薩摩狂句道場
作句における注意点 (「渋柿」第658号より) 永徳天真
1.字余りと字足らず
南日本薩摩郷句大会のような選者選の大会では、字余りと字足らずの作品は入選外としていますので、投句や出句の前には作った句を読み返すことがとても重要です。
それと、作句の時には指を折って文字数を確認することを習慣づけることも大事だと思います。
苦労して作った句をたった一音字のせいで水の泡にしなように、気をつけてほしいです。
2.送りがな等
送りがなや漢字を正しく表現するためには、国語辞典や方言辞典でよく確認することが大事です。
自分の作品を大切にするのであれば、面倒を惜しまないことだと思います。
投句の作品の中から気付いたものを示します。
電話(でんう)ぇ→電話(でん)うぇ、走(は)しい出(で)た→走(はし)い出(で)た、薄(うす)なった→薄(う)すなった、奥(おっ)くで→奥(おっく)で、育(そ)だっ→育(そだ)っ、背負(かる)鞄(かばん)→背負(か)る鞄(かばん)、指(ゆ)っで数(か)んぜっ→指(ゆっ)で数(かん)ぜっ、亭主(てし)させっ→亭主(て)しさせっ、遅(おせ)戻(もど)い→遅(お)せ戻(もど)い、忙(いそ)がしち→忙(いそが)しち、賄(まか)ねしっ→賄(まかね)しっ、可愛(むぜ)園児(えんじ)→可愛(む)ぜ園児(えんじ)、メタボ思(おも)たや→メタボ思(と)もたや、恵(の)さっ→恵(のさ)っ、固(か)とし→固(かと)し、元気じっ→元気ぢっ、ライバル同志→ライバル同士、合部屋(あいべや)→相部屋(あいべや)
3.気をつけたい言葉
次の3句の中の言葉で気になる言葉がありました。
兄弟(きょで)あ無(の)し 亭主(て)しゃ九十(くじゅ)女性めら)い 会(お)け通(かよ)っ
*「女性(めら)」、女性軽視の差別用語ですので、使わないことです。
てせ仕事(しご)ちゃ バイト奴(わろ)どみ さすい社長(しゃちょ)
*「バイト奴(わろ)どみ」、この場合の「奴(わろ)」の使い方としてはバイトを差別しているかのようで、適切ではないと思います。
嫁(よめ)が先(さ)き 逝(い)たっ死(し)のそな 婆(ば)が残(のこ)っ
「死(し)のそな」、真実であっても受け入れ難い表現です。