薩摩狂句誌「にがごい」
第42号
- じゃらいねち 言(ゆ)どん賛成(さんせ)や せん横(よん)ご [柳村遊月]
- 機嫌(ごっ)の悪(わ)り 晩な煩(うぜら)し 秋(あっ)の虫 [片平桜子]
- 好(す)っなんど 腰が抜(ぬ)くそな 亭主(とと)ん世辞(めし) [有川八味]
- 筋(すっ)が良(え)ち 褒(ほ)めっ欠席(けっせ)く させん師匠(ししょ) [西ノ園ひらり]
- 混浴(こんよっ)で 出(だ)しが出(で)ろそな 婆(ば)と浸(ち)かっ [津留見一徹]
- 本ぬ読(よ)ん 頭(びん)て空気あ 読(よ)まならじ [那加野黎子]
- 母(かか)が描(け)た 宿題の絵が 褒(ほ)められっ [小倉牛哲]
- うんだもち 言(ゆ)ながら詐欺を 揶揄(ちょく)い婆(ばば) [小森寿星]
- 所帯(しょて)繰(ぐ)いの 器用(じゅく)な家族(けね)かあ 社宅(しゃた)く出(で)っ [岩崎美知代]
- 不景気い 下手な所帯(しょて)繰(ぐ)い 擦(なす)い女房(かか) [安田踊い子]
- 過疎ん所帯(しょて) ポストい猫ん 名も混(ま)ぜっ [永谷 勝]
- 人肌ち 言(ゆ)たや懐(つくら)で 燗(かん)ぬしっ [前田一天]
- 孫ん為(た)め 一肌(ひとはだ)脱(に)だや 詐欺(さ)ぎ嵌(う)たっ [井之上三ちゃん]
- 肌持(はだもっ)が 良(ゆ)なっクーラい 暇(ひま)をやっ [西 幸子]
- コンビニじゃ 掛(か)けあきかんし 茶も出(だ)さじ [吉田好青年]
- 息子(こ)い拳骨(とっこ) 背丈(たけ)が届(とど)かじ 空(くう)を切(き)っ [宮田隆翔]
- 拳骨(とっこ)をば 握(にぎ)っ震(ふ)るちょい 養子(よし)亭主(とのじょ) [枦山一球]
- 掴(つか)ん取(ど)い 欲(よっ)な拳骨(とっこ)ん 手が抜(ぬ)けじ [吉岡道場]
- 写真撮(と)い 禿は後(うしと)ち 言(ゆ)た転婆(いなば) [馬場日登巳]
- 露天風呂 転婆(いなば)あ手じゃい 添(そ)えじ出(で)っ [金井一馬]