薩摩狂句誌「にがごい」
第41号
- 逝(い)た妻(かか)が 台所(おす)へ居(お)いよな 嫁ん料理(じゅい) [西 萌]
- 女房(かか)が包丁(ほちょ) 惚(ぼ)けち思(おも)たや 研(と)げち言(ゆ)っ [福永四球]
- 生魚(ぶえん)ぬば 貰(も)ろたは良(よ)かが 料理(じゅ)い困(こま)っ [津留群志]
- 長(な)げ毛髪(かん)が 車(くい)めあったち 女房(かか)はヒス [枦山一球]
- 慣(な)れたもん 道具(しょど)く片付(こば)めっ 夫婦喧嘩(みとげんか) [日高山伏]
- 煙草(たばこ)吸(す)け 出(で)たない消(き)ゆい 義理(ぎい)の通夜(つや) [大重爆笑]
- 中締(なかじ)めで 大虎(うとら)を帰(も)でた 名幹事 [鶴田昌憙]
- 婆(ば)は九十歳(くんじゅ) 亭主(て)しゃ青年(にせ)んまま 額(が)きはまっ [入来院彦六]
- 不意客(とざめきゃ)き 蹴(け)い込(く)だ塵(ごん)が 顔(つら)を出(で)っ [平瀬芙蓉]
- 二度とせん 賭(か)けてん良(よ)かち 相撲取(すもうと)い [吉村伝波]
- 頑固(いっこっ)じゃ 無(な)かどポリシち 言(ゆ)う横(よん)ご [渡 純光]
- 他人(ひと)よっか 季節(きせ)つ感(かん)じっ 薄(う)し頭(びんた) [前田一天]
- 加入(はい)ったや ずーず帰(もど)った 保険勧誘(ほけんとい) [北森第九]
- 親よっか ネットん言事(ゆこ)つ 鵜呑(ぐの)みしっ [池上歌子]
- 良(ゆ)似(に)たもん 顔(つ)れ父親(ちゃん)の名を 書(け)た子供(こどん) [山口徹芯]
- こん暑(ぬっ)せ 犬(いん)も通(とお)らん 商店(みせ)ん前 [安田踊い子]
- 寝苦(ねぐる)しか 晩に限って 纏付(めち)っ亭主(とと) [河原武庫の花]
- 天職(てんしょっ)ち 四の五の言(ゆ)わじ 鍬(くゎ)を握(にぎ)っ [深道好之]
- こや好かん あや堪(のさ)ん言(ちゅ)て 職(しょ)き就(ち)かじ [片平桜子]
- 二日目(ふっかめ)は 喧嘩をしでた フルムーン [押領司翠里]