南北 |
プランタい 女房(かか)が始(はし)めた 野菜(やせ)作(つく)い |
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芽は出たが 間引(くけ)らんもんで 萌(もや)しなっ |
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薬剤(くすい)慣れ 虫もこん頃(ご)ら 情強(じょづ)ゆなっ |
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成(な)い上(あ)がい 笑(わ)るた金歯は 獅子の如(ご)っ |
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髪型(かんがた)も 櫛も縁の無(ね) 禿げ上(あ)がい |
塚田黒柱 |
一斗甕(いっとがめ) 言(ちゅ)おそな顔(つら)を しちょい下戸 |
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顔(つら)じゃ無(ね)ち 言(ゆ)どんやっぱい 美人(シャン)が好(す)っ |
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輸入野菜(やせ) 国内産の 首(く)ぶ締(し)めっ |
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選挙前(ま)へ なれば綺麗(きれ)ごつ きし吐(か)えっ |
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わが子をば 叱(が)っともかった 命(いのっ)がけ |
参考作品 |
あいこいち 愛情(ぼんの)を詰めた 宅急便(たっきゅびん) [蜻蛉] |
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養子(よし)の亭主(と)て 女房(かか)よか手強(てご)え 嫁が来(き)っ [泊 白水] |
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慌(せし)こたか 夜逃げは位牌(いへ)を 取(と)い残(の)けっ [長井春江] |
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寒(さ)み言(ちゅ)えば 暑(ぬ)き冬(ふ)や無(ね)どち 爺(じ)は吐(か)えっ [中釜 繁] |
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長病(ながやん)に 墓ん造花も しょぼくれっ [永里つる女] |
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地鶏(じど)ゆ噛(か)ん コップん縁(ふっ)も 油ぎっ[藤後一碧] |
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ピーポーが 近(ち)かき止れば 心配(せわ)をえっ [永野寛二] |
天 |
雑巾(ざふ)き足(あ)す 拭(ぬ)ぐえち女房(かか)は 猫も叱(が)っ [花牟礼雲雀] |
地 |
尻(し)ゆ天に 妻(かか)は小走(こばし)い 雑巾(ざふっ)がけ [入来創雲] |
人 |
訪(き)た姑(かか)が 面当てんごっ 雑巾(ざふ)く握(と)っ [津留見酎児] |
五客一席 |
足の先(さ)き 雑巾(ざふ)くはすんじゃ 撫(な)でまえっ [山崎 満] |
五客二席 |
雑巾(ざふっ)がけ 両親(おや)ん躾が 娘(こ)い光(ひか)っ [大脇保子] |
五客三席 |
偵察(ていさっ)が 来(く)そな態(ふ)やっで 雑巾(ざふっ)がけ [諸木小春] |
五客四席 |
婆(ば)の躾 縁(えん)な雑巾(ざふっ)で わっぜ光沢(つや) [鈴木一泉] |
五客五席 |
子分限者(こぶげんしゃ) 玄関(ふんご)み準備(しこ)た 濡れ雑巾(ざふっ) [松沢広海] |
選者吟 |
スーパーで 柄(え)の付(ち)た雑巾(ざふ)く 買(こ)て戻(もど)っ |
横綱(東) |
放蕩(どら)息子(むす)け 愛情(ぼんの)が切(き)れじ 裸(はだ)けなっ [田中末木] |
横綱(西) |
三代目 裸(はだ)けなっから 目が覚(さ)めっ [塚田黒柱] |
大関(東) |
芸(げ)や売(う)れじ ごろいと裸 売(う)いでけっ [江平光坊] |
大関(西) |
裸見(み)け 亭主(とと)も行(い)たろか 社員旅行(りょこ) [野間口鈴女] |
関脇(東) |
週刊誌(しゅうかん)し 裸(はだ)けない娘(こ)も 親が居(お)っ [楠八重渓流] |
関脇(西) |
野球拳 裸手前で 水(みっ)が入(い)っ [盛満椒平] |
小結(東) |
裸山 梅雨(ながし)が諄(く)でち 地鳴(な)いでけっ [津留見一徹] |
小結(西) |
今ん娑婆 裸一貫 とないかじ [樋渡草団子] |
筆頭(東) |
可愛(む)ぞか所作 すっぽんぽんの 小便(しべん)小僧こぞ [瀬戸口抱洋] |
筆頭(西) |
祭まつい好(す)っ 裸若衆(わかしゅ)い 血がたぎっ [郷田悠々] |
二枚目(東) |
裸どん 考(かん)げちょったか 出た鼻血 [永徳天真] |
二枚目(西) |
悪餓鬼(われこっぼ) 裸鶏(にわと)ゆ 走(はし)らせっ [樋之口墨矢] |
三枚目(東) |
保証(ほしょ)被(かぶ)い 裸(はだ)けなっかあ 目が覚(さ)めっ [倉元天鶴] |
三枚目(西) |
大噴火 罪(つん)の無(な)か衆(し)を 裸(はだ)けしっ [畑山真竹] |
四枚目(東) |
裸(はだ)けなっ 団扇(うっば)一(いっ)ちょん 爺(じ)が踊(おど)い [有馬慶成] |
四枚目(西) |
裸坊(はだかぼ)が 飛(と)っ出た騒動(そど)ん 風呂場火事(かし) [森山厚香] |
五枚目(東) |
わぜ自信 三面鏡で 見(み)いヌード [平中小紅] |
五枚目(西) |
貸し借(か)いで 裸交際(つっけ)も がん壊(く)えっ [松元清流] |
六枚目(東) |
二段腹(にだんば)れ 怖気(おぞけ)が立った わがヌード [上籠若菜] |
六枚目(西) |
落ち目じゃろ 今度(こん)だ裸で 売(う)い出(だ)せっ [川村三生] |
七枚目(東) |
裸体画を エロじゃ芸術(げいじゅっ) じゃち揉(も)めっ [金井一馬] |
七枚目(西) |
海開(うんびら)き 裸見せじゃろ 浸(つか)やせじ [末村多櫛] |
八枚目(東) |
旅役者(たっやっ)しぇ 懐(つく)れ祝儀(はな)じゃち 裸銭(はだかせん) [有村土栗] |
八枚目(西) |
勉強(べんきょ)部屋(べ)へ 裸写真ぬ 忍しのばせっ [堂園三洋] |
親方吟(東) |
裸坊(はだかぼ)を パンツ振(ふ)い振(ふ)い 木戸い追(う)っ [安藤孟宗竹] |
親方吟(西) |
褌(へこ)一枚(いっちゃ) 裸が啜(すす)い 冷(ひ)や素麺(そめん) [有馬凡骨] |
管巻(じじら)繰(く)や 先祖もじゃった DNA(ディーエヌエ) [村田子羊] |
食終(くと)ったや 下戸はちょいちょい 時計(とけ)ゆ見(み)っ [津留見酎児] |
どら言(ちゅ)たが 孫ん分数(ぶんす)も 解(と)かならじ [安藤孟宗竹] |
良(ゆ)くさ来た 上(あ)がれち手酌(てじゃ)か にかっなっ [瀬戸口抱洋] |
謹呈ち 本も並(な)るじょい 古本屋 [小森寿星] |
娘(こ)は嫁(や)らじ 百姓(ひゃっしょ)ん長男(すよ)い 欲(ほ)し嫁御(よめじょ) [金井一馬] |
わが家(や)でん 支持率(しじり)ちゃ伸(の)びん 呆(ぼ)え亭主(とのじょ) [小瀬一峻] |
水(みっ)争(いさ)け 畦じゃ蛙(びっ)ずい 睨(にら)ん合(よ)っ [田中末木] |
クラス会 横目で着物(いしょ)ん 値踏(ねぶ)むしっ [佐伯山神] |
子分限者(こぶげんしゃ) 泣(な)こが叫(おら)ぼが 平然(しれっ)しっ [松沢広海] |
カルダンぬ 雑巾(ざふ)き使(つ)こちょい 成(な)い上(や)がい [小瀬一峻] |
入学金(にゅがっきん) 牛(べぶ)い工面ぬ しっ貰(も)ろっ [山崎 満] |
可愛(む)ぜ挨拶(えさっ) 手本の親は しれっしっ [石塚律子] |
新(に)け金(ぜん)で 準備(しこ)た香典(くやん)ぬ 姑(ば)が叱(く)るっ [米元年輪] |
年賀状(ねんがじょ)い 久(さ)す会(お)もはんち 毎年(めとし)書(け)っ [山崎 満] |
間(ま)い合(お)たち 座った汽車あ 逆(ぎゃ)き走(はし)っ [有川南北] |
嫁(よ)め行(い)たて 間(ま)なしやっ来(き)ちゃ 食(く)て帰(もど)っ [川辺睡蓮] |