薩摩狂句誌「にがごい」
第32号
- 釣銭(ついせん)な 要(い)らんち言(ゆ)たが 実(じ)ちゃ足(た)らじ [井原東亀]
- 野次(やじ)いかて すったい疲(だ)れた 新米(しんめ)野党(やと) [田原大黒]
- 禿げちょれば 若(わ)けてゲートい 誘(さそ)われっ [枦山一球]
- も要(い)らんち 言(ゆ)っみろごちゃい 愛と金(ぜん) [片平桜子]
- 街(ま)ち出れば 金(ぜん)ぬ使(つ)こでち テレビ番 [深道好之]
- 惜(てこ)ね焼酎(しょちゅ) 注(つ)げば下戸奴(げこわろ) 庭(に)へ零(こ)びっ [日高山伏]
- 医者どんも 客(きゃ)か神様(かんさあ)ち 年賀状 [西 幸子]
- 只焼酎(ただじょちゅ)い 帰(もど)や役(やっ)どん 背負(かる)っ来(き)っ [有村土栗]
- お年玉 案(あん)の定(じゅ)父(ちゃん)が 借(か)いけ来(き)っ [鶴田昌憙]
- 初夢ん 虎いぞっぷい 汗を掻(け)っ [石田霜降]
- お年玉 木戸を出た時(と)きゃ 取(と)い上(や)げっ [北森第九]
- 好青年(よかにせ)ん セールし茶をち 歯痒(はが)い女房(かか) [山口徹芯]
- 爺(じ)が狂句(きょうく) 自分(わ)が事(こっ)なんだ 棚(た)ね上(あ)げっ [徳吉一笑]
- 年賀状(ねんがじょ)い 鬼(おん)が笑(わ)るそな 事(こ)つば書(け)っ [松永 直]
- デートをば した頃(こ)ら髪(かん)も 波(なん)ぬ打(う)っ [塚田黒柱]
- 使(つ)こ終(と)っち 十年日記(じゅねんにっき)を 買(こ)た老爺(おんじょ) [小森寿星]
- 嫁(とつ)っ御礼(ごれ) 畳(たた)み大(ふ)て粒(つ)ぶ 零(こぼ)らけっ [岩崎美知代]
- 無精(ふゆ)な嫁 中元(ちゅげん)の御礼(ごれ)を 賀状(がじょ)い書(け)っ [福永四球]
- 高(た)け希望(のぞ)み DNA(ディーエヌエー)が 無理(むい)ち言(ゆ)っ [柳村遊月]