薩摩狂句道場
表記の間違いについて (「渋柿」第666号より) 永徳天真
誤字脱字 突(つ)っ戻(もど)された ラブレター
過去にこんな意味合いの句がありましたが、薩摩郷句の作品の中にも表記の細かい間違いがあるようです。
誰にでも間違うことはあるのですが、表記の間違いをなくすためには、辞典で確認する習慣をつけたり、表記についての学習をすることが
大事であり、間違いのない表記をめざすことは郷句人としての務めだと思います。
投句作品の中で間違いの多かった次の3項目の具体例を示します。
1、漢字の送りがな(後が正しい表記)
親子連(おやこづれ)→親子連(おやこづ)れ、譲(ゆ)ずったや→譲(ゆず)ったや、吝嗇(こまし)奴(わろ)→吝嗇(こま)し奴(わろ)、有(あ)い物(も)んで→有(あ)い物(もん)で、野菜(や)せを→野菜(やせ)を、語(か)たっ→語(かた)っ、沢山(ずば)っ着(き)っ→沢山(ずばっ)、婆(ば)が叱(くる)っ→叱(く)るっ、直(い)っき→直(いっ)き、恥(げ)んね→恥(げん)ね、凄(わ)ざえ→凄(わざ)え、賑(にっ)ぎゃこし→賑(にっぎゃ)こし
2、漢字と当て字、カタカナ
呑(の)ん相手(えて)→飲(の)ん相手(えて)*液体をのどに入れる場合は「飲む」、息気(いっき)飲(の)ん→一気(いっき)飲(の)ん、魚(いお)ん太(ふと)さが→魚(いお)ん大(ふと)さが、上(あ)がい凧(たこ)→揚(あ)がい凧(たこ)、婿側(むこがた)い→婿方(むこがた)い、サンマ→秋刀魚(さんま)*カタカナで表記する言葉は、原則として外来語や擬声語、擬態語であり、日本語はひらがなか漢字で表記します。
3、助詞の働きをする送りがな( )内は共通語
見舞(みめ)行(い)たや→見舞(み)め行(い)たや(見舞に行ったら)、野菜(やせ)付(ち)た虫(む)すば→野菜(や)せ付(ち)た虫(む)すば(野菜に付いた虫を)、倍(ばい)けなっ→倍(ば)いけなっ(倍になる)、返事(へず)ばしっ→返事(へ)ずばしっ(返事をばする)、可哀相(ぐらし)餓死(がし)→可哀相(ぐら)し餓死(がし)(可哀相な餓死)
*常に共通語を対比しながら理解することが大事です。