薩摩狂句誌「にがごい」
第35号
- 義理(ぎい)の見合(みえ) 相手(えて)も義理(ぎい)じゃち きっ吐(か)えっ [田代勝泉]
- ジョギングん 真似で駆(か)け込(こ)ん 朝帰(あさもど)い [おんじょどい]
- 百(ひゃっ)グラン 減(へ)った増(ふ)えたち 風呂上(ふろあが)い [菅野茶畑]
- 貯(た)めた言(ちゅ)で 金(ぜん)か思(と)もたや 腹ん脂肪(しぼ) [枦山一球]
- 娘(こ)は脱毛(だつも) 父親(とと)は植毛(しょくっも)い 金(ぜん)が要(い)っ [片平桜子]
- バザ向(む)っの 皿が五万の 返(かえ)し来(き)っ [岩崎美知代]
- 郷中(ごじゅ)花見(はな)み 理由(わけ)んあろそな 焼酎(しょちゅ)も来(き)っ [山田竜生]
- 漬物(つけもん)で 政治も語(かた)い 茶飲(ちゃく)れ婆(ばば) [津留見一徹]
- 手抜(てぬっ)料理(じゅい) 三分待てば 膳に乗っ [鶴田昌憙]
- 時事吟ぬ 作(つく)ろち娑婆を 見渡(みわた)せっ [吉村伝波]
- 置手紙(おってが)み 青黄(あおき)ゆなった 朝帰(あさもど)い [永田酒楽]
- 硬(か)て脳(のう)も 焼酎(しょつ)を注(そそ)げば 柔(やら)すなっ [津留群志]
- 親ん脛(すね) 齧(かじ)い終(と)っかあ 独(ひと)い立(だ)っ [河原武庫の花]
- 遠(と)え耳(みん)に 辛気(しんき)が煮(に)ゆい 電話口(でんわぐっ) [金井一馬]
- 要(い)らざらん 入(い)れ知恵(ぢえ)をすい 女房(かか)ん友達(どし) [小森寿星]
- 姑(しゅと)ん小言(ぐぜ) とぼけた真似で 胸中(ねしゅ)じゃ泣(ね)っ [森山厚香]
- 寝(ね)とぼけっ 婆(ばば)ん総入歯(がんぶ)ゆ 爺(じ)が嵌(は)めっ [入来院彦六]
- 就活(しゅうかっ)の 手蔓(つて)どま要(い)らん 農業(さ)くば継(ち)っ [有馬純秋]
- 退職(やむ)い肝(はら) じゃっどん手蔓(つて)が 邪魔(ま)じけなっ [大重爆笑]
- 自惚(うぬぼ)れが 過ぎっリコール 大(ふ)とか灸(えつ) [田原大黒]